あんかけ戦争始まる!

2008-03-12 00:45:16 | あじ
名古屋の味と言えば、まず、味噌。味噌カツ、味噌煮込みうどん。さらに手羽先、きしめん、トンテキ、えびふりゃ~・・そして、これぞ門外不出というのが、「あんかけスパゲティ」である。

名古屋以外には、世界のどこにもほぼ存在しないはず。なぜかというと、ちょっとあやしいからだ。まず、スパゲティじゃないのにスパゲティと名前をつけている。あんかけといっても、日本の餡子でもなければ、中華風焼ソバにかかっているとろみのあるタレでもない。



ところが、門外不出のはずなのに、数年前、脱藩者が現れ、東京港区西新橋に店を構えた。「PASTA DE COCO」という、本業がカレー屋チェーンの変型店舗。これが結構人気になっていた。一度だけ行ったが、はねかえされた。口に合わなかった。麺がスパゲティとはまったく対極のボソボソ。ちゃんぽんの麺みたいだ。さらにかかる茶色のあんは、ウスターソースに唐辛子をまぜたような味。やや赤みがあるがトマトソースではなさそうだ。魚肉(?)ソーセージを輪切りではなく、縦切りにして煮込んでいる。

しかし、私の口にはまったく合わなかったから、ということとは無関係に、この「PASTA DE COCO」には、”行列まではできないものの、客足が途切れることはない”という状態が続いていたわけだ。では、一体誰が・・

ところが、この店の味については、本物の名古屋人からは「あまり・・・」とか「これで、あんかけスパがまずいと思われても・・・」というようなネガティブなコメントばかりが聞こえてきた。となると、顧客層は、名古屋にいたことがあるが、名古屋人ではない、というような層ではないだろうか。月に一度は名古屋の味を思い出したいが、味噌煮込みも味噌カツもきしめんも東京では食べられないから、「せめて、あんかけスパゲティだけでも・・」ということではないだろうか。

そして、数年間、その店のことは、あることは知っていて、昼食時に前を通ることがあっても、意識の上には現れない店、として「否認知意識」だったのだが・・・



その店から1分半ほど、同じ通り(烏森通り)を新橋方面に向ったところに、よく行っていた「北海丼」の店があった。鮭の親子や鱈子などをベースにした丼を出していた。二週間に一回行くという感じのローテーションに入っていたのだが、急遽閉店。残念ながら、次は何がオープンするのだろうかと思っていたら、なんと「あんかけ堂」というパスタ店になった。パスタのおいしい店が近くになく、不便していた関係で、これ幸いと入ってみると、びっくりだ。あんかけスパゲティだった。

なぜ、広い東京なのにこれほど近いところにオープンしたのかは謎。近くに名古屋系企業があるとも思えない。まあ、これぞ正統なる名古屋の味か、とさっそく13席あるカウンター席の中央に座り、650円のスタンダード品を頼むと、でてきたものは、以前、食べたものと同じスタイルで、やはりソーセージに赤っぽいソースだ。そして、味もまったく同じように感じたのだが、どういうものだろう。

案外、以前からの店の入りを研究した結果、まったく同じ味のものを供すれば、顧客の半分は確保できると踏んだのではないだろうか。今後の展開に注目したい。