ライブドア事件は1月16日の東京地検によるライブドア本社、新宿のサーバー、社長宅の一斉捜索で、スタート。マスコミ情報の共通項からいえば、役員からの事情聴取が済み、その結果、堀江社長はじめ4人が逮捕される。一方、ライブドア側は、違法行為にあたらないと主張を行っている。解釈の違いということだろう。東証は一時は即時上場廃止をほのめかしたものの、有罪にならなかった場合、自分の方が取引所廃止に追い込まれることに気付き、意味のないマイルドな方法をとる。そして、システム不備が露呈。
そして、マスコミは特にフジテレビをはじめ、推測と地検からの情報操作に乗り、犯罪行為と断定し、世論を煽っている。
ところで、ここまでの報道をみていて、少しは企業会計のことを知っている人なら、ずいぶん首をかしげている向きも多いはずだ。方法が古典的過ぎる。
まず、
1.連結前の会社の利益を取り込み、単独決算をよく見せた件。
よくある話ではないだろうか。むしろ、実質的に支配下にある会社を連結外において、財布のように使っている会社が多いのではないだろうか。売上げを借りて、出荷前の倉庫の中の製品を売り(空売りということもある)、保管契約に変えたりするわけだ。「これくらいはどこでもやっている」と80KM/H規制の道路で100KM/Hで走ったようなものだろう。(念のため書いておくと、どこの会社がそういうことをやっているとか具体的に知っているわけではない。)
2.投資事業組合をからませ、買った株を一時的に隠しておいて、これから買うような発表をする。
一部はクロで一部はグレーだと思う。スイス人の考えそうなことだと思ったが、やはりそうだったようだ。
3.分割手法
場外取引と同様、実施時点では合法。
普通の会社と違うのは、「粉飾行為」は会社がつぶれそうな時に行うので、同情を買い易いのだが、今回(粉飾と断定されたとしてだが)は会社を大きくしようとした時に行われていること。
そして、およそ会社の経理部というのは、こういう決算操作を行うための部であるといっても過言ではないのではないか。世間には会計事務所はたくさんあり、自社内に経理部社員を抱え込むより長期的には安い。第一、本来、SAPとかを導入している会社なら、決算期が終了した翌日でも決算ができるはずなのに、公表するのは1ヶ月以上先になる。米国だと10-20日後に決算は発表している。それと、経理出身者が役員に入っている会社は、たいていダメだ。錬金術に頼っている。
次に、
「重要な意思決定がメールで行われている」と報じられているが、「そんなはずはない」と思う。SB社の例を聞いたことはあるが、電子決済ではあるが、メールでできるとは思えない。だいたいメールとは一方通行である。まさかチャットでもないだろうし、その辺は、会社の意思決定ルールがあり、それが基準となるはずだ。メールで○○しなさい、と指示をしても、後で電話で取り消したとか言われれば、証拠にするにも簡単ではないはずだ。
そして、グレーゾーンをクロと言う人とシロという人が交錯しているのだが、今までの日本はじめほとんどの国は、グレー=シロだ。だいたい、リスクの質を見極めできる人間だけが投資に参加すべきなのだから、グレーで泣いても自己責任だと思える。第一、ライブドアの株価はライブドア単体決算の黒字で評価されているわけではない。
そして、錬金術と決定的に違うのは、ライブドアはM&Aの過程に錬金術を用いるだけで、取得した企業を本物の金にすべく努力は行っている。営業不振で株価が安くなった企業を再生させて、コングロマリッド化しているのだから、投資ファンドより立派ともいえる。
もう一つ、注目点は、こういう事件で本来もっとも責に問われるべきは、社長ではなく「監査役」なのだが、有価証券報告書に記載されている常勤監査役(その他、非常勤2名)はS氏というのだが、経歴がおそろしい。
昭和18年12月9日生まれ(62歳だ)
昭和43年3月 警視庁警察官
平成12年9月 神田警察署署長
平成15年12月 ライブドア社監査役
つまり「用心棒」? 何のための用心なのかは、わかるような気もするが・あるいは、「・・Y?」。彼の受ける罰則には注目だ。
東証のこと
未だにわからないのは、1日の取引件数総数規制。普通、発注すると、即座に約定する。だいたいそういうものだ、瞬間的なピーク時で上限があるという説明なら納得しやすいのだが、全体件数というのは、よくわからない。たとえば、2時59分まで誰も発注しないで、2時59分に突然500万件のオーダーが殺到しても対応できるということなのだろうか?
