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三重県木本で虐殺された朝鮮人労働者の追悼碑を建立する会と紀州鉱山の真実を明らかにする会

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「福島原発汚染水問題、ハンギョレが「怪談スピーカー」? 批判の根拠を徹底分析」

2023年07月25日 | 
「The Hankyoreh」 2023-07-21 10:04
■福島原発汚染水問題、ハンギョレが「怪談スピーカー」? 批判の根拠を徹底分析
 現場から

【写真】国民の力「韓国の海を守る検証タスクフォース」のソン・イルチョン委員長(中央)が19日、国会で開催された福島第一原発汚染処理水緊急討論会「フクシマ怪談はどのように広がるのか」であいさつしている/聯合ニュース

 19日に与党「国民の力」や「公正言論国民連帯」などの保守系の市民団体の共催で国会で開催された「福島第一原発汚染処理水緊急討論会」で、発題者がハンギョレを「怪談のスピーカー」だとして批判したことが、聯合ニュースをはじめとする一部メディアによって報道された。
 報道によると、「フクシマ怪談はどのように広がるのか」をテーマにした討論会で、「正しい言論市民行動」のホ・ヨプ理事は「3月の韓日首脳会談以降、民主党が(怪談を)提起し、軌を一にするハンギョレと京郷新聞がそのような怪談を拡大再生産し、スピーカー役まで果たしている」と主張した。
 何を根拠にハンギョレを「怪談のスピーカー」と呼んだのかが知りたいと思い、討論会の発表資料を入手した。発表資料でその理由まで具体的に説明されている記事は4件だ。その中で「民主党」が直接言及されているのは、7月12日付の1面掲載の「IAEA、汚染水をろ過するALPSの性能検証を一度もしていなかった」という見出しの記事だ。
 ホ理事は「(記事は)1週間前に民主党のイ・ソヨン議員が『ALPSの性能検証は抜け落ちている』と主張したのと同じ内容だ」と主張している。そして「イ議員の発言に対してSBSニュースの『ファクトチェック:事実は』チームは7月6日の放送で、7回の報告書を全数分析した結果、『ALPSでろ過した放出直前の段階の汚染水を検証した内容を見つけることができた』として、イ議員の発言は『概して事実ではない』と判定(した)」と付け加えている。
 しかしこの主張は、イ・ソヨン議員の発言とハンギョレの報道が同じ内容だという部分からして事実とは異なる。イ議員の発言が4日に発表された国際原子力機関(IAEA)による汚染水放出計画の安全性検討の結果に対するものであるのに対し、ハンギョレの報道はIAEAが2020年に発表した日本のALPS小委員会の報告書の検討結果に対するものであるからだ。
 韓国政府は、IAEAがALPSの性能検証をきちんと行っていないという指摘について「ALPSに対する検証はすでに終わっている」とし、「2020年度に検討して報告書を発表している」と説明してきた。ハンギョレは政府が言及したこの報告書を探し出し、ALPSの性能を検証した報告書ではないことを確認した。また、IAEAが2013年3月以降5回行っている別の検討でも、ALPSの性能に対する検証は検討範囲に含まれていなかったことを確認して報道した。
 SBSが「IAEAがALPSの検証を全くしていないと考えるのは難しい」という判断の根拠として提示したのは、たった一度の汚染水の試料分析の結果だ。しかし、この結果を記した報告書には、どこにも「ALPSの性能検証」という言葉がない。分析目的が東京電力の分析値の信頼性の確認であって、ALPSの検証ではなかったからだ。
 “IAEAはALPSの性能の検証をしていない”という記事をはじめ、ハンギョレの記事は、特定の政党の発表を書き写したものではない。このような記事が「怪談」なら、いっそハンギョレを「怪談の生産者」と呼ぶべきだろう。何の判断もすることなく入力される信号を増幅するだけの「スピーカー」と呼ぶのは、報道機関とジャーナリストに対するより大きな侮辱である。
キム・ジョンス先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-07-21 05:00


「The Hankyoreh」 2023-07-21 08:24
■[特派員コラム]「汚染水取材」での東京電力の韓国メディア選別
 キム・ソヨン|東京特派員

【写真】福島第一原発の敷地のタンクに保管中の放射性物質汚染水/聯合ニュース

 日本の東京電力福島第一原発に保管中の汚染水の海洋放出が目前に迫っている。4日に「国際安全基準に合致する」という国際原子力機関(IAEA)の最終報告が発表され、関連の行政手続もすべて完了した。来月中の放出の可能性が高い状況において、汚染水の安全性をめぐる論議は今もなお熱い。
 東京電力の不透明で無能な対応は、不信をいっそう強めている。汚染水の安全性を判断するために最も重要なことは、放射性物質を除去する多核種除去設備(ALPS)の性能を確認する作業だ。そのため、今でも様々な国が試料採取を要求しているが、東京電力は特別な説明もせず拒否している。IAEAでさえ直接には試料を採取できなかったほどだ。
 原発近くの海で獲られたクロソイやアイナメなどから基準値以上の放射性物質が検出されている点も問題だ。東京電力は、人体に致命的な「セシウムにまみれた」魚がなぜ獲れたのか、正確な理由は分からないと説明する。原発の爆発によって放射性物質が流出して12年、その間東京電力は何をしていたのか。原発近くの海と海底土壌はいったいどのような状態なのか。そうした状況のもとで汚染水を30~40年にわたり海に流すということであれば、周辺国が不安を感じるのは当然だ。
 東京電力の非常識な行動は繰り返され続けている。東京電力は今月初め、外国メディアの取材を支援する日本フォーリン・プレスセンター(FPCJ)を通じて、福島第一原発の現場取材の申請を受けた。21日の一日の日程だが、放出設備を直接見て回ることができるよい機会だと考えた。
 結果を伝えられ、あきれてしまった。申込書を提出した韓国の新聞社・通信社のうち、ハンギョレだけが選ばれなかった。地上波では文化放送(MBC)だけが除外された。外国メディアを対象にした福島第一原発の取材は、今回が初めてではない。コロナ禍が終わった昨年11月と今年2月にも、フォーリン・プレスセンターを通じて実施されたことがある。その時は韓国メディアからは1社だけが選ばれたので、結果に納得した。今回は状況が違う。何より、今回に先立ち現場取材に参加した報道機関2社は、今回も選ばれている。センターに公平性の問題を指摘し、選定基準を問い質したところ、東京電力が決めたものだと伝えてきた。東京電力はこれまで明確な返答はしていない。
 ハンギョレとMBCの共通点といえば、他の報道機関に比べ、汚染水放出に対する懸念を込めた記事を多く報道してきたという点だろう。批判記事を多く書いたという理由で、韓国を代表して取材している報道機関を排除したのであれば、軽く流せる事案でない。在日韓国大使館に公式に問題を提起し、日本外務省と東京電力に懸念を伝えてほしいと要請した。
 形式を重要だと考える日本において、外国メディアを相手にこのように露骨に選別するのはめったにみられないことだ。なぜこうしたことが可能だったのだろうか。おそらく、そのようにしても大丈夫だと考えたのだろう。
 大統領を批判したとして国外歴訪取材の際に専用機への搭乗を拒否したり、大統領が公式の記者会見を後回しにして好みの報道機関の記者だけ別途呼んで会うような韓国の状況を、日本もよく知っている。7日に訪韓したIAESのラファエル・グロッシ事務局長も、日本とは違って韓国では報道機関数社を選別し、インタビューを進めた。民主主義の重要な軸である報道の自由が各所で崩れ始めた。
キム・ソヨン|東京特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-07-21 02:35


「The Hankyoreh」 2023-07-21 07:15
■「汚染水現場取材」からハンギョレとMBCを排除した東京電力

【写真】福島第一原発の敷地内のタンクに保管中の放射性物質汚染水/聯合ニュース

 東京電力は福島第一原発の汚染水の海への放出を目前に控え、日本駐在の外国メディアに現場取材を提案しながら、韓国メディアでは「ハンギョレ」と「文化放送(MBC)」のみを排除した。韓国でこの問題を最も批判的に報道してきた2つの報道機関のみを排除した格好で、日本政府と東京電力が汚染水放出を強行しつつ主張してきた「透明な情報公開を行う」との約束が守られるのかに注目が集まるとみられる。
 東京電力は7日、日本駐在の外国メディアの取材を支援する日本フォーリン・プレスセンター(FPCJ)を通じて、福島第一原発の汚染水放出設備を案内する現場取材を21日午前10時から午後5時まで行う予定だとして、申請書の提出を要請する電子メールを送ってきた。放射性物質を除去する多核種除去設備(ALPS)、汚染水を海に送り出す海底トンネルなどを見て回れるよう取材機会を提供するとの内容だった。ハンギョレを含め多数の東京特派員が申請書を提出した。
 FPCJが5日後の12日に通知した選定結果を分析すると、韓国の新聞社や通信社は6社が申請書を出し、ハンギョレだけが落選した。地上波放送局3社では、選定されなかったのはMBCのみ。外国メディアを対象にした福島第一原発の取材は、新型コロナ・パンデミック終了後では今回が3度目。昨年11月と今年2月に実施された現場取材は多数の韓国メディアが申請したが、選定されたのはそれぞれ1社のみ。先の2回の現場取材に参加した韓国メディア2社は、今回も取材機会を得ている。
 取材の公平性など、選定基準に深刻な問題があるとハンギョレが問うと、FPCJの関係者は「どの報道機関を選定するかは主催者である東京電力が決める」と語った。東京電力に選定基準を問うたが、20日午後現在、返信はない。東京電力は、個別のメディアには選定基準を明らかにしない方針だという。
 岸田文雄首相は12日の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領との会談で「日本の首相として海洋放出の安全性に万全を期し、自国および韓国国民の健康や環境に悪影響を与える放出は行わない」と述べた。このように約束しておきながら、安全性確認のための情報公開の基本である批判的メディアの現場への接近を阻止したわけだ。駐日韓国大使館の関係者は「日本の外務省と東京電力を通じて状況を確認している」と述べている。
東京/キム・ソヨン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-07-20 14:05


「The Hankyoreh」 2023-07-20 08:11
■中国、日本産水産物を全面的に放射線検査…汚染水放出に「応戦」
 岸田首相、中国に「科学的根拠に基づく議論を求める」

 中国政府が、日本産水産物を輸入する際に放射線検査を全面的に実施していると報じられた。福島第一原発の汚染水の海洋放出を押し切ろうとする日本政府に圧力をかけるための措置とみられる。
 東京新聞は19日、複数の中国と日本の関係者の話を引用し、「中国税関当局が日本からの輸入海産物に対する全面的な放射線検査を今月から始めたことが18日分かった」とし、「日本の外務省と農林水産省は対応の協議を始めた」と報じた。
 2011年3月の東日本大震災にともなう福島第一原発の爆発事故で放射性物質が海に流出した後、中国政府は福島県など10地域の水産物に対して輸入禁止を維持している。その他の地域については、輸入する際に水産物の一部だけをサンプル形式で抽出し、放射性物質の検査をしてきた。
 今回、規制が強化されたことによって、日本産の輸入水産物一つひとつに対して検査を始めた。冷蔵品は約2週間、冷凍品は約1カ月間が必要とされると発表された。検査に時間が非常に長くかかっており、水産物の鮮度維持が難しく、輸入に支障をきたしている。中国の上海にある日本食レストランの経営者は共同通信に、「日本からの海産物が今月13日以降届かなくなり、スペイン産マグロに切り替えた」と証言した。
 中国税関の今回の措置は、来月に予定されている日本の汚染水放出によるものだ。中国税関総署(税関)は7日、「処理水の海洋放出が食品に与える影響を注視している。適時に必要な措置を取り、中国の消費者の安全を確保する」と警告したことがある。この発表の直後、日本産水産物の検査が強化された。
 日本の農林水産省は昨年、中国に輸出された水産物は871億円に上ると明らかにした。NHKは「(日本の水産物の輸出額は中国が)国や地域別の中で最も多いだけに影響が広がることが懸念されている」と強調した。
 日本の岸田文雄首相は、汚染水放出を強く反対している中国に対して不満を表明した。中東を歴訪中の岸田首相は18日、中国に対して「IAEA(国際原子力機関)包括報告書において、関連する国際安全基準に合致していると結論が示された」として、「科学的根拠に基づいた議論を行うよう強く求める」と述べた。
 西村康稔経済産業相もこの日、記者団に「中国に対しては、科学的観点からの(日本と中国の)専門家同士の意思疎通を行う用意がある旨、累次にわたって申入れをしている」と述べた。だが、中国側が拒否していることが分かった。
東京/キム・ソヨン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-07-20 02:30


「The Hankyoreh」 2023-07-19 08:00
■「汚染水放出は一方的」…福島市民「円卓会議」結成し反対運動展開
 福島大学の研究者、住民、農民、漁業者などが参加

【写真】「これ以上海を汚すな!市民会議」など日本の市民団体が6月、福島県で原発汚染水の海洋放出に反対する集会を行っている=ソーシャルメディアよりキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 福島第一原発に保管されている汚染水の海洋放出が来月行われる予定である中、福島大学の研究者や住民、農民、漁業者などが「一方的に放流を決めてはならない」と主張し、会合を開いた。
 東京新聞は18日付で「処理水(汚染水)の処分について国民的な議論を求める動きが起きている」とし、「福島大の研究者らが『復興と廃炉の両立とALPS(アルプス)処理水問題を考える福島円卓会議』を設立した」と報じた。同会議は汚染水の放出と関連し、日本政府や東電が一方的に方針を決めるのではなく、住民の意見を聞くなど幅広い視点に立った議論をすべきだと訴えている。
 同会議の初会合は今月11日、福島市で開かれた。福島大学の中井勝己元学長はこの場で、「地元漁業者らが積み重ねてきた努力を無にすることはできない。(この会議を)復興に取り組むわれわれ住民が、政府や東電と対等な立場で意見を交わす場にしたい」と述べた。初会合にはオンラインを含め120人が参加した。
 初会合では汚染水の放出に対する批判が相次いだ。福島県農業協同組合中央会の菅野孝志最高顧問は「政府と東電は決まった方針や質問を説明するだけで国民と一緒に課題に向き合う姿勢が足りない」と指摘した。また「決めるのは国、決められるのは国民という構図では、理解促進はできない。お互いが近づき、本気で話をするべきだ」と語った。
 福島県で農業を営む60代の参加者は「海洋放出は科学的知見だけでは決められない。市民やそこに暮らす漁業者、農民の声が全く反映されていないのが問題」だとし、「方針決定のやり方に声を上げていく必要がある」と強調した。同会議は会合を続けながら提言をまとめ、経済産業省と東電に伝える方針だ。
 福島県の市民団体は17日、「海の日」を迎え、300人余りが参加した中、市内で汚染水の海洋放出に反対する集会を開催した。彼らは「(汚染水の放出が海に)どう影響が出るか誰も分からない。処分の仕方を、もう一度検討してほしい」と訴えた。
 日本政府は福島原発汚染水(約133万トン)の放射性物質濃度を法的基準値以下に下げた後、来月から30~40年かけて海に放出する予定だ。特に多核種除去設備(ALPS)で除去されないトリチウムは基準値の40分の1以下に濃度を希釈して海に流す方針だ。

東京/キム・ソヨン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-07-18 18:34

「「賛成一色」の汚染水討論会に野党批判まで…世論戦に総力挙げる韓国政府」

2023年06月28日 | 
「The Hankyoreh」 2023-06-27 07:56
■「賛成一色」の汚染水討論会に野党批判まで…世論戦に総力挙げる韓国政府
 福島原発汚染水の海洋放出が差し迫っている中、韓国政府がこれを批判したり不安を示す世論を静めようと必死になっている。この過程で外交部が異例にも野党を批判する意見を表明するなど、行き過ぎた姿を見せたことに対し、野党は「政治的意図を持った行為」だとして強く反発した。
 政府は原発汚染水の安全性を強調することに全力を傾けている。国立外交院は26日午前、ソウル瑞草区(ソチョグ)の庁舎で、討論会「福島原発汚染水の海洋放出をどうみるか」を開いた。開会の辞でパク・チョルヒ院長は「科学を無視して国民の不和を煽る感性的論理、政治的レトリックを前面に押し出す論争が韓国社会を分裂させている」とし、海洋放出に反対する立場を批判した。同日の討論会で発表を行った韓国原子力学会のペク・ウォンピル会長や、ソウル大学原子核工学科のキム・ギヒョン教授、パネルを務めた大邱カトリック大学放射線学科のキム・ヨンミン教授らは、いずれも汚染水の海洋放出に肯定的な意見を示した。
 国務調整室は15日から休日を除き、毎日汚染水関連会見を行い、不安を抱いている世論をなだめることに力を入れている。パク・グヨン国務調整室国務1次長は、この日の会見では「現在の海洋放出方式が科学的先例や安全性などを総合的に考慮したうえで、最も現実的な代案」だと強調した。これに先立ち、ハン・ドクス首相も23日、与党「国民の力」の「我が海を守る検証タスクフォース(TF)」所属議員らとソウル銅雀区(トンジャック)の鷺梁津水産市場を訪ね、水産物を自ら食べてみせた。
 国民の不安を鎮めることは必要だが、批判世論を「政府への攻撃」だと罵倒し、安全性だけを強調するのは不適切だという声もあがっている。野党「共に民主党」が太平洋島しょ国に汚染水の海洋放出に関する国際連帯を求める書簡を送ったことについて、外交部が民主党を批判したのが代表的な事例だ。外交部は25日、同書簡が「対外的なレベルで憲法上の行政府の持つ固有の権限を尊重しないものであり、国家の外交行為の単一性という側面でそぐわないもので、遺憾だ」と述べた。
 しかし、このような主張は憲法を無理に解釈したものだという指摘もある。西江大学法科大学院のイム・ジボン教授はハンギョレとの電話インタビューで、「福島原発汚染水の海洋放出に関して、政府が確定的な立場を発表した段階でもなく、公論化の過程で国民の代表機関である国会が外国との連帯を模索するのは憲法に反するとは言えない」と語った。汚染水の海洋放出に問題がないという世論戦を攻撃的に繰り広げる過程で、外交部が「一線を越えた」という指摘だ。
 共に民主党のパク・グァンオン院内代表は26日、党最高委員会議で「(国会と政党は)政府をただ支持し称賛すべきということなのか」と外交部を強く批判した。また「政府与党がすべきことは、国民の生命と健康を守るための民主党の努力をけなすことではなく、国民が与えた権限と責任を政府がちゃんと履行しているかどうかを自ら振り返ること」だと述べた。同党のイ・ソヨン院内報道担当は「外交部が政治的中立を守らず、政治的意図を持った行為とみなされかねない立場を示したことは不適切なもので、遺憾の意を伝えたい」と述べた。
シン・ヒョンチョル、チャン・イェジ、カン・ジェグ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-06-27002:45


「聯合ニュース」 2023.06.26 19:30
■韓国野党が福島視察結果報告会 海洋放出阻止で日本側と連携へ
【ソウル聯合ニュース】韓国の革新系野党「正義党」は26日、ソウルの日本大使館前で、同党所属国会議員の訪日の結果に関する報告会を開き、東京電力福島第1原発の処理済み汚染水海洋放出を巡り、日本政府が五つの重大な違反を犯していることを確認したと主張した。

【写真】日本大使館前で開かれた報告会の様子=26日、ソウル(聯合ニュース)

 放射性物質の海洋投棄を禁ずる国際法、多核種除去設備(ALPS)で処理した汚染水の処分に関する日本国内法、処理水は敷地内タンクに貯蔵するとした東電の確約文書、汚染水を希釈しないという東電の方針、処理水は海洋放出できないとする日本の原子力安全委員会の計画にそれぞれ違反しているという。
 また、福島第1原発で東電の関係者と面会し、漁業関係者への補償は日本国内に限定する計画との回答があったと説明した。
 訪日した議員らは日本の超党派議員連盟「原発ゼロ・再エネ100の会」関係者と面会し、海洋放出を阻止するための国際的なネットワークを設立することで合意した。
 同党の裵晋教(ペ・ジンギョ)院内代表は報告会で「政府がないがしろにした国民の安全と国益を野党レベルの外交と連帯で取り戻す」とし、積極的な国際連帯で日本政府の海洋投棄計画の撤回を必ず実現させると強調した。
 同党の「福島汚染水阻止TF」団長を務める姜恩美(カン・ウンミ)議員、裵院内代表などは22日から3日間の日程で訪日し、福島原発を視察したほか「原発ゼロ・再エネ100の会」関係者などと面会した。 


「聯合ニュース」 2023.06.26 15:46
■塩が品薄の韓国 コンブやワカメの売り上げも増加=汚染水懸念で
【ソウル聯合ニュース】東京電力福島第1原発の処理済み汚染水の海洋放出による海洋汚染の懸念が広がる韓国で塩とともに海藻類の売り上げが伸びていることが26日までに分かった。

【写真】塩の陳列棚が空になっている大田市内の大型スーパー=(聯合ニュース)

 スーパー大手のイーマートによると、東電が汚染水を海洋放出する設備の試運転を始めた12日から25日までの塩の売上高は前年同期比156.3%増加した。
 長期保存が可能なコンブ、ワカメの売上高もそれぞれ92.9%、69.9%増えている。
 ロッテマートでも同期間、塩の売上高は150%増え、コンブとワカメ、ノリなど海藻類は20%以上増加した。
 流通業界の関係者は「長期間保存できる食品から需要が高まっており、特にワカメの場合、子どもや妊婦が多く食べる食品であるため、求める人が多いとみられる」と話した。
 一部の大手スーパーでは海水を使って精製する天日塩が品薄になっており、ロッテマートは1人当たり1個に購入制限をしているという。
 イーマートも塩について1キロ以上の製品に限り、1人2個までと購入制限をしている。
 ただ政府は、天日塩の生産量が減少し価格が上昇したことについて、雨天の日が多かったことに加え、梅雨を前に出荷量の調節があったためとみている。
 海洋水産部は天日塩の生産量は6月から平年並みに回復しているため、供給量は問題ないと判断している。
 また需給バランスを取るため、政府による買い入れなどを通じて供給拡大を進めるとともに、生産者団体などと協議して安定した出荷のための制度づくりも進める方針だ。


「聯合ニュース」 2023.06.26 14:42
■汚染水海洋放出 「別方式の提案は信義誠実に反する」=韓国政府
 金泰均
【ソウル聯合ニュース】韓国の国務調整室の朴購然(パク・グヨン)第1次長は26日、東京電力福島第1原発の処理済み汚染水に関する記者会見で、「放出決定を元に戻し、国際原子力機関(IAEA)などに別の方式を提案することは信義誠実の原則に反する態度」と述べた。
 「海洋放出ではなく、固体化などの代案はないか」との記者団の質問に答えた。
 朴氏は「日本内でも相当複雑な議論があり、IAEAなどが最終決定にまで関与した」とし、「放出の方式が科学的な前例、安全性などを考慮した際、最も現実的な代案だと判断され決定がなされた」と説明した。そのうえで、「放出をどのようにすれば安全に行われるかに全力を注いでいる段階」と述べた。
 一方、食品医薬品安全処のカン・ユンスク食品基準企画官は会見で、韓国の食品の放射性物質濃度の基準値は1キロ当たり100ベクレル以下として、「世界のどの国より厳しい」と説明。国際的な食品規格を作るコーデックス委員会の1キロ当たり1000ベクレルと比べ10倍厳しいと強調した。


「聯合ニュース」 2023.06.26 11:46
■韓国の野党代表 日本大使館前でハンスト開始=「汚染水海洋放出に反対」
 金泰均
【ソウル聯合ニュース】韓国の革新系野党「正義党」の李貞味(イ・ジョンミ)代表は26日、東京電力福島第1原発の処理済み汚染水の海洋放出に反対するとして、ハンガーストライキを始めた。

【写真】野党代表 日本大使館前でハンストへ
 韓国の革新系野党「正義党」の李貞味(イ・ジョンミ)代表(左から3人目)が在韓日本大使館前で東京電力福島第1原発の処理済み汚染水の海洋放出に抗議する記者会見を行っている。李氏は大使館前に場所を設け海洋放出に反対するハンガーストライキを行うと宣言した=26日、ソウル(聯合ニュース)

 李氏はソウルの日本大使館前で記者会見し、汚染水の海洋放出に反対する意見が84%に上った世論調査結果を取り上げ、「正義党が先頭に立ち、国民と共に要求を貫徹するまで戦う」と述べた。大使館前に場所を設け、ハンストを続ける予定だ。
 李氏は「日本でも汚染水の海洋投棄に反対する声が高まっている」として、「日本の野党、市民社会と力を合わせることができれば日本の世論を動かすことができ、日本政府に圧力をかけられる」と主張。「今回のハンストはその世論を集める出発点となる」とし、「韓国国民の常識的かつ正当な声を伝えたい」と強調した。
 正義党の議員と党員は交代で断食する形で李氏のハンストを支援する。
 正義党の国会議員らは22~24日に日本を訪問し、福島第1原発を視察した。訪日した姜恩美(カン・ウンミ)議員は26日のラジオ番組で、「日本の議員や市民団体ではわれわれが思っていたより反対する意思がはっきりしていた」として、「日本の議員たちもこれは処理水ではなく、廃棄物だとはっきり話した」と述べた。
 正義党は今後、日本の政党や市民団体などと共同の対応策を模索する方針だ。


「The Hankyoreh」 2023-06-26 08:52
■[フォト]「なぜ海に汚染水を捨てるのか、日本の領土に保管すればいい」=韓国

【写真】「日本による放射能汚染水の海洋投棄阻止のための共同行動」のメンバーらが24日午後、ソウル中区のソウル市庁近くで開かれた「日本による放射能汚染水の海洋投棄阻止第3回全国行動の日」でシュプレヒコールを叫んでいる=シン・ソヨン記者//ハンギョレ新聞社

 「なぜ海に捨てるのか。保管すればいい」。
 ソウル都心の湿度が60%を越えるなど蒸し暑い天気となった22日午後、日本による放射性物質汚染水の海洋投棄を批判する集会が開かれた。
 「日本による放射能汚染水の海洋投棄阻止のための共同行動」(以下、共同行動)は、ソウル市庁の東側道路で開かれた第3回全国行動の日の集会で、放射能汚染水の海洋投棄を糾弾し、汚染水の陸上での保管を求めた。この日の集会には、大学路(テハンノ)で集会を終えた民主労組の組合員も参加した。
 共同行動は「福島原発の放射能汚染水は一度だけ捨てられるのではなく、溶け落ちた核燃料を除去して廃炉するまで、すくなくとも30年以上は続くだろう」と明言し、「日本は汚染水の海洋投棄の代わりに大型タンクによる陸上での長期保管や、セメントに入れて固体化する代案を設けるべきだ」と主張した。また、メンバーらは「韓国政府は、日本政府を代弁するかような毎日の定例説明会ではなく、汚染水の海洋投棄を反対して積極的な汚染水対応を求めよ」と要求した。
 共同行動は「日本政府は7月から福島原発汚染水の海洋投棄を予告している」とし、「今からでも韓国政府は日本を国際海洋法裁判所に提訴せよ」と求めた。
 集会の参加者らは「海を生かそう」という意味を込め、地球儀を転がすパフォーマンスで集会を終えた。共同行動は来月8日に第4回全国集会を予定している。

【写真】参加者らがプラカード持ち、日本政府に汚染水を陸上で保管するよう求めている=シン・ソヨン記者//ハンギョレ新聞社
【写真】「日本による放射能汚染水の海洋投棄阻止のための共同行動」のメンバーらがプラカードを持ってシュプレヒコールを叫んでいる=シン・ソヨン記者//ハンギョレ新聞
【写真】参加者らが日本政府に福島原発汚染水を陸上に保管するよう求めるシュプレヒコールを叫んでいる=シン・ソヨン記者//ハンギョレ新聞
【写真】ある参加者が集会場所に設置されたフェンスに放射能汚染水に汚染される魚介類を警告するプラカードを取り付けている=シン・ソヨン記者//ハンギョレ新聞
【写真】参加者らが「福島原発汚染水の放出、絶対にだめ」と書かれたプラカードを持って合唱公演をしている=シン・ソヨン記者//ハンギョレ新聞
【写真】参加者らが集会の最後に、海を生かそうという意味を込め、地球儀を転がすパフォーマンスをしている=シン・ソヨン記者//ハンギョレ新聞
【写真】参加者らが集会の最後に、海を生かそうという意味を込め、地球儀を転がすパフォーマンスをしている=シン・ソヨン記者//ハンギョレ新聞

シン・ソヨン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1097319.html
韓国語原文入力:2023-06-25 08:24


「The Hankyoreh」 2023-06-26 18:12
■福島第一原発の汚染水放出、安全の前にまず正当性を問うべき
[来週の質問]

【写真】全羅南道莞島郡の漁業関係者たちが22日、莞島港で福島第一原発の汚染水放出に反対する集会を行っている/聯合ニュース

 日本が推進する福島第一原発事故で発生した汚染水の海洋放出について最も多く問われているは、どうも「安全」のようだ。だが、安全性を問う前にまず「正当なのか」という問いに対する答えを得るべきだ。最悪の原発事故で発生した放射性物質を、数多くの生物の生活の場であり、人類共同の資産である海に放出する行為が、果たして正当化できるのか、との問いだ。
 この問いは放出に否定的な側からのみ発せられているものではない。放出しようとする側が「従う」という「国際安全基準」も同じ問いを投げかけている。国際原子力機関(IAEA)は、施設と活動の正当化▽保護の最適化▽個人に対するリスクの制限という3つの原則を、放射線から人間と環境を保護するための基本原則として提示している。
 このうち1つ目の「正当化」原則は「放射能のリスクを発生させる施設と活動は、全般的な利益を生産しなければならない」と定義される。放射能による被害を誘発する活動は、それによって発生する利益と損害を計算し、利益の方が被害より大きい時のみ正当であるということだ。
 「最適化」は、放射能のリスクを誘発する活動が正当であっても、合理的に達成可能な最高水準の安全を提供しなければならないというもの。「リスクの制限」は、先の2つの原則に従ったとしても十分な安全は保障されないから、放射線被ばくの「線量の限度」を守らなければならないという要求だ。汚染水は排出基準さえ順守すれば良いのだという主張や、甚だしくは飲むこともできるという誰かの大言壮語は、3つの原則うちの最後のひとつのみを守れば良いという話だ。
 IAEAは2021年9月から汚染水放出計画の安全性を検討してきた。この過程において真っ先に問うべきは汚染水放出の正当性だったが、それは放棄された。正当化を含む3つの基本原則の履行指針ともいうべき全般的安全指針「公衆と環境の放射線防護(GSG-8)」を検討基準から除外したのだ。
 GSG-8は「正当化は放射線防護の範囲よりもはるかに広く経済的、社会的、環境的要因も考慮する」と規定している。安全基準に則って放射線被ばくの利害当事者を判断する際、国境は重要ではない。「GSG-8」を適用するならば、韓国や太平洋の島しょ国の経済、社会、環境的得失も考慮されなければならないということだ。
 汚染水の海洋放出に反対してきた太平洋諸島フォーラム(PIF)専門家パネルのアルジュン・マクジャニ教授(カリフォルニア大学バークレー校)は、先月10日の韓国国会での討論会で「汚染水放出は韓国や太平洋の島しょ国にとって期待しうる利益が0であるため、『GSG-8』を適用すれば正当化条件に違反することになる」と断言した。
 このため専門家パネルは、IAEAの放出計画検討基準に「GSG-8」を含めるべきだと主張し続けてきた。専門家パネルと連絡を取ってきたヤン・イ・ウォニョン議員室(共に民主党)によると、IAEAは、「GSG-8」を検討する責任は日本の原子力規制委員会にあるとして、これを拒否している。
 IAEAは、福島第一原発の汚染水放出計画の安全性検討結果が記された最終報告書を近く発表する。日本が同報告書を大義名分として来月にバルブを開けば、汚染水は海に流れ込むことになる。放出は正当化されうるのかという問いに何も答えないまま。
キム・ジョンス|気候変動チーム先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:


「The Hankyoreh」 2023-06-26 09:08
■韓国外交部、「汚染水問題で国際連帯」書簡送った野党第一党に「遺憾」

【写真】共に民主党のイ・ジェミョン代表と議員たちが21日午前、国会で開かれた議員総会で福島第一原発の汚染水放出に反対するスローガンを叫んでいる/聯合ニュース

 韓国外交部は、野党「共に民主党」が太平洋の島しょ国に福島第一原発の汚染水放出に関して国際的連帯を求める書簡を送ったことについて「対外的次元で憲法上行政府が持つ固有の権限を尊重しないものであり、国の外交行為の単一性という面で正しくないため、遺憾だ」と表明した。政府省庁が政党に遺憾を表明したのは異例。
 外交部は25日、担当記者団に送ったショートメッセージで「共に民主党の今回の書簡発送は、国際原子力機関(IAEA)を含む国際社会の共同の努力はもちろん、韓国の安全性評価の努力を何の科学的根拠も提示せず度外視するものであり、客観的な検証と判断の助けにはならない」と述べた。
 外交部は「韓国政府はこれまで一貫して明らかにしてきた福島第一原発の汚染水放出に対する立場を貫徹するため、太平洋の島しょ国およびIAEAなどの国際社会と積極的に協力してきた」とし「これからも韓国政府は、国際的権威が認められているIAEAの検証結果、そしてこれとは別に進めてきた韓国自らの科学・技術的分析の結論を総合的かつ客観的に判断し、必要な対応と協力を行っていく予定」だと表明した。続けて「このような我々の対応の方向性は、主要7カ国(G7)などの主要先進国の立場と軌を一にするものであり、韓国水産業界の利益を保護し、国民の健康と安全を保護する最も効果的な方策」だと付け加えた。
 民主党は21日、太平洋諸島フォーラム(PIF)所属のオーストラリア、フィジー、マーシャル諸島など18カ国とPIF事務局に対し、福島第一原発の汚染水放出について国際的連帯を求める書簡を発送した。書簡には汚染水の海洋放出についての最近の問題、海洋法裁判所への暫定措置請求の必要性、国際連帯の必要性などが記されている。
 民主党の書簡送付について、与党「国民の力」のユン・ジェオク院内代表は23日、「国際慣行に照らして、通常の範囲を越える深刻な国益損傷行為であり、外交権限を大統領の権限と認めている憲法の原則と趣旨にも反する、非常に不適切な行為だ」と批判している。これは外交部の立場表明と同じ趣旨だ。
シン・ヒョンチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-06-25 16:47


