SEIKO MUSEUMで時計の組み立て

2018-03-25 00:00:03 | 美術館・博物館・工芸品
ちょっとした機会があって、墨田区にあるセイコーミュージアムで腕時計の組立体験会に出させていただくことになった。ミュージアムなので、時計の歴史と服部時計店からセイコーホールディングスに至る社史を中心とした展示を見学し解説を聞き、現在および今後の会社の方針の話を伺う。

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東芝の創業者である田中久重の作った自動時計のコレクションが展示されていた。日本で使われていた時計は日の出と日の入りを明け六つ、暮れ六つと定めていたため、夏と冬では時間の間隔が異なるわけだ。和時計は月ごとにその切り替えを少しずつ行う必要があるが、田中久重の時計は自動調節だった。東芝コレクションは川崎の東芝博物館にあり、東芝解散に伴い四散する危険があったが、なんとか食い止められたようだ。

さて、SEIKOは、もちろん日本での圧倒的なトップブランドであるにも関わらず、世界市場では古典的な機械式のスイス製ブランドに押されているようで、なんとか数十万円から数百万円の価格帯での市場浸透を狙っているそうだ。

新しいブランドして、グランドセイコーやセイコープレサージュといったラインナップをそろえているそうだ。

個人的には通常はスイス製の機械式を使っているのだが、時々故障して部品がスイスにあるため、長期入院ということがある。それに手巻き(&自動巻き)なので、しばらく別の時計を使うと、ねじが切れていて巻かないといけない。スイスの手巻き時計を使っている人は、おそらく電池式のIC回路で動くクウォーツ時計を持っているはず。今からスイス勢と正面から戦わなくても二台目需要だけで十分と思うのだが、他社の華やかな広告などを見ると、つい手を出したくなるのではないかな。

一口にスイスといってもブランドごとにすみ分けができているので、割り込むのは簡単ではないような気がする。

で、そういう話はおしまいにして腕時計の組み立てだが、こども用のコースだそうだ。

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まず、文字盤などの組み立て部品と既に組み立てられているムーブメントを確認する。工具は種類が少なく、およそ何に使うのかはすぐわかるのだが、工場の組み立てラインと同様に「仕事の手順」が重要だ。裏ブタをネジで止めてから文字盤の中のごみを吹き飛ばすことはできない。しかし、説明書を読み、説明を聞くと、ついつい先走って作業を進めたくなる。詳しく聞かなくても、どの部品がどこに組み込まれるのかはわかるのだが、それが失敗の元になる。神は(あるいは悪魔は)細部に宿るのだ。

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実は一番の難所は太い指にこども用の指サックをはめることで、時計完成時には指は真っ白に変色しているのだ。そして、たった一台の時計を組み立てるだけで、緊張して行うこのような仕事は、私には向かないことを確信する。

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そしてついに完成。作業途中で気が付いていたのだが、私の手首に比べ、ベルトの方が短いのだ。