三重県木本で虐殺された朝鮮人労働者の追悼碑を建立する会と紀州鉱山の真実を明らかにする会

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「「海に向けた核攻撃」…韓日市民団体、東京で原発汚染水海洋放出に反対する連帯集会」

2023年05月29日 | 
「The Hankyoreh」 2023-05-18 07:11
■「海に向けた核攻撃」…韓日市民団体、東京で原発汚染水海洋放出に反対する連帯集会
 「5・16共同行動」集会

【写真】16日、東京一帯で開かれた福島汚染水海洋投機反対「5・16共同行動」集会の参加者たちが街頭を行進している//ハンギョレ新聞社

 「福島県民の7割はもちろん、すぐ隣の宮城県民も反対しています。(原発)汚染水を海洋放出するという日本政府の決定によって地域社会が破壊されています」。
 「放射性汚染水の放出はアジア各国に対する暴力であり侵略です」。
 19日から広島で開かれる主要7カ国首脳会議(G7サミット)を控え、16日、東京の街では一日中福島原発汚染水の海洋投棄を中止せよという叫びが鳴り響いた。「これ以上海を汚すな!市民会議」と「さよなら原発1000万人アクション」実行委員会が主催した同日の「5・16共同行動」集会は午前10時に始まり夕方まで続いた。
 韓国の市民社会環境団体の連帯体「脱核市民行動」所属の「緑色連合」、「市民放射能監視センター」、韓国YWCA連合会の活動家たちは汚染水の海洋投棄に反対する韓国の声を伝え日本の市民と連帯するため、東京の集会に参加した。
 午前、東京電力前の集会では福島住民を含め100人以上の市民が集まった。参加者たちは「今後30年間、大量の放射性物質を海に流すつもりなのか。東電は考え直すべきだ」と訴えた。韓国YWCA連合会の活動家、ユ・エステルさんは「韓国市民社会の声、特に女性たちの連帯の声を伝えるために来た」とし、「海洋生態系と海と共に生きる人々、私たちよりもさらに長く海と共に生きていく子どもたちのために行動を共にする」と語った。
 日本の市民は同日の集会で「海を汚すな」、「未来を守れ」と声を高めた。原発汚染水問題は福島原発事故が現在進行中であることを示す代表的な問題だ。参加者たちは東京電力本社前で事前集会を行ってから、国会周辺で集会を続けた。

【写真】16日、東京で開かれた「5・16共同行動」集会に参加した韓国の参加団が福島汚染水海洋投棄に反対するプラカードを広げている//ハンギョレ新聞社

 国会前で開かれた2次集会で、ある水俣病(メチル水銀中毒によって生じる日本の公害病の一つ)の被害者は、健康と安全問題について決して軽く考えてはならないとし、幼いころの苦しい被害事実について証言した。彼は「環境にどのような影響を及ぼすか分からないため、絶対に汚染水を海に捨ててはならない」と語った。
 環境運動連合の活動家、チェ・ギョンスクさんも演壇に上がった。チェさんは「汚染水の海洋投棄に反対する市民がこれほど多く、特に福島住民も明確に反対しているのに、日本政府はこのすべての意見を無視して海洋投棄を進めている。明らかな国家暴力だと思う」と主張した。また「これに対する反対意見を明確にせず、視察団の派遣という形だけの措置で日本政府に海洋放出の名目作りを手助けしようとする韓国政府もやはり国家暴力の共犯」だと批判した。さらに「今回のG7サミットで韓日両首脳は汚染水の海洋投棄の代わりに陸上での長期保管に合意し、老朽化した原子力発電所の寿命延長を諦めるべきだ。それが未来のために必要なことだ」と主張した。
 宗教団体「日本山妙法寺」の宗教者は、同集会に参加した理由を尋ねる質問に、普段あまり声をあげない方だが意を決して集会に参加したとし、「(汚染水の海洋投棄は)アジア各国に対する暴力であり、戦争や侵略同様のもの。韓国社会との連帯を通じて共に協力し対応していかなければならない。今日がその始まりだ」と語った。

【写真】「脱核市民行動参加団」の韓国YWCA連合会の活動家、ユ・エステルさんが16日午前、東京電力前の集会で発言している//ハンギョレ新聞社

 国会議員会館前で開かれた3回目の集会では、汚染水をはじめ福島原発事故による様々な被害状況に対する証言が続いた。
 最近、福島原発汚染水問題を話し合うために韓国の済州(チェジュ)、麗水(ヨス)などを訪問したと紹介した日本の環境団体「原子力資料情報室」の伴英幸代表は「日本政府は汚染水を解決するための4つの代案を持っていた。なぜ他の代案を選ばなかったのか」と指摘した。ある日本の政治家は「(原発再稼働のために日本政府が)汚染水問題を解決したと宣言するために、汚染水の海洋放出を強行していると思う」と主張した。
 集会に参加したある日本の政治家は、現在の日本の国会の状況について「数年前には原発を減らすと言っていたが、今はその反対に向かっている」とし、全原発の再稼働を目指す日本政府を批判した。さらに「福島原発一号機の原子炉の床が崩壊していることが新たに明らかになっている」とし、「今も続く福島原発事故の被害を防ぐために、汚染水だけでなく(福島原発も)チェルノブイリのようにコンクリートで封鎖する必要がある」と述べた。
 ある市民は福島原発事故の除染で出た除染土を再利用する実証施設を新宿公園内に建設しようとする計画を聞いて参加したと言い、「東京だけでなく、いかなるところでも除染土の再利用の実証を行ってはならない」と話した。また、「福島住民の苦しみを我々の問題として受け止めなければならないことを改めて痛感した」と強調した。

◆主催側は4つの事項が盛り込まれた要請書を国会と政府側に渡した。
 第一に、「(福島の漁業)関係者の理解なしに如何なる処分(海洋放出)もしない」とした日本政府が約束を履行すること、第二に、国会と政府は東京電力が汚染水の中に含まれている放射性核種の種類や濃度、総量などの情報を公開するよう働きかけ、放射線影響評価を見直すこと、第三に、日本政府は汚染水の海洋投棄ではなく大型タンクの長期保管やモルタル固体化などの代案を検討するなど、汚染水に対する根本的な対策を確立し、国会はこれを監視すること、第四に、汚染水の海洋投棄に対する全国的な公聴会と説明会を開くことなどが要請書に盛り込まれた。