「聯合ニュース」 2023.06.25 17:08
■汚染水放出巡り太平洋諸国に連携呼びかけ 野党書簡に「遺憾」=韓国政府
 金泰均
【ソウル聯合ニュース】韓国の外交部は25日、東京電力福島第1原発の処理済み汚染水海洋放出問題への対応を巡り、最大野党「共に民主党」が太平洋島しょ国に連携を呼びかける書簡を送ったことについて、「客観的な検証と判断に役立たない」として遺憾の意を表明した。

東京電力福島第1原発の処理済み汚染水に関する記者会見を行う韓国政府関係者ら(資料写真)=(聯合ニュース)
 外交部は「共に民主党の書簡は国際原子力機関(IAEA)を含む国際社会の努力はもちろん、われわれの自主的な安全性評価のための努力を何ら根拠も提示せず度外視するもの」と指摘。「憲法上、行政府が持つ固有の権限を尊重しないものであり、外交行為の単一性という側面から遺憾」と表明した。
 また、「今後政府は国際的な権威を認められているIAEAの検証結果、これとは別に行ってきたわれわれの科学・技術的な分析の結論を総合的かつ客観的に判断し、必要な対応と協力をしていく」との方針を示した。そのうえで、「主要7カ国(G7)など主な先進国の立場と歩調を合わすもので、水産業界の利益を守り、国民の健康と安全を守る最も効果的な方策」と述べた。


「The Hankyoreh」 2023-06-23 10:06
■韓国野党代表、汚染水放出問題で政府への攻勢強化…「不逮捕特権放棄」宣言で転換図る
 共に民主党のイ・ジェミョン代表は、福島第一原発の汚染水放出問題を契機として政府与党に対する攻勢の姿勢を強めている。先日、「国会議員不逮捕特権(国会議員は現行犯でない限り会期中に国会の同意なく逮捕・拘束されないという憲法条項)」を放棄すると宣言したことで、自身と党を締め付けていた「防弾(徹底して身を守る)」フレームから抜け出し、反対世論の強い汚染水放出問題に集中することで、政府けん制の中心に立つことを意図した動きとみられる。
 イ代表は22日、江原道江陵(カンヌン)の注文津(チュムンジン)を訪れ、水産業や観光業の関係者と福島第一原発の汚染水問題について話し合った。イ代表はこの席で、「放出を止めるために韓国(政府)は実質的な行動を取るべきだが、非常に足りないという考えはぬぐい難い」とし、「安全には何の問題もないと言い張ったり主張したりしたところで、その問題そのものが消えるのか」と言い、政府を強く批判した。
 民主党はこのところ「汚染水放出問題」に注力している。前日に汚染水放出反対署名100万人達成を告げる報告大会を行ったのに続き、7月からはソウルを皮切りに全羅道、忠清道、済州道など全国を巡回して大規模な糾弾大会を開催する予定だ。民主党は、21日には太平洋の島しょ国に民主党議員全員の名義で国際的連帯を求める協力書簡を発送している。
 民主党内のイ・ジェミョン派は、イ代表が「不逮捕特権」の放棄を宣言したことで、より身軽に対政府闘争を導く環境が整ったとみている。与党および民主党内の非イ・ジェミョン派議員の攻撃の的となっていた「防弾国会」というフレームが、不逮捕特権放棄でかなり崩れたというわけだ。イ・ジェミョン派のキム・ヨンジン議員は、この日の仏教放送(BBS)ラジオの番組で「『イ代表の防弾問題、司法リスクをめぐっては、これ以上論争すべきことはない』というのが、民主党議員や外部の大方の見方」だとし「民生、経済、外交安保などの国会本来の仕事に集中していくことが必要だ」と語った。
 いっぽう、非イ・ジェミョン派からは「イ代表の司法リスクは猶予されているだけ」との声があがっている。非イ・ジェミョン派のある議員は「尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の失政に対してはきちんと闘うにしても、『イ・ジェミョンのリーダーシップ』の根底にある司法リスクはそれとして直視すべきだ」と述べた。
 正義党のペ・ジンギョ院内代表、イ・ウンジュ院内首席副代表、カン・ウンミ議員(同党福島原発汚染水阻止タスクフォース団長)はこの日、東京を訪れ、汚染水放出に反対する日本の政治家の集まり「原発ゼロ・再エネ100の会」と懇談会を実施した後、社会民主党の議員たちと東京電力を訪問した。ペ院内代表は出国前、金浦国際空港で記者団に対し、「(汚染水の放出に反対する)日本の議員や市民団体と連帯し、日本の核汚染水が決して無断で投棄されないよう、意志を結集していくつもりだ」と述べた。23日には放射能の専門家とともに福島第一原発を訪問する。
 国民の力のユン・ジェオク院内代表は、民主党が太平洋島しょ国に連帯を求める書簡を送ったことについて、この日の最高委員会議で「国民に対する怪談扇動が通じないため、国外でも怪談扇動をはじめた格好」だとし、「耳を疑うほどの非常識な行動」だと非難した。
イム・ジェウ、カン・ジェグ、ソン・ヒョンス記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-06-22 18:54


「The Hankyoreh」 2023-06-23 08:27
■[フォト]韓国の女性団体「福島原発汚染水、日本の領土に保管せよ」

【写真】ソウル女性連帯などの女性団体のメンバーが21日午前、ソウルの日本大使館前で福島原発の放射性物質汚染水の海洋投棄を批判し、核廃棄物保存容器を意味するプラスチックのバケツで「日本の領土に保管せよ」と主張している=キム・ジョンヒョ記者//ハンギョレ新聞社

 ソウル女性連帯や冠岳(クァナク)女性会、九老(クロ)女性会、城北(ソンブク)マザーセンターなどの女性団体のメンバーが、21日午前、ソウル鍾路区(チョンノグ)にある在韓日本大使館の前で記者会見を行い、日本の福島原発の放射性物質汚染水の海洋放出を批判した。
 メンバーらは「世界各国と日本国内の反対世論にもかかわらず、日本政府は福島第一原発の放射性物質汚染水の投棄を押し切ろうとしている。尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は、こうした状況に対して、国民の懸念の声を『怪談』と切り捨て、露骨に日本側を擁護するばかりの状況」だと主張した。
 メンバーらは、日本の福島原発の放射性物質汚染水の海洋放出に反対する市民1000人あまりの署名を集め、署名用紙を在韓日本大使館に渡そうとしたが、警察が阻止し、直接渡すことはできなかった。

【写真】ソウル女性連帯などの女性団体のメンバーが21日午前、ソウルの日本大使館前で福島原発の放射性物質汚染水の海洋投棄を批判し「日本の領土に保管せよ」と要求している=キム・ジョンヒョ記者//ハンギョレ新聞社
【写真】ソウル女性連帯などの女性団体のメンバーが21日午前、ソウルの日本大使館前で福島原発の放射性物質汚染水の海洋投棄を批判し「日本の領土に保管せよ」と要求している=キム・ジョンヒョ記者//ハンギョレ新聞社
【写真】ソウル女性連帯などの女性団体のメンバーが21日午前、ソウルの日本大使館前で福島原発の放射性物質汚染水の海洋投棄を批判し「日本の領土に保管せよ」と要求している=キム・ジョンヒョ記者//ハンギョレ新聞社
【写真】ソウル女性連帯などの女性団体のメンバーが、約1000人の市民が署名した「日本による放射性物質汚染水の海洋投棄阻止」署名用紙と「日本の領土に保管」と書かれた核廃棄物保存容器の模型を日本大使館に渡すために移動している=キム・ジョンヒョ記者//ハンギョレ新聞社
【写真】ソウル女性連帯などの女性団体のメンバーが、約1000人の市民が署名した「日本による放射性物質汚染水の海洋投棄阻止」署名用紙と「日本の領土に保管」と書かれた核廃棄物保存容器の模型を日本大使館に渡そうとしたが、警察に阻止された=キム・ジョンヒョ記者//ハンギョレ新聞社

キム・ジョンヒョ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-06-21 13:47

日本最大の漁業者組織「全漁連」、汚染水海洋放出に改めて反対決議

2023年06月26日 | 
「The Hankyoreh」 2023-06-23 07:15
■日本最大の漁業者組織「全漁連」、汚染水海洋放出に改めて反対決議
 日本の漁業関係者組織が「海洋放出反対」の特別決議

【写真】福島第一原発敷地内のタンクに保管されている放射性物質汚染水/AP・聯合ニュース

 福島第一原発に保管されている放射性物質汚染水の海洋放出が目前に迫っている中、日本最大の漁業関係者組織である全国漁業協同組合連合会(全漁連)が「汚染水の海洋放出に反対する」という内容の特別決議を採択した。全漁連の反対表明の決議は今回で4年連続となった。
 全漁連は22日、東京で通常総会を開き、汚染水の海洋放出に対する反対決議を採択した。同団体は決議で「(福島第一原発)廃炉に向けた取り組みを否定するものではない」としつつも、「(汚染水の)海洋放出に反対であることはいささかも変わるものではない」と明らかにした。
 全漁連は、東京電力が8年前にした約束を守るべきだと求めている。東京電力は2015年8月、社長名義で汚染水の海洋放出と関連し、「(漁業)関係者の理解なしには、いかなる処分もしない」と文書で約束した。これは福島県漁業協同組合連合会の要請で作られたものだ。だが、日本政府と東京電力は漁業関係者たちの反対にもかかわらず約束を無視し、今夏頃に海洋放出を進めている。
 朝日新聞は「2015年の文書を理由に、福島の漁協などからは『(政府による)約束はどうなっているのか』などの反対の声が相次いでいる」と報じた。
 決議では、日本政府が漁業関係者の被害に備えて基金(計800億円)を創設し、汚染水の安全性を積極的に説明していることについては「重く受け止める」と評価した。
 全漁連の坂本雅信会長は22日、西村康稔経済産業相と面会し、決議文を手渡した。全漁連は全国に組合員が約30万人である日本最大の漁業関係者組織だ。
東京/キム・ソヨン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-06-22 17:44


「The Hankyoreh」 2023-06-22 07:02
■日本の汚染水処理施設の故障は8件?…「フィルター24個の故障を1件に」
 政府発表の8件は原因別にまとめた事例の件数 
 現場視察参加専門家、定例会見で明らかに

【写真】クォン・オサン食品医薬品安全処次長(左から2番目)が21日午前、ソウル鍾路区の政府ソウル庁舎で開かれた福島原発汚染水関連の定例会見に出席し、日本産水産物の輸入検査体系について説明している/聯合ニュース

 日本の福島原発汚染水を処理する多核種除去設備(ALPS)の故障発生件数が、機器別にみると少なくとも30件を超えることが分かった。韓国政府はこの10年間、ALPSの主な故障事例は8件だと明らかにしてきたが、実際の故障件数がさらに多いことが明らかになり、汚染水海洋放出の安全性と直結したALPSの信頼度に対する疑念がさらに深まるものとみられる。
 原子力安全技術院のキム・ソンイル放射線廃棄物評価室責任研究員は21日、福島原発汚染水関連の定例会見(毎日実施)で「2021年度にHEPAフィルターという排気フィルターの故障が1件発生したが、この件を機に(他の機器にある同じ)排気フィルターを全数検査したところ、全体25個中24個で故障が見つかった」と述べた。
 現場視察団が東電から受け取ったALPSの主な故障事例(8件)リストの資料には、2021年8月にALPSのHIC排気フィルターの損傷が1件あったと記載されているが、機器別にみると故障件数は24件でさらに多いという趣旨の話だ。また、「東電がそれ(同じ種類の故障)を一つの故障事例とみて、原因と対策を一つにまとめて処理しているものと理解すればよい」と説明した。
 キム研究員は福島現場視察に参加した専門家の一人だ。この発言は「2013年から2022年までの10年間、ALPSで計8件の主な故障事例を確認した」(16日の定例会見)という韓国政府の発表とは異なり、故障事例がさらにあったという報道が事実ではないと釈明する過程で出たもの。キム研究員は「重要なのは機器の性能を維持しているかどうか」だと語った。
キム・ジョンス先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-06-22 02:11


「The Hankyoreh」 2023-06-21 07:32
■日本の議員の訴え「海は共有財産…汚染水は固体化して保管し、のちに再利用を」
 [インタビュー]立憲民主党の阿部知子衆議院議員 
 「海は共有財産…周辺国の理解が必要」

【写真】立憲民主党の阿部知子(74)衆議院議員=東京/キム・ソヨン特派員//ハンギョレ新聞社

 「東京電力の言うように多核種除去設備(ALPS)で汚染水を何度もろ過して放射性物質を最大限除去することが必要だ。汚染水の放射性物質を基準値以下に下げた後、セメントや砂などを混ぜて固体で保管すればよい。このコンクリートをのちに防潮堤などに再利用できる」。
 立憲民主党の阿部知子衆議院議員(74)は、目前に迫った福島第一原発の汚染水の海洋放出について、「海は共有財産」だと述べつつ、汚染水を固体にして日本国内に置き、後に再利用しようという新たな代案を提示した。
 また「日本政府とIAEAは、処理汚染水の海洋放出が長期間続いた時、環境や人体に与える影響についても深く研究していない。放射性物質を海に捨ててはならない」と訴えた。
 日本の超党派議員の集まり「原発ゼロ・再エネ100の会」で活動しつつ、汚染水放出の問題点を粘り強く訴えている阿部議員のインタビューは、15日に東京都千代田区の衆議院議員会館で行われた。韓国は「汚染水」、日本は「ALPS処理水」と呼んでいることについて阿部議員は、ALPSで処理しても依然として汚染水だと述べつつ、「ALPS処理汚染水」という用語を使っていると語った。

-日本政府は、今月中にIAEAから最終報告書が発表されれば、これを根拠として福島第一原発の汚染水を今年の夏ごろ海に放出する予定だ。
 「日本政府が決定し、日本の原子力委員会、IAEAが大丈夫だと言ったからといって済む問題ではない。海は共有財産であり、広くつながっている。海洋放出を強く憂慮する人々と周辺諸国の理解がなければならない。そもそも『ロンドン条約』や議定書では、海に放射性物質を投棄してはならないと定められている。IAEAの一般安全指針(GSG-8)には、『その行動によって個人と社会に予想される利益は、その行動による害悪よりも大きくなければならない』という原則がある。汚染水の放出が100%安全とは言えない中、日本だけでなく韓国の漁民、太平洋の島しょ国などが強く反対している。利益はなく危険が存在するのなら、海洋放出はしてはならない。IAEAはこの部分をまったく検討していない」。

-日本政府は、ALPSで放射性物質を基準値以下に下げ、除去できないトリチウム(三重水素)は海水で希釈して放出すれば安全だと主張している。
 「福島第一原発は(2011年3月に)事故が起きた原子炉であるため、セシウムやストロンチウムなどのあらゆる放射性物質が汚染水には含まれている。経済産業省と東京電力は、どれだけの量の放射性物質を海に捨てることになるのかは語らない。希釈だけに焦点を当てており、放射性物質の総量に対しては何の検証もない。基準値以下にして薄めたとしても巨大な量の処理汚染水であるため、放射性物質の総量は無視できない。処理汚染水の放射性物質測定核種も64種から30種に縮小された。リスクを評価するためには、できうる限り確認しなければならない。日本政府とIAEAは、処理汚染水の海洋放出が長期間続いた時の環境や人体への影響についても深く研究していない。また日本は福島第一原発の2051年の廃炉を目指しているが、これは不可能だ。廃炉になるまで汚染水は発生し続ける」。

【写真】福島第一原発の敷地内のタンクに保管中の放射性物質汚染水/AP・聯合ニュース

-汚染水の安全性にかかわるALPSの性能も争点だ。
 「ALPSの性能を確認するための資料は不十分。汚染水が保管されている1千基を超えるタンクのうち、試料を採取して64の核種を分析したのはごく一部だ。K4、J1-C、J1-Gの3つのタンク群に対してのみだ。さらに大きな問題は、(東京電力に確認したところ)これらの試料採取の過程で攪拌(かくはん)作業も行われていないこと。相対的に放射性物質の濃度が低いタンクの上部から試料を採取したということだ。ALPSの性能を確認するための資料は信頼できないということになる。これはごまかし行為だ。東京電力は、処理汚染水の海洋放出前の核種測定の際に攪拌するため問題はないという立場だ」。
(※先月23~24日に福島第一原発を訪問した韓国視察団は、ALPSの注入口と出口における64の核種の濃度を分析した2019年から昨年までの原資料を確保したことを成果として掲げたが、この資料の実効性に疑問が提起されたことになる)

-汚染水はどのように処理すべきだと思うか。
 「放射性物質は、環境や人間を保護するためには閉じ込めておかなければならない。これが原則だ。まだ間に合う。東京電力の言うように、ALPSで汚染水を何度もろ過して放射性物質をできる限り除去することが必要だ。汚染水の放射性物質を基準値以下に下げ、その後、セメントや砂などを混ぜて固体として保管する『モルタル固化』という方法で保管すればよい。専門家は、このコンクリートは後に防潮堤などとして再利用できるという。汚染水のように福島第一原発に保管し続ける必要もない。汚染水処理は、政治的論争より環境を守るために皆で知恵を集めなければならない問題だ」。

-最近の世論調査によると、日本国民の60%が汚染水放出に賛成している。日本の雰囲気はどうか。
 「福島第一原発の周辺は暖流と寒流が出会う非常に良い漁場だ。海を守りたいと思っている漁民は強く反対している。世論は60%が賛成というが、国民には正しい情報が与えられていない中、日本は全体的に原発についての雰囲気が変わりつつある。(原発の運転期間が60年以上に伸びるなど)東日本大震災の前に戻っている感じがする。原発事故が過小評価され、あの日の教訓を忘れさせている。汚染水の放出問題も、トリチウムは一般の原発からも出ており、十分希釈すればよいと原子力規制委員会も考えているが、汚染水の実態はそうではない。海の環境を国際的にどのように守っていくかに対する認識がない。これはただのトリチウムではなく、事故を起こした原発から出る汚染水だという考えが足りない。原発事故から12年がたったが、セシウムなどの放射性物質に汚染された魚が今もとれる。果てしなく生物濃縮が起こっている。海は広くて薄まるからといって、放射性物質の海洋投棄をしてはならない。もっと公開的で民主的なやり方で汚染水の問題を議論していきたい」
東京/キム・ソヨン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-06-20 16:56


「The Hankyoreh」 2023-06-21 10:13
■韓国の野党議員、汚染水放出反対訴えハンストに突入

【写真】「福島第一原発の汚染水放出反対」を訴えハンストを開始した共に民主党のユン・ジェガブ議員が20日午前、ソウル汝矣島の国会本館前で議員たちの激励を受けている/聯合ニュース

 日本による福島第一原発の汚染水放出が迫る中、20日に開かれた韓国国会の農林畜産食品海洋水産委員会(農海水委)の懸案質疑では、与野党が汚染水放出の安全性をめぐってまたしても激突した。与党「国民の力」は、野党「共に民主党」が政治的利益を得るために「怪談」によって国論を分裂させていると主張し、民主党は国民たちの懸念を怪談と罵倒していると応じた。
 民主党のユン・ジェガブ議員はこの席で、「福島第一原発の汚染水放出は国民の命と安全にとって脅威であるばかりでなく、水産業そのものを根こそぎ壊滅させる放射能テロ」だとし、「覆水盆に返らずで、原発汚染水の海洋放出が始まれば何の対策もない」と述べた。汚染水放出の直撃を受けうる全羅南道の海南(へナム)・莞島(ワンド)・珍島(チンド)選出のユン議員は、この日から国会本庁前で汚染水放出反対を訴えるハンストに突入した。
 国民の力のパク・トクフム議員は「科学を無視して怪談によって恐怖を造成すれば、その被害はそのまま国民に回ってくる」とし「(2008年のBSE問題のように)事実には関心がなく、ひたすら政治的利益ばかりを追求する野党」と攻勢に打って出た。これに対し民主党のユン・ジュンビョン議員は「国民の懸念を政府与党は怪談とみなし、似非科学と罵倒し、ひねり潰そうとしている」と批判した。
 与党は「政権が変わったら民主党は言うことを変えた」と主張した。国民の力のホン・ムンピョ議員は「2020年に文在寅(ムン・ジェイン)政権は合同タスクフォース(TF)を設置し、福島第一原発の汚染水について懸案報告を行っているが、その報告書で『汚染水(放出)が及ぼす影響は微々たるものだ』と述べている」、「これが民主党の実体」だと主張した。これに対し無所属のユン・ミヒャン議員は「合同TFの報告書は文在寅政権の立場をまとめた報告書ではなく、国内動向として専門家の中にはこのような意見を持っている人がいると明らかにした報告書」だと反論した。
 与野党は、民主党のイ・ジェミョン代表が17日に仁川(インチョン)地域の「福島第一原発汚染水海洋投棄反対糾弾大会」に参加し、汚染水を「核廃水」と呼んだことについても攻防を繰り広げた。「2021年にムン・ソンヒョク海洋水産部長官が国際海事機関(IMO)に送った公文書では『核廃水』となっている」(民主党のウィ・ソンゴン議員)との主張がでる一方、パク・トクフム議員は「野党第1党の代表(イ・ジェミョン)が汚染水を『核廃水』と呼ぶと主張し、科学と常識を弄んでいる」と述べた。
オム・ジウォン、カン・ジェグ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-06-20 18:09


「The Hankyoreh」 2023-06-21 10:18
■「釜山市長は核汚染水放出問題で日本をITLOSに提訴するよう政府に建議すべき」

【写真】釜山の市民団体が20日、釜山市役所前広場で記者会見を行い、パク・ヒョンジュン釜山市長らに福島第一原発の核汚染水の海洋放出問題で日本をITLOSに提訴するよう求めた=キム・ヨンドン記者//ハンギョレ新聞社

 釜山(プサン)の市民団体はパク・ヒョンジュン釜山市長に対し、日本による福島第一原発の核汚染水の海洋放出を止めるために、国際海洋法裁判所(ITLOS)への提訴を尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権に建議するよう求めた。
 地域の166の市民社会団体からなる「釜山古里(コリ)原発2号機寿命延長・核廃棄場反対 汎市民運動本部」は20日、釜山市庁前広場で記者会見を行い、「パク市長は市民の命と安全のために、日本政府による核汚染水の海洋投棄を止めるため、ITLOSへの提訴を尹錫悦政権に直ちに建議すべきだ」と述べた。
 同団体は「日本政府は核汚染水の海洋投棄に対してすべての海洋汚染防止措置を取っておらず、日本の地域外へと広がらないようにする措置にも従っていない。これは国連海洋法条約とロンドン条約(海洋汚染防止条約)に明確に違反するもの」だと主張した。
 同団体はまた「2020年に釜山、蔚山(ウルサン)、慶尚南道、全羅南道、済州道の5つの広域自治体は沿岸5市道協議体を結成し、日本による核汚染水の海洋放出阻止に向けた共同対応の取り組みを開始している。パク市長は市道協議体を通じて、日本政府をITLOSに提訴するよう、尹政権に建議すべきだ」と述べた。
 ハンサリム釜山のチャン・ビョンユン理事長は「市民の食の安全を脅かし、漁民の生業を危機に陥れる問題に対して、釜山市は手をこまねいている。パク市長は今からでも漁業者の被害や水産物の安全などの対策をきめ細かく準備するとともに、直ちに民間協議体を設置して強く対処してほしい」と注文した。釜山YMCAのオ・ムンボム事務総長は「政府がなしうる唯一の方法は、日本政府をITLOSに提訴することだ。市民、国民の安全は何ものにも代え難い。尹政権が国民、市民の安全を優先する政権なのかどうかしっかり目を見開いて見守る」と述べた。
キム・ヨンドン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-06-20 13:06


「The Hankyoreh」 2023-06-20 08:27
■IAEA中間報告書を分析すると…日本の汚染水放出への「丁寧なコンサルティング」

【写真】ソウル大学の海洋研究所所長・地球環境科学部教授のチョ・ヤンギ氏が19日、政府ソウル庁舎で開かれた福島原発汚染水放出に関する定例会見で、福島原発事故後に研究されたセシウムの表層拡散シミュレーションを説明している/聯合ニュース

 国際原子力機関(IAEA)は、日本の福島原発汚染水の海洋放出計画の安全性を検討した最終報告をまもなく発表する。汚染水の海洋放出を推進する日本はもちろん、圧倒的な放出反対の世論に包囲されている韓国政府も、この報告書は客観的かつ科学的な検証の結果だとし、大きく意味付けている。
 だが、IAEAが6回にわたって発表した中間報告書の内容を詳しくみると、汚染水の海洋放出を難しくする方向に結論が出る可能性がほとんどないというのが、大方の評価だ。なぜそのような評価が出てくるのかを調べてみた。

◆「海洋放出支援プロジェクト」として始まったIAEAの安全性検討
 IAEAは2021年9月、所属職員および韓国、米国、中国、英国、フランス、ロシア、アルゼンチン、ベトナムを含む11カ国の原子力専門家で特別チームを構成し、日本の福島原発汚染水の放出の安全性に対する検討を進めた。韓国からも、原子力安全技術院(KINS)のキム・ホンソク博士が参加している。
 国際的に発言力を認められている機関を通じて、韓国を含め利害関係が絡む11カ国の専門家が参加する検証であるだけに、結果が客観的かつ科学的である点は否定できないだろう。問題は、今回の安全性の検討の究極の目的が、「福島原発汚染水を海洋放出しても問題ないかどうか」を判断することではないという点だ。
 IAEAは、安全性の検討を始めた背景について「(2021年4月に海洋放出の計画を発表した直後に)日本が放出を安全に履行できるよう放出計画と関連活動のモニタリングと検討を支援するよう要請し、それを受け入れた」と明らかにしている。
 つまり、福島原発汚染水を海洋放出しても問題ないかどうかを判断するのではなく、日本が計画した汚染水放出を支援することが、安全性検討の目的だという話だ。「日本の要請」によって「汚染水の海洋放出を前提」になされる検討であるだけに、中立性の側面で根本的な弱点を持たざるをえない。可能性はまずないがIAEAの最終報告書の結論が放出に否定的であったとしても、日本には従う義務もない。

◆日本が同意した範囲内で検討…放射性核種をろ過する「ALPS」の性能は検討対象外
 日本の支援要請で始まったIAEAによる安全性検討は、徹底的に「日本が同意した範囲内で」で進められている。
 日本が要請したのは、「汚染水の海洋放出計画と、それに沿って進められる放出が、IAEAの安全基準を満たしているかどうか」を技術的に検討してほしいということだった。日本とIAEAは2021年7月、IAEAの支援方法などを定義した「付託事項」(ToR:Terms of Reference)に署名し、これに基づき検討の範囲やスケジュールなどを協議して決めた。
 具体的には、放出される処理水(汚染水)の放射能の特性▽放出管理のためのシステムとプロセスの安全性▽放射線環境影響評価(REIA)▽放出のための規制と認可▽処理水(汚染水)と環境のモニタリング・プログラム▽利害関係者の関与▽職業的放射線防護などを含む8点が検討対象だ。
 これによると、福島原発汚染水に含まれる放射性核種を取り除く「多核種除去設備」(ALPS)は検討対象ではないことがわかる。実際、最近までの6回にわたる中間報告書には、ALPSの性能と運営についての内容は含まれていない。ALPSは過去10年の間に8回も故障を起こし、汚染水の海洋放出の安全性を懸念する側が特に信頼性に疑問を呈している設備だ。

◆問題となる点を補う「オーダーメード型コンサルティング」形式で進行
 IAEAがこれまでに発表した6回の中間報告書を読むと、「提案した」「助言した」「認めた」「同意した」などの表現が多く登場することが目につく。言い換えると、IAEAの安全性検討は、「汚染水を海洋放出しても問題ないかどうか」を判断することを重視したものではなく、放出の履行を支援することが目的なのだ。
 そうした目的のもと、IAEAの安全性検討の多くは、特別チームが東京電力と関連の政府省庁である経済産業省、規制機関である原子力規制委員会(NRA)を訪問し、検討テーマに関する説明を聞き、質疑応答と討論を行う形式で進められた。
 質疑応答と討論は、日本の放出計画から安全基準を満たさない部分を発見することにとどまらず、利害当事者を説得するために足りない点を探して補完していく過程として進められた。一言でいうと、汚染水の海洋放出が滞りなく進められるよう、IAEAが日本に「きめ細かいオーダーメード型コンサルティング」を行い、共同して放出計画の完成度を高めていったわけだ。
 一例として、IAEAの特別チームが昨年11月に日本で検討任務を遂行した結果を盛り込んだ第4回中間報告書には、「(放射性物質の海洋拡散)シミュレーションの境界領域の海水中に存在する(低濃度の)炭素-14とヨウ素-129の推定値を(シミュレーションした結果に)加えれば、このような放射性核種の濃度は無視できる程度だということを示すことができる」という提言が含まれている。低濃度で生じる炭素-14などの数値を提示すれば、人々に特に影響がないという印象を与えやすいということを、東京電力側に「親切にコーチング」したわけだ。
 しかも、中間報告書を読むと、IAEAは日本が提出した資料と説明に全面的に依存しながらも、資料と説明の信頼性を確認する「交差検証」を疎かにしていることを示す記述も発見される。
 IAEAの特別チームが昨年2月に出した初の中間報告書で、日本の経済産業省と東京電力が周辺国を含む利害当事者に多くの情報を提供し、透明なコミュニケーションを行ったことを認め、東京電力に対しては「称賛した」とまで表現した内容がその一例だ。昨年6月に公開された第2回中間報告書には、日本の原子力規制委員会が隣国に情報を提供した努力を肯定的に評価した記述もある。
 こうした内容は、日本政府が「放射性物質の放出許可の過程で、情報交換が必要な利害当事者に隣国も含まれる場合がある」と規定した安全基準(GSG-9、「環境に対する放射能放出規制」)をきちんと守っていると評価したものだ。日本側から関連情報をろくに与えられず現状把握に困っている周辺国の立場としては、容易には納得しがたい評価だ。

【写真】日本の福島第一原発にある汚染水の貯蔵タンク。日本はこのように保存している原発事故汚染水133万トンを30年かけて海洋放出する計画だ/聯合ニュース

キム・ジョンス先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-06-19 20:25


「The Hankyoreh」 2023-06-19 06:44
■汚染水海洋放出の影響、保護者ら心配の声…給食の現場でも悩み深まる=韓国

【写真】福島原発汚染水の海洋放出を控え、15日午後、京畿道水原市勧善区の京畿道保健環境研究院で、農水産物検査部農水産物安全性検査チームの研究員らが水産物の放射能安全性検査を行っている/聯合ニュース

 「原発汚染水の海洋放出が行われるようですが、子どもたちの給食は大丈夫でしょうか」、「水産物や塩が心配ですが、対策はありますか」。
 ソウルのある中学校で働く栄養士のKさん(37)は14日朝、給食のモニタリングに来た保護者からこのような質問を受けた。Kさんは18日、ハンギョレに「福島原発汚染水の海洋放出で、給食の食材に関する保護者の心配がますます高まりそうだが、これといった対策がなく、頭を悩ませている」と語った。
 福島原発汚染水の海洋放出を控え、韓国の市民の食に対する不安が高まり、保護者の間では給食の食材に対する懸念の声もあがっている。塩や海苔など水産物の買いだめ現象で食材の値段が急騰しており、学校給食を担当する栄養士たちの悩みも深まっている。
 Kさんは「現在、政府は放射能検査を経て基準値以下であることを毎回確認すると言っているが、検査数値が確実なのか、子どもたちの健康にどのような影響を及ぼすのか信頼できない状況」だとし、「これといった対策がない中、保護者たちの懸念にどのように対応すれば良いのか分からない状況だ。最近買いだめの影響で塩、海苔の値段が上がっており、給食の単価に合わせて食材を手に入れるのが難しくなりそうだ」と話した。
 ソウルのある初等学校の栄養士のAさんも「今、他の学校の栄養士たちと関連資料とニュースをモニタリングしながら様々な悩みについて話し合っている。12年前、福島原発事故が起きたばかりの頃は、水産物を給食メニューから外したこともあった。ウクライナ戦争ですでに食材の値段が大幅に上がったが、今のような買いだめが続けば給食の品質に影響を及ぼしかねない」と語った。
 学校現場で日本政府の汚染水放出により水産物に対する不安が高まったことを受け、ソウル市管内の小中高等学校に食材を供給するソウル市エコ流通センターは14日、「日本産水産物は納品しない」という公文書を所轄の学校に送った。ソウル市エコ流通センターの関係者は「すでに2020年から日本産水産物は学校に供給していない。しかし最近、保護者の懸念が高まり、『日本の水産物は最初から遮断しており、これから食材放射能検査も強化する』という計画などを知らせた」と話した。
 各教育庁も学校に納品される食材に対する放射能調査を拡大すると発表した。ソウル市教育庁は17日、一部の学校を対象に実施していたサンプリング方式の食材放射能調査をすべての学校の食材に拡大することにした。全羅南道教育庁も5日「水産物に対する放射能検査の強化計画」に基づき、年4回実施してきた水産物に対する放射能検査を年10回に増やすと発表した。
 しかし、食に対する保護者の不安はなかなか収まらない。2歳半の子どもを国公立の保育園に通わせているというイ・ジョンミンさん(34)は、「日本に住む知人から『日本人も済州(チェジュ)や釜山(プサン)に観光に行くと、魚は避けて肉だけを食べる』という話を聞いた。現在、保護者の間では『韓国産も信頼できない』という不安が大きく広がっている」とし、「放射能汚染による影響はすぐ現れるものではない。長い間体に蓄積して問題が現れる可能性もあるのに、政府は『安心せよ』という言葉を繰り返すだけ。具体的かつ明確な根拠を示してほしい」と述べた。
パク・チヨン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-06-19 02:45


