剣道にも・・

2018-08-20 00:00:14 | 市民A
8月17日に産経新聞が報じ始めた「居合道昇段審査不正事件」。少し驚くのが、本件は昨年度に剣道会の内部で明るみに出て、昨11月に全日本剣道連盟(全剣連)が公式誌上で事件の経緯と処分を発表していて、今頃どうしてということ。


まず、居合道と剣道の関係だが、簡単に言うと全剣連が取り仕切っているのが「剣道」と「居合道」と「杖道」の3種ということ。本件はその中で「居合道」で起きたと言われている。

次に段位制度だが、有段者は初段以上で、連盟本部が試験しているのは六段、七段、八段。さらに六段(一部五段にも)には練士という肩書があり、七段には教士があり、八段には範士がある。つまり、六段、練士六段、練士七段、教士七段、教士八段、範士八段という順番になる。九段位はない。今回の不正は、八段と藩士の試験で起きたと言われる。

そして、八段審査というのはかなりの狭き門で、今年度の試験は5月にあり、134人が受験し合格者3名(合格率2.2%)である。昨年の合格者は2名。奇妙なのは2016名までは、年6~8名が合格していた(合格率5%前後)が急に厳しくなっている。2017年に発覚したあと、合格者が減ったということは、その人数差が裏口合格だったのだろうか。

もっとも、剣道の方の八段合格率は0.5%とさらに厳しい。

全剣連の発表では2017年1月以降、28名からの聴き取りと証拠収集の上、30回の会議の結果、過去より「審査に近接した時期に金銭を授受する慣行が古くから存在した」と認定し、仲介者Aさんは、八段段位取消しと会員資格喪失という重い罰を与えられ、別件の調査で謝礼をもらったことが判明した委員は、処分は発表されたものの1年間謹慎すれば処分されないという大甘になった。

要するに、ドンがいるらしい。居合道委員が審査員を務めているので、審査員の名前があらかじめ判っているわけだ。そして審査には古流が重視されたため、大きな流派の頂点に立つ者が、強い影響力を及ばしていた。その結果、指導的立場の数人が全体に統制をもたらしていた。


仲介者Aさんによれば、250万円を預かったものの、調べたところそれを使っても、毎年数名しか受からないので合格が何年も先になることが見えたので、250万円はすぐに返金しているとの主張である。Aさんによれば、ほとんどがカネで決まっているような審査会のために一生懸命稽古している何も知らない七段がかわいそうだ、ということだそうだ。Aさん自身も裏口組だそうだ。


ということで、居合道委員会のメンバーを一新し任期は2年とする。審査の基準は古流に依らない、ということになった。

ところで、渡した金額は650万円とか200万円とか、あるいはそれ以下とか様々な証言があるようだが、頼む筋によって異なるのだろうか。渡される途中で減っていくのだろう。


実は知人で剣道七段と威張っている人がいるのだが、彼もまた迂闊には威張れなくなった。「七段」と言うと、「おいくら?」と言われることが容易に想像されるからだ。


なお、全日本剣道連盟の前身は明治時代に生まれた大日本武道会という組織で、柔道や空手などがこの組織下であったが、右翼的集合体として、戦後、GHQによって解散された。今の組織は民主的運営を目指すということで認められたのだが、解散されたはずの大日本武道会は組織としては復活しているし、支援する団体もあるようだ。