山林問題に解決はあるか?

2007-05-10 00:00:50 | 市民A
最近よく読んでいる本石町日記さんの5月8日号”価値のない山林は永久に価値がないか”で、ご実家が所有している日本の某地方(つまり田舎)の山林をめぐる諸問題が取り上げられていた。

まあ、資産としては実在するが、「それが何を産み出す」というものではなく、無価値な株券のようなものだ、と書かれている。”超僻地の山林はやや荷が重いものである。現に価値はなきに等しく、聞けば「売りに出しても買う人はいない」という、そういう存在である。”との感想が簡潔である。


そして、文面を読む限り、とりあえず、祖父の代から父親の代に替わって、今は所有権はないが、いずれ所有権が発生することが想定される資産、という状況のように読めるのだが、実は、これは私の現状とまったく同じことになる。書かれている内容は、まったく同じで、こういう人って「山のように」たくさんいるのだろうと思ってしまう。しかも、本石町日記さんは、「無価値な株券」と書いているが、実際には、「無価値」というよりも、「固定資産税」、場合によっては「相続税」の対象となるわけだ。満州鉄道やライブドアの株券は、持っていてもこれ以上のキャピタルロスは生じないのに、だ。


ところで、私の場合、問題の山林は瀬戸内海に面したある県の都市部からやや離れた場所にある。まず、なぜ、この山林が「おおた家」の所有になったかと言うところからだが、伝承によれば(実は二種類の伝承があって、本当はよくわからないところもあるが)、江戸末期に町場の方で「海産物問屋」で小金持ちになった先祖がいるらしい。その人が、開拓地として農地を買い集めていき、さらに山も購入したということらしい。

ここからはかなりの推測なのだが、山を持つというのは三つの理由があったと思える。まず、広葉樹の落ち葉を肥料に使うことである。ある研究では畑の場合は畑地面積の二倍の広葉樹林があれば肥料として完結するというのを読んだことがある。二番目は果樹の生産であって、山岳地であっても果樹(柿や桃や蜜柑など)は植えることができる。そして、ほんの一部、果樹栽培が行われていた痕跡は残っている。そして三番目は水利権に関する問題で、瀬戸内地方の特徴として、農業用水は溜池方式になっていて、その水利用権は大きな問題で、限られた水資源をいかに配分するかは巨大問題だったはずだ。そこで、山を持つということは、その山から溜池に水を供給するわけだから、配分交渉でも大きなアドバンテージがあったのではないだろうかと推理している。

そして、「おおた家」はその後、栄衰の波を泳ぎながら、農地を買いましていき、いわゆる地主階級として第二次大戦を迎えることになる。そして、敗戦。そして農地解放ということになる。この農地解放については、現在でも賛否両論(否定派は少ないが、旧地主はみな否定派である)と思う。米国の日本に押し付けた政策のうち、この農地解放については、たぶん大きな現状認識錯誤があって、リンカーンの奴隷開放みたいな理念だったのではないだろうか。その後の顛末を考えれば、農地の小作者への所有権の移転までしなくても宅地と同様の「賃借権の保護」といった形で十分だったような気がする。

結局、元地主には溜池に近い山がちの自分用の斜面地農地と山林が残り、小作者の方は宅地や商業地に適した下流の平らな農地を手に入れ、売れる土地は売り、売れない土地は放棄し、農家をやめ、都会に出て行き、いまや農民は人口の3%で、荒地ばかりが残り、食料自給率は低い。まったくでたらめな状況になっているのにかかわらず、自給率が低いほど有利な、元巨大生産者団体で現巨大食料輸入商社に農政が振り回されているのが現実である。

それで、「おおた家」も数代前に都会派に宗旨替してしまい、僅かな農地に宅地並み課税を受けないように、果樹を植え、年に何回か行って、オーチャードファームっぽく見せかけている(といっても、キウイとか柿とか八朔とかはほっといても普通にできる)。山林は無論、ヘビの山になっていて、しかも私はヘビは大嫌いだ。


ところで、山林の活用なのだが、高速道路のインターチェンジが数キロのところにあるので、ホテル群でも建てようかと少しずつ研究をすすめているのだが、これも色々と厚顔無恥といった「手段を選ばぬ強気の態度」で突っ走らないといけないようで、ちょっと気が乗らない。


一方、本石町日記さんのところのコメントにも書かれているが、公共事業の線が引かれると一気に話は変わるわけだ。実家の山でも、先日、頂上にある松の木の一本が立ち枯れたままになっていたのを、「天皇陛下の搭乗された飛行機が上を通過するときに見栄えが悪いから」と言われ、枯れ木を切り倒すのに補償金を賜ったのだが、その程度でも若干の余禄があったそうだ。

公共事業というのは、そういうのを大掛かりに行うことだが、そうは言っても無駄な公共事業費の削減は財政再建の一つの柱であるのも間違いない。やはり林野庁を管轄する農林水産省の大臣に献金するのが一番手っ取り早いのかもしれないのだが、ただし、献金も、前金方式ではなく成功報酬型にしなければいけないのだろうか、と少し悩んだりもしないわけだ。

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