「The Hankyoreh」 2023-06-19 07:14
■韓国政府与党、放射能調査地点を2倍に拡大へ…最大野党代表「汚染水ではなく核廃水」
 福島原発汚染水の海洋放出対策を議論 
 43カ所の委託販売場で流通前の全魚種を検査 
 水産業界に緊急安定資金の支援も

【写真】共に民主党のイ・ジェミョン代表が17日午後、仁川市富平区の仁川地下鉄1号線富平駅北広場で開かれた「日本による福島原発汚染水の海洋放出糾弾大会」で発言している/聯合ニュース

 韓国の与党「国民の力」と政府は、日本による福島原発汚染水の海洋放出への対応策として、海洋の放射能調査地点を2倍以上拡大し、水産物の大型委託販売場43カ所で流通前の国内産の全魚種に対する検査システムを構築する案をまとめた。野党「共に民主党」のイ・ジェミョン代表は原発汚染水を「核廃水」と称し、政府が国民を欺いていると批判した。
 政府与党は18日、ソウル鍾路区三清洞(サムチョンドン)の首相公館で政府高官と党幹部による協議会を開き、海洋の放射能調査地点を従来の92カ所から200カ所に拡大し、セシウムとトリチウムの濃度分析周期を現行の1~3カ月から隔週単位に短縮することにした。また、水産物の委託販売の80%以上を占める大型委託販売場43カ所に流通前の国内産の全魚種に対する検査システムの構築を進めることにした。政府与党はまた、水産業界に緊急経営安定資金を支援することにした。これらは福島原発汚染水対策に対する世論の不信感を意識した措置とみられる。韓国ギャラップが16日に発表した世論調査結果によると、福島原発染水の海洋放出問題に対する不満が尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の職務遂行を評価しない理由の2位に挙げられた。
 民主党は批判を強めている。イ・ジェミョン代表は17日、仁川市の富平(ブピョン)駅近くで開かれた「福島原発汚染水の海洋投棄反対・糾弾大会」に参加し、「核物質にさらされ、それらを含んで流れる地下水は明白に核廃棄物だ」としたうえで、「(国民の力が)『核汚染水』だと(言った民主党関係者を)告発するというから、これからは『核廃水』と呼ばせてもらう。国民が任せた権力で国民をだまし、脅し、生命と安全を脅かす行為をするなら、国民の代理人の資格がない」と述べた。
 一方、政府与党は「釜山(プサン)回し蹴り強姦殺人未遂事件」を機に進められている重大犯罪者の身元公開の拡大に関する法案を速やかに法制化することにした。特に、既に党が検討した「女性・児童対象強力犯罪」などをはじめ「内乱、外患、テロ、組織暴力、麻薬」などの重大犯罪と、起訴された状態の被告人まで身元公開の対象に含めることにした。
カン・ジェグ、ソン・ヒョンス、ソン・ダムン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-06-18 23:25


「The Hankyoreh」 2023-06-19 05:58
■「海は日本の下水溝なのか」…韓国政府が沈黙する間に世界各国の反対論激化
 [ハンギョレ21] 
 フィジー・中国など周辺当事国、汚染水の放出に明確な反対の声
 
【写真】中国外交部の汪文斌報道官が定例会見を行っている/REUTERS

 「透明性に基づいて客観的かつ科学的な評価をした後に立場を決めることになるだろう」。
 韓米日安保室長会議出席のため6月14日に東京を訪問したチョ・テヨン大統領室国家安保室長は、羽田空港で記者団に対しこのように述べた。東京電力が6月12日、福島原発の核汚染水の海洋放出のための試運転に入ったにもかかわらず、従来の立場から一歩も変わらない発言だ。

 「それほど安全なら、なぜ汚染水を日本にとどめておかないのか」

 福島原発汚染水の海洋放出に明確な反対の意思を明らかにしない尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権とは異なり、周辺の当事国はますます声を高めている。6月3日、シンガポールで開かれた第20回アジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアローグ)で、日本の浜田靖一防衛相を前に「それほど安全なら、なぜ汚染水を日本国内にとどめておかないのか」と問い詰めたフィジーのティコドゥアドゥア内務長官が代表的だ。中国も、日本政府が海洋放出の方針を公にした2022年7月以後「太平洋は日本の下水溝ではない」という表現を用いて、機会あるごとに反対の立場を明確にした。
 「福島原発汚染水の海洋放出は、全世界の海洋環境と公衆保健に関する問題であり、日本だけに限った問題ではない。日本側が内外の強い反対にもかかわらず汚染水の海洋放出を強行するなら、これは非常に無責任な行為であり、世界の世論の支持を得ることはできないだろう」
 中国外交部の汪文斌報道官は、6月14日の定例会見で「福島原発汚染水の放出は『国連海洋法条約』が規定した海洋環境保護および保存義務に違反する行為」だと述べた。これまで中国外交部が強調してきた汚染水海洋放出の反対論理は大きく4つにまとめられる。
 第一に、原発事故で作られた汚染水を人為的に海洋に放出した前例はない。したがって、これによる危険性も予測が不可能だ。
 第二に、日本側は十分な研究と実証を通じて最も安全な汚染水処理方案を設ける意思がなく、ただ経済的側面だけを考慮して海洋放出を決定した。隣国はもちろん、全人類に汚染水による危険と費用を転嫁しようとするも同然だ。
 第三に、国際原子力機関(IAEA)評価団は日本政府の要請により構成され、職務範囲が制限されている。汚染水の海洋放出自体を見るだけで、その他の汚染水処理方案を検討する権限はない。したがって、IAEA評価団の報告書は汚染水海洋放出の「免罪符」にはなりえない。
 第四に、専門家らは、福島原発汚染水は溶け出した原子炉の炉心に直接触れたため、数十個の放射性核種を含有しており、これらの核種の相当数はまだ効果的な処理技術がないと指摘している。一部の半減期が長い核種は、海流と共に広がり生物に濃縮され、自然環境の放射性核種総量を追加で増やし、海洋環境はもちろん人体にも予測不可能な危険を加重させかねない。
 中国外交部の毛寧報道官は今年5月23日の定例ブリーフィングで「海洋放出以外の汚染水処理対策を用意するために周辺国を含む利害当事者と十分かつ意味ある協議が必要だ。人類が予測不可能な危険を避けられるよう、日本政府は科学的で公開的、かつ透明で安全に汚染水問題を処理しなければならない」と強調した。
チョン・インファン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-06-18 18:16


「The Hankyoreh」 2023-06-17 09:12
■韓国政府、日本も行わない「汚染水不安解消」定例会見を毎日実施へ
 汚染水放出計画の安全性に対する懸念に積極的に釈明 
 「韓国の基準の2万倍は事実…そのまま放出ではない」 
 環境団体「そんな時間があるなら、まず影響の把握を」

【写真】国務調整室のパク・クヨン国務第1次長(右から4人目)が15日、政府ソウル庁舎別館で福島第一原発の汚染水放出に関する会見を行っている/聯合ニュース

 韓国政府は、日本による福島第一原発の汚染水の海洋放出に対する国民の不安を解消するためとして、15日から毎日定例会見を行う。
 国務調整室のパク・クヨン国務第1次長は15日、政府ソウル庁舎で行った「福島第一原発汚染水放出に関する定例会見」で「科学的事実にもとづいた情報を頻繁に提供することが必要だという判断に至り、定例会見を毎日実施することとなった」と語った。この日の第1回目の会見にはパク国務第1次長以外にも、海洋水産部のソン・サングン次官が発表者として出席したほか、原子力安全委員会のシン・ジェシク放射線防災局長をはじめとする政府関係者が多数参加した。
 この日の会見で政府は、日本の放出準備作業の進捗状況を説明するとともに、メディアに問題点として指摘された内容について積極的に釈明した。
 パク国務第1次長は、多核種除去設備(ALPS)による処理後も最大で基準値の2万倍の放射性物質が検出されるという報道について、「東京電力が公開している貯蔵タンクの汚染水の核種ごとの放射能濃度を示した資料で、ストロンチウムの濃度の最大値として、リットル当たり約43万3千ベクレルが検出されたという内容」であり、「この検出値が韓国の排出基準であるリットル当たり20ベクレルの約2万倍に当たる数値であることは事実」ではあるが、「基準値を超える汚染水がそのまま放出されるわけではない」と釈明した。パク次長は「日本はこのような汚染水が基準値を満たすまでALPSで浄化し、希釈後に放出すると表明している」と付け加えた。
 東電は汚染水の上澄みだけを試料として採取しているため代表性が足りないという一部の報道について、パク次長は「その試料は国際原子力機関(IAEA)の確証モニタリングのために採取したものではない、目的がまったく異なる試料採取だった」と釈明した。
 福島第一原発の汚染水放出によって被害を受ける漁業者への支援と、海洋環境汚染の回復を主な内容とする特別法案が、12日に国会に上程されたことに関して、海洋水産部のソン・サングン次官は「まだ発生していない被害に対する補償と回復を議論するのは時期尚早」だとし、否定的な立場を明らかにした。ソン次官は「特別法の制定議論は、現段階では慎重な検討が必要だと考えられる」として「韓国の水産物に対する国民の不安を軽くし、怪談などの市場かく乱行為によって水産業界に被害が発生しないようにすることが順序としては先だ」と語った。
 政府は「定例会見は、国民の不安が十分に解消されるまで週末を除いて毎日実施する予定」だと明らかにした。しかし、放出を準備している肝心の日本政府や東電は、このような毎日の会見を行っていない。これについて、環境運動連合のアン・ジェフン活動処長は「日本政府を代弁する内容の会見を毎日実施するというのは、韓国政府のなすべきことなのか」とし「そのような時間にむしろ汚染水放出の影響を把握した方が良いだろう」と述べた。
キム・ジョンス先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-06-15 19:07


「The Hankyoreh」 2023-06-17 07:32
■福島原発汚染水を処理するALPS、昨年も故障…10年間で8回も
 韓国政府の定例会見 
 「汚染水が海洋放出されても水産物の輸入禁止は維持」

【写真】パク・クヨン国務調整室国務第1次長が16日、政府ソウル庁舎別館で開かれた福島原発汚染水放流関連の定例会見で、記者の質問に答えている/聯合ニュース

 韓国政府は16日、福島原発事故の汚染水を処理する多核種除去設備(ALPS)で最近まで10年間、計8回の故障が発生したと明らかにした。
 パク・クヨン国務調整室国務第1次長は同日、政府ソウル庁舎で行った「福島原発汚染水海洋放出に関する定例会見(毎日実施)」で、ALPSと関連し、「2013年6月に設置して以来、昨年7月まで8回の故障があったことは視察団が資料を要請して受け取った内容であり、事実だ」と述べた。政府が構成した福島原発汚染水視察団は、先月31日、活動結果報告でALPSの主な故障事例や措置事項などの資料を確保し精密分析していると明らかにした。
 原子力安全委員会のシン・ジェシク放射線防災局長は、故障の具体的な類型と位置に対する質問に「腐食が2013年と2014年に2件あった。フィルター関連では2014年から2020年まで4件、2021年度に1件、(昨年)定期点検の時も1件あった」と答えた。
 ALPSで最近まで故障が発生したことは、ALPSが長期間にわたり安定的に運営されるかについて徹底した検証が必要だという主張を裏付けている。これに関してパク国務第1次長は「視察団が詳細資料を受け取って分析を行っており、これに加えて定期点検の項目や設備維持管理計画などもさらに確保し、ALPSが長期間にわたり安定的に運営される可能性がどれくらいあるかについて詳しく分析している」とし、「結果は最終報告書発表の際に含まれる計画」だと語った。
 同日の定例会見でソン・サングン海洋水産部次官は、汚染水が海洋放出されれば福島を含む近隣8県の水産物輸入禁止措置も解除されるという一部の懸念について、「水産物の輸入禁止措置は原発汚染水の海洋放出問題とは全く違う問題」だと述べた。
 2011年の福島原発事故による大規模な放射性物質流出以後、韓国政府は福島を含む近隣8県の水産物に対して輸入禁止措置を取ってきた。ソン次官は「福島付近で基準値以上の放射能に汚染された水産物が今のように発生する限り、絶対に(当該地域の)水産物の輸入はしない。福島地域が放射能から安全だと科学的に立証され、国民が安全だと感じるまで、政府は輸入禁止の解除を検討しない」と述べた。
 一方、政府の汚染水関連の定例会見について、マスコミと野党などから日本政府を代弁するものだと指摘されていることについて、パク国務第1次長は「定例会見を始めた目的は国民により正確な情報を伝え不安を解消するため」だとし、「そのような目的なら、こうした定例会見はできるだけ多くの形で繰り返し行うのが良いと判断した」と述べた。
キム・ジョンス先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-06-16 23:23


「The Hankyoreh」 2023-06-16 10:47
■[寄稿]福島原発汚染水「怪談」、2021年vs2023年
 ソ・ボクキョン|ザ・可能研究所代表

【写真】東京電力が福島第一原発に保管中の放射性物質汚染水の海洋放出の設備試運転を開始した12日午後、国会前で「日本による放射能汚染水の海洋投棄阻止のための第2回全国行動の日全国漁民大会」が開かれている=キム・ヘユン記者//ハンギョレ新聞社

 6月12日、日本の東京電力が福島原発汚染水を海洋放出するための試運転を開始した。同日、ハン・ドクス首相は、国会の対政府質疑で「行き過ぎた虚偽の事実の流布などによって水産業従事者が被害を受けることが生じた場合、司法当局が適切な措置を取る」と述べた。13日、与党「国民の力」の蔚山市(ウルサンシ)党支部は「汚染水を『核汚染水』と表現したことによって(…)悪意の怪談を流布した(野党)共に民主党の蔚山市党支部の者に対して『虚偽の事実流布』容疑で警察に告発措置を取る方針」だとする声明を出した。14日、国民の力のキム・ギヒョン代表は、フェイスブックに「(共に民主党の)イ・ジェミョン代表と共に民主党が、狂牛病怪談の扇動専門のデモ軍団と手を結び、国民を相手にまたしても非科学的な怪談を作っている」と書いた。
 2023年、政府と与党は、差し迫った汚染水の海洋放出に対する野党や市民団体、漁業者ら利害関係者の批判と懸念に対して、「怪談」あるいは「虚偽の事実」とレッテル張りをし、必要ならば法的制裁も加える方針のようだ。ところが、その基準によると、与党のキム・ギヒョン代表とチョ・テヨン国家安保室長、パク・チン外交部長官ら現政権の関係者たちの2021年の考えは「怪談」なのか、そうではないのだろうか。
 「日本政府は、2021年4月13日、福島原発の汚染水の海洋放出決定を突然発表した。(…)日本政府は、汚染水はきれいで安全に処理されると主張しているが、汚染水の成分に対する透明性が足りず、処理過程に対する科学的検証が不十分で、国際社会が強く懸念している。福島原発汚染水には、人体に致命的となるトリチウムをはじめとする60種類ほどの放射性物質が含まれているが、完全な除去は難しいとするのが専門家らの意見だ。(…)福島原発汚染水の海洋放出は、人類と未来世代の生命と健康に直結する問題であり、海洋生態系の安全と水産業界の生存にかかわる重大な事案だ。したがって、科学的根拠と透明な手続きをともなう、徹底した検証と安全性の確保が必須だ(「日本政府の『福島放射能汚染水』放出決定糾弾および原発汚染水の安全性確保のための大韓民国政府の積極的な対策要求決議案」キム・ギヒョン議員ら16人発議、2021年4月29日)。

【写真】12日午後、国会前で「日本の放射能汚染水の海洋投棄阻止のための第2回全国行動の日全国漁民大会」が開かれている=キム・ヘユン記者//ハンギョレ新聞社

 「放射能汚染水」と表現すれば「怪談」ではなく、「核汚染水」と言えば「怪談」になるのか。「60種類ほどの放射性物質の完全な除去は難しい」とする専門家らの意見を受け入れた2021年のキム・ギヒョン党代表ら国民の力の議員たちの考えは「科学的意見」であり、2023年に「東京電力の汚染水処理は安全だとは信じがたい」とする野党や市民の意見は「非科学的な怪談」なのか。2021年に日本政府の放出決定を糾弾したことは怪談ではなく、2023年に糾弾をすれば怪談になるのか。いったい政府と与党の「怪談」の基準は何なのか。
 過去2年間、東京電力の汚染水処理技術に画期的な発展があったという根拠はない。政府と与党は7月、「国際原子力機関(IAEA)の最終報告書が出てくれば、客観的根拠が用意される」のだから、その前に様々な批判をすることは「怪談」や「虚偽の事実」に該当するとみなしているようだが、そうした観点であれば、IAEAの最終報告書がいつ出てくるか分からなかった2021年の国民の力の議員たちの決議案こそ、「怪談」ではないだろうか。

【図】「日本政府の『福島放射能汚染水』放出決定糾弾および原発汚染水の安全性確保のための大韓民国政府の積極的な対策要求決議案」(キム・ギヒョン議員ら16人発議)に名を連ねた16人の名前=国会議案情報システムよりキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 2021年以降、日本政府が「科学的根拠と透明な手続きにともなう徹底した検証および安全性確保」を行ったのかどうかについては、見る観点によって立場が違う。キム・ギヒョン党代表らが、2年前とは違い、日本政府と東京電力の「放射能汚染水」処理を「科学的に」信頼できるようになったとすれば、国会やメディアのインタビューなど様々な空間で、根拠を挙げて野党や市民を説得すべきであり、「怪談」や「虚偽の事実」とレッテル張りをして告訴・告発を乱発し、興奮することではないのではないか。
 科学的根拠を持って論じなければならないという主張は、一見妥当にみえる。だが、国内外の科学者の関連の主張自体が多様かつ対立しており、一つの結論に至ることができないのが現実だ。日本社会ですら反対意見が優勢な状況であるにもかかわらず、韓国市民が不安を感じることがおかしなことなのか。
 「不思議で奇妙な話」。「怪談」の辞書での定義だ。汚染水処理や海洋放出の安定性と今後及ぼす影響について、何一つ明らかなことはないが、何より先に「怪談」や「虚偽の事実」と断定する韓国政府と与党の話のほうが、私の耳にははるかに「怪談」に聞こえる。
ソ・ボクキョン|ザ・可能研究所代表 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1096088.html
韓国語原文入力:2023-06-15 18:46


「The Hankyoreh」 2023-06-16 08:23
■[コラム]良心を汚染水で薄めて捨てようとしている日本政府
 チョン・ナムグ|論説委員

【写真】日本の放射性物質汚染水海洋投棄阻止ソウル行動のメンバーが15日午後、ソウル西大門区の西大門駅近くから出発し、放射能汚染水放出中止を求めるパフォーマンスを繰り広げながら鍾路区の在韓日本大使館に向かって行進している=キム・ボンギュ先任記者//ハンギョレ新聞社

 建物の同じ階にある他のオフィスで誰かがタバコを吸っているので消してほしいと言ったら、次のような返事が返ってきたという話を聞いた。
 「ここで私がタバコを1箱ほど吸ったからといって、あなたが受動喫煙でがんになるわけでもあるまいし」。
 福島第一原発で生じた放射能汚染水を今後数十年にわたって福島沖に捨て続けるという日本の態度は、まるでこの人のようだ。日本は遠からず汚染水投棄を強行すると思われる。その日、日本政府はどうにかコップ1杯分ほど残っていた良心すら、汚染水で薄めて捨ててしまうだろう。
 2011年3月に起きた福島第一原発事故は現在も進行中だ。原発1~3号機の1496本の燃料棒に入っていた核燃料は一部燃焼し、セシウムなどの核分裂生成物質が原子炉内に閉じ込められていたが、原子炉が損傷したことで大量に大気中に流出した。かなりの量が風に乗って飛んでゆき、世界中にばらまかれた。
 原子炉内で溶け落ちた核燃料の残骸は地下水を汚染している。高濃度の汚染水が、一時は1日に300トンも海に流れ込んでいた。漏れた総量がどれほどなのかは誰にも分からない。史上最大の海洋放射能汚染を引き起こした1983年の英ウィンズケール再処理施設の放射性廃液流出事故より、はるかに多いだろう。福島沿岸では今も半減期の長いセシウムにひどく汚染された魚がとれる。
 東京電力は汚染水をタンクに貯蔵してきた。汚染水を吸着装置サリー(SARRY)でろ過してセシウムやストロンチウムを除去し、続いて多核種除去設備(ALPS)でろ過してトリチウム(三重水素)以外の管理対象核種を排出基準値以下になるまで除去しているという。炭素14は平均で基準値の40分の1ほどになるというから除くとしても、トリチウムをまったく除去できていない汚染水は「事故によって発生した放射性廃棄物」に過ぎない。それを改めて海に捨てることは、原発事故で人類に大きな被害を与えたことに対する一握りの責任感さえ忘れ去った行為だ。
 汚染水にはトリチウムが1リットル当たり平均68万ベクレル(1ベクレルは1秒間に崩壊する原子核の個数、およびその際に放出される放射線の本数)含まれている。日本の排出基準値であるリットル当たり6万ベクレルの10倍を超える。国際放射線防護委員会(ICRP)は放射線被ばく量を「社会的・経済的な諸要素を考慮して合理的に達成可能な最低の値にする」(As Low As Reasonably Achievable)という原則の下、一般人の被ばく量を年間1ミリシーベルト以下にするよう勧告している。リットル当たり6万ベクレルは、それが含まれた水を1年にわたって1トン飲んだら、被ばく量が1ミリシーベルトに迫る放射能濃度だ。1ミリシーベルトは1万人に1人の割合でがんによる死亡者が発生すると考えられる水準だ。交通事故の死亡率と似たような「その程度の危険は受け入れよう」という意味の込められた数値であるに過ぎず、「安全」を保障する数値ではない。
 日本政府はトリチウムを含む汚染水に50倍ほどの海水を混ぜ、濃度をリットル当たり1500ベクレル未満にまで下げて捨てるという。海水で薄めようというのなら、そもそも高濃度の汚染水も基準値以下にするのはとても簡単だ。地球の海水の総量は136京トンで、130万トンの福島第一原発の汚染水を1兆分の1にまで希釈できるほど大量にあるからだ。「基準値以下だから大丈夫」という言い草は「海はとても大きいから、人間の生活を脅かすほど汚染するにはほど遠い」という暴言に他ならない。
 日本政府は汚染水投棄をやめるべきだ。日本にとっては金のかからない解決策かもしれないが、隣国にとっては何の利益もなく、危険のみを甘んじて受け入れよと要求する権利は日本にはない。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領、政府、与党国民の力は日本政府をかばいだてするのに必死だ。尹大統領の「(福島第一原発では)放射能漏れはなかった」とか「(原発の)安全を重視する官僚的な思考は捨てるべきだ」などの発言との一貫性はあるが、一体どの国の政府なのか。
 私は西海(ソヘ)の塩と南海(ナムへ)の刺身はこれからも食べ続けるつもりだ。汚染水を考えた時の気の重さより、食べられないもどかしさの方がはるかに大きいだろうから。だが、我々が人類共同の資産である海をいかに破壊しているかを考えるとめまいがする。福島第一原発の汚染水に含まれるトリチウムは900兆ベクレルほど。世界各国の原発からは、1カ所当たり年に多くて100兆ベクレルのトリチウムが排出されてきた。英国、フランス、日本の使用済み核燃料再処理施設は、原発の数倍から数百倍の量を排出する。重金属や化学物質、マイクロプラスチックによる汚染は放射能より深刻だ。生命は海から誕生したのにもかかわらず、人類は海を破壊している。

チョン・ナムグ|論説委員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1096106.html
韓国語原文入力:2023-06-15 16:24

韓国野党 来週福島原発訪問へ=社民党が招待

2023年06月20日 | 
「聯合ニュース」 2023.06.17 08:01
■韓国野党 来週福島原発訪問へ=社民党が招待
【ソウル】韓国の革新系野党正義党は17日、東京電力福島第1原発の処理済み汚染水海洋放出を巡り、同党の姜恩美(カン・ウンミ)国会議員をはじめとする「福島汚染水阻止TF」のメンバーが22日から3日間の日程で福島県を訪れると発表した。
 今回の訪日は、日本の社民党の招きによるもので、一行のすべての日程には同党の大椿ゆうこ参院議員が同行するという。
 22日には、日本の超党派議員連盟「原発ゼロ・再エネ100の会」と懇談会を開き、東電を訪れて記者会見や抗議のパフォーマンスを行う計画だ。また原発反対運動を進める日本の市民団体「さようなら原発1000万人アクション」とも懇談会を開く。
 23日には福島第1原発を訪問し、汚染水の保管場所として使用できるかなどを確認する予定だ。


「東亞日報」 June. 15, 2023 08:13
■野党議員73人、福島第一「処理水」で被害漁民支援特別法を発議
 最大野党「共に民主党」の議員らが、日本の福島第一原発の処理水の海洋放出を前に、被害漁民と地域を支援する特別法案を発議した。今週末、仁川(インチョン)で糾弾大会を開くことに先立ち、立法攻勢に乗り出した。
 14日、国会議案情報システムによると、同党や正義党など野党所属議員73人は、「原発処理水の海洋放出による被害漁業者支援及び海洋環境復元などに関する特別法」を前日に発議した。同党の宋在祜(ソン・ジェホ)議員(済州甲)が代表発議した特別法案には、同党最高委員の徐瑛教(ソン・ヨンギョ)、宋甲錫(ソン・ガプソク)議員らも名を連ねた。野党所属議員が大規模な共同発議に参加し、党指導部所属議員も含まれているため、法案推進に弾みがつくとみられる。
 特別法は、被害地域と被害漁業者に対する支援及び海洋環境の復元を迅速に行うことが主な内容だ。具体的には、△原発処理水災害管理基金及び首相傘下の原発処理水被害復旧特別対策委員会の設置、△特別災害地域宣言時の医療・防疫・防除などの支援、△漁民に対する廃業支援金の支給などが盛り込まれた。
 同党は17日、仁川で李在明(イ・ジェミョン)代表を中心に原発処理水の海洋放出に反対する野外集会を行う予定だ。同党関係者は、「日本の処理水放出を前後して、場内外での攻勢を強化する予定だ」と話した。


「The Hankyoreh」 2023-06-13 11:25
■「処理された汚染水が安全ならば、なぜ日本で使わないのですか」…日本政府の回答は
  [ニュースAS]福島原発汚染水の海洋放出「秒読み」

【写真】福島第一原発の敷地タンクに保管中の放射性物質汚染水/AP・聯合ニュース

 日本の福島第一原発の汚染水の海洋放出が秒読み段階に入ったなか、これに反対する側からは、汚染水が安全であるのなら、なぜ日本にとどめて置いたり再使用しないのかという声が強まっている。日本でも提起されたことのある意見だが、日本政府は「積極的に被ばくするのは望ましくない」「相当な調整と時間を要する」という否定的な立場を取っている。
 12日までに日本の環境団体や一般市民、専門家らが汚染水放出について提出した書面意見に対する経済産業省の答弁書によると、汚染水の「日本国内での再使用」に対する説明が出てくる。日本政府は主要な政策を決める際、「パブリックコメント」と呼ばれる意見公募の手順を踏む。
 経済産業省に提出された意見のなかには「多核種除去設備(ALPS)処理水が安全と言うならば、トリチウム水を国家公務員、国会議員、東京電力など関係者に飲んでもらいたい」というものがある。また、「(安全性の確認のために)ALPS処理水を生活用水として再利用してはどうか」という意見もあった。
 これに対して経済産業省は「ALPS処理水については、トリチウムの濃度を国内の規制基準を遵守するまで希釈すれば、これを飲んだとしても、放射線による健康影響は考えられません」と強調した。
 その一方で、「国際放射線防護委員会(ICRP)が公表している考え方であるALARA(As Low As Reasonably Achievable)の原則に基づくと、放射線による被ばくを可能な限り避けるという観点からは、希釈・拡散前の処理水について飲用や生活用水に活用することで、積極的に被ばくするのは望ましくないと考えています」と答えた。1977年にICRPが初めて提起した「ALARAの原則」は「合理的に達成可能な限り低く」という意味で、個人の被ばく量を可能な限り縮小することを要求した概念だ。
 日本政府が汚染水の安全性を強調しながらも「ALARAの原則」を取り上げて論じるのは矛盾だとする批判は避けがたい。日本も、燃料棒まで溶けて流れた事故を起こした福島第一原発と正常な原発から出る放射性物質に差があることは認めている。東京電力は資料で、福島の浄化処理前の汚染水には、セシウム137やストロンチウム90など、一般の原子力発電所からは出ない放射性物質が含まれていることを明らかにしている。セシウム137とストロンチウム90は、半減期(放射能量が初めて半分に減る期間)がそれぞれ30年で、人体に致命的となる放射性物質だ。東京電力は、浄化処理をしたALPS処理水を(海に)放出する場合、国家規制基準を遵守しているため問題ないとする立場だが、ALARAの原則には反する。
 こうした理由から、日本の原子力市民団体は、汚染水を10万トンクラスの超大型タンクに保存したり、汚染水にセメントや砂などを混ぜて固体として保管する「モルタル固体化」の方法を提案している。

【写真】環境運動団体の活動家らが5月19日、ソウルの光化門広場で日本の福島第一原発の汚染水海洋放出計画を批判する内容のパフォーマンスを行っている=キム・ジョンヒョ記者//ハンギョレ新聞社

 ALPSで放射性物質を除去して薄めた汚染水が安全であるのなら、近くにある福島第二原発などを含めた日本国内の他の場所に保管できるのではないかという意見も出された。海洋放出の中心的な理由の一つである福島第一原発のタンク敷地不足の問題を解決できる方法でもある。
 経済産業省は答弁書で「(ALPS)浄化処理や希釈を行うことにより規制基準を満たすようになった水についても、(第一原発の)敷地外に持ち出した上で処分する場合には、現行制度上、輸送中及び持ち出した先でも、所要の管理が求められます」と明らかにした。さらに、「輸送や保管、放出に当たって、(当該地の)自治体を始め様々な関係者との調整が必要となります。このため、その実施には、相当な調整と時間を要します」として、難しいという反応を示した。
 日本政府は、汚染水の海洋放出について、韓国、中国、太平洋諸島などの周辺国家だけでなく日本の漁業者も強く反対しているにもかかわらず、今年夏に押し切るという立場だ。日本が安全だと主張する汚染水の「日本国内での保管」をめぐり、意見の調整に時間がかかるため難しいという説明は、苦しい弁明に聞こえると言わざるをえない。
東京/キム・ソヨン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-06-13 07:40


「The Hankyoreh」 2023-06-14 20:10
■「尹、日本汚染水放流をただ傍観…大統領らしからぬ行動容認できない」=韓国
 釜山水曜集会参加者、日本総領事館前で示威 
 約10万人の反対署名を集め、大統領室などに伝達予定

【写真】14日、釜山東区草梁洞の日本総領事館前の「平和の少女像」付近で、釜山の市民団体が福島原発核汚染水の海洋投棄を傍観する尹錫悦政府を批判する水曜集会を行った=キム・ヨンドン記者//ハンギョレ新聞社

 釜山水曜集会の参加者たちが、福島原発の核汚染水海洋投棄に反対しない尹錫悦政府を批判した。
 釜山で日本の戦争犯罪謝罪・賠償運動をする「釜山キョレハナ」は14日、釜山市東区草梁洞の日本総領事館前の「平和の少女像」付近で水曜集会を開き、「絶対に容認できない福島核汚染水投棄を拱手傍観している尹錫悦(ユン・ソクヨル)政府を糾弾する」と明らかにした。
 同団体は「国民の憂慮を代弁すべき尹錫悦政府は、韓日関係改善という名目で核汚染水の海洋投棄に対して全面的に日本政府と意思を共にしている。海洋投棄そのものに対して憂慮や遺憾、反対のような語彙を一度も使ったことがない。さらに国民の力は、日本の核汚染水投棄に賛成することが国益だといううわごとを並べ立てている」と批判した。
 また同団体は、「日本政府は戦争犯罪に対する心からの謝罪と賠償もなく、全世界の生命体の安全を脅かす原発汚染水の海洋投棄を推進している。今月末、国際原子力機関の最終報告書が出れば、核汚染水の海洋投棄を始めるという。海が汚染されれば、地球の水が汚染されるのと変わらない。しかし、日本側は価格が安いという理由だけで核汚染水の海洋投棄に積極的に乗り出す」と主張した。
 「釜山青年キョレハナ」のパク・ボムシク会員は「国民の安全を無視して国家間の関係だけに集中する大統領らしくない歩みをこれ以上容認できない。汚染された海を絶対に後代に譲らないという気持ちを込めて(核汚染水の海洋放流阻止に)最善を尽くす」と述べた。
 同団体は、釜山の市民社会団体と多くの政党が共にする「日本福島原発核汚染水海洋投棄反対釜山市民10万宣言運動」を先頭に立って知らせ、市民と力を合わせて核汚染水の海洋投棄反対に努める方針だ。
 これに先立って釜山の市民団体は8日、日本福島原発核汚染水の海洋投棄反対、釜山市民10万宣言運動に乗り出した。1カ月間で釜山市民10万人の核汚染水海洋投棄反対署名を集め、大統領室と釜山市、日本大使館などに伝達する計画だ。
キム・ヨンドン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-06-14 14:23


