神が創った楽園タヒチ(安西水丸著)

2023-07-23 00:00:18 | 書評
副題は「ゴーギャンを辿って」。イラストレーターであり文筆業でもある安西水丸氏が亡くなる10年前の2004年にタヒチを訪れ、ゴーギャンの画家としての生活の跡を辿っていく。文章は安西氏が書き、写真家の小平尚典氏が撮影している。



ゴーギャンのことは、以前、日本(新美術館)で展覧会があった時に調べていて、さらに最近、サマセット・モームが『月と6ペンス』の中でゴーギャンと思われる画家を主人公にしていたりして、その流れで、本書に辿りついた。

安西氏は、一応、ゴーギャンと同業者と思っていたのかもしれないが、複雑な経緯の末、タヒチに辿り着いたゴーギャンを、「タヒチに来てよかったね」という立場で書いているのだが、事実はそうではないような気がする。しかもタヒチからさらに別の島に行って亡くなっている。ゴーギャンにとってはタヒチは楽園ではないのではないだろうか、と思う