7月7日、晴れ

2011-05-12 00:00:08 | 映画・演劇・Video
773大震災の時、関東のあちこちで停電が発生。その後、計画停電の街は、暗闇に包まれ、電気のありがたさを思い知ることになるが、だからといって電気代に上乗せして何兆円も集めようというのには、みな反対だ。

そのうち思い出したのが、地震でもないのに、横浜のランドマークタワーの回りの照明を消させて、暗い星空に「今、天の川を見たい」とラジオ番組で無理なお願いをリスナーにした女性歌手がいたことを思い出す。

1996年の映画。

世界的アーティスト望月ひなたを演じるのが、15年前の観月ありさ。今はサザエさんはじめコミカル傾いている。そして相手役は、パシフィック自動車社員の山部健太を演じる萩原聖人。こちらは質より量といった感じで、予定表の隙間を埋めるべく、どんな役でもOKといったところだ。

で、キャンプ地で知り合って、密かに交際しようとするが、そうもいかないわけだ。7月7日はひなたの誕生日で、キャンプ場の夜空に生まれて初めての天の川を観る。そして来年のこの日にもう一度天の川を見ようと無理な約束をしてしまうわけだ。なんだか「冷静と情熱の間に」に似ている(逆かな?)。

しかし、この二人を利用しようと薄汚れた両者の取り巻きが、あれこれとふざけた真似をする。パシフィック自動車が社運をかけて発表する新車(日産のリバティとそっくり)発表会で大失態が演じられるわけだ。

そして、二人は会えなくなる。当時の携帯電話は20センチもあるような代物なので、やたらと持ち歩くこともできず、情報交換が困難になる(ロメオとジュリエット風)。

日本も進歩のない国なので、15年前の映画なのに、現代と風俗が違うのは、携帯電話の大きさと男物のスーツのデザイン(当時はソフトタイプが流行っていた)だけである。あとは、今と同じ。

そして、望月ひなたは日本を離れる日に横浜のランドマークのスタジオからさよならトークを始めるのだが、とうとう脚本からはずれて、「天の川を見たい」と言いだして、都会の照明を真っ暗にさせてしまったわけだ。

そしてパシフィック自動車の本社でラジオを聴いていた健太は、あわてて横浜に向かって車を走らせるのだが、照明がないためか道路は大渋滞である。でもやっと間に合うわけだ。


面白いもので、もしもパシフィック自動車のモデルが日産だとすると、数年前に横浜駅東口に本社を引越しさせたばかりである。駆け付けるのに車は要らない。5分も走ればランドマークだ。照明を消す要望を発表する前にスタジオ(FM横浜か?)に着いてしまう。

監督は本広克行で、初めて撮った映画がコレである。あちこちに遠慮の塊が見受けられるのだが、初めから70点目標で作ったのかもしれない。残りは、役者の個性とドリカムの音楽。

そして、この映画だが、テレビの映画専門チャンネルから録画したのだが、なぜかDVD化されていないそうである。映像のあちこちに企業コマーシャルが溢れているが、それが原因なのだろうか。あるいは、国民を電波で洗脳するという行為が危険思想とマークされたのだろうか。よくわからない。

もう一つ追加すると、高速道路の照明を消す話だが、現在、東名高速は照明を消している。夜は結構怖い。千葉県の南に延びる館山自動車道は、元々照明設備そのものが設置されていないので、夜は走りたくないのだが、暗くなったせいで東名で重大事故が発生したら、どうしてくれるのだろうか、と思わず憤慨しているのである。