ライブドア上場廃止の件をほのめかしたようだが、早い話、違法かどうかはっきりしていないし、ライブドア側がシロといっている段階で上場廃止するのは乱暴すぎるのだが、仮にこのまま株価が下がり続けると、今度は巨大なマネーゲームが発生するような気がする。
よく言われるのだが、日本の東証一部は日本の大学と同じで、入るまでが大変だが、入ってからは怠けていていい、という状態だ。東証一部を超えるスーパー証券所を設立したらどうなのだろう。もちろんシカゴグローベックスと同様、24時間オープンにする。
不透明といえば、みずほ証券のジェイコム誤発注事件でも、もともとのオーダーである1株というのが、どういう経緯で、顧客の手に渡されていて、なぜ上場当日直ぐに売却されたのかということについては、一部に流れているうわさのとおりとしたら重大な問題があるわけだからこれだって調べなければまずいだろう。
そして、今回の強制捜査が16日夜から12時間にわたって行われたということについて、アネハ事件隠しとの声があった。確かに国会での証人喚問から目をそらす効果は十分にあったのだが、最初はこれはある政権上の力が仕組んだのではないかとも勘ぐっていたのだが、冷静に考えてみると、目をそらしたかった動機が一番強い組織は、「警察」そのものではないだろうか。
アネハについては、これこそマンションという動かぬ巨大な証拠品がありながら、大きな罪を構成できていない。かといって共同謀議を立件するには共同意思が必要だが、それを証明することは難しい。そのうち回ってくる批判をかわす必要があったのではないだろうか。何か、アネハ事件の方がライブドア事件よりも軽いと錯覚しそうになる。
そして、今一つ引っかかるのは、捜査時間の異常な長さ。証拠を押さえることができたのだろうか?100台のパソコンを持っていったらしいが、以前テレビで聞いた情報では、ライブドアはパソコンは社員が私有物を持ち込むことになっていた。会社に捜査が入って、個人のものを持っていったのだろうか?
そして、マスコミ側は勉強不足から取材能力が低下し、警察情報に頼りきりになっているとしか思えない。団塊世代引退後の技術伝承問題は、時々問題にされているが、マスコミもその例に漏れないのだろう。
そして、マスコミは特にフジテレビをはじめ、推測と地検からの情報操作に乗り、犯罪行為と断定し、世論を煽っている。
ところで、ここまでの報道をみていて、少しは企業会計のことを知っている人なら、ずいぶん首をかしげている向きも多いはずだ。方法が古典的過ぎる。
まず、
1.連結前の会社の利益を取り込み、単独決算をよく見せた件。
よくある話ではないだろうか。むしろ、実質的に支配下にある会社を連結外において、財布のように使っている会社が多いのではないだろうか。売上げを借りて、出荷前の倉庫の中の製品を売り(空売りということもある)、保管契約に変えたりするわけだ。「これくらいはどこでもやっている」と80KM/H規制の道路で100KM/Hで走ったようなものだろう。(念のため書いておくと、どこの会社がそういうことをやっているとか具体的に知っているわけではない。)
2.投資事業組合をからませ、買った株を一時的に隠しておいて、これから買うような発表をする。
一部はクロで一部はグレーだと思う。スイス人の考えそうなことだと思ったが、やはりそうだったようだ。
3.分割手法
場外取引と同様、実施時点では合法。
普通の会社と違うのは、「粉飾行為」は会社がつぶれそうな時に行うので、同情を買い易いのだが、今回(粉飾と断定されたとしてだが)は会社を大きくしようとした時に行われていること。
そして、およそ会社の経理部というのは、こういう決算操作を行うための部であるといっても過言ではないのではないか。世間には会計事務所はたくさんあり、自社内に経理部社員を抱え込むより長期的には安い。第一、本来、SAPとかを導入している会社なら、決算期が終了した翌日でも決算ができるはずなのに、公表するのは1ヶ月以上先になる。米国だと10-20日後に決算は発表している。それと、経理出身者が役員に入っている会社は、たいていダメだ。錬金術に頼っている。
次に、
