ICT工夫
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2008年12月24日、国土交通省サイトで中央新幹線東京都・大阪市間の調査について全国新幹線鉄道整備法第5条第1項に基づき、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構及び東海旅客鉄道株式会社に対し、平成20年12月24日付けで、下記のとおり調査を指示しました』
という報道資料を確認していました。早いニュースでは24日中に、多くは25日の記事として関連情報が読めました。
国土交通省のページでは以下のように書かれています。

1.調査事項
 全国新幹線鉄道整備法の趣旨にかんがみ、ルート、駅等に関し、地域と調整を図ることを前提とし、
 下記(1)~(4)の各事項について調査を行うこと。
  (1) 輸送需要量に対応する供給輸送力等に関する事項
  (2) 施設及び車両の技術の開発に関する事項
   (調査に当たっては、安全・防災対策に関し、関係省庁との調整を図ること)
  (3) 建設に要する費用に関する事項
  (4) その他必要な事項

2.今回の指示に係る調査報告書の提出時期
  1.に基づく必要な調査を終え次第、提出すること。

3.その他
  本調査については、両者協議のうえ調査の実施計画を提出するとともに、協力して調査を実施すること。

私はこの記事を読んだ時に、「今回の指示に係る調査報告書の提出時期」が定められていない事を訝しく感じました。2025年開業を目指すということが繰り返し報じられていたように思います。調査結果によってその後の具体的計画が決まっていくのですから、逆算日程からはじき出した調査のデッドラインを決めておかねば計画策定ができない、それなのに何故期限を切らないのかということです。
JR東海のニュースリリースでは「可能な限り早期に報告できるよう努めてまいります。 」としています。

幸いな事にこれについては疑問が解消しました。読売新聞長野版に、「これまでに建設された新幹線の調査指示の場合、報告提出期限が設定されたが、今回は長野県が直線ルートに反対していることに配慮し、期限設定が見送られた。」とありました。
信濃毎日新聞では、「調査指示に先立ち、自民党のリニア特命委員会は都内で開き、調査指示の内容について国交省の説明を受けた。堀内光雄委員長は会合後、JRと長野県などとのルート調整について、地元の意向を重視する必要性を強調。「あまり長引くようなら、党としての取り組みを辞さない」と話し、場合によっては特命委が仲裁に乗り出す可能性も示した。」と書かれています。朝日新聞「今月16日に同新幹線に関する政府与党合意が得られるまで、4項目の調査指示を先送りしていた。」と書いていました。

山梨県選出の堀内光雄議員のお名前は存じていますし、リニア開通に熱心に活動されている事もニュース等で知っています。国土交通省の指示はおそらく関係先との擦り合わせの済んだ結果として「期限を切らず」となったと理解しました。後はセレモニーとアリバイ作りが繰り返されて、長野県に対しては別件の大型事業が動くこととなりリニアは「直線」、山梨県すらもしかすると素通りの可能性もあるのか?--日本経済新聞によれば、『JR東海はリニア開業で、首都圏―中部圏の所要時間を約40分と、新幹線「のぞみ」より約1時間短縮することを目指している。その前提となるのが南アルプスを貫通する直線ルートだ。』

中間駅は地元負担としてリニアに停車して貰うためには、乗降客予測シミュレーションが必須です。私も今後のニュースに注意していきたいと思っています。建設費約5兆1000億円で日本が息を吹き返す事を祈りたいと思います。私はリニアに乗ることは無いでしょうが、ニュース検索- リニア中央新幹線をセットしておきます。おそらく既に決まっているはずの「報告のデッドライン」をどのメディアがスクープするかミモノでしょう。

2008年12月25日、山梨リニア実験線の延伸工事で残り3工区を公告、2009年春にも着工(日経BP)
 鉄道建設・運輸施設整備支援機構は12月18日、山梨リニア実験線の延伸工事のうち、同機構が担当するエリアで未発注だった延長約4.4kmの区間を、三つの工区に分けて一般競争入札で公告した。建設現場は山梨県笛吹市付近で橋の建設が中心だ。
  公告したのは以下の三つの工事。工区延長が1655mで工期が27カ月の「山梨リニア実験線、浅川橋りょう他」、工区延長が1986mで工期が30カ月の「同、小山高架橋他」、工区延長が765mで工期が31カ月の「同、金川橋りょう他」だ。開札日はすべて2009年3月3日で、2009年度早々から工事を始める予定。 



