3万年前の証明を3000万円で

2018-08-19 00:00:45 | 美術館・博物館・工芸品
上野の科学博物館の前で、この灼熱の季節に毛皮の服を着て、斧をふるって丸太を削っている男性が見えた。館外展示なので無料ということもあり、近づいていくと、これが『3万年の航海・徹底再現プロジェクト』ということだそうだ。

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ごく、簡単にいきさつを書くと、日本人が太古の時代に日本に到着したのは、主に3つのルートがあったとされる。古い順に、

1.38,000年前に、朝鮮半島(当時は渤海湾が非常に小さかったので半島というより大陸の一部)方面から対馬ルートで渡来。

2.35,000年前に、台湾(中国大陸とつながっていた)から与那国島に舟で渡ってきた。

3.25,000年前に陸続きだった沿海州から樺太を通って陸路で北海道に歩いてきた。

の3つのルートが想定されている(*確定しているわけではない)

このうち、第二ルートの台湾→与那国島というのは、かなりの難コースである。太平洋に近いため海が荒いわけだ。さらに黒潮に乗れば、流れは早いが危険だ。運が悪いと北太平洋まで流されてサヨナラゲームになる。

ということで、いわゆる縄文大工役の男性が森で巨木を石器製の斧で切り倒し、さらに舟の形に切り抜いているわけだ。そして、舟が完成したら、実証実験を始めようというわけだ。実際には、いくら実験しても、「なぜ彼らは台湾を捨てて海に漕ぎ出したか」の理由はわからないと思えるが。

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しかも、縄文時代に沖縄地方にいた人たちは港川人と呼ばれているが、その男性モデルのあぶない写真がパネル展示されている。着衣ゼロだ。沖縄差別だろうか。


ところで、この実験で必要なのは、おカネ。4000万円が必要なのだが、うち1000万円には企業スポンサーが付いたそうだ。そして3000万円をクラウドファンディングで集めることになったそうだ。(『3万年前の航海』で検索)

その寄付金の対価であるが、結構奇抜。

まず、5,000円で、お礼メール+PC壁紙。

変わったところでは、30,000円で「縄文人研究者になる」。縄文人骨研究をするそうだ。

50,000円では、「旧石器人になろう」。旧石器人の生活体験だそうだ。石器作りとか古代料理など。着衣ゼロかな。

100,000円では「古代舟製作」。この舟を石斧で削れる。この舟は資金集め用のアトラクション用かもしれない。

500,000円では、「沖縄遺跡調査体験ツアー」。最低催行単位は1名だろうか。洞窟遺跡見学等。

そして、1,000,000円。それらのイベント参加に加え、本番の航海後に与那国島に建立予定の記念碑に名前が刻まれるそうだ。この世界に名前が刻まれるのが墓石だけだろうという人は、是非もう一ヶ所に生きた証を残してみてはどうだろうか。

個人的には、丸木舟1日船長とかできないかな。船長は最高責任者だ。荒天の時に行くも戻るも船長次第。重責がある。もちろん航路を誤り半島北部まで漂流すると、スパイとみなされ撃沈されるだろう。

〆切りは9月14日。現在、12,000,000円を超えたそうだ。