【写真】16日、東京の国会前集会で環境運動連合の活動家、チェ・ギョンスクさんが発言している//ハンギョレ新聞社

 集会は夕方、日比谷公園野外音楽堂で終わったが、終了直前には参加者が500人以上に増えた。本集会では野党国会議員と日本の市民団体の活動家たちの発言が続いた。 「これ以上海を汚すな!市民会議」の織田千代共同代表は「原発事故以後、福島住民たちは放射能に脅かされながら暮らしてきた。私たちは事故前に享受していた日常生活をすべて失った。汚染水の海洋放出は福島住民にさらなる放射線被害を与えるだろう」と語った。
 福島県小名浜地域の漁業協同組合の柳井孝之さんは、「日本政府と東電に対する不信感がむしろ市民の不安を募らせている。海洋放出が進むと、漁業を諦める人がさらに増えるかもしれない」とし、日本政府と東京電力の責任ある姿勢を求めた。

◆「Don't Nuke the Pacific(太平洋を核で苦しめるな)」。
 同日の集会参加者のプラカードにはこう書かれていた。世界は海につながっている。放射能汚染水を海に捨てるのは世界市民にかかわることだ。世界で唯一原爆を落とされた過去を持つ日本は、いま世界の海に向かって静かに、ゆっくりと核攻撃を加えていることになる。汚染水の海洋放出を決めた日本政府、これを傍観して黙認し、視察団の訪問という名ばかりの措置を進めている韓国政府、そして無責任な両国の政治家に立ち向かう韓国と日本、世界市民の連帯が必要な理由だ。
 東京/文・写真「5・16共同行動」脱核市民行動への韓国人参加者 ビョン・インヒ、オ・ハラ、ユ・エステル、チェ・ギョンスク(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-05-17 20:38


「The Hankyoreh」 2023-05-18 09:19
■韓国の漁業者「汚染水放出に反対するなと韓国政府が圧力…市長も同調」
 統営市の漁業者イ・ギミョンさん、ラジオのインタビューで 
 「漁業者は借金や政府の補助金に従属」

【写真】慶尚南道統営市の永運港で3月31日に開かれた「第12回水産人の日」記念式で、尹錫悦大統領があいさつしている=大統領室写真記者団//ハンギョレ新聞社

 11日に統営市(トンヨンシ)のチョン・ヨンギ市長が福島第一原発の汚染水の放出について「対策は持っているがうるさく騒ぐ理由はない」と述べたことについて、同市のある漁業者が「(漁業者を萎縮させることを狙った)意図的な発言だ」と批判した。
 17日、慶尚南道統営市で30年にわたりカキ養殖業を営んでいるイ・ギミョンさんは、文化放送(MBC)のラジオ番組「キム・ジョンベの視線集中」でのインタビューで、「統営市は全国の海洋水産の最重要地だと自負する町」だとし、「市長ともあろう人が、第一線で汚染水放出反対の先頭に立つことはできなくても、このような妄言を口にするとはどういうことか」と語った。
 イさんは、チョン市長の発言は「意図的」なものだと考えている。イさんは「政府は反対の立場を表明するなと漁業者に圧力をかける立場だ。漁業者たちはためらっており、萎縮している」とし、「実は4月11日にも原発汚染水反対決起大会をしようとして李舜臣(イ・スンシン)公園で計画されていたが、政府と水協組合から圧力をかけられて結局できなかった」と話した。
 イさんは「慶尚南道の関係者も、日本の原発汚染水は米国などの先進国においてさえ科学的実験が中止され、汚染水が沈殿すれば生態系には特に影響ないだろうという趣旨のことを言った」とし、「漁業者は借金や政府の補助金に従属している。これでは漁業者は萎縮せざるを得ない」と語った。チョン市長の発言もこのような圧力の一種だというのだ。
 汚染水の放出は「漁業者は死ねという話」だというのが統営の漁業者たちの考えだ。イさんは、韓国の福島第一原発汚染水視察団が汚染水試料を特に採取しないとされていることについても怒りをあらわにした。イさんは「検証団は汚染水を採取すべきだ。しないつもりなら何をしに日本に行くのか。もはや日本に従って同意するのと変わらない。政府がこのような状態で行くなら、ほかに方法がない。漁業者たちは南から北へと向かい、政権退陣運動に突入するだろう」と述べた。また「(政府からは)安全だという話もなく、口をつぐんでいる」、「何が何でも(汚染水の放出を)止めなければならない」と強調した。

【写真】先月25日、ソウル鍾路区の世宗文化会館の階段で、日本の放射性汚染水海洋投棄阻止共同行動の主催で行われた「韓米両国の日本放射性汚染水海洋投棄反対要求記者会見」で、参加者がプラカードを手に汚染水放出に反対している/聯合ニュース

 統営市のチョン・ヨンギ市長は11日、統営市役所内の会議室で開かれた記者懇談会で、福島第一原発の汚染水の放出について問われ、「対応策は明確に持っている。だが、やたらと言及したり騒いだりすると統営の水産物の消費心理が萎縮しうる。政府がまだ何の措置も取っていないのに、自治体が先に騒ぐ必要はないと思う」と語り、地域社会から反発が起きている。
イ・ジヘ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-05-17 10:44


「The Hankyoreh」 2023-05-18 05:43
■韓国視察団、汚染水の検証はできずとも…これだけは確かめよ
 福島訪問が要式行為にとどまらないようにするために

【写真】福島第一原発の敷地内のタンクに保管中の放射性物質汚染水/AP・聯合ニュース

 韓国の専門家視察団が今月23~24日を含む4日間の日程で東京電力福島第一原発を訪問するが、日本政府の反対により「試料採取」などによって韓国政府が汚染水の安全性を独自に検証する道は閉ざされた。視察団の限界は非常に明確だが、今年の夏ごろに海に放出される汚染水の安全性を検証するために、詳細に検証すべき3つのポイントをここで取り上げる。視察団が現場を見て回った後もこれといった意見を表明しなければ、韓国は日本の汚染水放出を黙認したという誤ったメッセージとして国際社会に伝わる恐れがある。福島産の水産物を輸入することになるという「最悪の結果」へもつながりうる。

