パニック・ルーム(2002年 映画)

2018-08-29 00:00:12 | 映画・演劇・Video
密室犯罪といえば、和歌山ドンファン事件とか富田林署脱走事件とか小説や映画より面白い事件が起きていて困ってしまうのだが、一風変わった密室物が、映画『パニック・ルーム』。

panicroom


NYの邸宅に移り住んだ母と娘は、その家に備えられた防犯用の「パニック・ルーム」に気が付いていた。住宅に犯罪者が押し入った時に、その隠し部屋に隠れれば鋼鉄とコンクリートの壁が守ってくれることになっていた。

ところが、邸宅の第一日目に、早くも3人組の強盗団が現れ、母と娘はパニックルームに逃げ込むことになるのだが、問題は、強盗団の目的はパニックルーム内の金庫の中身。

その邸宅は元は大富豪の住宅で、遺産の多額の米国債を金庫の中に保管していた。(アメリカ人は、定期預金ではなく国債で資産を持つようだ。紙なので、簡単に相続税をごまかせるのだろう)

つまり、パニック・ルームのドアが開かないと強盗も困るわけで、『天の岩戸』状態になる。

監督は『セヴン』など、怖い映画専門のデヴィッド・リンチ。主演は『羊たちの沈黙』にも出たジョディ・フォスター。怖いだけではなく、話を複雑化するために、強盗団の仲間割れストーリーを加える。さらに、途中でパニック・ルームから母がでてきた間に強盗団が部屋に入ってしまうという攻守、所を代えることになる。オセロゲームだ。

もっとも、主演女優が早々と殺されるわけはないので、それほどドキドキしないが、何となく最後に死体になる者が予測されるので安心して見ていられる。

出入り自由の密室とか遺産争いとか考えれば紀州のドンファン事件に近いかもしれない。むしろドンファンの方が映画らしいのだが、被害者に感情移入するのが難しいだろう。