「The Hankyoreh」 2023-08-09 09:23
■[社説]韓米日首脳会談、「汚染水放出」正当化の舞台にしてはならない
日本が今月末ごろに福島第一原発の汚染水を放出する計画を着実に進めている。日本は放出直前に行われる韓米日首脳会談で、汚染水放出に対する支持を韓米から得ようとしているとも言われている。日本国内と国際社会から放出反対の声があがる中、韓米の「同意」で放出を正当化することを意図しているのだ。これに対し韓国政府は「汚染水放出の手助け役」にならないよう、明確な立場と態度を示さなければならない。
日本のメディアによると、18日(現地時間)にワシントン近くの米大統領の別荘「キャンプデービッド」で行われる韓米日首脳会談の後、岸田文雄首相は福島第一原発の133万トンの汚染水の放出時期を最終的に決め、今月末に放出を開始する。岸田首相が尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領、米国のジョー・バイデン大統領と個別に会い、「科学的根拠にもとづいて安全性が確保されている」との内容を説明し、支持を引き出す予定だというのだ。日本政府は今回の首脳会談で、いかなるかたちであれ韓米の支持を引き出して放出の根拠を確保し、反対をやり過ごそうとしている。同様の動きは今後も続いていくとみられる。
汚染水の放出に対する韓国市民の憂慮に対して責任ある対策も打ち出していないにもかかわらず、首脳会談を利用して韓国政府の支持を得てそれを踏み台にしようとする日本政府の態度は、実に破廉恥だ。今回の首脳会談は、北朝鮮のミサイル情報をリアルタイムで共有するとともに、経済安保対話の開始などサプライチェーンに関する協力を強化することを目的として行われる。汚染水の放出問題以外にも、北朝鮮・中国・ロシアの密着に対抗して韓米日は安保と経済安保でさらに密着する姿勢をみせているが、それにともなう副作用を懸念する声も少なくない。そこからさらに進んで韓国が事実上汚染水の放出を容認するに至れば、韓米日首脳会談そのものに対する否定的な雰囲気がさらに広がる可能性がある。これまで日本政府の汚染水放出に積極的に同調しつつ、野党と市民の問題提起を「非科学」、「怪談」と乱暴に決めつけてきた尹大統領と政府の態度を考えれば、そのような懸念を抱くのは当然だ。
全世界が見守る今回の首脳会談で尹大統領が日本の「説明」に同意してしまえば、汚染水放出による環境・健康被害などに対する責任の一部が韓国にのしかかってくることになりうる。尹大統領は韓国人の抱く懸念を明確に伝えるとともに、日本に放出の留保を要求すべきだ。日本は、首脳会談を汚染水放出の正当化の舞台として利用しようという強引な手法はやめるべきだ。
(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-08-08 18:46
「The Hankyoreh」 2023-08-07 22:02
■日本、首脳会談を活用…「133万トンの汚染水」この時期に放出する理由
日本メディア「今月下旬に案を調整」
18日の韓米日首脳会を活用する意図
【写真】福島第一原発の敷地のタンクに保管中の放射性物質汚染水/AP・聯合ニュース
日本政府が、福島第一原発に保管中の133万トンあまりの汚染水を、今月下旬に海洋放出する案を調整中だと報じられた。日本の岸田文雄首相は、18日(現地時間)に米国で予定されている韓米日首脳会議の後、放出時期を最終決定する予定だ。日本内外で汚染水放出に対する懸念の声が強いなか、韓米の支持を積極的に活用する意図だとみられる。
読売新聞は7日、複数の政府関係者の話を引用し、「東京電力福島第一原発の処理水について、今月下旬にも海洋放出を開始する方向で調整に入った」と報じた。さらに「岸田首相は18日に米国で行われる日米韓首脳会談に出席し、20日に帰国後、西村経済産業相らが参加する関係閣僚会議を開き、具体的な放出時期を最終決定する見通し」だと付け加えた。朝日新聞もこの日、政府関係者らの話を引用し、同じ内容を報道した。