(1)基準値以下は2.8%のみ、ALPSの性能は十分か
 福島第一原発の汚染水の海への放出の最大の争点は安全性だ。現在、汚染水は1060基を超える巨大なタンクに収められている。この汚染水は多核種除去設備(ALPS・アルプス)を通すことで少なくとも1度の浄化を経ているが、その70%ほどには依然としてセシウム、ストロンチウム、ヨウ素などの生命体に致命的な影響を及ぼす放射性物質が基準値以上含まれている。日本政府はこれをALPSで複数回浄化し、放射性物質の濃度を法定基準値以下に下げてから、今年の夏ごろに海に放出する計画だ。
 日本政府や東京電力は韓国視察団を、1千基以上ある汚染水タンクのうち、2年以上にわたってALPSによる浄化を繰り返し、法定基準以下に抑えた水の入っているタンク(30基、2.8%)に案内する可能性が高い。これまでに台湾、そして太平洋の18の国と地域が加盟する太平洋諸島フォーラム(PIF)も、30基の一部である「K4」タンク群を視察している。韓国視察団は、東京電力がすでに検証済みのタンクのみを見学する程度にとどまる可能性が高い。
 この1年間、汚染水の安全性を独自に検証してきた太平洋島国は、このような不安要因があることから日本政府に「放出の延期」を要請している。彼らは今年2月の声明で、「貯水タンクの複雑さと巨大さという特性を考えると、これまでに行われたALPS処理水テスト量では、適切で十分な結果が得られない。海への放出の必要性を判断するに足りない」と指摘している。韓国視察団は、日本が見せようとしてくるごく少数の「安全な」水のタンクに埋没することなく、ALPSの性能を徹底的に把握するとともに、東電に汚染水総体の危険性を管理する能力があるのかを判断しなければならない。

(2)事故前に比べ10倍のトリチウム、生物学的安全性は?
 2つ目の検証ポイントは、ALPSでは除去できないトリチウム(三重水素)の安全性だ。原発からはトリチウムが排出される。各国はそれぞれ定められた基準に則ってこれを排出する。日本は、2011年3・11の福島第一原発事故の前には年間2.2兆ベクレル(Bq・放射性物質が1秒に何回崩壊するかを表す単位。2010年)に達するトリチウムを海に放出していた。しかし今夏に放出が始まれば、その10倍の年間22兆ベクレルが海に注がれる。東京電力は、福島第一原発に保管中の132万トンの汚染水にはトリチウムが約860兆ベクレル含まれていると推定している。最近も汚染水は毎日90~140トン増加しているため、少なくとも40年以上にわたって海に流さなければならない。
 トリチウムの安全性をめぐっては諸説紛々。原子力の専門家は概して「特に影響はない」と主張するが、非常に憂慮している生物学者も多い。米サウスカロライナ大学のティモシー・ムソー教授(生物学)は先月、国際環境団体「グリーンピース」が主催した記者会見で「トリチウムの生物学的影響を扱った論文を全数分析したところ、複数の論文で、トリチウムの生物学的な遺伝子損傷の大きさが代表的な放射性物質であるセシウムの2倍以上であることが繰り返し確認された」と強調している。
 日本政府と東京電力がトリチウムの生物学的影響をどれほど検証したのかは、まったく知られていない。40年を超える長期的影響は、まだ人間の知恵が届かない未知の領域だ。東京電力は昨年9月から福島第一原発内で、トリチウムを海水で希釈した汚染水でヒラメやアワビなどを育てており、その飼育場を視察団に見せている。生物に対する影響をどのように観察・追跡するつもりなのか、調査を徹底すべきだ。

【写真】PIF事務局と彼らの諮問を受ける独立的な研究陣は今年2月に福島第一原発を現場視察した。彼らは2年以上にわたってALPSでの浄化を繰り返し、法定基準以下に抑えた「K4」タンク群を視察した=東京電力ウェブサイトより//ハンギョレ新聞社

(3)海への放出以外に方法はないのか
 放射能汚染水の海への放出は、日本と隣接していて魚の消費量の多い韓国にとっては致命的だ。放出が始まれば、韓国の漁業者が特に大きな打撃を受けうる。日本においても同じ理由で、海への放出に代わるもう少し安定的な代案を探るべきだとする声が絶えない。時間はまだ残されている。東京電力は当初、汚染水タンクは今年の夏から秋にかけて満杯になると予想していたが、降水量の減少や汚染水低減政策などの影響でその時期は来年2~6月まで引き延ばされた。
 日本の漁業者と市民社会団体は、汚染水を10万トン級の超大型タンクに貯蔵する方法や、汚染水にセメントや砂などを混ぜて固体として保管する「モルタル固化」を提案している。日本の民間シンクタンク「原子力資料情報室」の共同代表を務める伴英幸さんも10日の韓国国会での討論会で「10万トン級のタンクは世界各国で石油の備蓄に使われるなど検証済み。モルタル保管法も他の核施設で実施されている技術だ。海洋放出だけが唯一の方法ではない」と述べている。専門家が含まれる視察団であるだけに、このような声も幅広く受け入れ、汚染水の放出を止めうる生産的代案を提示すべきだ。
東京/キム・ソヨン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-05-17 06:00


「The Hankyoreh」 2023-05-18 05:41
■「汚染水採取は国際機関と日本が」…日本の方針に視察団の役割合わせる韓国政府
 ハン・ドクス首相は17日、福島第一原発の汚染水の安全性検証について、「試料(汚染水)を採取してのその場での検査は国際原子力機関(IAEA)と日本が行っている」と述べた。23~24日の福島第一原子力発電所視察を前に、韓国の専門家視察団が直接汚染水を採取できないことを再確認したもので、政府自ら視察団の活動の幅を制限している格好だ。
 ハン首相はこの日、政府世宗(セジョン)庁舎での記者懇談会で、「(韓国視察団は汚染水の浄化と放出の)手続き、施設、計画、結果などに合理性があるかどうかを判断するというのが最も大きな役割」だとしつつ、上のように述べた。
 同席したパン・ムンギュ国務調整室長も「視察団が直に汚染水試料を採取できないため、(検証の)実効性には疑問が提起される」と記者団に問われ、「すでに採取した試料をIAEAの3つのラボと加盟国の中の一定の基準を備えた4カ国(米国、韓国、フランス、スイス)が共有して交差検証しているが、韓国だけが(視察団が現地に)行ってそれとは別に試料を採取すると要求するのは行き過ぎの面がある」と述べた。12日にも国務調整室、外交部、原子力安全委員会などが「韓国が処理水を採取すると言えば、IAEAなどの国際機関の信頼を傷つける」と述べている。
 パン室長は、視察団に民間の専門家が含まれていないと指摘され、「政府が出資する研究機関や政府機関にいらっしゃる方々のほうが、民間の専門家よりも専門家であることもありうる」、「(民間の専門家の参加は)代表性問題などの非常に複雑な問題へと広がりうる」と答えた。汚染水採取の不可と民間専門家の参加に対する反対は日本政府の方針だ。
 一方、韓日の外交当局はこの日、福島第一原発への韓国視察団派遣に関する2回目の実務会議をオンラインで実施した。
ソン・ダムン、シン・ヒョンチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-05-17 16:07 