「中央日報日本語版」 2023.06.13 17:55
■旭日旗燃やした済州の農漁民団体「汚染水日本国内保管せよ」
 済州(チェジュ)地域の農漁民と市民社会団体などが日本政府の福島原発汚染水海洋放流計画を強く糾弾して大規模集会を開いた。
 済州地域の50以上の団体で構成された福島核汚染水海洋投棄とTPP阻止済州汎道民運動本部は13日午後、済州の日本総領事館向かい側の片道2車線道路で集会を開き、「日本政府は福島原発汚染水放流計画を即時撤回せよ」と促した。
 集会には警察の推定で800人ほど、主宰側推定で1000人が参加した。
 参加者は原発汚染水放流計画に対する抗議の意思表示として「阻止!核汚染水海岸投棄」「死守!国民生命権」などと書かれたプラカードを持ち、「核汚染水海洋投棄計画を撤回せよ」などとスローガンを叫んだ。
 また、ドラム缶に旭日旗が描かれた垂れ幕を破って入れた後、海女が海中で獲物を捕る時に使う漁具などととともに燃やした。
 この団体は「福島原発汚染水の安全性に対する不信が全世界に広まっている。だが韓国政府は原発汚染水に対する心配と懸念が怪談に起因するとしながらむしろ信頼を送る奇異な状況が広がっている」と批判した。
 この団体は「原発汚染水の安全性が適切な科学的方法により検証され立証されたとするなら海洋投棄を防ぐ理由も名分もない。だが試料採取から分析方法全般にわたって弱点と欺瞞だけ持続してさらしており、証明責任がある日本政府は明確な立場を見せていない」と主張した。
 この団体は「日本国内でもデモと集会が続いている状況自体が原発汚染水の危険性を傍証するもの。日本政府は国際的犯罪行為と変わらない福島原発汚染水の海洋投棄をあきらめ自国内に保管せよ」と強調した。
 参加者は1時間30分にわたり行われた集会を終え、要求事項を盛り込んだ抗議書簡を在済州日本総領事館に伝達した。


「The Hankyoreh」 2023-06-13 07:28
■[寄稿]福島第一原発の汚染水問題でメディアがなすべきこと
 チェ・ジョンイム|世明大学ジャーナリズム大学院長

【写真】日本放射性汚染水海洋投棄阻止ソウル行動の発足記者会見で、参加者たちが汚染水の海洋放出を糾弾し、パフォーマンスを繰り広げている=シン・ソヨン記者//ハンギョレ新聞社

 英国BBCがラジオドラマ形式で放送中のドキュメンタリー「フクシマ」は、2011年3月の原発事故が「人災」だったことを示してくれている。東京電力の首脳部は、2008年に内部の研究者が「マグニチュード9の強震で12~15メートルの津波が原発を襲う可能性があるため、防波堤を高くするべきだ」と報告すると、鼻で笑った。彼らが無視したシナリオは現実となり、電源が水に浸かって停電し、炉心溶融(メルトダウン)が起きた。東電の首脳部は経済的損失を懸念して炉心冷却のための海水注入に反対しているうちに、早期の収拾の機会を逃してもいる。同社は2018年、トリチウム(三重水素)以外の放射性物質は多核種除去設備(ALPS)ですべてろ過されると言ったが、処理した汚染水の70%に基準値以上の放射性物質が残っていたことが暴露された。
 汚染水放出問題は、東電のこうした誤った判断やうその前歴と切り離して考えることはできない。にもかかわらず、韓国の原子力界と一部の政治家は、東電を信じ切っているようだ。彼らの主張はこうだ。第1に、汚染水に含まれる64種の放射性物質をALPSで繰り返しろ過すればトリチウムだけが残り、すべて基準値以下になる。国際原子力機関(IAEA)がそれを検証しているので信頼できる。第2に、トリチウムは飲み水の基準以下に希釈して排出し、莫大な量の海水と混ざるので濃度は無視できるほどになる。第3に、トリチウムが健康に被害を及ぼすことを示す研究はない。第4に、福島第一原発事故の直後に高濃度の汚染水が大量排出されたが、それからの12年間で韓国海域の放射性物質濃度には変化がなかった。第5に、福島第一原発から1年間に放出されるトリチウムの量は、韓国の原発から放出されるトリチウムの量より少ない。第6に、米国などの他国は大丈夫だと言っているのに、韓国だけが大騒ぎしている。
 いっぽう国内外の独立的な専門家たちは、汚染水の環境や健康への影響を憂慮している。太平洋諸島フォーラム(PIF)の委任で研究中の核物理学者フェレンツ・ダルノキベレス、核工学者アルジュン・マクジャニ、生物学者ティモシー・ムソー、そして韓国の産業保健医学者ペク・トミョンとキム・イクチュン、核工学者ソ・ギュンニョルなどが代表的な例だ。彼らの主張はこうだ。第1に、汚染水には発表されたものより多くの種類の放射性物質が含まれており、ALPSの処理能力不足や故障などでトリチウム以外の核種も放出される可能性が高い。IAEAは「原発の育成」が目的であるため、このような問題を明らかにする意志はない。第2に、セシウム、ストロンチウムなどを含む汚染水が船舶平衡水(バラスト水)として韓国の海に直に運ばれてくる可能性があり、魚の食物連鎖などによって人体に影響を与えうる。第3に、トリチウムが有機結合型トリチウム(OBT)として体内に吸収されるとがんや遺伝性疾患を誘発するという研究がある。第4に、福島第一原発事故の直後、東海(トンヘ)沿岸の堆積層でセシウムの数値が急増した記録がある。放射性物質の濃度の変化をきちんと測定するためには、サンプルを大幅に増やさなければならない。第5に、正常に稼動している韓国の原発が排出している水は事故原発の汚染水と同列には扱えないが、韓国の原発のトリチウムも問題だ。原発の周辺地域の住民の甲状腺がん発症率は他の地域の数倍にもなり、韓国水力原子力を相手取って集団訴訟が行われている。福島第一原発の汚染水は、すでに排出されてしまった放射性物質にさらに加わるという点、廃炉の状況によっては30年以上にわたって放出されうるという点で深刻だ。第6に、米国政府は核実験などの原罪と自国の原発問題があるため無視しているが、太平洋の18の島国、中国、香港、ロシア、ドイツなどは放出に反対している。
 メディアはこのような相反する主張を可能な限り検証し、真実を突き止めなければならない。汚染水問題は特に、気候環境、エネルギー、外交、科学などの様々な分野が協業して「事案の全貌」を示さなければならない。残念ながら現在、多くのメディアはそれぞれの声を「中継」するにとどまっている。一方ハンギョレはキム・ソヨン、キム・ジョンス両記者ら関連取材陣の積極的な取材と充実した報道が期待を高める。ただし、協業とマルチメディアによって「立体的な全貌」を見せることに関しては多少物足りなさを感じる。代案についても今より多くの報道が必要だ。超大型タンクへの長期貯蔵やコンクリート埋め立てなどの「陸上保管」方法を、海外の例なども示しつつ具体化するとともに、国際海洋法裁判所に暫定措置を求めるなど、韓国政府の取りうる選択肢も詳しく伝えてほしい。
 環境や健康に関する危険は「予防原則」に則ってあらかじめ対処することこそ正しい。すべてのメディアは「多くの専門家が被害を警告する汚染水放出を放置してもよいのか」と政府に厳しく問うべきだ。
韓国語原文入力:2023-06-12 19:05


「The Hankyoreh」 2023-06-13 07:15
■韓国首相「日本の汚染水放出についての虚偽事実流布は司法措置の対象」
 民主党の放出反対については「扇動」 
 「処理水、飲用基準満たせば飲める」
 韓国のハン・ドクス首相は福島第一原発の汚染水放出をめぐる懸念の声について、「度を越した虚偽事実の流布などで水産業従事者に被害が生じた場合、司法当局が適切な措置を取ると考える」と述べた。「汚染水放出反対」を主張する野党「共に民主党」に対しては「利害当事者に被害を与えるなら(野党の主張を)扇動だと非難しても間違いではない」と述べた。「漁業者などに被害を与えるなら」という前提付きではあるものの、捜査の可能性をほのめかしていることから、汚染水放出に反対する声に圧力をかけている格好だ。ハン首相は、世界保健機関(WHO)の飲用基準を満たせば汚染水は「飲める」とも述べた。
 ハン首相は12日に国会で行われた政治・外交・統一・安保分野の対政府質問で、「政府は、怪談によって国民を扇動する行為が偽りであることが明らかになれば、厳しく責任を問うか」と与党「国民の力」のキム・ソッキ議員に問われ、「虚偽事実の流布行為は民事上の損害賠償請求の対象になりうるし、特定の人物に言及した虚偽事実の流布は刑事上の業務妨害や名誉毀損が成立しうる」と述べた。
 ハン首相は続いて「民主党が扇動の先頭に立っているが、どう思うか」との質問に対し、「科学的事実のない内容で利害当事者に被害を与えれば、扇動だと非難しても間違いではない」と答えた。
 これに対して民主党のキム・ソンジュ議員は、「世論調査を見ると、国民の67.6%が政府の対応は信頼できないと言っている。日本国民も日本政府の説明は不十分だと言っている人が62%だ。国民が信じられないのは怪談の影響を受けているからなのか」とハン首相に問いただした。キム議員は続けて「福島沖でセシウムに汚染されたクロソイが発見されたため、日本の漁業者も(汚染水)放出に反対しているが、韓国政府は懸念ではなく放射能の怪談を心配している。政府は日本の首相室なのか」と追及した。
 ハン首相は「福島第一原発の汚染処理水は飲んでも良いと思うか」とキム議員に問われ、「完全に科学的に処理されたものであれば、WHOの飲用基準を満たしていれば飲める」と答えた。
 一方、この日の対政府質問では、与党議員を中心として、労働組合が利敵行為を行えば政党のように解散させることができる法案を準備すべきだとの主張がなされた。国民の力のキム・サンフン議員はハン・ドンフン法務部長官に対して「民主労総が利敵団体や反国家団体ならば犯罪団体として捜査すべきで、必要ならば解散もできるようにすべきだ」と述べた。これに対しハン長官は「過去にも一般団体、結社が利敵行為を行えば解散させることのできる法案が上程されたが、可決されなかった。立法が進められれば法務部から誠実に意見を表明する」と述べた。
ソン・ヒョンス、シン・ミンジョン、カン・ジェグ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1095619.html
韓国語原文入力:2023-06-12 18:55


「中央日報日本語版」 2023.06.13 07:54
■「日本の汚染水だめ」尹政権に立ちはだかる大邱市長、総選挙控え爽快発言
 「韓国は日本の福島原発汚染水海洋投棄を賛成することもなく、賛成してもなりません」。
 大邱市(テグシ)の洪準杓(ホン・ジュンピョ)市長が11日、自身のフェイスブックに投稿した文の一部だ。こうした単純明快な汚染水放流反対の立場は与党の気流とは異なる。与党「国民の力」と韓国政府はこれまで「国際原子力委員会(IAEA)の調査結果を尊重する」として主に「科学的アプローチ」を強調してきた。しかし洪市長は「これは韓日米の経済・安保同盟とは別個の世界の人の健康権問題。(日本が汚染水を)海洋放流する場合、どこの国も日本の海産物を輸入しないだろう」と警告した。海を挟んだ日本の汚染水放流にもっと敏感になっている慶尚南道(キョンサンナムド)を率いる「国民の力」所属の朴完洙(パク・ワンス)知事が12日に「安全が担保されていない福島汚染水放流に反対する」としながらも「デマと怪談が流布され水産業界と商人が被害を受けないよう対処しなければならない」と話したのと比較すると洪市長の発言レベルははるかに強いとみることができる。
 それでも洪市長が日本関連の問題に無条件で強硬な立場を見せてきたのではない。洪市長はこれまで尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が韓日関係正常化に向け努力する外交的な歩みを後押ししてきた。3月に韓国政府が第三者弁済方式を骨子とした強制徴用被害補償案を発表した後に議論が起きると洪市長は「私の父も徴用工だった。北朝鮮の核と安保が厳しい状況で韓日米自由主義同盟を強固にするための苦肉の策」と評価した。4月の尹大統領の訪日成果に対する野党の批判に対しても「正攻法で国民に説明して理解を求めるのが良くないだろうか」としてかばう姿を見せた。
 そんな洪市長が福島問題に独自の声を出すと与党内でも解釈が入り乱れている。党内の人たちは政界のベテランの洪市長が日本問題の世論の敏感性をだれよりもよく知っているためとみている。竹槍歌を歌っていた文在寅(ムン・ジェイン)政権時代の「反日フレーム」を嫌いだからといって安全問題と直結する原発汚染水問題に国民世論が寛容なはずがないことを政治本能的に知っているだろうという話だ。与党関係者は「洪市長は数回フェイスブックを通じて日本関連問題に対しては尹錫悦政権が国民を直接説得する過程がなければならないと指摘した。それでも政府が努力を見せないので正鵠を射ったとみられる」と話した。実際に党内には「日本が汚染水を放流した後に国民世論が悪化し反日感情が刺激されれば総選挙を控えて与党がその責任をかぶせられないか」という懸念の声も存在する。
 一部では日本との外交的関係を考慮するほかない韓国政府に代わり洪市長が積極的に声を出しているものとの分析もある。あるベテラン議員は「与党内でも福島汚染水放流に対する懸念の見方があるということを日本政府が知らなくてはならないのではないか」と話した。実際に洪市長は12日に自身が作った青年プラットフォーム「青年の夢」で、ある支持者が「党や政府で洪市長に害を及ぼさないか心配」と述べると、「多様な意見が与党内でもなければならない」と答えた。
 与党の重鎮政治家として外交分野で持続的に自分の主張をしようとする意図という見方もある。
 先月2日に「共に民主党」の田溶冀(チョン・ヨンギ)議員らが独島(ドクト、日本名・竹島)を訪問し日本政府が公開的に遺憾を示した時も洪市長は「韓国の議員が韓国の土地に行くのになぜ干渉するのか、本当に滑稽なこと」と一喝して注目を浴びた。当時日本との外交関係を解いていくために努力する韓国政府と足並みを合わせるため相対的に慎重な立場を見せた与党と違い明快な反応を見せたのだ。
 日本だけでなく中国に向かっても連日強いメッセージを出しているのも同じ脈絡と解説される。洪市長は邢海明駐韓中国大使が民主党の李在明(イ・ジェミョン)代表と8日に会った席で「米国が勝利し中国が敗北するという賭けをしているがこれは誤った判断」としながら韓国政府を狙ったことに対し「横柄なことこの上ない」と直撃した。洪市長は「やることなすこと文在寅政権当時に韓国政府に対したようにする。大国根性だけで国を引っ張っていくのが難しい時代になったのに本当にあきれる中国大使の時代錯誤的発言」と公開批判した。
 与党関係者は「韓国国民の大多数は中国であれ日本であれだれにでも堂々としていることを願う。洪市長の立場ではそうした国民の目線に合わせてスカッとする発言を続けているのではないだろうか」と話した。


「中央日報日本語版」 2023.06.12 10:35
■「日本汚染水放流に反対」大邱市長、周りから懸念の声に「与党も様々な意見が必要」=韓国
 洪準杓(ホン・ジュンピョ)大邱(テグ)市長は日本政府の福島原発汚染水放流の動きに対して明確に反対の立場を示した理由について「様々な意見が必要だ」と説明した。
 12日、洪市長は自身が作った疎通チャンネル「青年の夢」で支持者たちが「洪市長らしく国民の力を気にせず汚染水の放流に反対し、すっきりした」としながらも「このようなことで与党や政府が洪市長に害を及ぼすのではないかと心配だ」と言うと、「様々な意見が与党内でも必要だ」とし、国民の一部の憂慮を代わりに伝えたものだと話した。
 洪市長は「政府としても仕方ないだろう」とし、「日本が国際原子力機関(IAEA)から『安全性』を担保されたと主張し、韓米、韓日、韓日米関係など北東アジアの情勢などを考えると、韓国政府もひたすら拒否することは難しいと納得できる側面がある」と指摘した。
 これに先立って、洪市長は11日、自身のフェイスブックを通じて「わが国は日本の福島原発汚染水の海洋投棄に賛成せず、賛成してはならない」として汚染水の放流に反対した。
 また「これは韓日米経済安保同盟とは別に世界人の健康権問題であるためであり、海洋投棄は日本の自害行為になるだろう」と警告した。
 これはIAEAの検証結果、問題がなければ汚染水の放流に反対しないという政府与党の動きとは温度差がある発言だ。

ソウル市長「安全性が検証されていない汚染水放出に反対、韓国政府も同じ考え」

2023年06月19日 | 
「The Hankyoreh」 2023-06-16 08:30
■ソウル市長「安全性が検証されていない汚染水放出に反対、韓国政府も同じ考え」
 ソウル市のオ・セフン市長は、安全性が検証されていない日本による福島第一原発の汚染水放出に反対するとの立場を明らかにした。
 オ市長は15日、ソウル市議会第319回第4次本会議の市政質問で、共に民主党のイ・ソラ議員から福島第一原発の汚染水放出に対する考えを問われ、「1000万人のソウル市民の健康と安全に責任を持つべき市長として、国際基準に合わず、客観的に科学的に安全性が検証されていない日本の汚染水放出には断固反対する」と答えた。
 「国務会議で尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領に対して、汚染水放出に反対するとの立場を表明する意向はあるか」とのイ議員の質問に対しては、「中央政府と私の考えは同じなのに、立場を明らかにする必要があるのか」と問い返した。そして「対政府質疑の過程でのハン・ドクス首相やパク・チン外交部長官の発言は私の考えと同じだが、誤解を受けている」、「政府が安全性の確保を疎かにしたように映る場面が演出されており、非常に残念だ」と語った。続いて「むやみに反対スローガンを叫び、怪談に近い扇動を行う勢力にも明らかに原因がある。その部分を明確にしなければならない」と付け加えた。
 オ市長は、下半期に汚染水が放出された時に備え、ソウル市はどのような対策を考えているのかと問われ、「食品の安全に責任を負う食品医薬品安全処、農林畜産食品部などの中央政府が、二重三重に今より徹底した検証システムを作動させ、汚染物質検査を増やすだろう」とし「ソウル市も検査要請があれば、どんな対象に対しても検査できるシステムを整えていく」と答えた。
ソン・ジミン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-06-15 15:26


「The Hankyoreh」 2023-06-16 09:15
■[フォト]「放射性廃棄物入りドラム缶」模型を日本大使館へ…「放出やめよ」 =韓国

【写真】日本の放射性汚染水海洋投棄阻止ソウル行動のメンバーが15日午後、「放射性廃棄物」と記されたドラム缶をリアカーに積み、在韓日本大使館に向かって行進している=キム・ボンギュ先任記者//ハンギョレ新聞社

 韓国の環境団体が、福島第一原発の放射性汚染水の海洋放出の中止を求めて「放射能廃棄物」と記されたドラム缶を車に積んで在韓日本大使館まで行進した。
 「日本の放射性汚染水海洋投棄阻止ソウル行動」のメンバーは15日午前、国民の命と海を守るための抗議行動を開始し、ソウルの西大門(ソデムン)駅の前から「放射性廃棄物入りのドラム缶(模型)」をリアカーに載せて引いてソウル鍾路区(チョンノグ)にある在韓日本大使館まで行進した。
 日本大使館前に到着した人々は「日本による福島第一原発の汚染水放出の中止を求める抗議記者会見」を行い、日本政府に放射性汚染水の海洋投棄の中止と自国内での保管を要求した。続いて抗議書簡を日本大使館に渡そうとしたが、警察に制止された。
 ソウル行動は24日の全国第3回集中行動の日まで、毎日昼休みに日本大使館に抗議書簡を渡す予定だ。
 日本政府は12日、福島第一原発の放射性汚染水の海洋放出に使用する海底トンネルの2週間にわたる試運転を開始した。

【写真】日本の放射性汚染水海洋投棄阻止ソウル行動のメンバーが「放射性廃棄物」と記されたドラム缶をリアカーに載せ、在韓日本大使館に向けて行進している=キム・ボンギュ先任記者//ハンギョレ新聞社
【写真】日本の放射性汚染水海洋投棄阻止ソウル行動のメンバーが在韓日本大使館に向かって行進している=キム・ボンギュ先任記者//ハンギョレ新聞社
【写真】日本の放射性汚染水海洋投棄阻止ソウル行動のメンバーが在韓日本大使館を目指して行進している=キム・ボンギュ先任記者//ハンギョレ新聞社
【写真】日本の放射性汚染水海洋投棄阻止ソウル行動のメンバーがソウル鍾路区の在韓日本大使館前で抗議の記者会見を行っている=キム・ボンギュ先任記者//ハンギョレ新聞社
【写真】日本の放射性汚染水海洋投棄阻止ソウル行動のメンバーがソウル鍾路区の在韓日本大使館に抗議書簡を渡そうとしているのを、警察が制止している=キム・ボンギュ先任記者//ハンギョレ新聞社
【写真】日本の放射性汚染水海洋投棄阻止ソウル行動のメンバーがソウル鍾路区の在韓日本大使館前で「汚染水放出、絶対にだめ」と記されたプラカードを手にしている=キム・ボンギュ先任記者//ハンギョレ新聞社

キム・ボンギュ先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-06-15 16:55


「The Hankyoreh」 2023-06-15 08:51
 韓国政府と野党は国会での対政府質問最終日の14日にも、福島原発汚染水の海洋放出の安全性をめぐり舌戦を続けた。与党は尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の福祉・報勲分野政策の成果を強調することに力を入れた。
 野党「共に民主党」はこの日国会で開かれた教育・社会・文化分野の対政府質問で、福島原発汚染水の海洋放出問題をめぐり、前日に続いて政府与党に攻勢をかけた。同党のナム・インスン議員はハン・ドクス首相に「日本が海洋放出にこだわる理由は、原発事故の痕跡を消せるうえに最も安価で簡単な方法であるため」だとし、「(原発)事故が起きた場合、汚染水を海に投棄する非常に悪い先例を作ることになる」と指摘した。
 これに対し、ハン首相は「今後日本が行う予定の30年間にわたる海洋放出の過程で、執拗かつ徹底的に国際機関と協力しながら科学的な措置が取られるようにする」とし、「違法で非科学的な海洋放出が行われた場合は、大韓民国が先頭に立ってそのような問題に反対しなければならない」と述べた。
 政府が国際原子力機関(IAEA)の調査結果を疑いもせず従っているという指摘も出た。民主党のユン・ジュンビョン議員は「IAEAは東電の試料だけを採取し分析しており、(東電から受け取った)情報も偏ったものであるため、分析結果が一貫していない」とし、「極めて限られた検証に過ぎないのに(韓国政府は)これに従っている。政府は国民の信頼を得られるよう独自に試料を採取し検証すべきだ」と述べた。
 特にハン首相が12日の政治・外交・統一・安保分野の対政府質問で、世界保健機関(WHO)の飲用基準を満たせば汚染水を「飲める」と発言したことに対しても攻勢が続いた。ナム・インスン議員は「首相は(汚染水を)一度飲むだけの話だが、福島沖と太平洋の魚たちは30年にわたり(汚染水に)されされ続ける。それについてどう思うか」と尋ねた。これに対してハン首相は「(国際的飲用)基準を満たしていれば、(原発汚染水から)韓国国民の健康は守られると思う」と答弁した。
 与党「国民の力」は、尹錫悦政権の政策を強調した。ユン・ジュギョン議員は、「(国家報勲処が)国家報勲部に昇格したのは尹錫悦政権の大きな業績であり、第21代国会が収めた与野党協力の成果だ」と述べた。ユン議員は尹奉吉(ユン・ボンギル:朝鮮の独立運動家。1932年上海虹口公園でひらかれた日本居留民による天長節祝賀会の会場で爆弾を投げて日本の高官たちに重傷を負わせた)義士の孫娘にあたる。一方、同党のキム・イェジ議員は政府の障害者政策予算の拡大を要求した。視覚障害をもつキム議員は、点字で印刷された質疑資料をもとに国務委員に対して落ち着いて質疑を行い、本会場の議員たちから拍手を受けた。
イ・ウヨン、シン・ミンジョン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力: 2023-06-15 02:39


「The Hankyoreh」 2023-06-15 07:06
■「日本の汚染水放出をただ傍観…大統領らしからぬ行動容認できない」=韓国
 釜山水曜集会参加者、日本総領事館前で集会 
 約10万人の反対署名を集め、大統領室などに渡す予定

【写真】14日、釜山東区草梁洞の日本総領事館前の「平和の少女像」付近で、釜山の市民団体が福島原発汚染水の海洋投棄を傍観する尹錫悦政権を批判する水曜集会を行った=キム・ヨンドン記者//ハンギョレ新聞社

 釜山水曜集会の参加者たちが、福島原発の汚染水海洋投棄に反対しない尹錫悦政権を批判した。
 釜山で日本の戦争犯罪謝罪・賠償運動をする「釜山キョレハナ」は14日、釜山市東区草梁洞の日本総領事館前の「平和の少女像」付近で水曜集会を開き、「絶対に容認できない福島原発汚染水投棄を手をこまねいて傍観している尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権を糾弾する」と明らかにした。
 同団体は「国民の憂慮を代弁すべき尹錫悦政権は、韓日関係改善という名目で原発汚染水の海洋投棄に対して全面的に日本政府と意思を共にしている。海洋投棄そのものに対して憂慮や遺憾、反対のような語彙を一度も使ったことがない。さらに与党『国民の力』は、日本の汚染水投棄に賛成することが国益だという虚言を並べ立てている」と批判した。
 また同団体は、「日本政府は戦争犯罪に対する心からの謝罪と賠償もなく、全世界の生命体の安全を脅かす原発汚染水の海洋投棄を推進している。今月末、国際原子力機関の最終報告書が出れば、汚染水の海洋投棄を始めるという。海が汚染されれば、地球の水が汚染されるのと変わらない。しかし、日本側は価格が安いという理由だけで汚染水の海洋投棄に積極的に乗り出している」と主張した。
 「釜山青年キョレハナ」の会員パク・ボムシクさんは「国民の安全を無視して国家間の関係だけに集中する大統領らしからぬ態度をこれ以上容認できない。汚染された海を絶対に後世に譲らないという気持ちを込めて(原発汚染水の海洋放出阻止に)最善を尽くす」と述べた。
 同団体は、釜山の市民社会団体と多くの政党が共にする「日本の福島第一原発汚染水の海洋投棄に反対する釜山市民10万人宣言運動」を先頭に立って知らせ、市民と力を合わせて汚染水の海洋投棄反対に努める方針だ。
 これに先立って釜山の市民団体は8日、「日本の福島第一原発汚染水の海洋投棄に反対する釜山市民10万人宣言運動」に乗り出した。1カ月間で釜山市民10万人の汚染水海洋投棄反対署名を集め、大統領室と釜山市、日本大使館などに渡す計画だ。
キム・ヨンドン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-06-14 14:23


「The Hankyoreh」 2023-06-12 07:23
■IAEA最終報告書が出る前に…汚染水放出、きょうから「試運転」

【写真】福島第一原発の敷地のタンクに保管中の放射性物質汚染水/聯合ニュース

 東京電力は、福島第一原発に保管中の放射性物質汚染水の海洋放出に向け、12日から試運転を開始する。国際原子力機関(IAEA)の最終報告が出ていないにもかかわらず、事実上、放出の日程を繰り上げている。
 東電は、今年夏の放出を前にして、12日から中心となる設備などに問題がないかを点検する試運転を約2週間実施する予定だと明らかにした。放射性物質がない水と海水を混ぜ、約1キロメートルの長さの海底トンネルを通じて海洋放出する作業を実際に進める予定だ。緊急状態が発生した場合、汚染水を止める遮断装置が正しく作動するかどうかも確認する。
 原発が位置する海岸から1キロメートルの長さで作った海底トンネルは、汚染水放出のための中心となる設備だ。海底トンネルを通じて、少し離れた場所から汚染水を放出すれば、水産物の汚染の懸念による漁民への被害を減らせるとする日本政府の考えによるものだ。試運転は約2週間ほど行われる計画だ。
 現在、汚染水放出に関しては、海に排出する前に汚染水を集めておく水槽の一部の工事だけが残っている状況。東電は今月末までにすべての工事を終わらせる方針だ。
 IAEAの最終報告も今月中に出される。IAEAは、先月29日から今月2日まで福島を訪問し、汚染水についての最後の調査を進めた。今月中に、汚染水の安全性▽原子力規制委員会の対応の妥当性▽試料調査の結果など3つの分野を包括的に含めた最終報告を発表する。日本では「何の問題もない」とする報告書が出てくると確信されており、放出の日程が進められている。
 日本政府は放出を控え漁業者に会い、詰めの説得作業に乗りだしたが失敗した。西村康稔経済産業相は10日、汚染水の放出によって直接の被害を受けることになる福島県と近隣の宮城県、茨城県など3カ所を訪問し、各地域の漁業団体関係者に汚染水放出に対する理解を求めた。
 3県の漁業者は「海洋放出に断固として反対する」と明らかにするなど、これまでの立場を守った。福島県漁業協同組合連合会の野崎哲会長は取材陣に「今後も国の説明は聞くが、(汚染水放出)反対は変わらない」と述べた。西村経済産業相は「反対の声は受け止めないといけない」としながらも「夏ごろの放出方針に変わりはない」と明らかにした。
東京/キム・ソヨン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-06-12 02:30


「The Hankyoreh」 2023-06-09 07:21
■「セシウム180倍のクロソイにNO…汚染水を日本の陸地に保管せよ」=韓国

【写真】福島原発汚染水の海洋投棄に反対する国際連盟団体の関係者らが、汚染されたクロソイが描かれたプラカードを掲げている=シン・ソヨン記者//ハンギョレ新聞社

 福島原発汚染水の海洋放出に対する市民社会団体の懸念の声が高まり続けている。
 8日午前、ソウル鍾路区(チョンノグ)の日本大使館前を訪れた市民社会団体はそれぞれ記者会見を開き、日本政府の原発汚染水の海洋放出を糾弾し、「汚染水の海洋投棄を阻止するためのソウル行動」の発足を宣言した。彼らは口を揃えて「日本政府は福島原発汚染水を自国の陸地に保管せよ」と叫んだ。
 まず記者会見を開いた環境、農漁民、労働、市民社会などの団体が参加した「日本の放射性物質汚染水の海洋投棄を阻止するための共同行動」は8日、国際海洋のデーを迎え、共同行動を起こした。同共同行動には93の韓国の市民団体と76の日本の市民団体、その他27カ国の72団体および国際団体7団体が名を連ねたうえ、31カ国から208人の個人も参加し、汚染水の海洋投棄に対して反対する意思を伝えたと明らかにした。彼らは日本政府に福島原発の汚染水を陸地で保管処理するよう求めた。
 さらに「日本の放射性物質汚染水の海洋投棄を阻止するためのソウル行動」が記者会見を開いた。同団体は国際海洋デーを迎え、ソウル環境連合、ソウル民衆行動などソウル地域の20余りの市民社会団体で発足された。彼らは「日本政府は7月以後、福島原発の放射性物質汚染水の海洋投棄を予告している」とし「日本政府は福島原発の汚染水を陸地に保管する代案などが存在するにもかかわらず、海洋投棄を強行しようとしている」と糾弾した。また、「放射性物質汚染水の海洋放出は絶対だめだ」などと書かれたプラカードをポスターに貼り付けるパフォーマンスをした後、日本大使館に抗議書簡を渡そうと試みたが、警察によって制止された。
 一方、福島第一原子力発電所の港湾で獲れたクロソイから放射性物質のセシウムが食品基準値の180倍も検出されたという日本メディアの報道以降、海洋水産部は7日、これに関連して「福島産水産物の国内輸入はない」と明らかにした。
 問題のクロソイは大きさ30.5センチ、重さ384グラムで、原発1~4号機の沿岸で防波堤に囲まれたところでとれた。
 同日の現場を写真で振り返る。

【写真】「日本の放射性物質汚染水の海洋投棄を阻止するためのソウル行動」の発足記者会見で、参加者たちが原発汚染水の海洋放を糾弾するパフォーマンスを行っている=シン・ソヨン記者//ハンギョレ新聞社
【写真】「日本の放射性物質汚染水の海洋投棄を阻止するためのソウル行動」の発足記者会見後、参加者たちが、日本大使館に抗議書簡を渡そうとしたが、警察によって制止されている=シン・ソヨン記者//ハンギョレ新聞社
【写真】福島原発汚染水海洋投棄に反対する国際連盟団体の関係者らが、日本大使館前で原発汚染水の海洋投棄を糾弾する記者会見を開き、スローガンを叫んでいる=シン・ソヨン記者//ハンギョレ新聞社
【写真】8日午前、ソウル鍾路区の日本大使館前で「日本の放射性物質汚染水の海洋投棄を阻止するためのソウル行動」の関係者らが記者会見を開き、日本政府の福島原発汚染水の海洋投棄を阻止する「ソウル行動」発足を宣言している=シン・ソヨン記者//ハンギョレ新聞社

シン・ソヨン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-06-08 20:46


「中央日報日本語版」 2023.06.06 07:08
■日本「海底トンネルに海水注入開始」…汚染水放流準備が大詰め
 日本が今年の夏の福島第一原発汚染水放流を控えて放流準備に拍車を加えている。
 地元民放である福島テレビは5日、東京電力を引用して陸側と海側の両方から海底トンネル内に海水を入れる作業が始められたと伝えた。
 東京電力関係者はこの放送でトンネルの大きさを説明しながら海水を満たすのに「単純計算で20時間くらい(かかる)」と明らかにした。変数が発生しない限り、早ければ6日にも海水を満たす作業が完了するものとみられる。
 日本は発電所から海まで掘った約1キロの海底トンネルを通じて汚染水を放出する予定だ。海水を満たす手続きに着手したということは放流が迫っているという意味でもある。
 東京電力は掘削作業を完了したのに続き、最近トンネル内部に残っていた各種重機などを撤去して原子力規制委員会(NRA)による検査を受けてきたが、これも前日に終了した。
 同メディアは「海底トンネルの工事は2023年6月末までに完了する見通し」としながら「これにより設備面での準備は整うことになる」と報じた。
 これに先立ち、日本政府は汚染水放流時期を今年夏ごろと予告して強行意志を曲げないでいる。先週には国際原子力機関(IAEA)調査団の包括的検証手続きも完了した。
 IAEAは日本が汚染水を放流する前に最終報告書を公開する予定だという。
 一方、先月21日に福島汚染水放流関連の現場点検のために日本に出国した韓国政府の福島視察団は、31日、「視察過程で東京電力から汚染水の多核種除去設備(ALPS)の入・出口の濃度ローデータ(未加工データ)を要求して確保した」と明らかにした。