日本政府高官は、放出時期について読売新聞に「福島県沖で底引き網漁が始まる9月にずれ込むのは避けたい」と述べた。日本政府の報道官である松野博一官房長官も、この日の定例記者会見で「ALPS処理水の海洋放出の時期は、本年春から夏頃の見込みと示しており、これに変更はない。具体的な放出時期は、安全性の確保や風評対策の取り組みの状況を政府全体で確認し判断していく」と述べ、これまでの立場を再度強調した。岸田首相は近く、海洋放出に反対する日本の全国漁業協同組合連合会の関係者らと直接面会し、理解を求める方針だ。放出時期が最終決定されれば、準備作業などに1週間以上が必要だと見込まれる。そうした状況を考慮すると、放出時期は今月最後の週になる可能性が高い。ただし、気象状況などによっては、来月上旬に遅れる可能性もある。
岸田首相は、18日にワシントン近郊の米国大統領専用別荘であるキャンプ・デービッドで開かれる韓米日首脳会議をきっかけに、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領および米国のジョー・バイデン大統領と個別に面会し、汚染水放出について「科学的根拠に基づき安全性が確保されている」とする内容を説明し、支持を引きだす予定だ。汚染水の海洋放出のために、韓米日首脳会議を積極的に活用しようとする意図だとみられる。
【写真】尹錫悦大統領(右)と米国のジョー・バイデン大統領(左)が5月21日、広島で主要7カ国首脳会議(G7サミット)を機に開かれた韓米日首脳会議を控え、日本の岸田文雄首相が見守るなか、握手をしている=広島/AP・聯合ニュース
日本の首相官邸が韓米日首脳会議後に放出を決定するのには、「韓国政府への配慮がある」とみる分析も、日本メディアから出ている。朝日新聞は「会談前に放出時期を決めれば、放出をめぐる(韓米日首脳)会談での尹氏の対応に焦点があたり、来年総選挙を控える尹政権にマイナスと判断した」と報じた。
さらに、汚染水の海洋放出に強く反対する中国に対して、韓米日3国が共同で対応していることを示そうとする意図もあるとみられる。中国政府は汚染水放出に反対し、先月から、日本産水産物の輸入時に放射能検査を全面的に実施している。通関に1カ月以上かかるとみられており、日本は、日本製食品の最大の輸入国である中国に対する水産物の輸出が事実上困難になるとして、反発している。
日本政府は、福島原発汚染水(約133万トン)の放射性物質の濃度を規制基準値以下まで下げた後、30~40年かけて海洋放出する予定だ。特に、多核種除去設備(ALPS)で除去されないトリチウムについては、基準値の40分の1以下に濃度を薄めて海に流すことになる。
東京/キム・ソヨン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-08-07 21:16
「中央日報日本語版」2023.08.07 09:26
■日本メディア「今月下旬に汚染水を放出か…日米韓会議後に決定」
【写真】福島原発に面する海 [中央フォト]
日本政府が福島第1原子力発電所の汚染水放出を早ければ今月下旬に開始する方向で調整しているという現地報道が出た。
読売新聞と朝日新聞は7日、複数の政府関係者を引用して、政府が今月下旬に福島汚染水の放出を開始する方向で調整に入ったと報じた。日本のマスコミが政府関係者を引用して福島汚染水の放出開始時期を具体的に報じたのは事実上初めて。
正確な放出時期は岸田文雄首相が18日、米キャンプデービッドで開催される韓米日首脳会談を終えて20日に帰国し、西村康稔経済産業相などが参加する閣僚会議を開いて最終的に決定するものとみられる。
読売新聞は、岸田首相が日米韓首脳会談を契機に尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領、バイデン米大統領とそれぞれ個別会談を開き、科学的根拠に基づいて汚染水の放出計画に安全性が確保されたという点を繰り返し説明する予定だと伝えた。