「聯合ニュース」 2023.05.14 14:42
■韓国原子力安全委トップ 福島視察団は「説明を聞きに行くだけではない」
【釜山聯合ニュース】韓国の原子力安全規制を担う独立機関、原子力安全委員会の劉国熙(ユ・グクヒ)委員長はこのほど南部・釜山で記者会見し、東京電力福島第1原発の処理済み汚染水に関する視察団派遣について「単に日本側の説明だけを聞きに行くのではない」と述べた。
 韓日は同原発の処理済み汚染水の海洋放出を巡り、韓国の専門家による視察団派遣で合意したが、韓国では日本の説明を一方的に聞くことになるのではないかとの懸念もある。劉氏の発言はこれを否定し、具体的な事項について直接確認するとの意味と受け止められる。
 同委員会傘下機関の韓国原子力安全技術院(KINS)は日本政府が2021年4月に処理済み汚染水の海洋放出計画を発表すると、同年8月に専門家によるタスクフォース(TF、作業部会)を立ち上げ、関連情報を分析、検討してきた。
 劉氏は、視察団にKINSの専門家も参加し、日本側に直接、疑問点を確認すると説明。視察対象と範囲が重要だと指摘🅂した。


「聯合ニュース」 2023.05.14 09:56
■福島原発視察団 韓国の独自検証に必要なデータ確保が重要
【ソウル聯合ニュース】韓日両国は東京電力福島第1原発の処理済み汚染水の海洋放出を巡る韓国視察団の現地派遣を4日間の日程で実施することで合意したものの、視察する施設など詳細については依然調整を続けている。
 韓国の原子力専門家たちは14日、日本が汚染水の海洋放出のため構築した設備とシステムがどれだけ信頼できるかを重点的にチェックすべきと、視察団に助言した。
 韓国政府は韓国原子力安全技術院内で汚染水問題の検証チームを立ち上げ、日本の海洋放出計画の信頼性を独自にチェックしている。同検証チームに役立つ主要なデータを、視察団が現地で得ることが重要という。
 現地で汚染水を採取・測定するより、放出後のモニタリングシステムや透明な情報公開の有無などを確認することが現実的という意味だ。
 日本の放出施設が長く安全性を維持できるかどうかを確認することも重要とみられる。
 国際原子力機関(IAEA)は放射線の側面で検証を行っているだけに、20年以上の放出が予定された施設に対する検証は疎かになる可能性があるためだ。
 政府は今回の視察団の訪日について、海洋放出全般の安全性を検討するとしている。このため、政府内の原子力専門家20人前後で視察団を構成すると発表した。ただ、同問題を巡る韓日局長級協議は視察計画の詳細について合意できず終わった。後続協議では韓国の専門家たちが望む視察施設計画を日本側と合意することが重要になるとみられる。
 原子力分野の関係者は「専門家が視察団として派遣されても、現地で視察できる施設が限定的なら検証はできない。必要な視察ができないまま訪日すれば、視察団に非難の矢が浴びせられる懸念もある」と指摘する。


「The Hankyoreh」 2023-05-13 07:18
■韓国政府、原発汚染水視察団の派遣前に態度軟化…「見学団」に転落する恐れも

【写真】2日、パク・クヨン国務調整室第1次長が政府ソウル庁舎で福島原発汚染水に関する専門家現場視察団についてのブリーフィングを行っている/聯合ニュース

 韓日外交当局が12日に局長級実務協議を開き、23~24日に福島第一原発汚染水をめぐる現場視察団の派遣と関連した具体的な内容を話し合ったことを踏まえ、視察団の大筋が決まりつつある。韓国政府は安全規制分野の専門家20人前後の規模で視察団を構成し、汚染水の海洋放出過程に対する安全性を検討する計画だが、日本が民間専門家の派遣に否定的なうえ、今回の視察が関連施設を目で見て回る「現場確認」の性格であることから、視察団の派遣をめぐり、日本政府の汚染水海洋放出の名目作りを手助けすることになるという批判世論がさらに激しくなるものとみられる。
 パク・クヨン国務調整室第1次長は同日、政府ソウル庁舎でブリーフィングを開き「今回の視察活動の目的は海洋放出過程の全般にわたり安全性を検討するためのもの」だと述べた。さらに「汚染水の浄化および放出施設全般の運営状況と放射性物質分析力などを直接確認し、我々の科学的・技術的分析に必要な情報を把握する計画」だと付け加えた。
 しかし、このような説明とは異なり、視察団は汚染水の浄化と放出施設全般の運営状況を「現場で確認」することにとどまる見通しだ。安全性の検討の核心は汚染水の試料採取と分析だが、韓国政府には試料採取の計画がないためだ。
 日本側の立場も変わらない。日本外務省は前日発表した報道資料で、韓国政府の視察団の派遣について、「多核種除去設備(ALPS)処理水の現状に関する韓国政府向け説明会」だと説明した。視察団派遣が原発汚染水の安全性に対する評価・検証のための性格ではなく、事実上見学に近いという趣旨だ。西村康稔経済産業相も9日、閣議後の定例会見で、韓国視察団の目的について「あくまで韓国側の理解を深めてもらうための対応で、処理水(汚染水)の安全性について評価や確認を行うものではない」と述べた。
 視察団が訪問の結果を基に検証結果を導き出しても拘束力がないという点も限界だ。パク次長は「主権国家がある行為をするのにあたって、それ自体を他の国家が決めるシステムはない」と述べた。
 特に、日本は韓国の視察団に民間専門家や市民団体が含まれることにも反対している。「日本が視察団の派遣を国家対国家の問題とみているため」というのが政府の説明だ。しかし一方では、政府の影響から相対的に自由な民間専門家や市民団体の場合、日本に友好的な現政権の方針とは異なる声をあげる可能性があるという点で、日本政府が難色を示しているという分析もある。政府は視察団を政府関連機関および傘下機関の原子力安全・海洋環境などの分野の専門家を中心に20人前後で構成するものとみられる。
 韓日関係専門家の保坂祐二教授(世宗大学)は、ハンギョレとの電話インタビューで、「福島原発汚染水問題について鋭く指摘できるのは官僚ではなく市民団体や専門家だ」とし、「1泊2日という短い日程で政府関係者が視察に行くというのは、日本の論理を支える脇役を演じることに他ならない」と指摘した。
 この日の実務協議で、韓日当局は現場視察に臨む韓国専門家視察団の日程と、彼らが見学する施設などを具体的に調整したという。韓国側は外交部のユン・ヒョンス気候環境科学外交局長が、日本側は外務省の海部篤外務省軍縮不拡散・科学部長が首席代表を務めた。視察団が日本に滞在する期間は、福島原発を見学する1泊2日を含め、少なくとも3泊4日になるという。
シン・ヒョンチョル記者、東京/キム・ソヨン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-05-13 02:30


