なぜ5000億円の仮設住宅なのか

2011-05-06 00:00:05 | 市民A
現政権が自民党以下だと思うことも多いのだが、仮設住宅費5000億円というのが、一体どうしたことかと思うわけだ。

どうも、必要な住宅数を72,000戸と予想しているようなのだが、そうすると一戸あたり694万円ということになる。しかし、プレハブで四畳半×2とキッチンとバストイレ付きにしては、高すぎるのではないだろうか。3倍くらい高いようの感じがする。

それに、しょせんは、仮設であって、いずれ壊すわけだ。

しかも、完成まで半年かかるという状態だ。

新聞によれば、今のところ避難民は13万人弱ということなので、たぶん総戸数も少し多すぎるような気もする。


一方で、日本は今、「超・空き家大国」なのである。

日本の総戸数は、5800万戸くらいで、人口は減り始めているのに、実は、戸数は増え続けている。日本では当たり前のように思われているが、家を買う時には、立て替える人と新規に建てる(あるいは買う)人がいる。すべての家が建て替えであるなら家は増えないが、初めてマンションを買う人は、つぶすべき家を持ってないのだから、結果総戸数は増え続ける。

5800万戸の家に対して、世帯数は5000万程度なので、800万戸の差がある。もちろん別荘として二軒使っていたり、こっそり別の家族を持っていたりする人がいるのだろうが、そんなに多いはずはない。

800万個は14%にあたるのだが、正確にはわからないが、少なくとも10%。500万戸の空き家はあると考えられる。

だから、7万2千戸に5000億円かける位なら、空き家所有者に声をかければ、格安で十分な数の物件を貸してもらえるのは間違いないわけだ。それに、若干の手直しと、退去時の補修費だけで済む。ゴミも出ないし、余剰金をもっと前向き予算に回せる。空き家所有者だって、固定資産税を払っているだけなのだから、国が払う賃料は、格安でいい。
同じようなことは、農地にだってあるわけで、全国の休耕地面積なんて、途方もなく大きいわけだ。10年以上前に、八郎潟の干拓地を見に行ったことがあるが、巨費を投じて、日本第二位の大きさの湖をすっかり埋め立てたにも関わらず、すでに90%近くが休耕地化しているといった感じだ。


もちろん、先祖代々の土地から離れないという感情は一般的なもので、そこから動くことで何がしらの損害が発生することが一般的なのだろうが、そういう穴埋めに予算が登場するのではないだろうか。


で、何でこうまでも理解不能な対策が出てくるかと言うと、まず民主党が官僚の言いなりになっていることによるのだろう。さらに、この官僚構造だが、高級官僚(省庁の課長とか班長)というのが、ピラミッド構造に組み込まれているために、自分のパソコン上でEXCELで試算を行ったりしないことになっていたり、電卓すら叩かないのではないだろうか。

以前、高級官僚から相談を受けて、ある企画のいくつかのプランの評価をアングラで手伝ったことがあるのだが、驚いたことに、たとえばA案、B案、C案とかあると、そのいずれかを選ぶということしか考えないわけである。三者択一方式。テストみたいだ。いずれにしてもプランというのは前提に未知の情報が想定されるのが常なので、実際には、A案とB案の中間で、少しはC案の一部も取り入れたらいいのではないだろうか、というようなことにはならないわけだ。

だから、後で前提が変わると対応できなくなる。


それはそうとして、仮設住宅の話だが、どうしても作ってしまうのだろうが、あとで解体する時には、ゴミにするのではなく、きちんと分解して、全国に分散させ、いつでも組み立てられるように保管しておいたらどうだろうか。

それで、20年経って資材が使われないまま朽ち果てれば、それはそれで、「良かったなあ」ということになるだけの話なのだから。