「The Hankyoreh」 2023-06-06 06:59
■日本の原発汚染水海洋放出、最終段階に突入…海底トンネル完成、海水の注入開始
 福島第一原発汚染水の海洋放出のため、海底トンネルに海水を入れる作業が始まった。福島第一原発汚染水を海に放出するための準備作業が大詰めを迎えている。
 福島テレビなど福島地域のマスコミは5日、同日午後に福島第一原発から海まで続いた海底トンネルの掘削作業が完了し、海水の注入作業が始まったと報じた。福島第一原発の隣接海岸から長さ1キロメートルの海底トンネルを作る作業は、汚染水を海に放出するための核心工事。海底トンネルを通じて海岸から若干離れたところで汚染水を放出すれば、放射性物質のトリチウムの希釈が容易になり、水産物汚染に対する懸念から漁業関係者が受ける被害も減らせるというのが日本政府の考えだ。
 トンネル内部を海水で満たし、トンネルと海を連結すれば、汚染水の放出準備はかなり完了することになる。福島第一原発の運営会社である東京電力は今月末までに海底トンネル工事を完了する予定だ。国際原子力機関(IAEA)は最近、福島第一原発汚染水の海洋放出に関する最後の現地調査を終え、今月中に最終報告書を発表するものとみられる。今年春か夏に汚染水の海洋放出を始めたい意向を示してきた日本が、IAEAの最終報告書発表後、汚染水の放出を強行する可能性がある。
チョ・ギウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-06-06 00:24


「The Hankyoreh」 2023-06-05 20:03
■「汚染水が安全なら、なぜ日本に置かないのか」…「直撃弾」飛ばしたフィジー長官
 日本防衛相とともにしたアジア安全保障会議の公開発言 
 「島国は地球環境問題が安全保障と直結」

【写真】3日(現地時間)、シンガポールで開催された第20回アジア安全保障会議(シャングリラ対話)中に開かれた「海洋の安全保障秩序」に関するセクションに、ティコンドゥアンドゥア内務長官(右)と浜田防衛相が出席した/ロイター・連合ニュース

 「日本が(福島第1原発の)汚染水が安全だと言うなら、なぜ日本の中に置かないのか。フィジーは海洋放流を非常に心配している」。
 フィジー内務長官のティコンドゥアンドゥア氏が、日本の浜田靖一防衛相とともに出席した国際会議で、福島第1原発に保管している放射性物質汚染水の海洋放流を公式に批判したという。
 5日付の朝日新聞によると、3日(現地時間)シンガポールで開催された第20回アジア安全保障会議(シャングリラ対話)中に開かれた「海洋の安全保障秩序」関連セクションに、フィジーのティコンドゥアンドゥア長官と浜田防衛相が出席した。ティコンドゥアンドゥア長官はこの日「気候変化にともなう海面上昇などに露出した島国は、地球環境問題が安保と直結している」と訴えた。
 討論の中である参加者が浜田防衛相に福島汚染水の海洋放流について質問を投げかけた。浜田防衛相は「国際原子力機関(IAEA)が確認し、様々な国の科学者にも評価を受けながら安全性を確認し、理解を受ける中で放流していく」と説明した。
浜田靖一防衛相が3日(現地時間)、シンガポールで開催された第20回アジア安全保障会議(シャングリラ対話)中に開かれた「海洋の安全保障秩序」関連セクションで発言している。フィジーの内務長官(右端)が演説を聞いている/ロイター・連合ニュース
 浜田防衛相の話が終わると、近くにいたティコンドゥアンドゥア長官は「日本が汚染水は安全だと言うなら、なぜ日本に置かないのか」と批判した。続いて「もし海に放流すれば、いつか(汚染水が)南側に流れてくる。非常に心配している」と強調した。フィジーの内務長官が浜田防衛相の面前で汚染水の放流をめぐる日本の矛盾を直撃したわけだ。
 フィジーは太平洋の島国18カ国が作った太平洋島嶼国フォーラム(PIF)の加盟国だ。太平洋の島国は、核物理学・海洋学・生物学など各分野の国際専門家で構成された独立的諮問団を構成し、1年間検証した末に福島原発汚染水の安全性が不確実だとし「放流延期」を求めている。
東京/キム・ソヨン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-06-05 18:50


「The Hankyoreh」 2023-06-05 08:38
■韓国の沿岸漁業者団体が汚染水放出を批判した教授を告発

【写真】福島第一原子力発電所にある汚染水貯蔵タンク。日本は原発事故で発生した貯蔵中の汚染水133万トンを30年かけて海に放出する計画だ/聯合ニュース

 韓国の漁業者が、福島第一原発の汚染水放出に批判的な意見を表明してきたソウル大学原子核工学科のソ・ギュンニョル名誉教授を告発した。
 忠清南道の泰安(テアン)警察署の4日の説明を総合すると、韓国沿岸漁業人中央連合会は2日、ソ教授を業務妨害容疑で処罰するよう求める告発状を提出した。
 警察の関係者は「漁業者団体は告発状で、ソ教授が放送などに出演して事実ではない内容を語るなど、漁民の業務を妨害したと主張している」と説明した。
 ソ教授はこれまで放送などに出演して「水深200~500メートルの水は中国の方へ行き、中国の東シナ海と南シナ海の方へと進んでから台湾海峡を通って済州道近海を進み、東海(トンヘ)に流入するのに5~7カ月かかる」と主張してきた。また「きれいな水であれば、私なら捨てないと思う。工業用水、農業用水として使う。安全ではないということを反証している」などと発言した。
 韓国沿岸漁業人中央連合会は、ソ教授の発言のせいで漁民が被害を受けていると主張している。同連合会のキム・デソン会長はハンギョレの電話取材に対し、「(ソ教授は)科学的根拠なしにいいかげんな発言をしている。被害はまるごと漁民がこうむる。現在、南海(ナムへ)に住んでいるが、(福島第一原発事故から)12年たったのに汚染水の影響を受けた魚は釣ったことがない。科学的根拠があれば漁民が損害を受けても発表すべきだが、今はそのようなものはない」と主張した。
 キム会長はまた「ソ教授は地下に浸透した汚染水をカタクチイワシが食べ、カタクチイワシは大きな魚に食べられてがんを誘発するというが、理解できない。魚に関心のない人はそのままやり過ごしても、我々にとっては生計だ。命だ。科学的根拠なしに言ってはならない。ソ教授は国際原子力機(IAEA)も信じられないと言っているが、国際機関を信じられなかったら我々国民は何を信じるべきなのか。荒唐無稽だ。あんな話をされたら消費が落ち込んでしまう。我々は破綻・消滅の道を歩まなければならない」と訴えた。
パク・スヒョク、アン・テホ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-06-04 19:42


「中央日報日本語版」2023.06.01 17:10
■日本の汚染水5カ月後に韓国周辺海域に? 韓国海洋水産部、教授の主張に反論
 韓国海洋水産部が最近日本の福島汚染水放流と関連してソウル大学原子力核工学科のソ・ギュンリョル名誉教授が提起した疑惑に対し積極的な釈明に出た。政府が特定教授の主張にひとつずつ反論するのは異例だ。
 海洋水産部が1日に発表した「国民の健康と安全を守れるよう努力します」という題名の報道説明資料によると、ソ名誉教授は最近ある放送に出演し「水深200~500メートルの水は中国側に行き、中国、東シナ海と南シナ海側に行って台湾海峡を通じ済州島(チェジュド)近海に行き東海(日本名・日本海)に流入するのに5~7カ月かかる」と主張した。
 だが海洋水産部は最近発表した韓国原子力研究院と韓国海洋科学技術院で発表したシミュレーション結果を引用し「放出された汚染水のうち三重水素は4~5年後から韓国周辺海域に流入し10年後に1立方メートル当たり0.001ベクレル前後に到達することが明らかになった。この濃度は韓国海域の三重水素平均濃度(1立方メートル当たり172ベクレル)の10万分の1水準」と反論した。海水が流入する時期もはるかに遅く、それにともなう影響もわずかだという趣旨だ。

◇「バラスト水交換、実効性ない」vs「以前から使っていた方式」
 船舶のバラスト水交換と関連した攻防も続いた。バラスト水は船舶のバランスを取るためタンクに注入・排出する海水で、これまで原発汚染水がバラスト水を通じて国内海域に流入しかねないという懸念が提起されていた。これに対し韓国政府は福島近隣2県で注入されたバラスト水は管轄水域外で交換し入港するように措置している。
 ソ名誉教授は公海上でのバラスト水交換は船舶がバランスを失いかねずとても難しいと指摘した。また、バラスト水を交換しても排出したバラスト水が再び船舶内に注入されるため実効性がないと明らかにした。
 だが海洋水産部は「バラスト水交換はタンク別に順番に交換したり注入と排出を同時に行うなど船舶の安定性に影響を与えない方法で航海中でも十分に可能で、すでに使われてき方式。ほとんどの船舶は注入口と排出口の位置が違うため排出したバラスト水が注入されるのではない」と反論した。

◇「水産物は自由に行き来する」vs「韓国沿岸に来る可能性低い」
 ソ名誉教授は水産物が海流と関係なく日本と韓国を思いのままに行き来するのでしっかりとした検査が大変だとも指摘した。これに対し海洋水産部は「水産専門家の意見によると国内で漁獲される魚類の分布、回遊ルート、操業位置、海流移動などを考慮すると、福島周辺海域の魚類が韓国沿岸まで移動する可能性は極めて低い」と明らかにした。続けて「日本の原発事故を機に生産段階の水産物の放射能検査品目と件数を拡大し、遠洋産・近海産・養殖水産物すべてに検査を実施している。2011年3月から現在まで実施した約2万9000件の検査で放射能の基準値を超過した事例はなかった」と付け加えた。
 海洋水産部関係者は「確認されていない事実に基づいた主張で漁業関係者だけでなく水産業界への被害が懸念される点を考慮して一方的な主張を流布しないよう求めたい」と強調した。


「中央日報日本語版」 2023.06.01 09:09
■「疑問を解消できない視察」 汚染水視察団の発表を韓国環境団体が批判

【写真】福島県富岡駅にある放射能線量計。ここは福島第1原発から10キロ離れている。イ・ヨンヒ特派員

 福島第1原発の汚染水処理施設を点検して帰国した韓国政府視察団の結果発表に対し、環境団体が31日、「懸念したように日本政府を立てるような視察だった」と批判した。
 日本放射性汚染水海洋投棄阻止共同行動(以下、共同行動)はこの日午後2時、ソウル市中区(チュング)で記者会見を開き、「視察団派遣を決定した時から懸念されたように、日本政府の立てるような視察だったことが明らかになった」と主張した。
 共同行動は▼視察団が試料採取と検証もできずに帰国し、東京電力が提示した標本の代表性問題に対する疑問を解消できなかった▼廃炉(原子炉永久閉鎖)過程が進行されない状態で30年以上続く汚染水発生問題の対策への評価がない▼トリチウムの生物学的濃縮と海洋生態系に及ぼす影響を十分に扱っていない点などを問題に挙げた。

◆「海洋投機が他の代案と比べてよいという根拠を知るべき」
 この日、記者会見に参加した専門家らは「視察団が日本の汚染水処理設計自体に問題がある可能性を検討した内容が発表になかった」と指摘した。海洋放出が他の処理方式と比較してこの問題を解決するうえでよいという根拠を視察団が確認、把握することができなかったというのが最も重要な問題ということだ。
 ソウル大の白道明(ペク・ドミョン)教授(元ソウル大保健大学院長)は「原子力業界である措置を取る時は『正当化の原則』(措置を取って得る社会構成員の利益が害よりも大きくなければいけないという原則)に基づかなければいけない」とし「日本の汚染水海洋投棄(放出)が正当化の原則に基づくものかについて視察団が点検したのか疑問」と述べた。
 原子力の安定と未来(民間原子力団体)のイ・ジョンユン代表は「福島原発事故が発生した2011年から海洋投棄を決定するまでの過程をみると、最初から海洋投棄を念頭に置いて汚染水処理計画を設計して進めてきたことが分かる」と主張した。

◆「トリチウム体内被ばく時は有害という反論も」
 トリチウムの有害性もさらに深く問いただすべきという指摘もあった。白教授は「トリチウムの場合、外部被ばくが危険でないと知られているが、有機結合を通じて体内に蓄積された水産物を摂取するなど体内被ばく時に人体に悪い影響を及ぼすという反論が引き続き提起されている」と説明した。
 イ代表も「一般原発から放出するトリチウムとALPS(多核種除去設備)を経た福島汚染水は違う」とし「汚染水にはトリチウムの他にもプルトニウムなど多核種が含まれていて、ALPSはこれを減らすだけで完全に除去することはできない」と話した。

◆「視察団がすべき質問と検証はこれ」
 視察団が海洋放射能レベルを評価する際、表層海水調査に限定するのではなく、海底堆積物、魚類の放射能数値に基づいて福島汚染水海洋放出安全性問題を判断すべきという指摘も出てきた。単純に表層海水の放射能を根拠に人体に及ぼす影響を検討してはいけないということだ。
 白教授は「韓国原子力安全技術院(KINS)の海洋環境放射能調査の結果をみると、東海岸の海底堆積物からセシウム137の濃度が(福島原発事故が発生した)2011年に急激にピークになった後、減少している」とし「この数値が意味することについて質問を投じるべきだ」と述べた。


「The Hankyoreh」 2023-06-01 07:40
■韓国の環境団体「汚染水視察団を解体し、海洋法裁判所に日本を提訴すべき」
 「汚染水投棄阻止共同行動」主催の懇談会 
 「トリチウム濃度、微々たるものでも発がん物質」

【写真】市民団体と環境団体が集まった「日本の放射性汚染水の海洋投機阻止共同行動」が5月31日、ソウル中区のフランシスコ教育会館で記者懇談会を開き、政府が派遣した福島原発汚染水視察団は日本政府の汚染水海洋投棄の手助け役だと批判した=ナム・ジョンヨン記者//ハンギョレ新聞社

 先月31日、福島原発汚染水の韓国専門家視察団が行なった発表と関連し、韓国の環境団体が日本政府の汚染水投棄を手助けするものだと批判した。
 市民団体と環境団体が集まった「日本の放射性汚染水の海洋投機阻止共同行動」は31日、ソウル中区のフランシスコ教育会館で記者懇談会を開き、福島原発汚染水専門家視察団を解体し、日本の汚染水海投棄の件を国際海洋法裁判所(ITLOS)に提訴するよう政府に求めた。
 加湿器殺菌剤やアスベスト(石綿)など安全保健について研究してきたソウル大学のペク・ドミョン名誉教授(保健学)は、同日の懇談会に出席し、「視察団は主要設備が設計通りに建てられたのか見てきたというが、設計自体については質問しなかった」と指摘した。ペク教授は、日本政府が海洋放出の基準値を設定するにあたり、一年間の露出を想定した点や、原発汚染水の貯蔵タンクで19個の核種だけを測定した点などについて(専門家視察団が)質問しなかったとし、「そもそも日本の仮定と設計が(健康被害について)最大限の注意を払っていない」と批判した。
 日本が排出する原発汚染水のトリチウム濃度は微々たるもので安全だという一部の主張に対し、ペク教授は「トリチウムは放出エネルギーが少なく、健康影響が大きくないと知られているが、依然として遺伝毒性と生殖毒性のある発がん物質だ。体を構成している成分と結合すれば、より大きな生物学的効果が現れる可能性もあるという反論が提起されている」と説明した。
 原子力安全分野を専門とする「原子力の安全と未来」のイ・ジョンユン代表は、日本は福島原発事故以降どれだけ多くの放射性物質が海と地下水に流れたのかについて情報を発表していないとし、「海と地下水の流入総量を提示し、これを分析・評価して、今後の生態環境にどのような変化をもたらすのかを考えなければならない」と指摘した。特に「最も重要なのは、コリウム(炉心溶融物)が建物の床を突き破って地中に染み込み、地下水と交流しているという点」だとし、「日本はこれに関する解決策を示す取り組みをおろそかにしている」と指摘した。コリウムは使用済み核燃料が溶けて流れ落ちた物質で、専門家たちはこれを福島第一原発で生成される放射能の主な源泉だと指摘する。これについて、イ代表は「日本は公海上に汚染水を捨てる破廉恥な行為をやめ、この問題を独自に解決しようとせず国際社会に協力を求めるべきだ」と主張した。
 福島原発汚染水視察団が日本側から受け取った多核種除去設備(ALPS)のデータはあまり意味がないという主張も提起された。環境運動連合のアン・ジェフン活動処長は、この日ハンギョレとの電話インタビューで、「東京電力ですでに遂行された、サンプル数の少ないデータ」だとし、「ALPSで本当に核種の除去がうまく行われるのかどうかを共同実験し、何回行って濃度がこれだけ減ったということが示されなければ、信頼性を得られなくなるだろう」と指摘した。ソウル大学のソ・ギュンリョル原子核工学科名誉教授も「安全施設の異常点検をするために(視察団を)派遣したわけではない」とし、「ALPSの性能を見るためには、そこでろ過される不純物、セシウム、ストロチウムなどがきちんとろ過されているかを確認する必要があるが、それができなかった」と指摘した。
ナム・ジョンヨン、キ・ミンド記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-05-31 17:29


「The Hankyoreh」 2023-06-01 07:02
■[7問7答]40年間海に捨て続ける汚染水、人類にどんな危険をもたらすのか
 福島第一原発汚染水の海への放出7問7答 
 「放出賛成」のIAEAが検証独占 
 日本は放射性物質の測定も縮小

【写真】福島第一原発の敷地内の汚染水保管タンク=東京電力提供//ハンギョレ新聞社

 国際原子力機関(IAEA)の調査団は先月29日から今月2日まで、福島第一原発の汚染水の海への放出についての包括的検証に向けた最終調査を日本において行う。23~24日に福島第一原発現地を点検した韓国視察団も、31日に視察結果を説明する記者会見を予定している。日本政府が2021年4月に汚染水の海洋放出を公式決定してから2年あまり。国際的な安全性検証が最終段階へと向かっているわけだ。今年の夏ごろに現実化するとみられる福島第一原発の汚染水の海洋放出は、人類にどのような影響を及ぼすのだろうか。主な争点を7つに分けて検討する。

(1)汚染水はなぜ発生するのか
 最も根本的な問いだ。2011年3月の東日本大震災で巨大な津波が発生し、福島第一原発を襲った。そのため冷却装置が機能しなくなり、1~3号機の3つの原子炉の核燃料棒が溶け落ちる炉心溶融(メルトダウン)が発生した。溶けた核燃料は周囲の構造物を溶かして塊(デブリ)となり、原子炉の底に残っている。人が近づけば1時間以内に死んでしまうほどの高線量の放射線が漏れ出ている。
 計880トンにのぼるデブリからは今も膨大な熱が発生しているため、冷却水で冷やさなければならない。その水が触れることで、人体に致命的な影響を与える各種の放射性物質を含んだ汚染水になる。
 問題は、周辺の地下水や雨水までもが原発に流入し、日々大量の汚染水が生み出されているということ。東電は地下水をくみ上げたり、1~4号機の周りに凍土壁(地面を凍らせて作った壁)を構築したりして、汚染水を減らすために死力を尽くしたが、成功していない。汚染水の増加量は今も1日当たり90~140トン。この汚染水を貯蔵するため、原発の敷地内には1073基の水タンクが設置されている。18日現在、貯蔵されている汚染水の量は133万トン。タンク容量の97%がすでに使用されている。

(2)なぜ海に放出?
 その理由は大きく分けて3つ。1つ目、汚染水を保管するタンクの不足。ただし変数がある。日本政府は2021年4月に海への放出を決めた際に、今年の夏ごろにタンクがいっぱいになるとの予想を示した。しかし降水量の減少と、汚染水低減政策などが一部効果を上げたことで、すべてのタンクが満杯になる時期は来年2~6月となっている。
 2つ目、廃炉(原発解体)に向けた作業スペースの確保。廃炉の最重要課題は1~3号機の底に溶け落ちているデブリの処理だ。日本政府はデブリを取り出し、汚染水タンクのある場所に保管施設を作る計画だ。人の命を奪うほどの高線量の放射線が漏れ出ているため、人の代わりにロボットが入っていって作業しなければならない。しかし、ロボットの開発は遅れている。昨年はまず2号機でデブリ除去作業を開始する計画だったものの、日程の遅れで作業開始は早くても今年下半期になる見通しだ。1、3号機は処理の時期や方法すら決まっていない。今のように急ぐ理由は存在しない。
 3つ目、コスト。日本政府は2016年に、海洋放出▽大気放出▽地下埋設などの複数の汚染水処理方法を検討した。海に放出すれば34億円(約321億ウォン)程度で済むが、大気放出には349億円(約3300億ウォン)、埋設には2431億円(約2兆3000億ウォン)かかる。福島の漁業関係者が強く反対したため、大気放出案も最後まで検討された。毎日新聞は「政府内では放射性物質を含む気体が東京まで達したらどうするのかという不安が高まったため、海洋放出でまとまった」と報じている。海への放出が「唯一の代案」ではないことは日本政府が最もよく知っている。

(3)IAEAによる検証は信頼できるのか
 汚染水の安全性についての検証を独占するのはIAEAだ。客観的な検証能力に疑問を呈する声は絶えない。1957年に設立されたIAEAは、原発の平和的利用を強調する。そして基本的に「原発拡大」を重視する。原発の危険性を全世界に知らしめた福島第一原発事故の円満な決着は、日本とIAEAの共通の目標だ。
 原発大国である日本はIAEAへの影響力も強い。IAEAの正規予算の分担率(2021年)を見ると、日本は8.32%で、米国(25.25%)、中国(11.15%)に次いで第3位。4つの連絡・地域事務所のひとつは東京にある。現職のラファエル・グロッシ事務局長の前にIAEAを率いたのは、日本人の天野之弥(1947~2019)だった。彼は2009年から2019年に亡くなるまで事務局長を務めた。
 汚染水の海洋放出はIAEAと協議して決定されたものだ。日本政府が放出を決めると韓国、中国、台湾、ロシアは強く反発したが、グロッシ事務局長は真っ先に「歓迎する」との立場を示した。海洋放出決定にかかわった主体が検証を担っている格好だ。彼らは試料採取などを独占し、他国による独自の追加検証を徹底して防いでいる。このような閉鎖性も不信を募らせる大きな原因となっている。

【写真】福島第一原発の汚染水の海洋放出に反対する農漁民団体の決起集会が2月、済州道庁前で行われた。集会を終えた参加者たちが日本総領事館までデモ行進している=イ・ジョンヨン先任記者//ハンギョレ新聞社

(4)二度のうそ、信頼が地に落ちた東電
 経済産業省と東京電力は、汚染水は安全であると主張してきた。しかし日本国内でも信じられないという声は大きい。二度のうそで信頼が地に落ちたからだ。2018年8月、原発敷地内のタンクに保管中の汚染水の約70%にセシウム、ストロンチウム、ヨウ素などの人体に致命的な影響を及ぼす放射性物質が法的基準値以上含まれていることが、日本のメディアによって暴露された。一部のタンクからは基準値の2万倍を超えるストロンチウム90などが検出された。トリチウム(三重水素)を除くすべての放射性核種をろ過できる「万能の装置」と宣伝されている多核種除去設備(ALPS・アルプス)の不良などが原因だった。東電はそれまで、ALPSで浄化した「処理水」は放射性物質が除去され、トリチウムだけが残ると宣伝していたが、真っ赤なうそだったのだ。今は、ALPSで2回すれば放射性物質が基準値未満に低下すると主張している。この言葉をそのまま信じるには、すでに不信が高まり過ぎている。
 日本政府は漁業者との約束も破った。東京電力は2015年8月に社長名義で、汚染水処理について福島県漁業協同組合連合会と「関係者(漁業者)の理解なしには、いかなる処分も行わない」と文書で合意した。日本政府と漁業者を一つにまとめる「信頼の象徴」のようなものだが、日本政府はこれを無視して海への放出を決定してしまった。

(5)ALPSの性能は信頼できるのか
 100%信頼することは難しい。ALPSで浄化した汚染水の70%には、依然として人体に致命的な影響を及ぼす放射性物質が基準値以上含まれていることが確認されているからだ。
 さらに一歩進んで、汚染水の安全性をこの1年間、独自に検証してきた太平洋の18の島国からなる「太平洋諸島フォーラム(PIF)」の専門家パネルは、ALPSの性能をきちんと検証するには資料が非常に不十分だと主張する。米国ミドルベリー国際大学院のフェレンツ・ダルノキベレス教授(核物理学)は1月、韓国国会の討論会で「日本がフォーラムに提供したデータは不完全で一貫性もなく偏向しているため、何らかの決定を下すには不適切だ」と批判した。また同氏は、東京電力は汚染水に含まれる64の放射性物質のうち、セシウム137など9つだけに焦点を当てており、残りはほとんど測定していないと付け加えた。
 このような事情は5月21~26日に訪日した韓国視察団も同じだ。ユ・グクヒ視察団長(原子力安全委員長)は24日、記者団に対し、「ALPSの処理前後の64の核種の濃度に関する原資料も受け取ったため、これから分析する」と述べた。言い換えれば、ALPSの性能を点検するのに最も必要な資料を放出が行われる直前に確保したということだ。このような状況では、韓国政府がきちんとした独自の評価の結果を国民に示せるはずはない。

(6)トリチウムは安全か
 ALPSが完全に作動したとしても、トリチウムはろ過できない。トリチウムの安全性については、意見が大きく分かれる。日本政府は、他国の原発もトリチウムを含む水を海に放出しているが、健康被害は報告されていないと主張する。しかしトリチウムは水産物から人体に取り込まれ、有機結合型トリチウムに変化すれば、内部被ばくの危険性を高めることが知られている。
 生物学者たちは、トリチウムが引き起こす生物学的な遺伝子損傷の程度は、代表的な放射性物質であるセシウムの2倍以上だと憂慮する。日本は、放出が始まれば年間22兆ベクレル(Bq=放射性物質の1秒当たりの崩壊回数の単位)のトリチウムを海に排出する予定だ。これは2011年の福島第一原発事故前の年間2.2兆ベクレルの10倍だ。

【写真】専門家からなる韓国視察団が今月23~24日、福島第一原発を訪問し、汚染水の海洋放出の安全性点検を実施した=東京電力提供//ハンギョレ新聞社

(7)汚染水は危険だとの主張は「怪談」なのか
 韓国の与党と原子力の専門家たちは、汚染水は危険だという主張に「怪談」というレッテルを貼って攻撃する。このような論理だと、放射性物質の「潜在的リスク」を認めた世界貿易機関(WTO)の判断も怪談だということになる。
 韓国は2019年4月、福島産の水産物の輸入禁止について日本が起こしたWTO紛争解決訴訟で、一審での敗訴を覆し「逆転勝訴」をおさめた。日本政府は世界最高の科学者たちを動員して「科学的数値」を示した。福島産の水産物をサンプル調査するとセシウムなどは基準値以下で、他国と似たような水準だと主張した。独自調査だけでなく、放射能に関連する国際機関の客観的資料を証拠として提示し、圧迫した。
 韓国政府はこれに抗して、福島第一原発事故が発生した日本の特別な環境は、このような事故が発生していない他の国にはない「潜在的リスク」だと主張した。WTOは韓国に軍配を上げた。彼らは「食品の放射能検査の数値ばかりを問題にするのは誤りだ。汚染に影響を与えうる日本の特別な環境的状況なども考慮すべきだ」と判定した。SPS(衛生植物検疫措置の適用に関する協定)紛争で訴えられた国が勝ったのは、これが初めてだった。放射性物質についての初の判断でもあった。
 WTOは、過去の様々な紛争解決手続きでは環境や健康よりも貿易関係を重視してきた。そのようなWTOでさえ福島第一原発事故による放射性物質の潜在的リスクを認めたのだ。原発爆発事故で発生した130万トン以上の放射性物質汚染水を30~40年かけて海に放出しようとしている国は、日本が世界で唯一だ。それによって発生しうる様々な危険性を日本政府に対して指摘し、十分な情報公開を求め、それが聞き入れられなければ反対意見を述べることは、国民の健康と安全に責任を負うべき国の当然の責務だ。
東京/キム・ソヨン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-05-31 05:00


「中央日報日本語版」 2023.05.29 07:32
■韓国野党「福島汚染水は放射能テロ」…頭をもたげる不安マーケティング

【写真】2008年6月10日、ソウル・世宗路プレスセンター前で開かれた米国産牛肉輸入反対集会の様子。[中央フォト]

 「福島汚染水投棄は放射能テロだ!」
 28日、ソウル永登浦区(ヨンドンポク)の国会前に、韓国野党「共に民主党」が掲げた横断幕だ。反対側には汚染水反対署名運動の横断幕もあった。「福島放射能水産物輸入5000万人に反対する!」というプラカードもソウル各地で目にすることができる。
 民主党が日本の福島原発汚染水に党力を総動員している。28日現在、民主党主導の署名運動には10万人以上が参加した。来月3日には釜山(プサン)で場外集会を開く。国会レベルの福島汚染水放流反対決議案の採択も行う。汚染水視察団を対象に懸案質疑も推進中だ。
 言葉はもっと荒々しい。民主党の李在明(イ・ジェミョン)代表は26日、ソウル光化門(クァンファムン)広場で開かれた署名運動出陣式で「福島原発の核物質汚染水は危険だから、安全ではないから、人体に有害だから、混ぜて海に捨てようということだ」と主張した。李代表は15日の党最高委員会でも「一緒に使っている井戸に毒劇物を入れておいて『安全だ』と主張する」とした。浄化処理された汚染水を毒劇物に遠回しに例えたのだ。民主党党員の中には「汚染水が安全なら飲んでみろ」というような発言も少なくない。鄭清来(チョン・チョンレ)最高委員は25日、フェイスブックに「大統領府から『福島印の汚染ミネラルウォーター』を注文して飲め」と書き込んだ。
 しかし、民主党の一方的な福島汚染水反対の動きが「第2のBSE(牛海綿状脳症、いわゆる狂牛病)事態を狙った扇動」という指摘も少なくない。国民の命に直結する重大な問題に精密にアプローチするのではなく、非科学的で刺激的なスローガンに頼っているからだ。2008年、李明博(イ・ミョンバク)政権が韓米自由貿易協定(FTA)交渉過程で米国産牛肉輸入の議論が浮上すると、進歩派陣営は「牛を利用して作る化粧品・生理用ナプキンなどを使っても狂牛病に感染する」「韓国人の95%が狂牛病に脆弱な遺伝子を持っている」など、怪談レベルの論理を連発した。MBC(文化放送)の調査報道番組『PD手帳』が主導した。光化門広場では「脳みそに穴が開く」と言ってろうそくデモが毎日行われた。しかし、BSEの懸念は非科学的な陰謀論にすぎず、15年経った現在、BSE事態は悪質な扇動だったという評価が支配的だ。「ザ・モア」のユン・テゴン政治分析室長は「科学的に懸念を表明することと、反日扇動・恐怖煽動は違う」と話した。
 民主党内部でも批判が上がっている。民主研究院副院長出身で新成長経済研究所のチェ・ビョンチョン所長(50)は22日、フェイスブックに「韓国、日本の水産物は安心して食べてもいい」という済州(チェジュ)大学のチョン・ソクグン教授の寄稿文を共有した。そのうえで、「(民主党の主張は)私のような人間にもあまり説得力がない」とし「民主党が汚染水の深刻さだけを強調すれば、水産業従事者の生計を脅かし、むしろ逆風が吹くだろう」と書いた。586運動圏出身のさしみ店社長であるハム・ウンギョン氏も15日、フェイスブックに「科学的に問題になることがない福島汚染水放流問題をめぐり、フェイクニュースを生産して扇動する詐欺師や巫俗行動を直ちに中断せよ」と主張した。
 福島汚染水を政治争点化するために民主党が死物狂いで行動しているのは最近の党状況とも無関係ではないという分析だ。「現金封筒バラマキ」疑惑や「金南局(キム・ナムグク)コイン」問題などの局面から脱却しようとする狙いというものだ。先に尹錫悦(ユン・ソクヨル)政府の強制徴用第3者弁済案に反発して掲げた反日攻勢を続けようとする側面もある。時代精神研究所のオム・ギョンヨン所長は「民主党が政府・与党の上昇に不安を感じ、福島汚染水を一番の弱点と判断した」とし「短期的には支持層に訴求力があるが、中長期的には反日感情だけに頼るのは20~30代の離反につながる可能性がある」と述べた。
 国際原子力機関(IAEA)が来月福島原子力発電所汚染水に対する海洋排出計画をモニタリングした報告書を発行する計画だが、韓国政府は独自に検証に取り組むべきだというのが民主党の主張だ。党対策委員長である魏聖坤(ウィ・ソンゴン)議員は28日、電話取材に対して「IAEAは2015年から日本政府の汚染水排出の立場に同意した」とし「そのため、現在のモニタリング過程も客観的だと評価するのは難しい」と述べた。韓国独自の検証が事実上不可能であるにもかかわらず「汚染水は危険なので、無条件に信用できない」という立場を貫くという意味だ。建国大学国家情報学科のチャン・ソンホ教授は、「葛藤を調整すべき政治圏がむしろ関与して問題をより複雑化させる場合が多い」とし「福島の汚染水処理はイデオロギーや政治ではなく、科学の領域だ」と述べた。

「日本、原発の寿命「60年以上」に…「福島の惨事を忘れたのか」」

2023年06月08日 | 
「The Hankyoreh」 2023-06-02 12:46
■日本、原発の寿命「60年以上」に…「福島の惨事を忘れたのか」
 「GX脱炭素電源法」成立

【写真】日本の福島第一原発の爆発事故が起きて20日余りたった2011年3月30日、ドローンで撮影した福島原発の様子。核燃料棒が溶ける炉心溶融(メルトダウン)が起きた3号機(左)の残骸が見える。右側の4号機の建屋も水素爆発によって大きく破壊された/EPA・聯合ニュース