「韓国経済新聞/中央日報日本語版」 2023.05.13 10:15
■【福島汚染水は安全か】韓国専門家が分析…放出より合理的な方法を探すべき
 徐鈞烈(ソ・ギュンリョル)/ソウル大学原子核工学科名誉教授

 日本政府は福島原発の放射性汚染水を浄化し、今年下半期から30年間にわたり海に放出すると発表した。セシウムなど62種の放射性物質を「多核種除去設備(ALPS)」で除去した処理水は安全だというのが日本政府と東京電力の立場だ。国際原子力機関(IAEA)と米国はこうした計画を承認した。しかし韓国・中国・台湾など周辺国は強く懸念している。ALPSではトリチウム(三重水素)を処理できず、浄化した汚染水を長期間にわたり海に放出する場合、生態系にいかなる影響を及ぼすか分からないという理由からだ。韓日両国は今月初めの首脳会談での合意に基づき、23、24日ごろ20人ほどの専門家で構成された現場視察団を福島に派遣する。これを控え、中央SUNDAYは処理水の安全性をめぐる論争について専門家の意見を聞いた。
 福島原発は原子炉内の核反応は止まったが、継続する崩壊熱と間欠的な再臨界でまだかなりの輻射熱と放射線を出している。さらに原子炉の配管系統が破損し、あちこちから冷却水が漏れていると推定される。冷却水は穴が開いた原子炉と広がったコンクリートの床を通って原発の下を流れる地下水と混ざり、今日、1000基以上の貯蔵容器に130万トンを超える放射性汚染水が積もることになった。
 このように深刻な状況で福島汚染水を太平洋に放出するには、短中長期的に生態環境に及ぼす影響に関する客観的、保守的、体系的な深い分析が先行されるべきだが、日本政府はそのようにしなかった。事故当時から2013年のALPS作動前後まで相当量の放射性物質が海に流れて発生した海洋汚染の深刻性と、事故前後の長期的な海洋生態系影響に関する詳細な調査結果は不在または未公開だ。
 環境影響評価には長期的な放射性物質排出による海底局部的な濃縮と生物学的濃縮を考慮した食物連鎖評価が含まれるべきであり、環境に及ぼす影響は十分な保守性を考慮して深層分析する必要があるが、東京電力はそのようにしなかった。セシウム、ストロンチウム、プルトニウム、アメリシウムなどは少量でも大量被ばくが可能だが、放出すれば韓国よりも日本東部の海岸が深刻に汚染するだろう。
 特に3号機にはウランとプルトニウムの混合燃料が使用され、極微量でも致命的な核種が多いが、貯蔵容器内の核種分布調査もまともに行われていない。汚染水を排出する場合、こうした成分はALPS除去を通じて長期的に環境の危険増加に影響を与えてはならず、これを公開的かつ透明に立証しなければならない。
 一方、「福島汚染水放出は国際基準に合う」という内容のIAEAの第4、5次報告書発表に関しては、海洋放出の代わりに陸上貯蔵など環境被害を最小化する代案を模索しなければならないだろう。環境汚染評価は核工学でなく生物、化学、医学、水産学、海洋学の範疇に属する。
 今からでも海洋放出より合理的な方法を模索し、環境被害を最小化する方法を探さなければいけない。これは韓国と日本、中国、台湾、オーストラリア、ニュージーランド含む太平洋諸島が連帯する時に最大の効果を期待できる。
 筆者は12年前の福島原発事故直後、事故電算解析と仮想現実を融合・複合した3次元シミュレーションを遂行した。2次元の計算結果を3次元に拡張し、米国のスリーマイル島2号機の非対称事故の進行に重ねれば、日本の汚染水放出は「放出」でなく「投棄」レベルということが判明する。保管している汚染水は毎日流れ出る地下水と汚染した海水で薄める量を含めると、実際の投棄量は東京電力の発表より200倍ほど多い。
 シミュレーションの結果、1号機が溶けて原子炉内部にあった相当量の放射性物質が地下水とともに海に流れるのを確認した。この結果は4月の日本原子力規制委員会の報告書で事実と判明した。事故から12年目にだ。
 投棄されれば放射性核種は海洋全域に広がり、大気に飛んで、深海に沈むだろう。特に日本東部の海岸に沿って最高濃度を示すと推定される。セシウム137とストロンチウム90が完全に除去されない場合、がん発生頻度は10万人あたり33人にのぼると予測される。半面、セシウム137とストロンチウム90が完全になくなり、トリチウムだけが残れば、10万人あたり1人を下回ると推定される。
 したがってカギは汚染水保管容器内の底にたまっている水と沈積土、腐食物、毒劇物を含めて基準値を超える汚染物質がどれだけ残っているかにある。現在構成されているという韓国の専門家視察団は汚染水のほか、近隣海水、魚介類、底魚類、海草類、堆積物などをできるだけ多く採取し、放射線量を測定して分析するため、徹底的な事前企画が求められる。
 
    
「The Hankyoreh」 2023-05-12 09:05
■韓国与党「『汚染水』でなく『汚染処理水』とすべき」…批判広がる
 福島第一原発の汚染水放出問題で党内からも批判

【写真】環境保健市民センターと環境運動連合海委員会のメンバーが3月22日、光化門広場で、尹錫悦大統領と日本の岸田文雄首相が野合して福島第一原発の汚染水を海洋放出するパフォーマンスを繰り広げている=キム・ギョンホ先任記者//ハンギョレ新聞社

