三重県木本で虐殺された朝鮮人労働者の追悼碑を建立する会と紀州鉱山の真実を明らかにする会

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中国朝鮮族と在日朝鮮人の民族教育 1

2007年04月07日 | 民族教育
      ■金山さんが日本語で書いた「中国朝鮮族と在日朝鮮人の民族教育」の序章の一部
      分を連載します。
       金山さんは、長春生まれの朝鮮族で、7年間日本の九州大学で「比較社会文化」を研
      究し、大連で日本語教師をしたあと、2005年7月から海南大学外国語学院で教師をして
      います。
       金山さんとわたしたちは、ことし1月23日に大到坡にいっしょに行きました。
                                  紀州鉱山の真実を明らかにする会



 多民族社会において、民族的少数者が多数民族とともに生活するなかで、どのようにして自民族の未来を担う子どもたちに自民族としての民族教育を施すかという問題は、自らの民族性が維持できるかどうかにかかわる重要な問題である。
 1949年に建国された中華人民共和国は、56の民族からなる多民族国家である。全国総人口の91.59%を占める漢民族のほかに、55の民族が居住している。これらの民族は、漢民族に比べると、いずれも人口がずっと少ないので、「少数民族」と呼ばれている。
 現行の中華人民共和国憲法(1982年)は、序言で「中華人民共和国は全国各民族の人民によって共同してつくられた統一した多民族国家である」と述べ、第4条では「各民族は一律に平等である」と規定している。これは、中国の少数民族についての法的な位置付けである。朝鮮族は、そのなかの一つの少数民族である。2000年現在、192万3千800人の朝鮮族が中国に住んでいる。
 朝鮮族は中国に移住してから自民族の子どもたちへの教育を重視し、絶えず教育活動を行ってきた。とくに、中華人民共和国が成立したあと、中国政府の少数民族に対する優遇政策のもとで、朝鮮族教育は多大な成果をあげている。たとえば、延辺朝鮮族自治州は中国少数民族のなかではじめて初等教育(1952年)と中等教育(1958年)を普及している。 また、吉林省全体として、1996年の時点で、朝鮮族の子どもの各級学校への入学率は小学校99.2%、中学校97%、高校60%という高い数字となっている。それゆえに、延辺朝鮮族自治州は全中国の中でも教育水準の高い地区として認められており、朝鮮族教育は中国でかなり成功している例として高く評価されている。筆者自身も中国朝鮮族の一人として、朝鮮族学校で学んだ経験がある。
 ところで、1990年代以降、市場経済のもとで、中国の朝鮮族教育は多くの問題に直面しており、厳しい状況に置かれている。計画経済の時代に財政などの面で少数民族学校に与えられた優遇政策が弱められ、大規模な人口移動によって朝鮮族学校の分布状況が変わり、小規模の朝鮮族学校に対する統廃合が急激に進められている。それと同時に、朝鮮族学校よりも大学への進学率の高い漢族学校に子どもを就学させる朝鮮族が多くなっている。なかでも、朝鮮族の分散して居住している散居地区において朝鮮族子どもの「脱朝鮮族学校」問題がとくにひどく、長春、ハルピン、瀋陽などの大都会ではその割合はすでに20~30%へとなっている。
 一方、日本の朝鮮半島に対する植民地支配の結果として、現在およそ60万人の在日朝鮮人が日本に住んでいる。中国朝鮮族の状況と違って、在日朝鮮人はいまだ日本の国籍を取得しておらず、法律の上では日本に永住する韓国人か朝鮮人となっている。そして、朝鮮半島の分断により、在日朝鮮人社会も朝鮮民主主義人民共和国(以下は、「北朝鮮」と称する)を支持する在日朝鮮人総連合会(略称「総聯」)と大韓民国(以下は「韓国」と称する)を支持する大韓民国居留民団(略称「民団」)という二つの民族団体にわけられ、激しく対立してきた。教育の面において、二つの民族団体は本国の教育理念に従ってそれぞれ異なった民族教育を営んでいる。うち、総聯系学校は在日朝鮮人教育の主流をなしており、小学校から大学までの完全な教育システムを持っている。2001年現在、総聯は合計124ヶ所(初級学校67ヶ所、中級学校44ヶ所、高級学校12ヶ所、大学校1ヶ所)の学校を運営しており、民団は4ヶ所の朝鮮人学校を運営している。それらの学校は、大阪建国学校と金剛学園(ともに民団系学校である)が日本の学校教育法上の一条校であるほか、すべて各種学校である。
 在日朝鮮人は戦後GHQや日本当局による厳しい抑圧と戦い、民族教育の場である朝鮮人学校を守り抜いてきたが、現在では非常に深刻な問題に直面している。1970年代から減少し続けてきた朝鮮人学校の学生数はいまだに歯止めがかかれず、朝鮮人学校に就学する在日朝鮮人子弟はすでに全体の1割以下となっており、中国の朝鮮族学校よりもっと深刻な問題となっている。

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