 日本の国会で、現行最長60年までと認められていた原子力発電所の寿命をそれ以上に延長可能にする法案が可決された。事実上、原発の寿命に関して規制がなかった2011年の福島第一原発事故以前に戻ったという批判の声が上がっている。
 31日の参議院本会議で、原発の60年以上の稼動を可能にする内容が盛り込まれた「GX(グリーントランスフォーメーション)脱炭素電源法」が成立。法案は電気事業法、核燃料物質および原子炉の規制に関する法律など5つの法案の改正案を一本に束ねたもの。自民党・公明党など与党と保守野党である日本維新の会、国民民主党が賛成し、残りの野党である立憲民主党、共産党、社民党、れいわ新選組は反対した。
 今回の法改正の要は原発の寿命の延長だ。最長寿命の「60年」を計算する際、安全審査などによる原発停止期間を計算から外す方式だ。例えば、再稼働審査などで10年間原発が停止していた場合、最大70年間原発を稼動できる。ただし、原発が稼動してから30年たった場合、10年に1回ずつ機器と設備状況を審査する規定を新たに設けた。この審査を通過できなければ原発の寿命は延長できない。
 原発の運転期間を決める機関も、原子力規制委員会から経済産業省に変わる。原発の寿命の「除外期間」の具体的な基準も経済産業省が設けることにした。東京新聞は1日付で「老朽原発の運転延長認可を巡り、規制当局の原子力規制委員会が原発推進官庁の経済産業省に権限を譲り渡した事実こそが、電力会社を保護する流れが強まったことを象徴する」と報じた。朝日新聞も「電力会社の過失や責任で審査や工事が滞った期間も含まれる可能性がある」と批判した。
 日本は2011年3月の東日本大震災による福島第一原発爆発事故から1年後の2012年、安全規制強化のため原発の最長運転期間を60年に制限する規定を作った。原発の運転期間は原則的に40年とし、原子力規制委の許可を受ければ20年延長して最大60年まで稼動可能にしたが、今回の改正で60年の制限規定は形骸化された。
 日本の原発寿命延長の決定には、世界的な脱炭素の動きも背景として作用した。日本政府は「エネルギー基本計画」に基づき、エネルギー生産全体で原発が占める割合を現在の約6%から2030年には20~22%まで引き上げる計画だ。現在、日本国内の原子炉は計33基で、このうち10基が再稼働中。残りの23基はいずれも11年以上稼動が止まっている。資源エネルギー庁は、「2030年の原発比率20%」を実現するためには25~28基の原発を稼動させなければならないと説明している。日本政府は、原発再稼働に時間がかかるため原発の寿命を延長させることが必要だと判断している。さらに、保守的な安倍晋三政権の時も試みられなかった原発の新設、増設も推進する予定だ。日本の原発政策の大転換といえる。
 東京新聞は「福島事故の反省と教訓どこへ」との見出しの記事で「(日本の原発政策が)事故前の官民一体で原発を推進してきた構図に逆戻りしかねない」と指摘し、「原発依存は一時的にはエネルギー価格高騰の抑制策にはなるのかもしれないが、核のごみの最終処分は解決の見通しはなく、膨大なコストと事故リスクを国民がこれからも背負うことになる」と批判した。

東京/キム・ソヨン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
韓国語原文入力:2023-06-02 02:32

「「海に向けた核攻撃」…韓日市民団体、東京で原発汚染水海洋放出に反対する連帯集会」

2023年05月29日 | 
「The Hankyoreh」 2023-05-18 07:11
■「海に向けた核攻撃」…韓日市民団体、東京で原発汚染水海洋放出に反対する連帯集会
 「5・16共同行動」集会

【写真】16日、東京一帯で開かれた福島汚染水海洋投機反対「5・16共同行動」集会の参加者たちが街頭を行進している//ハンギョレ新聞社

 「福島県民の7割はもちろん、すぐ隣の宮城県民も反対しています。(原発)汚染水を海洋放出するという日本政府の決定によって地域社会が破壊されています」。
 「放射性汚染水の放出はアジア各国に対する暴力であり侵略です」。
 19日から広島で開かれる主要7カ国首脳会議(G7サミット)を控え、16日、東京の街では一日中福島原発汚染水の海洋投棄を中止せよという叫びが鳴り響いた。「これ以上海を汚すな!市民会議」と「さよなら原発1000万人アクション」実行委員会が主催した同日の「5・16共同行動」集会は午前10時に始まり夕方まで続いた。
 韓国の市民社会環境団体の連帯体「脱核市民行動」所属の「緑色連合」、「市民放射能監視センター」、韓国YWCA連合会の活動家たちは汚染水の海洋投棄に反対する韓国の声を伝え日本の市民と連帯するため、東京の集会に参加した。
 午前、東京電力前の集会では福島住民を含め100人以上の市民が集まった。参加者たちは「今後30年間、大量の放射性物質を海に流すつもりなのか。東電は考え直すべきだ」と訴えた。韓国YWCA連合会の活動家、ユ・エステルさんは「韓国市民社会の声、特に女性たちの連帯の声を伝えるために来た」とし、「海洋生態系と海と共に生きる人々、私たちよりもさらに長く海と共に生きていく子どもたちのために行動を共にする」と語った。
 日本の市民は同日の集会で「海を汚すな」、「未来を守れ」と声を高めた。原発汚染水問題は福島原発事故が現在進行中であることを示す代表的な問題だ。参加者たちは東京電力本社前で事前集会を行ってから、国会周辺で集会を続けた。

【写真】16日、東京で開かれた「5・16共同行動」集会に参加した韓国の参加団が福島汚染水海洋投棄に反対するプラカードを広げている//ハンギョレ新聞社

 国会前で開かれた2次集会で、ある水俣病(メチル水銀中毒によって生じる日本の公害病の一つ)の被害者は、健康と安全問題について決して軽く考えてはならないとし、幼いころの苦しい被害事実について証言した。彼は「環境にどのような影響を及ぼすか分からないため、絶対に汚染水を海に捨ててはならない」と語った。
 環境運動連合の活動家、チェ・ギョンスクさんも演壇に上がった。チェさんは「汚染水の海洋投棄に反対する市民がこれほど多く、特に福島住民も明確に反対しているのに、日本政府はこのすべての意見を無視して海洋投棄を進めている。明らかな国家暴力だと思う」と主張した。また「これに対する反対意見を明確にせず、視察団の派遣という形だけの措置で日本政府に海洋放出の名目作りを手助けしようとする韓国政府もやはり国家暴力の共犯」だと批判した。さらに「今回のG7サミットで韓日両首脳は汚染水の海洋投棄の代わりに陸上での長期保管に合意し、老朽化した原子力発電所の寿命延長を諦めるべきだ。それが未来のために必要なことだ」と主張した。
 宗教団体「日本山妙法寺」の宗教者は、同集会に参加した理由を尋ねる質問に、普段あまり声をあげない方だが意を決して集会に参加したとし、「(汚染水の海洋投棄は)アジア各国に対する暴力であり、戦争や侵略同様のもの。韓国社会との連帯を通じて共に協力し対応していかなければならない。今日がその始まりだ」と語った。

【写真】「脱核市民行動参加団」の韓国YWCA連合会の活動家、ユ・エステルさんが16日午前、東京電力前の集会で発言している//ハンギョレ新聞社

 国会議員会館前で開かれた3回目の集会では、汚染水をはじめ福島原発事故による様々な被害状況に対する証言が続いた。
 最近、福島原発汚染水問題を話し合うために韓国の済州(チェジュ)、麗水(ヨス)などを訪問したと紹介した日本の環境団体「原子力資料情報室」の伴英幸代表は「日本政府は汚染水を解決するための4つの代案を持っていた。なぜ他の代案を選ばなかったのか」と指摘した。ある日本の政治家は「(原発再稼働のために日本政府が)汚染水問題を解決したと宣言するために、汚染水の海洋放出を強行していると思う」と主張した。
 集会に参加したある日本の政治家は、現在の日本の国会の状況について「数年前には原発を減らすと言っていたが、今はその反対に向かっている」とし、全原発の再稼働を目指す日本政府を批判した。さらに「福島原発一号機の原子炉の床が崩壊していることが新たに明らかになっている」とし、「今も続く福島原発事故の被害を防ぐために、汚染水だけでなく(福島原発も)チェルノブイリのようにコンクリートで封鎖する必要がある」と述べた。
 ある市民は福島原発事故の除染で出た除染土を再利用する実証施設を新宿公園内に建設しようとする計画を聞いて参加したと言い、「東京だけでなく、いかなるところでも除染土の再利用の実証を行ってはならない」と話した。また、「福島住民の苦しみを我々の問題として受け止めなければならないことを改めて痛感した」と強調した。

◆主催側は4つの事項が盛り込まれた要請書を国会と政府側に渡した。
 第一に、「(福島の漁業)関係者の理解なしに如何なる処分(海洋放出)もしない」とした日本政府が約束を履行すること、第二に、国会と政府は東京電力が汚染水の中に含まれている放射性核種の種類や濃度、総量などの情報を公開するよう働きかけ、放射線影響評価を見直すこと、第三に、日本政府は汚染水の海洋投棄ではなく大型タンクの長期保管やモルタル固体化などの代案を検討するなど、汚染水に対する根本的な対策を確立し、国会はこれを監視すること、第四に、汚染水の海洋投棄に対する全国的な公聴会と説明会を開くことなどが要請書に盛り込まれた。

【写真】16日、東京の国会前集会で環境運動連合の活動家、チェ・ギョンスクさんが発言している//ハンギョレ新聞社

 集会は夕方、日比谷公園野外音楽堂で終わったが、終了直前には参加者が500人以上に増えた。本集会では野党国会議員と日本の市民団体の活動家たちの発言が続いた。 「これ以上海を汚すな!市民会議」の織田千代共同代表は「原発事故以後、福島住民たちは放射能に脅かされながら暮らしてきた。私たちは事故前に享受していた日常生活をすべて失った。汚染水の海洋放出は福島住民にさらなる放射線被害を与えるだろう」と語った。
 福島県小名浜地域の漁業協同組合の柳井孝之さんは、「日本政府と東電に対する不信感がむしろ市民の不安を募らせている。海洋放出が進むと、漁業を諦める人がさらに増えるかもしれない」とし、日本政府と東京電力の責任ある姿勢を求めた。

◆「Don't Nuke the Pacific(太平洋を核で苦しめるな)」。
 同日の集会参加者のプラカードにはこう書かれていた。世界は海につながっている。放射能汚染水を海に捨てるのは世界市民にかかわることだ。世界で唯一原爆を落とされた過去を持つ日本は、いま世界の海に向かって静かに、ゆっくりと核攻撃を加えていることになる。汚染水の海洋放出を決めた日本政府、これを傍観して黙認し、視察団の訪問という名ばかりの措置を進めている韓国政府、そして無責任な両国の政治家に立ち向かう韓国と日本、世界市民の連帯が必要な理由だ。
 東京/文・写真「5・16共同行動」脱核市民行動への韓国人参加者 ビョン・インヒ、オ・ハラ、ユ・エステル、チェ・ギョンスク(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-05-17 20:38


「The Hankyoreh」 2023-05-18 09:19
■韓国の漁業者「汚染水放出に反対するなと韓国政府が圧力…市長も同調」
 統営市の漁業者イ・ギミョンさん、ラジオのインタビューで 
 「漁業者は借金や政府の補助金に従属」

【写真】慶尚南道統営市の永運港で3月31日に開かれた「第12回水産人の日」記念式で、尹錫悦大統領があいさつしている=大統領室写真記者団//ハンギョレ新聞社

 11日に統営市(トンヨンシ)のチョン・ヨンギ市長が福島第一原発の汚染水の放出について「対策は持っているがうるさく騒ぐ理由はない」と述べたことについて、同市のある漁業者が「(漁業者を萎縮させることを狙った)意図的な発言だ」と批判した。
 17日、慶尚南道統営市で30年にわたりカキ養殖業を営んでいるイ・ギミョンさんは、文化放送(MBC)のラジオ番組「キム・ジョンベの視線集中」でのインタビューで、「統営市は全国の海洋水産の最重要地だと自負する町」だとし、「市長ともあろう人が、第一線で汚染水放出反対の先頭に立つことはできなくても、このような妄言を口にするとはどういうことか」と語った。
 イさんは、チョン市長の発言は「意図的」なものだと考えている。イさんは「政府は反対の立場を表明するなと漁業者に圧力をかける立場だ。漁業者たちはためらっており、萎縮している」とし、「実は4月11日にも原発汚染水反対決起大会をしようとして李舜臣(イ・スンシン)公園で計画されていたが、政府と水協組合から圧力をかけられて結局できなかった」と話した。
 イさんは「慶尚南道の関係者も、日本の原発汚染水は米国などの先進国においてさえ科学的実験が中止され、汚染水が沈殿すれば生態系には特に影響ないだろうという趣旨のことを言った」とし、「漁業者は借金や政府の補助金に従属している。これでは漁業者は萎縮せざるを得ない」と語った。チョン市長の発言もこのような圧力の一種だというのだ。
 汚染水の放出は「漁業者は死ねという話」だというのが統営の漁業者たちの考えだ。イさんは、韓国の福島第一原発汚染水視察団が汚染水試料を特に採取しないとされていることについても怒りをあらわにした。イさんは「検証団は汚染水を採取すべきだ。しないつもりなら何をしに日本に行くのか。もはや日本に従って同意するのと変わらない。政府がこのような状態で行くなら、ほかに方法がない。漁業者たちは南から北へと向かい、政権退陣運動に突入するだろう」と述べた。また「(政府からは)安全だという話もなく、口をつぐんでいる」、「何が何でも(汚染水の放出を)止めなければならない」と強調した。

【写真】先月25日、ソウル鍾路区の世宗文化会館の階段で、日本の放射性汚染水海洋投棄阻止共同行動の主催で行われた「韓米両国の日本放射性汚染水海洋投棄反対要求記者会見」で、参加者がプラカードを手に汚染水放出に反対している/聯合ニュース

 統営市のチョン・ヨンギ市長は11日、統営市役所内の会議室で開かれた記者懇談会で、福島第一原発の汚染水の放出について問われ、「対応策は明確に持っている。だが、やたらと言及したり騒いだりすると統営の水産物の消費心理が萎縮しうる。政府がまだ何の措置も取っていないのに、自治体が先に騒ぐ必要はないと思う」と語り、地域社会から反発が起きている。
イ・ジヘ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-05-17 10:44


「The Hankyoreh」 2023-05-18 05:43
■韓国視察団、汚染水の検証はできずとも…これだけは確かめよ
 福島訪問が要式行為にとどまらないようにするために

【写真】福島第一原発の敷地内のタンクに保管中の放射性物質汚染水/AP・聯合ニュース

 韓国の専門家視察団が今月23~24日を含む4日間の日程で東京電力福島第一原発を訪問するが、日本政府の反対により「試料採取」などによって韓国政府が汚染水の安全性を独自に検証する道は閉ざされた。視察団の限界は非常に明確だが、今年の夏ごろに海に放出される汚染水の安全性を検証するために、詳細に検証すべき3つのポイントをここで取り上げる。視察団が現場を見て回った後もこれといった意見を表明しなければ、韓国は日本の汚染水放出を黙認したという誤ったメッセージとして国際社会に伝わる恐れがある。福島産の水産物を輸入することになるという「最悪の結果」へもつながりうる。

(1)基準値以下は2.8%のみ、ALPSの性能は十分か
 福島第一原発の汚染水の海への放出の最大の争点は安全性だ。現在、汚染水は1060基を超える巨大なタンクに収められている。この汚染水は多核種除去設備(ALPS・アルプス)を通すことで少なくとも1度の浄化を経ているが、その70%ほどには依然としてセシウム、ストロンチウム、ヨウ素などの生命体に致命的な影響を及ぼす放射性物質が基準値以上含まれている。日本政府はこれをALPSで複数回浄化し、放射性物質の濃度を法定基準値以下に下げてから、今年の夏ごろに海に放出する計画だ。
 日本政府や東京電力は韓国視察団を、1千基以上ある汚染水タンクのうち、2年以上にわたってALPSによる浄化を繰り返し、法定基準以下に抑えた水の入っているタンク(30基、2.8%)に案内する可能性が高い。これまでに台湾、そして太平洋の18の国と地域が加盟する太平洋諸島フォーラム(PIF)も、30基の一部である「K4」タンク群を視察している。韓国視察団は、東京電力がすでに検証済みのタンクのみを見学する程度にとどまる可能性が高い。
 この1年間、汚染水の安全性を独自に検証してきた太平洋島国は、このような不安要因があることから日本政府に「放出の延期」を要請している。彼らは今年2月の声明で、「貯水タンクの複雑さと巨大さという特性を考えると、これまでに行われたALPS処理水テスト量では、適切で十分な結果が得られない。海への放出の必要性を判断するに足りない」と指摘している。韓国視察団は、日本が見せようとしてくるごく少数の「安全な」水のタンクに埋没することなく、ALPSの性能を徹底的に把握するとともに、東電に汚染水総体の危険性を管理する能力があるのかを判断しなければならない。

(2)事故前に比べ10倍のトリチウム、生物学的安全性は?
 2つ目の検証ポイントは、ALPSでは除去できないトリチウム(三重水素)の安全性だ。原発からはトリチウムが排出される。各国はそれぞれ定められた基準に則ってこれを排出する。日本は、2011年3・11の福島第一原発事故の前には年間2.2兆ベクレル(Bq・放射性物質が1秒に何回崩壊するかを表す単位。2010年)に達するトリチウムを海に放出していた。しかし今夏に放出が始まれば、その10倍の年間22兆ベクレルが海に注がれる。東京電力は、福島第一原発に保管中の132万トンの汚染水にはトリチウムが約860兆ベクレル含まれていると推定している。最近も汚染水は毎日90~140トン増加しているため、少なくとも40年以上にわたって海に流さなければならない。
 トリチウムの安全性をめぐっては諸説紛々。原子力の専門家は概して「特に影響はない」と主張するが、非常に憂慮している生物学者も多い。米サウスカロライナ大学のティモシー・ムソー教授(生物学)は先月、国際環境団体「グリーンピース」が主催した記者会見で「トリチウムの生物学的影響を扱った論文を全数分析したところ、複数の論文で、トリチウムの生物学的な遺伝子損傷の大きさが代表的な放射性物質であるセシウムの2倍以上であることが繰り返し確認された」と強調している。
 日本政府と東京電力がトリチウムの生物学的影響をどれほど検証したのかは、まったく知られていない。40年を超える長期的影響は、まだ人間の知恵が届かない未知の領域だ。東京電力は昨年9月から福島第一原発内で、トリチウムを海水で希釈した汚染水でヒラメやアワビなどを育てており、その飼育場を視察団に見せている。生物に対する影響をどのように観察・追跡するつもりなのか、調査を徹底すべきだ。

【写真】PIF事務局と彼らの諮問を受ける独立的な研究陣は今年2月に福島第一原発を現場視察した。彼らは2年以上にわたってALPSでの浄化を繰り返し、法定基準以下に抑えた「K4」タンク群を視察した=東京電力ウェブサイトより//ハンギョレ新聞社

(3)海への放出以外に方法はないのか
 放射能汚染水の海への放出は、日本と隣接していて魚の消費量の多い韓国にとっては致命的だ。放出が始まれば、韓国の漁業者が特に大きな打撃を受けうる。日本においても同じ理由で、海への放出に代わるもう少し安定的な代案を探るべきだとする声が絶えない。時間はまだ残されている。東京電力は当初、汚染水タンクは今年の夏から秋にかけて満杯になると予想していたが、降水量の減少や汚染水低減政策などの影響でその時期は来年2~6月まで引き延ばされた。
 日本の漁業者と市民社会団体は、汚染水を10万トン級の超大型タンクに貯蔵する方法や、汚染水にセメントや砂などを混ぜて固体として保管する「モルタル固化」を提案している。日本の民間シンクタンク「原子力資料情報室」の共同代表を務める伴英幸さんも10日の韓国国会での討論会で「10万トン級のタンクは世界各国で石油の備蓄に使われるなど検証済み。モルタル保管法も他の核施設で実施されている技術だ。海洋放出だけが唯一の方法ではない」と述べている。専門家が含まれる視察団であるだけに、このような声も幅広く受け入れ、汚染水の放出を止めうる生産的代案を提示すべきだ。
東京/キム・ソヨン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-05-17 06:00


「The Hankyoreh」 2023-05-18 05:41
■「汚染水採取は国際機関と日本が」…日本の方針に視察団の役割合わせる韓国政府
 ハン・ドクス首相は17日、福島第一原発の汚染水の安全性検証について、「試料(汚染水)を採取してのその場での検査は国際原子力機関(IAEA)と日本が行っている」と述べた。23~24日の福島第一原子力発電所視察を前に、韓国の専門家視察団が直接汚染水を採取できないことを再確認したもので、政府自ら視察団の活動の幅を制限している格好だ。
 ハン首相はこの日、政府世宗(セジョン)庁舎での記者懇談会で、「(韓国視察団は汚染水の浄化と放出の)手続き、施設、計画、結果などに合理性があるかどうかを判断するというのが最も大きな役割」だとしつつ、上のように述べた。
 同席したパン・ムンギュ国務調整室長も「視察団が直に汚染水試料を採取できないため、(検証の)実効性には疑問が提起される」と記者団に問われ、「すでに採取した試料をIAEAの3つのラボと加盟国の中の一定の基準を備えた4カ国(米国、韓国、フランス、スイス)が共有して交差検証しているが、韓国だけが(視察団が現地に)行ってそれとは別に試料を採取すると要求するのは行き過ぎの面がある」と述べた。12日にも国務調整室、外交部、原子力安全委員会などが「韓国が処理水を採取すると言えば、IAEAなどの国際機関の信頼を傷つける」と述べている。
 パン室長は、視察団に民間の専門家が含まれていないと指摘され、「政府が出資する研究機関や政府機関にいらっしゃる方々のほうが、民間の専門家よりも専門家であることもありうる」、「(民間の専門家の参加は)代表性問題などの非常に複雑な問題へと広がりうる」と答えた。汚染水採取の不可と民間専門家の参加に対する反対は日本政府の方針だ。
 一方、韓日の外交当局はこの日、福島第一原発への韓国視察団派遣に関する2回目の実務会議をオンラインで実施した。
ソン・ダムン、シン・ヒョンチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-05-17 16:07 


「聯合ニュース」 2023.05.14 14:42
■韓国原子力安全委トップ 福島視察団は「説明を聞きに行くだけではない」
【釜山聯合ニュース】韓国の原子力安全規制を担う独立機関、原子力安全委員会の劉国熙(ユ・グクヒ)委員長はこのほど南部・釜山で記者会見し、東京電力福島第1原発の処理済み汚染水に関する視察団派遣について「単に日本側の説明だけを聞きに行くのではない」と述べた。
 韓日は同原発の処理済み汚染水の海洋放出を巡り、韓国の専門家による視察団派遣で合意したが、韓国では日本の説明を一方的に聞くことになるのではないかとの懸念もある。劉氏の発言はこれを否定し、具体的な事項について直接確認するとの意味と受け止められる。
 同委員会傘下機関の韓国原子力安全技術院(KINS)は日本政府が2021年4月に処理済み汚染水の海洋放出計画を発表すると、同年8月に専門家によるタスクフォース(TF、作業部会)を立ち上げ、関連情報を分析、検討してきた。
 劉氏は、視察団にKINSの専門家も参加し、日本側に直接、疑問点を確認すると説明。視察対象と範囲が重要だと指摘🅂した。


「聯合ニュース」 2023.05.14 09:56
■福島原発視察団 韓国の独自検証に必要なデータ確保が重要
【ソウル聯合ニュース】韓日両国は東京電力福島第1原発の処理済み汚染水の海洋放出を巡る韓国視察団の現地派遣を4日間の日程で実施することで合意したものの、視察する施設など詳細については依然調整を続けている。
 韓国の原子力専門家たちは14日、日本が汚染水の海洋放出のため構築した設備とシステムがどれだけ信頼できるかを重点的にチェックすべきと、視察団に助言した。
 韓国政府は韓国原子力安全技術院内で汚染水問題の検証チームを立ち上げ、日本の海洋放出計画の信頼性を独自にチェックしている。同検証チームに役立つ主要なデータを、視察団が現地で得ることが重要という。
 現地で汚染水を採取・測定するより、放出後のモニタリングシステムや透明な情報公開の有無などを確認することが現実的という意味だ。
 日本の放出施設が長く安全性を維持できるかどうかを確認することも重要とみられる。
 国際原子力機関(IAEA)は放射線の側面で検証を行っているだけに、20年以上の放出が予定された施設に対する検証は疎かになる可能性があるためだ。
 政府は今回の視察団の訪日について、海洋放出全般の安全性を検討するとしている。このため、政府内の原子力専門家20人前後で視察団を構成すると発表した。ただ、同問題を巡る韓日局長級協議は視察計画の詳細について合意できず終わった。後続協議では韓国の専門家たちが望む視察施設計画を日本側と合意することが重要になるとみられる。
 原子力分野の関係者は「専門家が視察団として派遣されても、現地で視察できる施設が限定的なら検証はできない。必要な視察ができないまま訪日すれば、視察団に非難の矢が浴びせられる懸念もある」と指摘する。


「The Hankyoreh」 2023-05-13 07:18
■韓国政府、原発汚染水視察団の派遣前に態度軟化…「見学団」に転落する恐れも

【写真】2日、パク・クヨン国務調整室第1次長が政府ソウル庁舎で福島原発汚染水に関する専門家現場視察団についてのブリーフィングを行っている/聯合ニュース

 韓日外交当局が12日に局長級実務協議を開き、23~24日に福島第一原発汚染水をめぐる現場視察団の派遣と関連した具体的な内容を話し合ったことを踏まえ、視察団の大筋が決まりつつある。韓国政府は安全規制分野の専門家20人前後の規模で視察団を構成し、汚染水の海洋放出過程に対する安全性を検討する計画だが、日本が民間専門家の派遣に否定的なうえ、今回の視察が関連施設を目で見て回る「現場確認」の性格であることから、視察団の派遣をめぐり、日本政府の汚染水海洋放出の名目作りを手助けすることになるという批判世論がさらに激しくなるものとみられる。
 パク・クヨン国務調整室第1次長は同日、政府ソウル庁舎でブリーフィングを開き「今回の視察活動の目的は海洋放出過程の全般にわたり安全性を検討するためのもの」だと述べた。さらに「汚染水の浄化および放出施設全般の運営状況と放射性物質分析力などを直接確認し、我々の科学的・技術的分析に必要な情報を把握する計画」だと付け加えた。
 しかし、このような説明とは異なり、視察団は汚染水の浄化と放出施設全般の運営状況を「現場で確認」することにとどまる見通しだ。安全性の検討の核心は汚染水の試料採取と分析だが、韓国政府には試料採取の計画がないためだ。
 日本側の立場も変わらない。日本外務省は前日発表した報道資料で、韓国政府の視察団の派遣について、「多核種除去設備(ALPS)処理水の現状に関する韓国政府向け説明会」だと説明した。視察団派遣が原発汚染水の安全性に対する評価・検証のための性格ではなく、事実上見学に近いという趣旨だ。西村康稔経済産業相も9日、閣議後の定例会見で、韓国視察団の目的について「あくまで韓国側の理解を深めてもらうための対応で、処理水(汚染水)の安全性について評価や確認を行うものではない」と述べた。
 視察団が訪問の結果を基に検証結果を導き出しても拘束力がないという点も限界だ。パク次長は「主権国家がある行為をするのにあたって、それ自体を他の国家が決めるシステムはない」と述べた。
 特に、日本は韓国の視察団に民間専門家や市民団体が含まれることにも反対している。「日本が視察団の派遣を国家対国家の問題とみているため」というのが政府の説明だ。しかし一方では、政府の影響から相対的に自由な民間専門家や市民団体の場合、日本に友好的な現政権の方針とは異なる声をあげる可能性があるという点で、日本政府が難色を示しているという分析もある。政府は視察団を政府関連機関および傘下機関の原子力安全・海洋環境などの分野の専門家を中心に20人前後で構成するものとみられる。
 韓日関係専門家の保坂祐二教授(世宗大学)は、ハンギョレとの電話インタビューで、「福島原発汚染水問題について鋭く指摘できるのは官僚ではなく市民団体や専門家だ」とし、「1泊2日という短い日程で政府関係者が視察に行くというのは、日本の論理を支える脇役を演じることに他ならない」と指摘した。
 この日の実務協議で、韓日当局は現場視察に臨む韓国専門家視察団の日程と、彼らが見学する施設などを具体的に調整したという。韓国側は外交部のユン・ヒョンス気候環境科学外交局長が、日本側は外務省の海部篤外務省軍縮不拡散・科学部長が首席代表を務めた。視察団が日本に滞在する期間は、福島原発を見学する1泊2日を含め、少なくとも3泊4日になるという。
シン・ヒョンチョル記者、東京/キム・ソヨン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-05-13 02:30


「韓国経済新聞/中央日報日本語版」 2023.05.13 10:15
■【福島汚染水は安全か】韓国専門家が分析…放出より合理的な方法を探すべき
 徐鈞烈(ソ・ギュンリョル)/ソウル大学原子核工学科名誉教授

 日本政府は福島原発の放射性汚染水を浄化し、今年下半期から30年間にわたり海に放出すると発表した。セシウムなど62種の放射性物質を「多核種除去設備(ALPS)」で除去した処理水は安全だというのが日本政府と東京電力の立場だ。国際原子力機関(IAEA)と米国はこうした計画を承認した。しかし韓国・中国・台湾など周辺国は強く懸念している。ALPSではトリチウム(三重水素)を処理できず、浄化した汚染水を長期間にわたり海に放出する場合、生態系にいかなる影響を及ぼすか分からないという理由からだ。韓日両国は今月初めの首脳会談での合意に基づき、23、24日ごろ20人ほどの専門家で構成された現場視察団を福島に派遣する。これを控え、中央SUNDAYは処理水の安全性をめぐる論争について専門家の意見を聞いた。
 福島原発は原子炉内の核反応は止まったが、継続する崩壊熱と間欠的な再臨界でまだかなりの輻射熱と放射線を出している。さらに原子炉の配管系統が破損し、あちこちから冷却水が漏れていると推定される。冷却水は穴が開いた原子炉と広がったコンクリートの床を通って原発の下を流れる地下水と混ざり、今日、1000基以上の貯蔵容器に130万トンを超える放射性汚染水が積もることになった。
 このように深刻な状況で福島汚染水を太平洋に放出するには、短中長期的に生態環境に及ぼす影響に関する客観的、保守的、体系的な深い分析が先行されるべきだが、日本政府はそのようにしなかった。事故当時から2013年のALPS作動前後まで相当量の放射性物質が海に流れて発生した海洋汚染の深刻性と、事故前後の長期的な海洋生態系影響に関する詳細な調査結果は不在または未公開だ。
 環境影響評価には長期的な放射性物質排出による海底局部的な濃縮と生物学的濃縮を考慮した食物連鎖評価が含まれるべきであり、環境に及ぼす影響は十分な保守性を考慮して深層分析する必要があるが、東京電力はそのようにしなかった。セシウム、ストロンチウム、プルトニウム、アメリシウムなどは少量でも大量被ばくが可能だが、放出すれば韓国よりも日本東部の海岸が深刻に汚染するだろう。
 特に3号機にはウランとプルトニウムの混合燃料が使用され、極微量でも致命的な核種が多いが、貯蔵容器内の核種分布調査もまともに行われていない。汚染水を排出する場合、こうした成分はALPS除去を通じて長期的に環境の危険増加に影響を与えてはならず、これを公開的かつ透明に立証しなければならない。
 一方、「福島汚染水放出は国際基準に合う」という内容のIAEAの第4、5次報告書発表に関しては、海洋放出の代わりに陸上貯蔵など環境被害を最小化する代案を模索しなければならないだろう。環境汚染評価は核工学でなく生物、化学、医学、水産学、海洋学の範疇に属する。
 今からでも海洋放出より合理的な方法を模索し、環境被害を最小化する方法を探さなければいけない。これは韓国と日本、中国、台湾、オーストラリア、ニュージーランド含む太平洋諸島が連帯する時に最大の効果を期待できる。
 筆者は12年前の福島原発事故直後、事故電算解析と仮想現実を融合・複合した3次元シミュレーションを遂行した。2次元の計算結果を3次元に拡張し、米国のスリーマイル島2号機の非対称事故の進行に重ねれば、日本の汚染水放出は「放出」でなく「投棄」レベルということが判明する。保管している汚染水は毎日流れ出る地下水と汚染した海水で薄める量を含めると、実際の投棄量は東京電力の発表より200倍ほど多い。
 シミュレーションの結果、1号機が溶けて原子炉内部にあった相当量の放射性物質が地下水とともに海に流れるのを確認した。この結果は4月の日本原子力規制委員会の報告書で事実と判明した。事故から12年目にだ。
 投棄されれば放射性核種は海洋全域に広がり、大気に飛んで、深海に沈むだろう。特に日本東部の海岸に沿って最高濃度を示すと推定される。セシウム137とストロンチウム90が完全に除去されない場合、がん発生頻度は10万人あたり33人にのぼると予測される。半面、セシウム137とストロンチウム90が完全になくなり、トリチウムだけが残れば、10万人あたり1人を下回ると推定される。
 したがってカギは汚染水保管容器内の底にたまっている水と沈積土、腐食物、毒劇物を含めて基準値を超える汚染物質がどれだけ残っているかにある。現在構成されているという韓国の専門家視察団は汚染水のほか、近隣海水、魚介類、底魚類、海草類、堆積物などをできるだけ多く採取し、放射線量を測定して分析するため、徹底的な事前企画が求められる。
 
    
「The Hankyoreh」 2023-05-12 09:05
■韓国与党「『汚染水』でなく『汚染処理水』とすべき」…批判広がる
 福島第一原発の汚染水放出問題で党内からも批判

【写真】環境保健市民センターと環境運動連合海委員会のメンバーが3月22日、光化門広場で、尹錫悦大統領と日本の岸田文雄首相が野合して福島第一原発の汚染水を海洋放出するパフォーマンスを繰り広げている=キム・ギョンホ先任記者//ハンギョレ新聞社