 韓国政府は福島第一原発の「汚染水」という用語を「処理水」に変更することを検討しているが、与党からも「『汚染処理水』というの正しい」と主張する声があがった。これに対し、野党はもちろん、与党内部からも批判の声が相次いでいる。
 与党「国民の力」の「わが海保護検証タスクフォース(TF)」委員長を務めるソン・イルチョン議員は11日、ハンギョレの電話取材に対し「(日本の原発汚染水浄化施設)ALPS(多核種除去設備)という機器でろ過された汚染水の正確な用語は『汚染処理水』」だとし「処理された水まで汚染水とは言えない。(日本が)海に放出しようとしているのは処理された水」だと述べた。同党のハ・テギョン議員も、同日の韓国放送(KBS)のラジオの番組で、「(汚染水という)用語の訂正がまず必要で、厳密には『汚染処理水』」だとし、「汚染水を一度ろ過した汚染処理水について、IAEA(国際原子力機関)は放出できるほど浄化されているかどうかを確認するのであり、(23~24日ごろに福島第一原発を現場視察する)韓国視察団は(このような)処理過程を検証するもの」と述べた。
 このような主張に対して、党の内外から批判の声があがっている。国民の力のイ・ジュンソク前代表はこの日、自身のフェイスブックで「北朝鮮から飛んでくるものは誰かがいくら発射体と名を変えようとしても、国民はそれがミサイルであることを知っていた」とし「日本が放出するものの名前を何に変えようと、国民の考えは大きくは変わらないだろう」と述べた。同党のホ・ウナ議員もフェイスブックで「原子力安全委員会には『汚染水』という名称を変更する計画はない。まだ韓国の調査団が日本に行ってもいないし、きちんと直接確認したことも一つもない」とし「なのに『汚染水』を『処理水』とあらかじめ答えを定めておいて変えようとするのはなぜか。国民が不安に思っているのに、フレームを換えて何を得ようとしているのか」と述べた。
 共に民主党のパク・ソンジュン報道担当はこの日の書面ブリーフィングで「いったい誰のために放射能汚染水を汚染処理水と呼び換えようというのか。政府は日本の放射能汚染水の海洋放出を支援しようとしていると考えるしかない」と述べた。そして「用語変更は日本の要請なのか。それとも尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の日本に対する善意なのか」と付け加えた。
ソン・ヒョンス記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-05-11 19:29


「中央日報日本語版」 2023.05.12 07:47
■韓国政府「汚染処理水」用語変更検討すると与党議員も同調
 韓国与党「国民の力」は11日、福島原発「汚染水」を「汚染処理水」と呼び始めた。
 同党の関連TF(タスクフォース、作業部会)で委員長を務めている成一鍾(ソン・イルジョン)議員はこの日、SBS(ソウル放送)のラジオ番組『キム・テヒョンの政治ショー」に出演し、インタビューの中で「外に放流する水については処理して出ていくものなので汚染処理水と表現するのが妥当ではないか」と話した。
 これに先立ち、同TFは今月5日の第1回会議でも「汚染処理水」という用語を使うことが適切だという意見を交換したという。
 このような成議員の発言は前日政府関係者の発言ともつながっている。
 福島汚染水関連の協議に精通した政府消息筋は10日、中央日報に対して「現在日本が福島原発敷地内のタンクにアルプス(ALPS・多核種除去設備)を通過させて主要な放射能物質などを除去した水を保管しているが、排出基準に合うように処理された水が約30%、今も汚染されたままの水が残りの70%程度」とし「ただし今後処理比率が高まれば汚染水を処理水に変えて呼ぶのが合理的なので用語修正を検討している」と話した。
 成議員は「アルプスという多核種を取り除く機器がある。この機器は文在寅(ムン・ジェイン)政府でも検証しており、国際原子力機関(IAEA)が主軸になってすべて検証してテストしている」とし「国際法的に基準値以下になった時、その水を外の海に放流するということ」と説明した。
 成議員はBSE(牛海綿状脳症)・THAAD(高高度防衛ミサイル)電磁波事例などに言及して「科学の領域を政治の汚染された領域に引き込んで残した悪い先例がある」と指摘して「政治的目的のために科学を汚染させたり科学を否定したりするなら、われわれ大韓民国は文明国家とは言えない」と話した。
 同党の河泰慶(ハ・テギョン)議員もこの日KSBラジオ番組『チェ・ギョンヨンの最強時事』に出演し、「用語訂正から必要。厳密にいえば汚染処理水」とし「汚染水を放流してはいけない」と話した。
 河議員は「汚染水を一度浄化した汚染処理水に対して、IAEAは汚染処理水が放流するほどの程度に濾過されているのか、浄化されているのか。これを見るものであり、われわれ韓国視察団はその処理過程を検証すること」と説明した。
 反面、同党の李俊錫(イ・ジュンソク)元代表はこの日、自身のフェイスブックに「北朝鮮から飛んでくるのは誰かがいくら発射体と名前を変えようとも国民はそれがミサイルであることを知っている」とし「日本が放流するものの名前をどのように変えても国民の考えは大きく変わらないだろう」と掲載した。
 野党は「用語変更は日本の要請か、でなければ尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の日本に対する善意か」とし「科学的な検証が行われる前に用語変更はできない」という立場を出した。


「中央日報日本語版」 2023.05.12 07:19
■「日本と近くなり市民の不安も大きく」…釜山市、視察団に同行要請=韓国

【写真】釜山機張郡機張邑(プサン・キジャングン・キジャンウプ)に建てられた海水淡水化施設が2014年12月の完工以降、トリチウムなどの放射能不安で水を供給できないまま放置されている。[中央フォト]

 釜山市(プサンシ)が福島に派遣する原発汚染水視察団に地方政府が推薦する専門家を同行させてほしいと韓国政府に要請した。視察結果の信頼性を高めるほか、日本とも隣接し、海洋関連の産業を主力としている釜山・蔚山(ウルサン)・慶南(キョンナム)地域の住民の心配を解消できるようにしてほしいという趣旨だ。

◇「地方政府にも不安感解消の役割を」
 11日、釜山市によると、市は9日、公文書「福島汚染水現場視察団地方自治体専門家参加建議」を国務調整室に送った。この公文書で釜山市は「福島原発汚染水視察団は国民の不安解消に大きく寄与するだろう」としながら「特に汚染水放流時期が近づいてきて地理的に日本と近い釜山と蔚山・慶南は他の地域より市民不安が大きい」と明らかにした。これに対して福島汚染水イシューを管理・対応してきた釜山市推薦の専門家が視察団に合流して不安解消などの役割を果たすことができるようにしてほしいと訴えた。
 2011年3月の大震災と津波の余波で福島第一原子力発電所で放射性物質漏れ事故が起きてから、日本と近い釜山では「放射能フォビア」に近い不安が芽生えた。国内最大の水産委託販売所である釜山共同魚市場などがあり、産業構造も放射能に鋭敏だ。