「重要な意思決定がメールで行われている」と報じられているが、「そんなはずはない」と思う。SB社の例を聞いたことはあるが、電子決済ではあるが、メールでできるとは思えない。だいたいメールとは一方通行である。まさかチャットでもないだろうし、その辺は、会社の意思決定ルールがあり、それが基準となるはずだ。メールで○○しなさい、と指示をしても、後で電話で取り消したとか言われれば、証拠にするにも簡単ではないはずだ。
そして、グレーゾーンをクロと言う人とシロという人が交錯しているのだが、今までの日本はじめほとんどの国は、グレー=シロだ。だいたい、リスクの質を見極めできる人間だけが投資に参加すべきなのだから、グレーで泣いても自己責任だと思える。第一、ライブドアの株価はライブドア単体決算の黒字で評価されているわけではない。
そして、錬金術と決定的に違うのは、ライブドアはM&Aの過程に錬金術を用いるだけで、取得した企業を本物の金にすべく努力は行っている。営業不振で株価が安くなった企業を再生させて、コングロマリッド化しているのだから、投資ファンドより立派ともいえる。
もう一つ、注目点は、こういう事件で本来もっとも責に問われるべきは、社長ではなく「監査役」なのだが、有価証券報告書に記載されている常勤監査役(その他、非常勤2名)はS氏というのだが、経歴がおそろしい。
昭和18年12月9日生まれ(62歳だ)
昭和43年3月 警視庁警察官
平成12年9月 神田警察署署長
平成15年12月 ライブドア社監査役
つまり「用心棒」? 何のための用心なのかは、わかるような気もするが・あるいは、「・・Y?」。彼の受ける罰則には注目だ。
東証のこと
未だにわからないのは、1日の取引件数総数規制。普通、発注すると、即座に約定する。だいたいそういうものだ、瞬間的なピーク時で上限があるという説明なら納得しやすいのだが、全体件数というのは、よくわからない。たとえば、2時59分まで誰も発注しないで、2時59分に突然500万件のオーダーが殺到しても対応できるということなのだろうか?
ライブドア上場廃止の件をほのめかしたようだが、早い話、違法かどうかはっきりしていないし、ライブドア側がシロといっている段階で上場廃止するのは乱暴すぎるのだが、仮にこのまま株価が下がり続けると、今度は巨大なマネーゲームが発生するような気がする。
よく言われるのだが、日本の東証一部は日本の大学と同じで、入るまでが大変だが、入ってからは怠けていていい、という状態だ。東証一部を超えるスーパー証券所を設立したらどうなのだろう。もちろんシカゴグローベックスと同様、24時間オープンにする。
不透明といえば、みずほ証券のジェイコム誤発注事件でも、もともとのオーダーである1株というのが、どういう経緯で、顧客の手に渡されていて、なぜ上場当日直ぐに売却されたのかということについては、一部に流れているうわさのとおりとしたら重大な問題があるわけだからこれだって調べなければまずいだろう。
そして、今回の強制捜査が16日夜から12時間にわたって行われたということについて、アネハ事件隠しとの声があった。確かに国会での証人喚問から目をそらす効果は十分にあったのだが、最初はこれはある政権上の力が仕組んだのではないかとも勘ぐっていたのだが、冷静に考えてみると、目をそらしたかった動機が一番強い組織は、「警察」そのものではないだろうか。
アネハについては、これこそマンションという動かぬ巨大な証拠品がありながら、大きな罪を構成できていない。かといって共同謀議を立件するには共同意思が必要だが、それを証明することは難しい。そのうち回ってくる批判をかわす必要があったのではないだろうか。何か、アネハ事件の方がライブドア事件よりも軽いと錯覚しそうになる。
そして、今一つ引っかかるのは、捜査時間の異常な長さ。証拠を押さえることができたのだろうか?100台のパソコンを持っていったらしいが、以前テレビで聞いた情報では、ライブドアはパソコンは社員が私有物を持ち込むことになっていた。会社に捜査が入って、個人のものを持っていったのだろうか?
そして、マスコミ側は勉強不足から取材能力が低下し、警察情報に頼りきりになっているとしか思えない。団塊世代引退後の技術伝承問題は、時々問題にされているが、マスコミもその例に漏れないのだろう。