 韓国政府は福島第一原発の「汚染水」という用語を「処理水」に変更することを検討しているが、与党からも「『汚染処理水』というの正しい」と主張する声があがった。これに対し、野党はもちろん、与党内部からも批判の声が相次いでいる。
 与党「国民の力」の「わが海保護検証タスクフォース(TF)」委員長を務めるソン・イルチョン議員は11日、ハンギョレの電話取材に対し「(日本の原発汚染水浄化施設)ALPS(多核種除去設備)という機器でろ過された汚染水の正確な用語は『汚染処理水』」だとし「処理された水まで汚染水とは言えない。(日本が)海に放出しようとしているのは処理された水」だと述べた。同党のハ・テギョン議員も、同日の韓国放送(KBS)のラジオの番組で、「(汚染水という)用語の訂正がまず必要で、厳密には『汚染処理水』」だとし、「汚染水を一度ろ過した汚染処理水について、IAEA(国際原子力機関)は放出できるほど浄化されているかどうかを確認するのであり、(23~24日ごろに福島第一原発を現場視察する)韓国視察団は(このような)処理過程を検証するもの」と述べた。
 このような主張に対して、党の内外から批判の声があがっている。国民の力のイ・ジュンソク前代表はこの日、自身のフェイスブックで「北朝鮮から飛んでくるものは誰かがいくら発射体と名を変えようとしても、国民はそれがミサイルであることを知っていた」とし「日本が放出するものの名前を何に変えようと、国民の考えは大きくは変わらないだろう」と述べた。同党のホ・ウナ議員もフェイスブックで「原子力安全委員会には『汚染水』という名称を変更する計画はない。まだ韓国の調査団が日本に行ってもいないし、きちんと直接確認したことも一つもない」とし「なのに『汚染水』を『処理水』とあらかじめ答えを定めておいて変えようとするのはなぜか。国民が不安に思っているのに、フレームを換えて何を得ようとしているのか」と述べた。
 共に民主党のパク・ソンジュン報道担当はこの日の書面ブリーフィングで「いったい誰のために放射能汚染水を汚染処理水と呼び換えようというのか。政府は日本の放射能汚染水の海洋放出を支援しようとしていると考えるしかない」と述べた。そして「用語変更は日本の要請なのか。それとも尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の日本に対する善意なのか」と付け加えた。
ソン・ヒョンス記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-05-11 19:29


「中央日報日本語版」 2023.05.12 07:47
■韓国政府「汚染処理水」用語変更検討すると与党議員も同調
 韓国与党「国民の力」は11日、福島原発「汚染水」を「汚染処理水」と呼び始めた。
 同党の関連TF(タスクフォース、作業部会)で委員長を務めている成一鍾(ソン・イルジョン)議員はこの日、SBS(ソウル放送)のラジオ番組『キム・テヒョンの政治ショー」に出演し、インタビューの中で「外に放流する水については処理して出ていくものなので汚染処理水と表現するのが妥当ではないか」と話した。
 これに先立ち、同TFは今月5日の第1回会議でも「汚染処理水」という用語を使うことが適切だという意見を交換したという。
 このような成議員の発言は前日政府関係者の発言ともつながっている。
 福島汚染水関連の協議に精通した政府消息筋は10日、中央日報に対して「現在日本が福島原発敷地内のタンクにアルプス(ALPS・多核種除去設備)を通過させて主要な放射能物質などを除去した水を保管しているが、排出基準に合うように処理された水が約30%、今も汚染されたままの水が残りの70%程度」とし「ただし今後処理比率が高まれば汚染水を処理水に変えて呼ぶのが合理的なので用語修正を検討している」と話した。
 成議員は「アルプスという多核種を取り除く機器がある。この機器は文在寅(ムン・ジェイン)政府でも検証しており、国際原子力機関(IAEA)が主軸になってすべて検証してテストしている」とし「国際法的に基準値以下になった時、その水を外の海に放流するということ」と説明した。
 成議員はBSE(牛海綿状脳症)・THAAD(高高度防衛ミサイル)電磁波事例などに言及して「科学の領域を政治の汚染された領域に引き込んで残した悪い先例がある」と指摘して「政治的目的のために科学を汚染させたり科学を否定したりするなら、われわれ大韓民国は文明国家とは言えない」と話した。
 同党の河泰慶(ハ・テギョン)議員もこの日KSBラジオ番組『チェ・ギョンヨンの最強時事』に出演し、「用語訂正から必要。厳密にいえば汚染処理水」とし「汚染水を放流してはいけない」と話した。
 河議員は「汚染水を一度浄化した汚染処理水に対して、IAEAは汚染処理水が放流するほどの程度に濾過されているのか、浄化されているのか。これを見るものであり、われわれ韓国視察団はその処理過程を検証すること」と説明した。
 反面、同党の李俊錫(イ・ジュンソク)元代表はこの日、自身のフェイスブックに「北朝鮮から飛んでくるのは誰かがいくら発射体と名前を変えようとも国民はそれがミサイルであることを知っている」とし「日本が放流するものの名前をどのように変えても国民の考えは大きく変わらないだろう」と掲載した。
 野党は「用語変更は日本の要請か、でなければ尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の日本に対する善意か」とし「科学的な検証が行われる前に用語変更はできない」という立場を出した。


「中央日報日本語版」 2023.05.12 07:19
■「日本と近くなり市民の不安も大きく」…釜山市、視察団に同行要請=韓国

【写真】釜山機張郡機張邑(プサン・キジャングン・キジャンウプ)に建てられた海水淡水化施設が2014年12月の完工以降、トリチウムなどの放射能不安で水を供給できないまま放置されている。[中央フォト]

 釜山市(プサンシ)が福島に派遣する原発汚染水視察団に地方政府が推薦する専門家を同行させてほしいと韓国政府に要請した。視察結果の信頼性を高めるほか、日本とも隣接し、海洋関連の産業を主力としている釜山・蔚山(ウルサン)・慶南(キョンナム)地域の住民の心配を解消できるようにしてほしいという趣旨だ。

◇「地方政府にも不安感解消の役割を」
 11日、釜山市によると、市は9日、公文書「福島汚染水現場視察団地方自治体専門家参加建議」を国務調整室に送った。この公文書で釜山市は「福島原発汚染水視察団は国民の不安解消に大きく寄与するだろう」としながら「特に汚染水放流時期が近づいてきて地理的に日本と近い釜山と蔚山・慶南は他の地域より市民不安が大きい」と明らかにした。これに対して福島汚染水イシューを管理・対応してきた釜山市推薦の専門家が視察団に合流して不安解消などの役割を果たすことができるようにしてほしいと訴えた。
 2011年3月の大震災と津波の余波で福島第一原子力発電所で放射性物質漏れ事故が起きてから、日本と近い釜山では「放射能フォビア」に近い不安が芽生えた。国内最大の水産委託販売所である釜山共同魚市場などがあり、産業構造も放射能に鋭敏だ。

◇釜山10人中8人「放射能濃度変わらなくても危険」
 釜山市傘下の釜山研究院が市民を対象に行った認識調査(調査期間今年1~2月・対象1840人)の結果では不安が依然と強いことが現れた。福島汚染水が放流されれば釜山沿岸の放射能濃度に変化がなくても「危険」と感じている比率は79.5%に達した。放流される汚染水に対する共同調査などが必要だという世論(49.5%)も高かった。
 専門家は「科学的な根拠により判断する問題」としている。韓国科学技術院(KAIST)原子力および量子工学科のチョン・ヨンフン教授は「福島から放流後、数キロ流れるだけでトリチウム(三重水素)の濃度は1リットル当たり1ベクレル程度で普通の淡水水準になる」としながら「韓国の淡水には1リットル当たり1ベクレル程度のトリチウムが検出され、ソウル市民の小便を検査してもトリチウムが1リットル当たり1~2ベクレル検出される」と説明した。
 チョン教授はまた「福島放流区前のトリチウム濃度の上限ラインは1リットル当たり1500ベクレル」とし「この放流数を一日2リットルずつ365日飲めば被爆量は清浄海で育ったアワビを1つ食べたあと、それに含まれた放射性ポロニウムで被爆を受ける量と同じ水準になる」と説明した。チョン教授は「今回視察団を派遣することになったので、放流水の情報を確認すればよい」と付け加えた。
 一方、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領と岸田文雄首相は7日の首脳会談を終えた後、韓国専門家で構成された視察団が福島県現地放流態勢などを視察することで合意したと明らかにした。視察団は12日から日本側と実務協議を経て23~24日に福島第一原発に派遣される。汚染性・安全性を検証する国際原子力機関(IAEA)の最終報告書は来月発表される予定だ。
 これに関連して、韓国政府は「処理水」への用語修正を検討している。福島汚染水関連の協議に精通した政府消息筋は10日、中央日報に「現在日本が福島原発敷地内のタンクにアルプス(ALPS・多核種除去設備)を通過させて主要放射性物質などを除去した水を保管しているが、排出基準に合うように処理された水が約30%、依然と汚染された水が残りの70%程度」とし「ただし今後、処理比率が高まれば汚染水を処理水と変えて呼ぶことが合理的なので用語修正を検討している」と話した。


「聯合ニュース」 2023.05.11 16:40
■「汚染水」の名称変更 「検討していない」=韓国外交部
【ソウル聯合ニュース】韓国の外交部当局者は11日、政府が東京電力福島第1原発の処理済み汚染水を日本で使用する名称の「処理水」に変更することを検討しているとの報道について、「政府は一貫して汚染水としており、変更は検討していない」と明らかにした。
 東京電力は汚染水を多核種除去設備(ALPS)で浄化し、原発の敷地内のタンクに保管している。日本政府と東京電力は汚染水を浄化処理すればセシウムなど大半の放射性物質が取り除かれると説明しているが、トリチウム(三重水素)は残る。
 日本政府はトリチウム濃度を放出基準の40分の1の1リットルあたり1500ベクレル未満に薄め、海に放出する計画だ。


「聯合ニュース」 2023.05.09 15:15
■韓日首脳会談 「汚染水放出の名分作り」と批判=韓国市民団体
【ソウル聯合ニュース】韓国の市民団体「歴史正義と平和な韓日関係のための共同行動(韓日歴史正義平和行動)」などは9日、国会で記者会見を開き、7日にソウルで開かれた韓日首脳会談について、「日本の汚染水投棄(海洋放出)のための名分作りにすぎなかった」と批判した。

【写真】韓日首脳会談が開催された大統領室付近で会談に反対する集会を行う市民団体=7日、ソウル(聯合ニュース)

 また、「肝心なのは日本の真摯(しんし)な謝罪と反省の表明だったが、結局、一言の謝罪もない『手ぶら』会談に終わった」と指摘。岸田文雄首相が徴用問題を巡り、「当時、厳しい環境で多数の方々が大変苦しい、悲しい思いをされたことに心が痛む思いだ」と発言したことについては、「心が痛むという表現が本心なら謝罪せよ」として、「日本の植民地支配を謝罪せず、強制動員を認めないままでの韓日関係改善は屈辱だ」と主張した。
 東京電力福島第1原発にたまる処理済み汚染水の海洋放出問題を巡り、韓国の視察団を現地に派遣することに合意したことに関しても、「具体的な計画のない視察は韓国が日本の汚染水放出を理解したものとして利用される」とし、「形だけの視察団派遣ではなく、共同調査団を構成し、福島産水産物の輸入禁止を正式な措置に転換すべきだ」と求めた。


「The Hankyoreh」  2023-05-09 09:20
■[社説]「福島原発汚染水の視察」、放出・水産物輸入の口実にはならない

【写真】太平洋島しょ国18カ国が集まった「太平洋諸島フォーラム」(PIF)事務局と彼らを諮問している独立的な研究陣は今年2月、福島第一原発を訪問し、現場視察を行った=東京電力ホームページよりキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 韓日首脳会談での合意によって、韓国政府は、日本の福島第一原子力発電所の汚染水海洋放出に関する状況を調べる専門家視察団を23~24日に派遣することにした。だが、韓国の専門家らの「視察」が、汚染水放出を押し切ろうとする日本政府の名目作りに利用され、福島産農水産物の輸入再開の圧力につながるのではないかという懸念が強まっている。
 日本政府が国際原子力機構(IAEA)レベルではなく個別の国家に視察を許可したのは、台湾と太平洋島しょ国18カ国が集まる「太平洋諸島フォーラム」(PIF)に続き韓国が3番目だ。問題は、台湾とPIFが昨年と今年に福島県庁を訪問したときは、担当者の説明を聞き、汚染水貯蔵タンクや多核種除去設備(ALPS)、海底トンネルなどを見学するという過程で終わったという点だ。日本側が見せたい場所と資料を見ることができるだけであって、別途の自主的な検証は不可能だった。今回、個別視察まで進めた韓国政府が安全性について具体的な問題を提起できなければ、高濃度の放射性物質が混ざった汚染水をALPSで浄化処理した後、今年夏に福島近海に放出するという日本政府の計画に「正当性」を付与するだけになる。
 よりいっそう懸念されるのは、韓国の適切な検証なしに今夏に海洋放出が始まれば、これまで守ってきた福島産農水産物の輸入禁止の原則も揺らぐことになるという点だ。日本政府は、福島が安全ではないというイメージが続くのは、各国の農水産物輸入禁止の影響が大きいとみて、執拗なほど解除を要求してきた。その結果、当初規制をしていた55の国・地域のうち、現在でも輸入を禁止している国は、韓国や中国など5カ所にすぎない。韓国はこれについて、世界貿易機関(WTO)でも日本に勝訴したが、汚染水放出に対して適切に問題を提起できず、輸入禁止の名目も失うことになる厳しい状況に直面した。
 「韓日関係改善」だけを叫び、日本の要求を無条件に受けいれてきた尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権を見つめる世論の懸念は強まっている。国民の健康と安全、海と水産業の未来がかかわる問題まで、日本に一方的に“大盤振る舞い”をするという状況は、絶対に容認できない。政府はまず、検証団を適切に編成し、安全性を確認するまでは汚染水を放出しないという約束を日本から受けなければならない。独自検証の後には、汚染水放出の延期を日本政府に正式に要求した太平洋18カ国など国際社会との連帯の可能性も視野に入れなければならない。
(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-05-09 02:38


「The Hankyoreh」   2023-05-09 07:26
■韓国政府、福島第一原発視察→福島産輸入再開の「罠」にかかるか
 共同調査より安全広報見学に近く 
 水産物の危険イメージ、韓国のせいにする日本  
 視察後、汚染水の放出を黙認すると解釈する可能性も
 韓日首脳が7日、東京電力福島第一原発に韓国視察団を派遣することで合意したことと関連し、ともすれば日本の汚染水の海洋放出を正当化し、これまで禁止してきた農水産物の輸入を再開せざるを得ない「罠」にかかりかねないという懸念の声があがっている。 これを避けるためには、視察後、韓国政府がこれまで蓄積した分析資料をもとに汚染水の放出に対して「反対」あるいは「延期」のような明確かつ一貫した立場を示す必要があるものとみられる。
 外交部は8日、福島第一原発への韓国視察団の派遣に関し「近いうちに韓日局長級協議を行い、23~24日の視察団派遣に関する具体的な内容を話し合う」とし、「現場視察団は政府関連機関と傘下機関の専門家で構成する予定」だと明らかにした。
視察が急ごしらえで決まったためか、政府は同日から急いで実務準備に入っている。 大統領室当局者は首脳会談が終わった後、記者団に「今回の視察は単に見て回ることを意味するわけではないようだ」とし、「(汚染水に含まれた)物質や成分について一緒に調査できるのではないか」という期待をにじませた。

【写真】太平洋島しょ国18カ国が集まった「太平洋諸島フォーラム」(PIF)事務局と彼らを諮問している独立的な研究陣は今年2月、福島第一原発を訪問し、現場視察を行った=東京電力ホームページよりキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 だが、日本がこれまで個別国家に認めた視察の前例からすると、これは現実とはかけ離れた「一方的な期待」であることが分かる。 日本が国際原子力機関(IAEA)の他に視察を許可したのは、台湾(昨年3月11日)と太平洋島しょ国18カ国が集まった「太平洋諸島フォーラム」(PIF)事務局(2月)の2カ所だけだ。
 一日かけて行われた当時の視察は、5段階で行われた。 まず、東京電力の担当者が多核種除去設備(ALPS)で浄化した汚染水の排出など全般的な過程を説明した後、現場を訪れる。 その後、海洋放出前に汚染水内の放射性物質の濃度を測定する「K4」タンク、タンクと海をつなぐ1キロメートルの海底トンネル現場、希釈された汚染水で育てるヒラメとアワビの飼育試験場を見学する。 最後に、海洋放出後の影響を分析する日本原子力研究開発機構(JAEA)の大熊分析・研究センターを訪問する。
 共同調査というより汚染水の海洋放出が安全だという東京電力の広報内容を体験する見学に近い。 東京電力は地域住民や一般人、企業、ジャーナリスト、市民団体などを対象に同様の事業を行っている。
 このような見学性の視察から帰ってきて、政府が今のように沈黙を守った場合、韓国が日本の汚染水放出計画を事実上黙認したという誤解を招きかねない。 さらに、2011年3月の福島原発事故以来10年以上続いてきた「福島産農水産物の輸入禁止」原則を自ら崩す最悪の状況に追い込まれる可能性もある。
 韓国は福島原発事故により放射性物質が流出した日本の沖合を「潜在的危険」と主張し、2019年4月、世界貿易機関(WTO)の紛争解決制度において勝訴した。 ソウル大学のソ・ギュンリョル教授(原子核工学)は、ハンギョレとの電話インタビューで、「海洋放出が1~2カ月後に迫った状況で、韓国側が反論できる確実な資料や論理を持っていなければ、ただうなずいて帰ってくることになる」とし、「日本がこれを利用して福島産水産物などの輸入制限を撤廃するよう圧力をかけるだろう」と懸念を示した。

【写真】福島第一原発敷地内のタンクに保管中の放射性物質汚染水/AP・聯合ニュース
【写真】東京電力が昨年から公開している希釈された汚染水で育てるヒラメとアワビの飼育試験場は、台湾と太平洋島しょ国の視察過程にも含まれていた/聯合ニュース

 日本は福島水産物が安全でないというイメージが作られたことを、これまで輸入禁止措置を続けている韓国などのせいにしている。 日本の農林水産省の資料によると、福島原発惨事以降、55カ国と地域が輸出規制に乗り出したが、これまで輸入自体を禁止している国は韓国や中国など5カ国のみ。 中国は汚染水の海洋放出に強く反対する立場を示しており、汚染水の影響を真っ先に受ける太平洋島しょ国は「放出の延期」を求めている。
 しかし、韓国は「国民の健康」に言及しながらも、放出については曖昧な立場を守っている。 国際通商専門家のソン・ギホ弁護士は同日、資料を発表し「政府はこの2年間で日本から汚染水の資料を4回も受け取った。しかし、これまでいかなる評価や分析結果も出していない」と批判した。

東京/キム・ソヨン特派員、シン・ヒョンチョル記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-05-09 02:39

「福島第一原発の汚染水…捨てるな、陸上に保管せよ」

2023年05月24日 | 
「The Hankyoreh」 2023-05-20 09:12
■福島第一原発の汚染水…捨てるな、陸上に保管せよ
 [ハンギョレ21] 
 東京電力も排出被害認め、日本の漁業者への賠償を準備 
 韓国政府は韓国への影響の分析と代案も提示できず原発見物してくるだけなのか

【写真】福島第一原発の汚染水貯蔵タンクの近くで防護服を着た作業員が働いている/REUTERS

 他の分野に比べ、核エネルギー部門は用語をめぐる論争が激しい。1978年に稼動を開始した韓国初の原子力発電所である古里(コリ)1号機は、建設当時の設計寿命が2007年までと定められていた。2000年代初めの稼動期間満了後も、古里1号機を稼動しようという議論をする際に、政府は「寿命延長」という表現を使った。設計寿命の過ぎた発電所の運用期間を延長するのだから自然な表現だった。
 しかし現在、政府が使用している公式の表現は「継続運転」だ。寿命の過ぎた発電所の寿命を延長するというのはイメージが悪いため、既存の発電所を「継続運転」すると表現した方が適切だというのが政府の説明だ。しかし、マスコミや地域住民は「古里1号機の寿命延長決定」のように「寿命延長」という用語を使用することの方が多い。いくらイメージを変えようとしても、設計寿命が過ぎた原発の寿命を延ばすという事実は変わらないからだ。
 核エネルギー分野では、このように用語の整合性や現実性ではなく、国民にどのようなイメージで伝わるかを考えた名前が多い。

◆日本の放出を容認したIAEAは「原発の拡大」が目標
 日本政府が使用し続けてきた「処理水(Treated Water)」という用語も同じ脈絡によるものだ。日本政府は福島第一原発事故後、原子炉の冷却に使われたり地下水の汚染で発生したりした水を「汚染水(Contaminated Water)」、多核種除去設備(ALPS)で一部の核種を除去した水を処理水と呼んでいる。実際にはALPSでの処理を終えた水にも様々な放射性核種が含まれており、トリチウム(三重水素)のような核種はALPSでは除去できない。しかし日本政府は「汚染されていない」ことを強調することを意図して処理水という言葉を使い続けている。
 韓国政府も汚染水という用語を処理水に変更することを検討したという報道があった。韓国政府が否定したため問題は一段落したが、これは単に用語を変えるという水準の問題ではない。現在の事態をどのような視点から見つめるのかについての基本哲学が問われる問題だ。特に外交関係においては、どのような用語を選択するかは多くの意味が含まれているため、この問題を軽く考えるべきではない。
 福島第一原発の汚染水をめぐる問題は、このように複雑な問題が絡み合っている。国によって汚染水問題に対する見方が異なるということも、これを示す代表的な例だ。福島第一原発の汚染水問題をめぐってよく受ける質問の中には、「国際原子力機関(IAEA)や他国はなぜこの問題に積極的でないのか」というものがある。これも福島第一原発の汚染水をめぐる重要な争点だ。
 米国のアイゼンハワー大統領による1953年の「平和のための原子力(Atoms for Peace)」演説を契機として、1957年に作られた国際機関がIAEAだ。韓国では核兵器についての査察を行う国際機関として広く知られているが、それに先行する目的こそ「原子力の平和利用の促進」だ。そして代表的な原子力の平和利用の例が原発だ。実際にIAEAは原発を拡大するための様々な研究、開発、宣伝事業を行っている。気候危機問題を扱う国連気候変動枠組み条約の締約国会議の会場で、「原子力は気候変動の代案です」と宣伝するIAEAの広報ブースを見つけるのは難しいことではない。
 このような性格を持つため、チェルノブイリと福島第一原発の事故の影響についてIAEAは保守的な態度を堅持しており、全世界の反核団体の主な批判対象となっている。チェルノブイリ事故20周年に際して、欧州緑の党などがIAEAのチェルノブイリ報告書の問題点を指摘した「もう一つのチェルノブイリレポート(TORCH)」を発表したのが代表的な例だ。この報告書は、チェルノブイリ事故でのがんによる死者は数千人ほどに過ぎないとするIAEA報告書の問題点を指摘しつつ、がんによる死者はIAEAの評価の7.5倍から15倍にのぼると予測している。 

【写真】2021年4月30日、韓国の漁船が日本による福島第一原発の汚染水放出に反対する海上デモを行っている/REUTERS

◆韓国を含む多くの国が核廃棄物を排出中
 2020年にIAEAのラファエル・グロッシ事務局長が、日本による福島第一原発の汚染水放出について「技術的に可能であり、また国際的な慣例に沿ったもの」と発言したのも、同じ脈絡からのものだ。彼が言うように、これまで国際社会は海に多くの核廃棄物を捨ててきた。
 国際的に高レベル核廃棄物の海洋投棄が1993年に禁止されるまで、13の国が太平洋、大西洋、北極海などに核廃棄物を捨てていた。それは核兵器を保有している国だけではなく、軍事用、医療用、産業用の核廃棄物も海に捨てられていた。韓国近隣では、ロシアによる原子力潜水艦用の原子炉の東海(トンヘ)への投棄、韓国による研究用核廃棄物の東海への投棄、日本による太平洋への投棄などの例がある。大気圏での核実験は2000回以上行われており、チェルノブイリや福島で原発の事故まで発生しているため、全世界の海水からは現在、自然には存在しないプルトニウムなどの「人工放射性核種」が発見されている。人間が地球環境に影響を及ぼした地質時代を意味する人新世(Anthropocene)のマーカーに、プラスチックやニワトリの骨と共に人工放射性物質が含まれているのはそのためだ。
 幸い1993年以降、高レベル核廃棄物の投棄は止まったが、福島第一原発の汚染水のような低レベル核廃棄物の海洋投棄は今も続いている。福島第一原発の汚染水にトリチウムが含まれていることが争点になると、日本政府は韓国の月城(ウォルソン)原発に言及しつつ、韓国もトリチウムを海に捨てているとして福島第一原発の汚染水放出の正当性を主張した。原発を運用している韓国水力原子力のウェブサイトによると、月城原発以外の原子力発電所も液体または気体のかたちで核廃棄物を排出している。「あなたたちもゴミを捨てておきながら、なぜ自分たちだけにとやかく言うのか」という論理だ。事実、その表現だけを見ればそのとおりだ。IAEA事務局長の言うように、核廃棄物を捨てるのは核産業界の「長年の国際慣例」だからだ。
 そのような汚染水は、放出されても何の問題もないのだろうか。そんなはずはない。今も福島近隣では基準値以上に汚染された農水産物が出ている。2022年に日本の厚生労働省が公開した農水産物のサンプル検査の結果によれば、検査を行った3万6千点あまりの農水産物の11.0%からセシウム134などの放射性物質が検出された。放射性物質が多く検出されるのは特定の農水産物からであり、たらの芽とタケノコからは検査試料の21%、水産物ではヤマメの5.3%から放射性物質が検出された。

◆直接的な被害生む「怪談」
 福島第一原発事故が起きてから10年以上たつが、近隣地域の土壌と海はすでに汚染されている。日本政府の計画通りに汚染水が海に放出されれば、すでに汚染されている海がさらに汚染され、放射性物質が生物に濃縮される「生物濃縮」が加速する。また、このような問題が生じれば、消費者は直ちに水産物の消費を減らす。日本は水産物の消費が多い国として有名だった。2000年代以降、日本の水産物消費は減少を続け、2011年の原発事故は水産物消費の減少に決定的な影響を与えた。現在の日本の1人当たりの水産物消費量は、2000年代初頭に比べて40%ほど減少している。
 このような影響について日本政府と福島第一原発を運用する東京電力は、「風評被害」だとして努めて被害の意味を隠蔽するが、海洋汚染で食文化が変わることを単なる「風評の問題」とみなすべきなのかは疑問だ。東京電力は2022年末、汚染水の排出による風評被害の賠償基準まで設け、約5千億円(約4兆8400億ウォン)規模の賠償を準備している。風評被害は「怪談」にとどまる話ではなく、漁業者にとっては非常に直接的な被害であることを東電も認めているのだ。
 一方、韓国ではこのような被害がどれくらい生じるのか、国内の漁業者と水産業にどれほどの影響を及ぼすのかについての政府レベルの分析はない。日本では直ちに実現する被害への賠償に、韓国政府は何も手を付けていないという批判が起こらざるを得ない。
 汚染された土壌から海へと流れ込む汚染水をすべて防ぐことはできないというのなら、少なくともすでに回収してある汚染水を海に捨てないのは当然のことだ。しかし日本政府は「国際慣行」や「被害の軽さ」などを理由に汚染水の海洋放出方針にこだわっている。だがこれより大きな問題は、海洋放出が「最も安くて手軽な方法」だということだ。2016年に初めて海洋放出案が発表された際に提出された別の案(水蒸気蒸発、電気分解、地下埋設、地層処分)に比べ、海洋放出は最も安い方法だった。それもそのはず、そのために必要なものは、既存の1千基のタンクに保管されている汚染水を海に排出するためのパイプくらいだ。

◆保管場所がないという日本の論理は苦しい
 皮肉にも汚染水処理の模範的な解決策は、今のようにそのままにしておくことだ。現在、約140万トンの汚染水は1千基の貯蔵タンクに保管されている。ソウル蚕室(チャムシル)の石村(ソクチョン)湖の淡水の量は636万トンだ。現在の汚染水の総量は石村湖の4分の1ほどだ。また、2021年に完成した蔚山(ウルサン)石油備蓄基地の貯蔵容量(1030万バレル、163万トン)ほどもあれば、現在あるすべての汚染水を保管しても余る。福島第一原発の周辺地域の土壌が汚染され、現在も立ち入りが規制されていることを考えると、汚染水を貯蔵する場所がないから海洋放出しなければならないという日本政府の論理は実に苦しい。日本の市民団体が海洋放出ではなく陸上保管を主張するのも、それが汚染水放出による環境的、外交的批判を減らすための最小限の措置であるからだ。
 これまでの韓国政府の対応のあり方は、海洋放出による環境汚染をきちんと指摘できていなかったという問題もあるが、陸上保管のような根本的な代案が提示できていなかったという問題の方が大きい。日本政府の対応論理に対して、単なる「情報公開」や「懸念表明」程度にとどまっているのだ。遅れはしたものの、漁業者をはじめとする韓国国民に及ぼす影響を政府レベルで分析し、積極的に代案を提示することを改めて求める。日本政府が見せてくる内容を「評価することなく」そのまま見てくる「視察団」ではなしに、だ。

イ・ホンソク|エネルギー正義行動 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-05-19 00:41

「「日本の謝罪を要求すべき」 韓国野党の論理とほぼ同じ国会立法調査処の報告書」

2023年05月19日 | 
「中央日報日本語版」 2023.05.19 10:38
■「日本の謝罪を要求すべき」 韓国野党の論理とほぼ同じ国会立法調査処の報告書
 韓国国会立法調査処が政府の日帝強制動員解決策である「第3者弁済案」に批判的な報告書を出して物議を醸している。立法調査処は報告書で、韓国政府が日本に対する歴史問題の対応方向をより積極的に説明すべきだとし、日本政府と企業の直接的な謝罪と賠償・補償の参加も要求すべきだと主張した。
 国会立法調査処は18日、報告書「強制動員被害者に関する国会の議論動向と今後の課題」を発刊した。韓国政府が3月6日に発表した「第3者弁済案」の日帝強制動員解決法の主要争点を検討するのが目的だ。「第3者弁済案」は、2018年に大法院(最高裁)で賠償確定判決を受けた強制動員被害者15人の判決金と遅延利息を、日本の戦犯企業の代わりに行政安全部傘下の日本強制動員被害者支援財団が支払う内容が骨子だ。支援財団の財源は、韓日民間の自主的な拠出を通じて確保するとしている。
 報告書は、第3者弁済案に4つの争点があると主張した。まず、被害者が政府案に同意しない場合、民法上、弁済の効力が発生しない可能性があると指摘した。当事者の意思表示でこれを許可しない場合、第三者が債務弁済を履行することができないという民法第469条の規定を根拠に挙げた。
 続いて▽日本政府と加害企業が謝罪と寄付金参加に応じるかどうか不明な点▽大法院判決金の支給主体として支援財団が適切かどうか▽訴訟に参加しなかった被害者などは政策対象から除外される状況--などを問題点として挙げた。野党がこれまで政府の方針を批判して出した根拠と大きく変わらない内容だ。
 報告書は政府の今後の課題として3つのことを挙げた。▽今後、日本に対する歴史問題に対してどう対応していくかについて、政府の立場を国民により積極的に説明すること▽外交部以外の汎政府レベルの議論機構を設けること▽日本政府と企業の直接的な謝罪と賠償・補償参加を要求すること--などだ。
 報告書は特に、強制動員解決法を「韓日間の外交的な懸案でもあるが、国内的には国家が責任感を持って向き合わなければならない問題」と規定した。岸田文雄首相をはじめとする日本側の対応については、「10年前、菅直人首相が韓国人の意思に反して植民地支配を謝罪し、三菱が裁判とは別に被害者側との対話の場を設けたこととは異なる日本の右傾化の一端を示している」と評価した。
 「国民の力」のキム・イェリョン報道官は18日、中央日報に対して口頭論評を発表して「前政権で行き詰まった韓日関係を解決する過程で、大乗的な決断を通じて得られる国益の部分は見落としたようだ」とし「国会立法調査処が野党の主張だけをそのまま書き写したかのような報告書を出すのは非常に不適切」と批判した。報告書を作成したパク・ミョンヒ立法調査官は「強制動員解決は外交的な懸案でもあるが、国内的にも包括的に解決すべき問題であることを明らかにしたもの」と説明した。