◇釜山10人中8人「放射能濃度変わらなくても危険」
 釜山市傘下の釜山研究院が市民を対象に行った認識調査(調査期間今年1~2月・対象1840人)の結果では不安が依然と強いことが現れた。福島汚染水が放流されれば釜山沿岸の放射能濃度に変化がなくても「危険」と感じている比率は79.5%に達した。放流される汚染水に対する共同調査などが必要だという世論(49.5%)も高かった。
 専門家は「科学的な根拠により判断する問題」としている。韓国科学技術院(KAIST)原子力および量子工学科のチョン・ヨンフン教授は「福島から放流後、数キロ流れるだけでトリチウム(三重水素)の濃度は1リットル当たり1ベクレル程度で普通の淡水水準になる」としながら「韓国の淡水には1リットル当たり1ベクレル程度のトリチウムが検出され、ソウル市民の小便を検査してもトリチウムが1リットル当たり1~2ベクレル検出される」と説明した。
 チョン教授はまた「福島放流区前のトリチウム濃度の上限ラインは1リットル当たり1500ベクレル」とし「この放流数を一日2リットルずつ365日飲めば被爆量は清浄海で育ったアワビを1つ食べたあと、それに含まれた放射性ポロニウムで被爆を受ける量と同じ水準になる」と説明した。チョン教授は「今回視察団を派遣することになったので、放流水の情報を確認すればよい」と付け加えた。
 一方、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領と岸田文雄首相は7日の首脳会談を終えた後、韓国専門家で構成された視察団が福島県現地放流態勢などを視察することで合意したと明らかにした。視察団は12日から日本側と実務協議を経て23~24日に福島第一原発に派遣される。汚染性・安全性を検証する国際原子力機関(IAEA)の最終報告書は来月発表される予定だ。
 これに関連して、韓国政府は「処理水」への用語修正を検討している。福島汚染水関連の協議に精通した政府消息筋は10日、中央日報に「現在日本が福島原発敷地内のタンクにアルプス(ALPS・多核種除去設備)を通過させて主要放射性物質などを除去した水を保管しているが、排出基準に合うように処理された水が約30%、依然と汚染された水が残りの70%程度」とし「ただし今後、処理比率が高まれば汚染水を処理水と変えて呼ぶことが合理的なので用語修正を検討している」と話した。


「聯合ニュース」 2023.05.11 16:40
■「汚染水」の名称変更 「検討していない」=韓国外交部
【ソウル聯合ニュース】韓国の外交部当局者は11日、政府が東京電力福島第1原発の処理済み汚染水を日本で使用する名称の「処理水」に変更することを検討しているとの報道について、「政府は一貫して汚染水としており、変更は検討していない」と明らかにした。
 東京電力は汚染水を多核種除去設備(ALPS)で浄化し、原発の敷地内のタンクに保管している。日本政府と東京電力は汚染水を浄化処理すればセシウムなど大半の放射性物質が取り除かれると説明しているが、トリチウム(三重水素)は残る。
 日本政府はトリチウム濃度を放出基準の40分の1の1リットルあたり1500ベクレル未満に薄め、海に放出する計画だ。


「聯合ニュース」 2023.05.09 15:15
■韓日首脳会談 「汚染水放出の名分作り」と批判=韓国市民団体
【ソウル聯合ニュース】韓国の市民団体「歴史正義と平和な韓日関係のための共同行動(韓日歴史正義平和行動)」などは9日、国会で記者会見を開き、7日にソウルで開かれた韓日首脳会談について、「日本の汚染水投棄(海洋放出)のための名分作りにすぎなかった」と批判した。

【写真】韓日首脳会談が開催された大統領室付近で会談に反対する集会を行う市民団体=7日、ソウル(聯合ニュース)

 また、「肝心なのは日本の真摯(しんし)な謝罪と反省の表明だったが、結局、一言の謝罪もない『手ぶら』会談に終わった」と指摘。岸田文雄首相が徴用問題を巡り、「当時、厳しい環境で多数の方々が大変苦しい、悲しい思いをされたことに心が痛む思いだ」と発言したことについては、「心が痛むという表現が本心なら謝罪せよ」として、「日本の植民地支配を謝罪せず、強制動員を認めないままでの韓日関係改善は屈辱だ」と主張した。
 東京電力福島第1原発にたまる処理済み汚染水の海洋放出問題を巡り、韓国の視察団を現地に派遣することに合意したことに関しても、「具体的な計画のない視察は韓国が日本の汚染水放出を理解したものとして利用される」とし、「形だけの視察団派遣ではなく、共同調査団を構成し、福島産水産物の輸入禁止を正式な措置に転換すべきだ」と求めた。