岸田首相は、日本各地の全国漁業組合が加盟した全国漁業協同組合連合会側と面談する方針も検討している。
このため、日本政府は韓日米首脳会談、岸田首相と漁民の会談後、汚染水の放出時期を釘付けにして公表するものと予想される。
ただ、東京電力が原発周辺海水の放射性物質の濃度測定のため、風雨が強い悪天候を避けて放出を開始する方針であり、予備期間を設定する可能性もある。
朝日新聞は汚染水放出に関連して「首相官邸の幹部らは、時期を決めてから実際に海洋放出するまで、準備作業や周知などで1週間以上は必要とみている」と指摘した。さらに、「日本政府が放出開始の時点を日米韓首脳会談後に決定しようとする背景には、韓国政府に対する配慮もある」と分析した。
朝日新聞は「韓国では(汚染水の)海洋放出に一定の理解を示す尹錫悦政権に対する批判がある」とし「日本は、日米韓首脳会談の前に放出時期を決めれば、会談で放出に対する尹大統領の対応が焦点となり、来年の総選挙を控えた尹錫悦政権にマイナスになりかねないと判断している」と報じた。
「The Hankyoreh」 2023-08-02 23:05
■済州の海女を筆頭に「汚染水憲法訴願」3万人
福島第一原発の汚染水の海洋投棄を阻止するための憲法訴願の請求人団の規模が3万人を超えた。代表請求人は済州市旧左邑月汀里(チェジュシ・クジャウプ・ウォルチョンニ)の海女が務める。
憲法訴願請求を代理する民主社会のための弁護士会(民弁)は2日、1日午後現在で請求人数が3万人を超えていると明らかにした。請求人団に加入するためにはオンラインで申請書を提出したうえで、訴訟費用1万ウォン(約1100円)を支払う必要がある。訴訟費用の資金も3億ウォン(約3300万円)集まっている。海女と漁師、外国人など、様々な背景を持つ人々の請求人申請が殺到したことから、民弁は7月末までだった募集期間を延長し、7日まで請求人団申請を受け付ける。
代表請求人を務めるのは済州市月汀里で海女をしているキム・ウナさん(48)。キムさんはハンギョレとのインタビューで、「海女たちの間には『海が死んだら私たちも死ぬ』という言葉があるが、海の汚染は海女たちの生計が断たれる問題ではなく、人類の生存と直結する問題」だとし、「福島第一原発の汚染水の海洋投棄を阻止すべき韓国政府が何もしていない中、(私が)何かしなければならないという気持ちで請求人団に参加した」と話した。
海女になってからのこの6年間、水温の上昇で傷ついていく海を見てきて行動に打って出たキムさんとは異なり、済州現地の住民たちは慎重だという。政府が大丈夫だと言っているのに、下手に騒ぐと観光客の足が遠のき、海産物の販売量が減るだけなのではないかと懸念しているからだ。キムさんは「汚染水放出問題が持ち上がった後、漁村契の学習会に行ったら、消費促進のための対策と収入保全補償の議論しかなかった」、「政府も放出をどのように防ぐのかは考えておらず、放出後にどうするかばかり考えているようだ」と指摘した。
今月中に憲法裁判所に提出される憲法訴願審判請求書にも、このような内容が盛り込まれる予定だ。請求人団は、韓国政府は憲法66条2項(大統領は国の独立・領土の保全・国の継続性と憲法を守る責務を負う)と憲法120条2項(国土と資源は国の保護を受け、国はその均衡ある開発と利用のために必要な計画を樹立する)に明示されている義務をおろそかにしており、福島第一原発の汚染水の海洋投棄から領土と国民の基本権を保護するために国際海洋法裁判所への提訴などの措置を取っていないことは、憲法に明示されている生命権・健康権・環境権・財産権などの基本権を侵害していると考えている。請求人団を代理するキム・ヨンヒ弁護士は「政府はむしろ日本政府よりも積極的に福島第一原発の汚染水は安全だと宣伝し、国民の知る権利を侵害するなど、基本権を保護する義務に違反している」と語った。
イ・ジェホ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-08-02 14:43