韓国政府、福島原発に視察団派遣… 環境団体「汚染水放出の名目づくりを

2023年05月09日 | 
「ハンギョレ」 2023-05-08 08:28
■韓国政府、福島原発に視察団派遣… 環境団体「汚染水放出の名目づくりを手助け」批判
 大統領室「単に見て回るだけではない」と強調したが 
 岸田首相「IAEAの最終報告書を反映し、手続き進める」
 韓国大統領室は、7日に尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領と日本の岸田文雄首相が福島原発汚染水の海洋放出問題に関して「韓国専門家による現場視察団の派遣」に合意したことについて、「単に(現場を)見て回ることを意味するわけではない」と強調した。しかし環境団体などは、視察後に韓国政府が日本政府の汚染水放出過程に実質介入できるレベルの合意が出たわけではないという点を挙げ、政府が福島原発汚染水の放出に向けた日本政府の名目づくりを手助けするものだと批判した。
 尹大統領は同日、韓日首脳会談が終わった直後の記者会見で、韓国専門家による現場視察団の派遣に合意したことを発表し、「科学に基づいた客観的検証が必要という韓国国民の要求を考慮した有意義な措置が取られることを願う」と述べた。岸田首相は「韓国国内で懸念の声があることはよく認識している」とし、「日本の首相として、自国民及び韓国国民の健康や海洋環境に悪影響を与えるような形での放出を認めることはない」と述べた。
 日本政府は2011年の福島第一原発事故以降、事故現場内のタンクに保管してきた高濃度放射性物質が混ざった汚染水を多核種除去設備(ALPS)で浄化処理した後、今夏、福島県沖の海に放出することを目指している。日本政府は浄化処理でも濾過できないトリチウムの濃度が安全基準以下に下がるまで汚染処理水を海水で希釈して排出する方針だが、環境団体は人体にがんを誘発する可能性など、トリチウムの生物学的濃縮などに対する研究が不十分だとして、拙速に放出を進めるべきではないと反対してきた。特に放射能汚染分野の著名な学者である米サウスカロライナ大学のティモシー・ムソー教授は、先月27日、トリチウムと関連した科学文献70万件余りを全数調査した結果、人体に及ぼす影響に対する体系的な研究は皆無だと批判した。
 大統領室はこれと関連して、韓国専門家の現場視察が単なる視察以上のものになると強調した。大統領室関係者は「日本は韓国との特別な関係を考慮し、一対一で別途の視察団を受け入れることにした」とし、「(日本政府が)韓国国民の健康の不安を招くような措置は取らないという意向を明確にしたもの」だと述べた。同関係者は「(視察団に)どのような構成員や科学的手法が採択されるかは議論しなければならないが、国際原子力機関(IAEA)の方法を参考にし、問題になりうる成分を調査できるのではないかと思う」と付け加えた。
 共同通信は、両国首脳の合意により韓国視察団が23日に福島原発を訪問すると報じた。これは、汚染水の海洋放出に関するIAEAの専門家グループの最終報告書が発表される時点(6月目標)に合わせたものとみられる。2021年に国際検証団を構成したIAEAは、6日に放出計画が「十分現実的」だという中間報告書を出すなど、汚染水を希釈して放出した場合、濃度は微々たるものだという日本の主張に友好的な見解を示してきた。日本政府はこのようなIAEAの「国際検証」を世論の盾にしてきた。岸田首相が同日の会見で、IAEAの最終報告書を反映して国内手続きを進めるとし、日韓間で引き続き誠実な意思疎通をしていきたい分野だと述べたのも、IAEAの結論に基づいて海洋放出を進める意思を表わしたものとみられる。
 特にIAEAが汚染水の放出に対して免罪符を与えれば、日本政府が福島産水産物の輸入に対する圧力を再開する可能性があるという批判もある。大統領室関係者はこれに関して「福島原発汚染水の処理問題が当面の課題であるため、両国が先にこの問題に集中することになるのではないかと思う」とし、「この部分が議論される機会があれば、福島原発汚染水と同じ立場でアプローチすることになりそうだ」とだけ述べた。
 環境団体は今回の合意をめぐり、政府が日本の福島原発汚染水の海洋放出にむけた名目づくりに力を貸すことになったと批判した。「脱核市民行動」は同日、「韓日両国首脳は福島原発放射性汚染水の海洋投棄の中止を宣言し、長期保管の解決策を論議すべきだった」とし、「尹大統領は外交的成果のために(日本の)汚染水海洋投棄の名目づくりの共犯に転落した」という声明を出した。グリーンピースのキャンペナー、チャン・マリ氏も「放射性物質がどんな生物学的影響を及ぼすかが最も懸念される部分だが、これに対する言及なしに現場視察をすることは無意味」だと批判した。「エネルギー正義行動」のイ・ホンソク政策委員も「日本政府の汚染水処理に対する名目づくりを韓国政府が手助けしたとしか言いようがない」と語った。
ナム・ジョンヨン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-05-08 05:00


「中央日報日本語版」 2023.05.05 09:36
■韓国京畿道知事「汚染水放流、友好の美名の下で譲歩する事案では絶対にない」
 金東ヨン(キム・ドンヨン)京畿道(キョンギド)知事は4日、「汚染水放流計画中断が韓日首脳会談のマジノ線」とし、政府の強硬な対応を促した。
 金知事はこの日夕方、自身のフェイスブックに投稿した文章で「今回の韓日首脳会談で福島原発汚染水問題が議題に上がることについて深刻な憂慮を表する」とし、「尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は我が国民の生命と安全を守るための義務と責任を果たすことを願う。汚染水の放流は韓日友好関係増進という美名の下で譲歩できる事案ではない」と声を高めた。
 また、「私は国民の食の安全、漁業従事者、小商工人など関連産業従事者の生存権を脅かす福島原発汚染水海洋放流に強く反対する」とし「日本政府は透明な情報公開、完全な安全性検証、周辺国と国際社会の同意なしに行われる汚染水放流計画を撤回せよ」と要求した。
 金知事は「韓日両国の科学的共同調査と安全性検証を伴わない汚染水放流計画中断を貫徹させることが今回の韓日首脳会談のマジノ線」とし「前回の首脳会談で大韓民国の『過去』を譲歩したのに続き、今回の首脳会談で『現在』と『未来』まで譲歩することはできない」と述べた。
金知事は「私は京畿道知事として1400万人の道民の安全を守るためにすべての方案を講じる」と述べた。


「中央日報日本語版」 2023.04.28 08:31
■米教授が警告…「原発汚染水のトリチウム、体内に入れば危険」
 
【写真】ティモシー・ムソー米サウスカロライナ大教授 グリーンピース提供

 トリチウムから出る放射線のエネルギーは他の放射性核種と比べて低いが、人体内の生体の物質に含まれる場合は危険かもしれないという主張が、海外の専門家から提起された。
 月城(ウォルソン)原発のトリチウム漏出に関してもこうした主張が提起されたことがあるが、今回の主張は日本政府が福島原発の汚染水(処理水)を海に放出しようとする中で出てきたため、国際的にも注目を引くとみられる。
 現在、福島には1000基以上の汚染水貯蔵タンクがあり、その中に1200兆ベクレル(Bq)を超えるトリチウムが入っていると推定される。
 環境団体グリーンピースの招待を受けて韓国を訪問した米サウスカロライナ大学生物学科のティモシー・ムソー教授は27日、ソウル汝矣島(ヨイド)の全国経済人連合会(全経連)会館で記者会見を開き、トリチウムの危険性について説明した。

◆セシウム137の2-6倍の危険も
 ムソー教授は1950年代から2022年までに発表されたトリチウム関連の世界の文献70万件のうち生物体に及ぼす影響を扱った250件を分析した後、論文に整理し、最近SSRN(社会科学研究ネットワーク)に公開した。
 ムソー教授は「トリチウムは低エネルギーであり外部では皮膚も透過できないが、生物体内に入れば高エネルギーのガンマ線の倍以上も危険であることが分かった」と強調した。
 トリチウムは普通の水素原子の代わりに水分子に編入されることがあり、体内にも容易に入ったりする。
 ムソー教授は「透過力が強いガンマ線は瞬間的にDNAや細胞に影響を及ぼしてすぐに体外に抜けるが、透過力が相対的に弱いトリチウムのベータ線は細胞組織や臓器内部を抜け出せず集中的な内部被ばくを起こすため」と説明した。
 遺伝子などの損傷に及ぼす程度を示す生物学的効果比(Relative Biological Effectiveness、RBE)がセシウム137の2-6倍という点がいくつかの文献で確認されるということだ。

◆食物連鎖を経て濃縮すればさらに危険
 ムソー教授は特に「トリチウムに被ばくしたマウスでは精子と卵子、そして生殖器損傷が観察され、遺伝子変異も表れた」とし「深刻な問題はトリチウム被ばくの影響が食物連鎖の上位段階になるほど大きくなり、特に数世代を経て蓄積されながら種の遺伝子変異をもたらすこともあるという点」と憂慮した。
 トリチウムが食物連鎖を経て濃度が高まる生物濃縮現象が起きる場合、人間の健康に脅かすこともあるということだ。
 ムソー教授は「(自身が参加した研究を通して)チョルノービリ(チェルノブイリのウクライナ式発音)原発事故地域の野良犬から周辺の他の地域の犬とは全く違う遺伝情報が確認された」とし「福島汚染水放出時にも周辺の生態系で多くの生物の遺伝情報が変わる可能性が高い」と警告した。
 また「東京電力が多核種除去設備(ALPS)で処理して海水で薄めた汚染水でカレイ・アワビ・海草の3種を育てながら生物学的影響を評価すると広報しているが、生死や発育状態、トリチウム濃度だけを調べる現在の方式は見せる形の研究にすぎない」と評価した。
 ムソー教授は「評価対象を汚染水に露出する数百種の生物に拡大して周期的に遺伝情報を採取して比較し、超国境的、包括的レベルの生物学影響評価をするべきだ」と勧告した。

◆平常時の原発からもトリチウム排出
 ムソー教授はオンラインに公開した論文で「環境汚染物質のトリチウムの生物学的影響を扱った論文の数があまりにも少ない」とし「正常な原発運営過程で排出される最も多い放射性物質という点を考慮すると驚く」と指摘した。今後、多くの研究を通してトリチウムの影響を明らかにすべきということだ。
 韓国水力原子力の資料によると、韓国国内の原発の場合、年間230兆ベクレル程度の放射性物質を海に放出している。温排水で薄めた状態で海に放出しているが、量だけをみると国内原発で放出されるトリチウムを5-6年集めれば福島に貯蔵したトリチウム1200兆ベクレルとほぼ同じになる。
 ムソー教授は論文で「原発から排出されるトリチウムは大規模な人口に近い『点排出源(point source)』であるため、局地的濃度は地理的規模で危険かもしれない」と説明した。簡単にいうと、原発から温排水を排出する放出口の近くの狭い範囲内ではトリチウム濃度が相対的に高くて危険ということだ。
 ムソー教授は「今回の論文は『総合環境科学(Science of Total Environment)』国際ジャーナルに掲載されると期待している」と話した。

◆「放出反対意見を東京電力に伝える」
 一方、グリーンピースのキャンペイナー、チャン・マリ氏は「ALPS処理後に大量の水を混ぜてもトリチウムと炭素14は全量が海に流れ、残り62種の放射性物質も十分に処理されるという客観的検証がない状況」と指摘した。
 チャン氏は「東京電力と国際原子力機関(IAEA)の放射線影響評価と、それに対する検証措置は、国際海洋法が強調する『事前予防の原則』を遵守していないだけに、国際海洋法裁判所を通じて放出計画の中断のような強制的暫定措置が急がれる」と述べた。
 グリーンピースは「韓国と日本、太平洋島嶼国の市民の汚染水放出反対意見を集めて、各国政府と東京電力に伝達するキャンペーンを続ける計画」と明らかにした。


「The Hankyoreh」 2023-04-28 08:44
■「福島原発汚染水のトリチウム、人体の影響少ないという日本の主張は『フェイク』」
 サウスカロライナ大学の生物学者ムソー教授 
 グリーンピース記者会見でトリチウムの文献調査結果を発表

【写真】米国サウスカロライナ大学のティモシー・ムソー生物学教授が27日午前、ソウル永登浦区にある全経連会館カンファレンスセンターで開かれた「トリチウムの生物学的影響の研究」の記者会見で研究結果を発表している/聯合ニュース

 日本政府は、福島原発事故で発生した汚染水に含まれる放射性物質の一つであるトリチウムが人体に及ぼす影響は少ないと主張しているが、実は、トリチウムが人体のがん発生に及ぼす影響を調べた研究は一つもないことが明らかになった。トリチウムががんを引き起こすことはないと主張する科学的根拠がないということだ。福島第一原発の汚染水を放出する前に、人間などの生態系に及ぼす影響に対する綿密な調査が必要だとする声が高まっている。
 米国サウスカロライナ大学のティモシー・ムソー生物学科教授は27日、国際環境団体グリーンピースが開催した記者会見で、トリチウムに関連する科学文献70万件あまりを全数調査した結果、トリチウムが人体などに及ぼす生物学的影響を一部でも扱った研究は250件(0.03%)にすぎなかったことを明らかにした。特に、発がんの影響についての研究は、そのうちわずか14件にすぎなかった。それさえも、マウスなどの実験用動物を対象に行われた研究であり、人体に及ぼす影響についての体系的な研究は、事実上一度も行われていないというのがムソー教授の分析だ。
 ムソー教授は、米国科学アカデミーの放射線影響諮問委員を歴任し、韓国と日本による世界貿易機関(WTO)での福島産水産物の紛争で、韓国側の証人を引き受けもした放射能汚染分野の著名な学者だ。
 科学界は、トリチウムは遺伝毒性と発がん性を有しており、生殖系にも生物学的な影響を及ぼす恐れがあるとみている。グーグル・スカラーで検索すると、発がん性があることが知られている他の物質についての研究論文数は、加工肉が約31万3000件、アスベストが約19万7000件、ラドンが約9万6700件、ビスフェノールAが約8万7000件で、トリチウムの発がん関連の研究とは比較にならないほど多い。ムソー教授は本紙と別途行なったインタビューで「トリチウムがこのように科学的な研究ネットワークから外れていたということは、非常に不思議なことだ」として、「生物学的な影響に関する研究が驚くほど少ないのは、このテーマに対する研究を支援するための投資の不足を反映しているものであり、おそらく(原発の利用に困難をきたすことを懸念して)意図されたものではないかと思う」と述べた。
 さらにムソー教授は、トリチウムの生物学的影響を扱った論文を全数分析した結果、様々な論文でトリチウムの生物学的効果比(RBE、生物の遺伝子などに損傷を与える度合い)は、代表的な放射性物質であるセシウムより2倍以上高いという事実が繰り返し確認されたことを明らかにした。一部の論文では、この比率が最大6倍まで高く提示されたものもあったという。ムソー教授は、これについて「セシウムのガンマ放射線は透過力が強く、瞬間的にDNAや細胞に影響を与え外に抜け出すが、トリチウムのベータ放射線は透過力が弱くて体内から抜け出すことができず、集中的な内部被ばくを起こすため」だと説明した。
 ムソー教授は「トリチウムに被ばくした実験用マウスでは、精子と卵子そして生殖器の損傷が観察され、遺伝子の二重らせんが断絶し、遺伝因子の変異も現れた」とし、「トリチウム被ばくの影響は、食物連鎖の上位段階に行くほど大きくなり、多くの世代を経て蓄積され、種の遺伝子組み換えを引き起こすこともありうる」と指摘した。
 放射線による遺伝情報の変化は、チェルノブイリ原発事故地域の野良犬を対象にした研究でも確認されたことがある。ムソー教授も共著者として参加したその研究結果は、3月に学術誌「サイエンス・アドバンシス」に発表され、ニューヨーク・タイムズをはじめとする世界の主要メディアで紹介された。
 ムソー教授は「日本が放出しようとしている福島原発汚染水に含まれるトリチウムの影響がどれほど大きいかは、今すぐ指摘するのは難しいだろうが、我々が知らないうちに生態系に影響を与え続けた合成物質DDTのような影響を及ぼす可能性もある」と懸念した。DDTは、1940年代以降に全世界で殺虫剤や農薬などで広く用いられ、生物学者レイチェル・カーソンが1962年に著書『沈黙の春』で生態的毒性を告発したことをきっかけに、多くの国から使用禁止した物質だ。
 ムソー教授は「インターネット上にはトリチウムについての虚偽の事実が多くあるが、基本的なメッセージは『トリチウムは非常に弱いエネルギー放出体』だということで共通している。さらに東京電力も『トリチウムは非常に弱い放射性物質』だと語っているが、こうしたものは、すべて『フェイクニュース』とみなすべきだ」と述べた。
 ムソー教授は「こうしたものは、大衆に混乱を与えることを意図して出てきたもの」だとしたうえで、「トリチウムに対する真実は、低いエネルギーを放出するということであり、それは必ずしも影響が弱いということを意味しない」と述べた。
 日本政府と東京電力は、トリチウムに大量の水を混ぜて希薄させた後に海洋放出するため、人体に及ぼす影響はきわめて少ないと主張している。東京電力は現在、メイタガレイやアワビ、海草を海水で薄めた汚染水で育て、生物学的影響を評価すると広報している。
 ムソー教授はこれについて「死亡の有無と発育状態などだけを調べる方式は、科学的な常識から考えれば見せかけの研究」だと評し、「汚染水にさらされる数百種の生物に拡大し、感度分析を活用した研究が汚染水放出前に独立した科学者によって行われなければならない」と強調した。
キム・ジョンス先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-04-27 20:25


「中央日報日本語版」 2023.04.27 07:51
■「汚染水信じられない」不安高まると…韓国政府、日本放流前に独自の検討結果を発表

【写真】20日、釜山(プサン)駅広場で機張郡(キジャングン)の海女と市民団体などが福島汚染水放流反対集会を開いている。ソン・ボングン記者

 韓国政府が福島原発汚染水放流前に独自の調査結果を発表することを検討していると明らかにした。汚染水放出時点は早ければ今年7月になるものとみられる。
 原子力安全委員会は26日、福島汚染水対応現況説明会を開いて「汚染水放流前に独自の検討結果を公開する」としながら「時期は国際原子力機関(IAEA)が進めている汚染水放流計画評価の最終報告書の発刊後になるだろう」と述べた。関連業界はIAEAの最終報告書は早ければ6月末から7月になるとみている。
 これに先立ち、日本政府は1000個余りの保存タンクに保管している汚染水約132万トンを約30年かけて太平洋に放流する計画を発表した。汚染水は地下水や雨水などが原発の敷地内に流入して生じた。
 これについて福島原発を運営している東京電力は、汚染水浄化施設である多核種除去設備(ALPS)でも除去しきれないトリチウム(三重水素)を除いた多くの放射性物質は基準値以下に落としたという立場を堅持した。
 これに対する国際判断基準となるIAEAの最終報告書の発刊は日本が前面に出している汚染水放流前提条件の一つだ。日本はIAEAの最終報告書発刊以外にも放出設備工事の完了と日本原子力規制委員会(NRA)の承認も前提条件に挙げている。
 これに対して原子力安全委員会は日本側の資料などに基づき、ALPSの浄化性能や移送設備など海に放出するために必要な施設などに対する自己分析を進めていると説明した。同委員会のシム・ウンジョン防災環境課長は「日本が選定した放射能物質の種類や基準程度が適切なのかを全般的に検討している段階」とし「どのような核種が含まれるのかによって我々の身体に影響を及ぼす放射線環境影響評価(REIA)結果が変わるため」と話した。

◇汚染物放水時、水産物は安全か
 ただし、除去しきれなかったトリチウムが水産物を通じて食卓に上がることに対する懸念も提起された。これに対して原子力安全委員会側は「トリチウムの摂取量と半減期、排出量などを考慮して放射線環境影響評価を総合的に進めている」と説明した。
 これに先立ちIAEAも今月初めに公開した報告書で「海産物内の有機結合トリチウム(OBT)形成と人体被爆量に対する不確実性があるということで同意した」と余地を残した。その一方で「(放流水にあるすべての核種による被爆量の中で)トリチウムの寄与は少ないので(比重1%未満)トリチウムがすべてOBTだと仮定しても全体被爆量を大きく変化させない」と付け加えた。
 原子力安全委員会は結果で不十分な点が確認されれば自主的に日本の規制機関の検討過程などに対して異議を提起するという立場だ。同委員会のイム・スンチョル事務局長(福島汚染水TF団長)は「検討の結果、問題点が見つかった場合、日本規制委員会に抗議して承認過程で十分に確認が行われたかどうかに対してはっきりと提言を行う」と話した。


「The Hankyoreh」 2023-04-27 08:35
■大邱・慶北の市民団体「日本の汚染水、韓国東海の漁業者に大きな被害」=韓国
 
【写真】大邱環境運動連合など大邱・慶尚北道の市民社会団体は26日、大邱市中区の国債報償運動記念公園での記者会見で、日本の放射性汚染水海洋投棄計画の撤回を求め、海の生き物が汚染水で死んでいく様子を表現するパフォーマンスを行った=大邱環境運動連合提供//ハンギョレ新聞社

 大邱(テグ)・慶尚北道の市民社会団体は、福島第一原子力発電所の放射性汚染水放出計画を撤回するよう求めた。
 大邱環境運動連合など48の大邱・慶尚北道の市民社会団体は26日、大邱市中区(チュング)の国債報償運動記念公園で記者会見を行い「日本は福島第一原発の放射性汚染水の海洋投機計画を直ちに撤回せよ」と述べた。
 彼らは「2011年3月11日の福島第一原発事故で、韓国は海洋汚染と水産物の安全問題で直接・間接的な被害を受けている。日本は放射性汚染水を保管する場所がないと言い訳して、地球人が共同で利用する太平洋に投棄しようとしている。汚染水を多核種除去設備(ALPS)で浄化するというが、機器に様々な欠陥が発見されており、その機能さえ信頼できない」と指摘した。
 彼らはまた「放射性物質中、セシウムは筋肉、ストロンチウムは骨、トリチウム(三重水素)は血液に作用して遺伝子を傷つけ、白血病、生殖機能障害、がんなどを引き起こしうる。海洋生態系に致命的な影響を与え、韓国の漁業者、水産業従事者にも大きな被害が及ぶだろう。マガレイ、サンマの干物、ズワイガニ、サバ、タコなどの慶尚北道東海岸(トンヘアン)の代表的な食品も放射能汚染から自由ではない。水産物忌避現象が起き、地域経済に大きな被害が発生するだろう」との懸念を示した。
 続いて「このような状況にもかかわらず韓国政府は一体何をしているのか。明確な抗議の声さえあげられない尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は一体誰のための政権なのか。国民の安全よりまず日本のことを考える大統領は必要ない」と強調した。彼らは記者会見後、仮面をかぶって放射性汚染水で海の生き物が死んでいく様子を表現するパフォーマンスを行った。
 日本政府は福島第一原発の汚染水(132万トン)の放射性物質の濃度を法定基準値以下に下げ、今夏から30年かけて海に放出する計画だ。
キム・ギュヒョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-04-26 14:52


「聯合ニュース」 2023.04.26 17:02
■福島汚染水の海洋放出 原子力安全委が検討結果公開へ=韓国
【ソウル聯合ニュース】韓国原子力安全委員会は26日、東京電力福島第1原発にたまる処理済み汚染水の海洋放出に関する説明会を開き、科学技術面から客観的に検討した結果を事前に公開する計画を発表した。 
 政府は国務調整室が主管するタスクフォース(TF、特別チーム)を設置し、対応に当たっている。
 TFで原子力安全委員会は海洋監視と科学技術面の検討を担っており、韓国原子力安全技術院の検討チームと共に放出計画について全般的に検討していると説明した。
 日本側の資料を基に、汚染水の処理設備である多核種除去設備(ALPS)の性能、海洋放出施設、分析方法、環境評価、海洋モニタリング計画などを調べているという。 
 検討結果は国際原子力機関(IAEA)が作成を進めている汚染水放出計画の最終報告書の公表後に発表される予定だ。
 日本は海洋放出の前提条件として、放出設備の工事完了、日本の原子力規制委員会(NRA)の承認、IAEAの最終報告書公表の三つを挙げている。
 業界によると、最終報告書は早ければ6月末にも公表される見通しで、海洋放出は7月以降になると見込まれる。  
 原子力安全委員会は、検討過程で不十分な点が確認されれば、日本の規制機関の検討過程などに対して異議を申し立てることができると説明した。
 ただ、検討結果を基に日本の海洋放出自体に問題提起を行うかどうかはTFが決定するという。
 IAEAはNRAの規制過程を点検する第5次報告書と汚染水の成分を韓国や米国が検証した第6次報告書を5月中に公開し、これらの報告書を総合して最終報告書を公表する計画だ。


「The Hankyoreh」 2023-04-25 13:52
■韓日の市民団体「福島第一原発の汚染水放出計画を中止せよ」声ひとつに
 日本を訪問の環境連合、東京の経済産業省前で記者会見

【写真】日本を訪れた環境連合海委員会のメンバーが24日正午、東京都千代田区の経済産業省前で、東京電力福島第一原発に保管中の放射性物質汚染水の海への放出に反対するとして記者会見を行った=東京/キム・ソヨン特派員//ハンギョレ新聞社

 「海は人類共同の未来だ。日本政府は福島第一原発の汚染水の海洋投棄計画を取り消せ」。
 24日午後12時、東京都千代田区の経済産業省前。韓国からやって来た環境連合海委員会のメンバーが、東京電力福島第一原発に保管中の放射性物質汚染水の海への放出に反対するとして記者会見を行った。
 チェ・イェヨン副委員長は記者会見で「韓日両国の市民社会と漁業者は福島第一原発の放射性物質汚染水の海洋投棄に反対すると何度も表明してきた。しかし、日本政府と東京電力は強行しようとしている」と述べた。チェ副委員長は「海は人類の資産であり未来だ。汚染水を海に捨てるなという世界各地の声が聞こえないのか」、「日本政府と東京電力に反対意見を直に伝えるために東京にやって来た」と語った。
 この日の記者会見には、福島第一原発の汚染水の海への放出反対などを求めて経済産業省前で毎日集会を行っている日本の市民団体や、関西労働者安全センターなども連帯した。「経産省前テントひろば」のあるメンバーは「海は世界中につながっている。福島第一原発の汚染水は日本だけでなく私たちみんなの問題」だとし、「海への放出計画を中止させるために力を合わせなければ」と話した。

【写真】日本を訪れた環境連合海委員会のメンバーが24日正午、東京都の経済産業省前で、尹錫悦大統領と岸田文雄首相が先月16日の東京での首脳会談後に老舗でビールを飲む様子をまねたパフォーマンスを行った=東京/キム・ソヨン特派員//ハンギョレ新聞社

 海委員会は経済産業省に続き、東京電力本社に移動して記者会見を行った後、抗議書簡を手渡した。彼らは抗議書簡で「来月19~21日に広島で行われる主要7カ国首脳会議(G7サミット)で福島第一原発の汚染水の海洋投機中止を宣言し、国際社会が知恵を集めるべきだ」と強調した。
 日本政府は、福島第一原発の汚染水(132万トン)の放射性物質の濃度を法的基準値以下に下げたうえで、今夏から30年にわたって海に放出する計画だ。多核種除去設備(ALPS)で除去されないトリチウム(三重水素)は、基準値の40分の1以下に薄めて海に排出する。
東京/キム・ソヨン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-04-24 15:30


「聯合ニュース」 2023.04.24 16:57
■福島汚染水巡る韓国市民団体の抗議書 日本経産省が受け取り拒否
【東京聯合ニュース】東京電力福島第1原発にたまる処理済み汚染水の海洋放出に反対する韓国市民団体が24日、抗議の書簡を経済産業省に提出しようとしたが、経産省側が受け取りを拒否した。

【写真】経産省前で集会を開いた市民団体の関係者=24日、東京(聯合ニュース)
 韓国の市民団体、環境運動連合はこの日午後、東京の経産省前で海洋放出に反対する集会を日本の市民団体と共催した。

 約20人が参加した集会で環境運動連合の関係者は「海は人類共同の未来だ」「福島原発汚染水の海洋投棄に反対する」などとスローガンを叫んだ。
 同団体はこの日配布した資料で「日本政府は海洋投棄計画を中止し、福島原発汚染水と汚染土壌·廃炉問題を懸念する日本と国際社会の声に耳を傾けなければならない」と主張した。
 同団体はこのような内容が盛り込まれた抗議の書簡を経産省に伝達しようとしたが、経産省は約束がないことを理由に受け取りを拒否した。
 聯合ニュースの取材によると、団体側は21日に経産省に電話をして抗議の書簡を渡したいと伝えたものの、経産省側は担当者不在を理由に書簡の受け取りについて回答しなかった。このため改めて回答するよう求めたが、その後も回答は得られず、集会の当日も約束がないことを理由に受領を断られたという。
 結局、団体側は経産省の庁舎前に書簡を置いて帰った。
 経産省の関係者は聯合ニュースの取材に対し、団体側との電話で確認すると答えたが、書簡を受け取るとは言っていないと説明した。
 日本政府は海洋放出に対する韓国など周辺国の懸念に対し、丁寧な方法で説明すると表明してきたが、主務官庁の経産省が韓国市民団体の抗議の書簡を意図的に受け取らないのは、周辺国の懸念を無視するものとの指摘が出ている。
 市民団体側は経産省前での集会後、東京電力本社前に移動し、同じ内容の抗議の書簡を伝達した。21日に書簡の受領を要請したという。


「The Hankyoreh」 2023-04-22 07:08
■韓国の原子力専門家ら「IAEA、『原発汚染水は安全』との結論ありきで検証」
 原子力実務専門家・科学者団体、共同声明発表 
 「致命的な核種、タンクの中の分布に関する調査もまともに実施されず」

【写真】福島第一原子力発電所の放射性物質汚染水の貯蔵タンク。日本はこのように貯蔵中の2011年原発事故の汚染水133万トンを30年かけて海洋放出する計画だ/聯合ニュース

 韓国の原子力関連の専門家たちが、福島原発汚染水の放出計画に関する国際原子力機関(IAEA)の検証に疑問を呈した。
 原子力分野の実務専門家団体「原子力安全と未来」と科学者団体「核とエネルギーの安全と環境を懸念する科学者の会」は21日、ソウル通仁洞(トンインドン)のエネルギー転換フォーラム会議室で共同記者会見を開き、「IAEAが福島原発汚染水の海洋放出計画に対してすでに国際基準に合致しているとの結論を下しているのではないか懸念される」との立場を明らかにした。
 韓国政府は福島原発汚染水の放出計画について、「科学的かつ客観的に安全で、国際基準に合致しなければならない」と強調し、IAEAの検証結果を主な判断の根拠とするという立場を示してきた。こうした中、IAEAは6日、福島原発汚染水の放出計画が「十分現実的」という趣旨の中間報告書を発表した。まもなく完成する最終報告書で、海洋放出を後押しする結論を下すことを示唆したのだ。
 原子力専門家と科学者団体は同日発表した立場表明文で、「IAEAの報告書には、2011年の事故当時と2013年の多核種除去設備(ALPS)作動前後に相当な放射能が海に流入し発生した海洋汚染の深刻性と、生態系への長期的な影響に対する詳しい調査結果が存在せず、公開されていない」と指摘した。また「事故以前から排出した総量と海底における局部的な濃縮、生物学的濃縮を考慮して深層分析しなければならない」と主張した。
 特に「福島原発には再処理核燃料(MOX)が使われ、微量でも致命的な影響を及ぼす核種が多いにもかかわらず、1000個以上あるタンクの核種の分布調査もまともに行われていない」と指摘し、「海洋放出より環境被害を最小化する方法を模索すべきだと要求した。
キム・ジョンス先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-04-21 15:47


「聯合ニュース」 2023.04.21 15:47
■済州道 福島汚染水放出に備え政府に対策申し入れ=韓国
【済州聯合ニュース】韓国南部の済州道は21日、水産物の安全管理対策を模索するために開かれた政策市・道協議会で、東京電力福島第1原子力発電所の処理済み汚染水の海洋放出に備え、水産業の被害を最小限にするための対策作りを政府に申し入れた。

【写真】協議会の様子=21日、世宗(聯合ニュース)

 協議会には海洋水産部の幹部のほか、済州道、慶尚南道、全羅南道など水産物の主要生産地域を管轄する広域自治体の関係者が出席。済州道は漁業関係者が被害を被った場合に実質的な補償を受けられるよう、特別法の制定や補償金支払い、放射性物質測定装置の支給などの必要性を訴えた。
 同道は日本が処理済み汚染水の海洋放出決定を発表した直後から、放出を想定した4段階(関心、注意、警戒、深刻)の対応計画を策定し、状況対策班を稼働している。


「The Hankyoreh」 2023-04-20 04:22
■釜山で「汚染水放出」糾弾集会…日本の原発設計者「非常に危険」
 釜蔚慶の市民団体、20日に集会を予定

【写真】福島第一原発事故12周年を迎えた3月11日午後、全国から駆けつけた3000人あまりの人々が釜山市釜山鎮区の宋象賢広場で原発反対のスローガンを叫んでいる=キム・グァンス記者//ハンギョレ新聞社

 第53回アースデイ(4月22日)を前に、釜山(プサン)・蔚山(ウルサン)・慶尚南道の環境・市民団体が日本政府による福島第一原発の汚染水海洋放出を糾弾する集会を開催する。
 釜山・蔚山・慶尚南道の164団体が加入する「釜山古里(コリ)2号機寿命延長・核廃棄場反対汎市民運動本部」は19日、「20日午後2時、釜山駅広場で『福島第一原発汚染水投棄決死阻止、放射能のないアースデイ宣言市民大会』を開催する」と発表した。
 参加者たちは午後2時40分に釜山駅を出発し、日本領事館、強制徴用労働者像、鄭撥(チョン・バル)将軍銅像、平和の少女像のある抗日通りまでの800メートルあまりを行進し、福島第一原発の汚染水の海洋放出を批判する記者会見とパフォーマンスを行う。
 19日午後3時には釜山YWCA2階講堂で、原発設計者で工学博士の後藤政志さん(74)を招いて講演が行われた。2009年に退職した同氏は、2011年3月の福島第一原発爆発事故発生後から原発の危険性を訴える講演を行っている。同氏はこの日の講演でも「元原子力エンジニアとして、自分の知っているすべてのことを共有しなければならないという責任がある。私が提供すべき最も大切なものは、原子力技術をめぐる問題と危険について語る能力だ。私は原子力が確実に良いか悪いかを言おうとしているのではなく、単に事実を提示しているだけだ」と述べた。同氏は「原発は爆発が起こると予測し、当時仮名で原発の危険性を訴えてきたが駄目だった。設計を担った者として責任を痛感する。原発が爆発すれば放射能が放出されるため非常に危険だ」と付け加えた。
 24日午後3時には釜山YMCA17階大講堂で「古里原発、地震に対して安全か?」と題して討論会が行われる。釜山大学地質環境科学科のソン・ムン教授が「慶尚圏の活断層調査の実態と対策」、脱核法律家の会ヘバラギ(ひまわり)のキム・ヨンヒ代表(弁護士)が「震災と関連する原発施設の問題点と課題」というテーマで発表する。続いて慶星大学のキム・ヘチャン教授(環境工学科)の司会で釜山大学のアン・ソギョン教授、韓国海洋大学のキム・ジョンド教授、(株)GI地盤情報研究所のキム・ソンウク所長、キム・ソギョン弁護士が討論する。

キム・グァンス記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/area/yeongnam/1088536.html
韓国語原文入力:2023-04-19 16:10