「The Hankyoreh」  2023-05-09 09:20
■[社説]「福島原発汚染水の視察」、放出・水産物輸入の口実にはならない

【写真】太平洋島しょ国18カ国が集まった「太平洋諸島フォーラム」(PIF)事務局と彼らを諮問している独立的な研究陣は今年2月、福島第一原発を訪問し、現場視察を行った=東京電力ホームページよりキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 韓日首脳会談での合意によって、韓国政府は、日本の福島第一原子力発電所の汚染水海洋放出に関する状況を調べる専門家視察団を23~24日に派遣することにした。だが、韓国の専門家らの「視察」が、汚染水放出を押し切ろうとする日本政府の名目作りに利用され、福島産農水産物の輸入再開の圧力につながるのではないかという懸念が強まっている。
 日本政府が国際原子力機構(IAEA)レベルではなく個別の国家に視察を許可したのは、台湾と太平洋島しょ国18カ国が集まる「太平洋諸島フォーラム」(PIF)に続き韓国が3番目だ。問題は、台湾とPIFが昨年と今年に福島県庁を訪問したときは、担当者の説明を聞き、汚染水貯蔵タンクや多核種除去設備(ALPS)、海底トンネルなどを見学するという過程で終わったという点だ。日本側が見せたい場所と資料を見ることができるだけであって、別途の自主的な検証は不可能だった。今回、個別視察まで進めた韓国政府が安全性について具体的な問題を提起できなければ、高濃度の放射性物質が混ざった汚染水をALPSで浄化処理した後、今年夏に福島近海に放出するという日本政府の計画に「正当性」を付与するだけになる。
 よりいっそう懸念されるのは、韓国の適切な検証なしに今夏に海洋放出が始まれば、これまで守ってきた福島産農水産物の輸入禁止の原則も揺らぐことになるという点だ。日本政府は、福島が安全ではないというイメージが続くのは、各国の農水産物輸入禁止の影響が大きいとみて、執拗なほど解除を要求してきた。その結果、当初規制をしていた55の国・地域のうち、現在でも輸入を禁止している国は、韓国や中国など5カ所にすぎない。韓国はこれについて、世界貿易機関(WTO)でも日本に勝訴したが、汚染水放出に対して適切に問題を提起できず、輸入禁止の名目も失うことになる厳しい状況に直面した。
 「韓日関係改善」だけを叫び、日本の要求を無条件に受けいれてきた尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権を見つめる世論の懸念は強まっている。国民の健康と安全、海と水産業の未来がかかわる問題まで、日本に一方的に“大盤振る舞い”をするという状況は、絶対に容認できない。政府はまず、検証団を適切に編成し、安全性を確認するまでは汚染水を放出しないという約束を日本から受けなければならない。独自検証の後には、汚染水放出の延期を日本政府に正式に要求した太平洋18カ国など国際社会との連帯の可能性も視野に入れなければならない。
(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-05-09 02:38


「The Hankyoreh」   2023-05-09 07:26
■韓国政府、福島第一原発視察→福島産輸入再開の「罠」にかかるか
 共同調査より安全広報見学に近く 
 水産物の危険イメージ、韓国のせいにする日本  
 視察後、汚染水の放出を黙認すると解釈する可能性も
 韓日首脳が7日、東京電力福島第一原発に韓国視察団を派遣することで合意したことと関連し、ともすれば日本の汚染水の海洋放出を正当化し、これまで禁止してきた農水産物の輸入を再開せざるを得ない「罠」にかかりかねないという懸念の声があがっている。 これを避けるためには、視察後、韓国政府がこれまで蓄積した分析資料をもとに汚染水の放出に対して「反対」あるいは「延期」のような明確かつ一貫した立場を示す必要があるものとみられる。
 外交部は8日、福島第一原発への韓国視察団の派遣に関し「近いうちに韓日局長級協議を行い、23~24日の視察団派遣に関する具体的な内容を話し合う」とし、「現場視察団は政府関連機関と傘下機関の専門家で構成する予定」だと明らかにした。
視察が急ごしらえで決まったためか、政府は同日から急いで実務準備に入っている。 大統領室当局者は首脳会談が終わった後、記者団に「今回の視察は単に見て回ることを意味するわけではないようだ」とし、「(汚染水に含まれた)物質や成分について一緒に調査できるのではないか」という期待をにじませた。

【写真】太平洋島しょ国18カ国が集まった「太平洋諸島フォーラム」(PIF)事務局と彼らを諮問している独立的な研究陣は今年2月、福島第一原発を訪問し、現場視察を行った=東京電力ホームページよりキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 だが、日本がこれまで個別国家に認めた視察の前例からすると、これは現実とはかけ離れた「一方的な期待」であることが分かる。 日本が国際原子力機関(IAEA)の他に視察を許可したのは、台湾(昨年3月11日)と太平洋島しょ国18カ国が集まった「太平洋諸島フォーラム」(PIF)事務局(2月)の2カ所だけだ。
 一日かけて行われた当時の視察は、5段階で行われた。 まず、東京電力の担当者が多核種除去設備(ALPS)で浄化した汚染水の排出など全般的な過程を説明した後、現場を訪れる。 その後、海洋放出前に汚染水内の放射性物質の濃度を測定する「K4」タンク、タンクと海をつなぐ1キロメートルの海底トンネル現場、希釈された汚染水で育てるヒラメとアワビの飼育試験場を見学する。 最後に、海洋放出後の影響を分析する日本原子力研究開発機構(JAEA)の大熊分析・研究センターを訪問する。
 共同調査というより汚染水の海洋放出が安全だという東京電力の広報内容を体験する見学に近い。 東京電力は地域住民や一般人、企業、ジャーナリスト、市民団体などを対象に同様の事業を行っている。
 このような見学性の視察から帰ってきて、政府が今のように沈黙を守った場合、韓国が日本の汚染水放出計画を事実上黙認したという誤解を招きかねない。 さらに、2011年3月の福島原発事故以来10年以上続いてきた「福島産農水産物の輸入禁止」原則を自ら崩す最悪の状況に追い込まれる可能性もある。
 韓国は福島原発事故により放射性物質が流出した日本の沖合を「潜在的危険」と主張し、2019年4月、世界貿易機関(WTO)の紛争解決制度において勝訴した。 ソウル大学のソ・ギュンリョル教授(原子核工学)は、ハンギョレとの電話インタビューで、「海洋放出が1~2カ月後に迫った状況で、韓国側が反論できる確実な資料や論理を持っていなければ、ただうなずいて帰ってくることになる」とし、「日本がこれを利用して福島産水産物などの輸入制限を撤廃するよう圧力をかけるだろう」と懸念を示した。

【写真】福島第一原発敷地内のタンクに保管中の放射性物質汚染水/AP・聯合ニュース
【写真】東京電力が昨年から公開している希釈された汚染水で育てるヒラメとアワビの飼育試験場は、台湾と太平洋島しょ国の視察過程にも含まれていた/聯合ニュース

 日本は福島水産物が安全でないというイメージが作られたことを、これまで輸入禁止措置を続けている韓国などのせいにしている。 日本の農林水産省の資料によると、福島原発惨事以降、55カ国と地域が輸出規制に乗り出したが、これまで輸入自体を禁止している国は韓国や中国など5カ国のみ。 中国は汚染水の海洋放出に強く反対する立場を示しており、汚染水の影響を真っ先に受ける太平洋島しょ国は「放出の延期」を求めている。
 しかし、韓国は「国民の健康」に言及しながらも、放出については曖昧な立場を守っている。 国際通商専門家のソン・ギホ弁護士は同日、資料を発表し「政府はこの2年間で日本から汚染水の資料を4回も受け取った。しかし、これまでいかなる評価や分析結果も出していない」と批判した。

東京/キム・ソヨン特派員、シン・ヒョンチョル記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-05-09 02:39
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