詰将棋解答選手権のこと

2007-05-12 00:00:54 | しょうぎ
5月5日、東西の将棋会館で詰将棋解答選手権が開催された。2004年に第1回大会が開催され、毎年1回開催で、今年が4回目である。

普通、詰将棋は、新聞とか雑誌とか紙面上に印刷された問題を、頭の中でうんうんと唸りながら考えるのだが、この選手権では会場に盤と駒が用意されていて、紙の上だけじゃなくて、実際に盤上に並べて、動かして解いて構わないことになっている。90分ハーフで、前半は19手以下の問題6題、後半は21手以上の問題4題が出題される。しかし、当然ながらパソコン持込は厳禁でトイレに行くのも禁止か係員同伴だったはずだ。

なぜ、トイレの話を知っているかと言うと、過去に2回出場しているからだ。第1回大会と第2回大会である。そして、この選手権大会は非常に疲れる。神経的に耐えられないので引退である。

問題はプリントされていて、定刻になると裏になった問題用紙をサッと見るわけだが、まず、6題のうちどれから解こうか、それが難しい。早い話が全部時間内に解ければいいのだが、その保証はない。簡単な問題から解くべきなのだが、少し考えても解けないと違う問題に手を付けるが、これも解けない。そうこうしているうちに時間はどんどんなくなっていき、結局、何題かは時間切れになる。この「ほとんど解けないのに時間がどんどんなくなる」とか「答えに近づいているのに、何かちょっと解けない部分がある」とか「残り時間からいって、全部解くことが不可能ということを自覚するとき」とか嫌なことだらけになる。

そして、本来、詰将棋の特性上(答えは1種類だけ)、「解けた!」と思った筋は必ず正解のはずなのに、記入ミスをしたりする。何しろ、盤面で動かしてもいい、というのが逆効果になることもある。手で並べるより頭の中で動かしたほうが早いわけだ。

結局、3年前の第1回大会では13位だったのだが、内、1題は記入ミスを犯してしまったのだが、その1題ができても12位だったので、大勢に影響はなかった。つまり上位10人くらいとその下のレベルには溝があったということ。さらにそのトップクラスの中の一位はダントツの速さで宮田敦史五段で、「宮田五段」、「Aクラス」、「Bクラス以下」という3階層に分かれていたわけだ。

その宮田五段だが、胃潰瘍の手術後、体重が戻らず長期入院していて本職のプロ棋士の方は休場中。一時は体重が40キロを切っていたようだが最近は50キロ台に回復して、やっと退院できたようだ。私的には、詰将棋封印したほうがいいのではないかと老婆心である。噂では、同門の三人の中で対戦すると、一番強いということを聞いたことがある(あくまで、また聞き)。


そして、今年度の大会には、知人のプロ棋士から事前に「ビッグネームが出場するらしい」という情報を得ていた。


詰将棋解答選手権に谷川九段「公式戦以上の緊張」 2007年05月05日 朝日新聞

 詰将棋を解く速さを競う第4回詰将棋解答選手権が5日、大阪市福島区の関西将棋会館と東京都渋谷区の将棋会館で同時に催された。チャンピオン戦にプロ棋士5人を含む27人が参加。大阪会場では永世名人の資格をもつ谷川浩司九段(45)が初出場し2位。優勝したのは東京会場の北浜健介七段(31)。
 谷川九段は前半戦6題のうち1題で、頭の中では解きながら解答用紙に書き間違えて11位と出遅れ。後半戦(21手詰め以上の4題)で、ただ一人全問正解し面目を保った。谷川九段は「公式戦以上の緊張感でした」と2位に苦笑いしていた。
 この選手権は詰将棋作家の若島正・京都大学大学院教授(54)らが毎年企画している。東京と大阪で同時開催されたのは初めて。

この谷川九段、詰将棋の創作でも第一人者の一人で、作風は実戦型風で難解長編作が得意である。記事を読めば、全問わかっていたらしいが、1題、書き間違えたようだ。実戦でも彼が時々犯す「ポカ」である。そういう癖が詰将棋でも出てしまった。この辺が人間らしさかな。

ところで、詰将棋の創作というのも作者によってずいぶん違うものになる、私見なのだが、3種類くらいのポリシーに分けてみる。

まず、手筋もの。詰将棋作家なら、誰でもサササと作れるはずだ。よく、初心者用の本に書かれている基本パターンを組み合わせて作る。解図感は軽く、図形はまとまった形になっていて、捨駒とか角の遠打とか・・ただし、上級者は一目で解いてしまう。

次に、テーマものがある。作者が何らかの意図をもって、龍で追い回したり、合い駒選択させたり、ソッポ成りとか、○鋸とか、そういう大技を表現するもの。広い意味では曲詰とか握詰とかそういったものも含まれる。問題を解くことが、作者の意図を見破ることと同じ意味になるので、解図感はきわめて良好。その反面、早々と意図を見破ると、表現している筋そのものが陳腐に感じる場合もある。江戸時代の看寿、宗看といった大家も、この「何が言いたいか」というのがはっきりしていることが多い。

そして、3つ目が、「ただただ、難解であればいい」というパターンで、案外、この考え方の支持者も多い。何を表現したいのかよくわからないが、合駒選択の連発で、「仮に飛車合の場合、次の合駒3連発が角、歩、桂の順になるが角合のときは、歩、桂、金の順になり、・・・」といった問題で、解図感はいたって悪いし、果たして正解なのかどうかも判然としない。

そして、この「ただ、難解であればいい」という問題が、選手権では多数出題されるわけだ。出場者の皆様、お疲れ様です、ということだ。


6e3cab22.jpg前々週4月29日出題の解答。▲2四桂 △4一玉 ▲4三香 △3一玉 ▲4二香成 △2二玉 ▲3二成香 △1三玉 ▲1二桂成 △同玉 ▲2三龍 △同玉 ▲3三角成 △1四玉 ▲2四金 △1五玉 ▲2五金 △1六玉 ▲1七歩 △同馬 ▲1五馬まで21手詰。

手際よくまとめたものの、小技ばかりで、大技がない。平凡な手が続くところが意外とか・・





6e3cab22.jpg今週の問題は、最近長いのばかり出題して、反応がちょっと心配なので、短いものを用意。いつもよりかなり簡単。一瞬の風にのって、解いてくだされ・・。

いつものように、解けたと思われた方は、コメント欄に最終手と手数と酷評いただければ、正誤判断。






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