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日本経済新聞(2008-12-26) 『「大分キヤノン」(大分県国東市)が今月、公共職業安定所(ハローワーク)で公開した期間社員の求人票に、労働組合に入らないことが雇用条件と、求職者が誤解する恐れのある記載があったことが25日、分かった。記載は同社とハローワークが協議して決めたもので、厚生労働省が「不適切」として大分労働局に指導し、削除させた。  同省職業安定局は「詳しい経緯は調査中だが、ハローワークは本来こうした記載がないよう指導する立場にあり、対応に問題があった」と話している。労働局に対するこうした指導は異例で、雇用を巡る不安が広がる中、ハローワークや企業の配慮を欠いた対応に批判の声が上がりそうだ。』 という記事がいくつかのブログで紹介されていましたので追記しておきます。但しどのような記載なのかは記事からは不明でした。


私のデジカメがキャノンじゃなくてよかったと心から思う。先日、携帯電話と子供の危険について書いた時に、「保坂展人のどこどこ日記」を参照していた。そのブログに2008年12月23日記事で「キヤノンの「請負労働者切り」の詭弁こそ問題だ」とあり読んでみた。

テレビなどでも「派遣」と「請負」の区別をつけずにコメントしている人たちが多い。キヤノンは06年に「偽装請負」で問題となってから、表向きはキヤノンが生産工程に指揮・命令・監督を加えない「完全請負」に見えるように巧妙な工夫を凝らしてきた。従って、 キヤノンの工場内に別会社(下請け会社)あって、キヤノンは発注伝票を出して、製品を受け取るだけという仕組みに近づけた。だから、キヤノンが行なったのは伝票に記してきた「発注数」を「1000→100」と減産しただけであって、「解雇」は下請け会社が勝手にやったことで、まったく関知しないという理屈だ。

私は「派遣」と「請負」の区別は分かっているつもりだったが「請負」の仕組みがこのような状態だとは全く知らずにいた。
昔、学卒で生産会社に入り自分の専門だった生産管理を担当したので、外注工場というシステムを含めた生産計画にも関わった経験を思い出している。外注さんの技術力、生産力があるから我々の生産計画が可能だという意識を叩き込まれた。もちろん品質管理の一環としての受入れ検収は厳しいから、ミクロンの精度が上がらない事で外注課や設計課も交えて外注さんとやり合うことも多かった。だが、キャノン大分の「請負」というのは単に社内生産できるものを別会社にすることでコスト切り下げを狙うだけの、まさに悪しき呼び名としての「資本家」のやり方に過ぎないと思える。
キヤノン、大分生産子会社で1177人削減(日刊工業新聞 2008-12-06)など、「キャノン 大分」で検索すれば多数のブログ記事などが読める。このブログ記事のタイトルに「デジカメ」を入れたのは大分キヤノン株式会社 主要製品情報による、他の製品については生産拠点を調べるつもりはない。

おそらく請負会社従業員の長年の経験に基づく技術力は社内要員と同等かそれ以上だろうし、請負契約解消の一方で期間従業員を募集しているとのことだから、これから品質はかなり落ちてくると考えねばならないかも知れない。生産ラインの管理がいかに細かく考えられていても、一度こういう事があった生産会社の製品は何かしら品質に問題がでることに注意すべきだと私はいつも思っている。設計ミスとか材質不良のような物理的原因がはっきりしていれば、マネジメントが並んで頭を下げて終わりにしてもよい。私もそれで納得する。

不思議なもので機械の品質は見た目や規格だけじゃわからない、パソコンでも相性みたいなものがあって同じ仕様のメモリーのはずなのに、A社製品ならエラーが出てB社とは相性がいいというような場合がある。私はそこに「物が作られる時にビルトインされる作る人の命」が活きているような不思議さを感じる。もちろんメモリーの場合なら使われている素材の分子レベルまで考えれば相性があるという理由が解明されるかも知れないが、それでもひとつひとつの製品には作る人の魂がこもっているのだと信じる事にしている。

従業員のモラール(士気、モチベーションのこと、モラルとは別な単語)は生産現場だけでなく、あらゆる組織での重要な問題だから、モラールを上げるも下げるもマネジメント次第ということも私は昔叩き込まれた。苦しい時期には社員を集めて社長自ら現状と見通しなど話をしたことを思い出す。現場からたたき上げて上場会社にまで育てた人だったので独特の癖はあっても素晴らしい人だったと記憶している。
年末の仕事納めでは仕事場をいつもよりきれいに掃除して「場」への感謝の念を表わしプレス機などの上にお供えが飾られる事もあったような気がする。経団連会長の御手洗氏も作業者が働く現場を視た事が幾度となくあるだろう、そこで何を感じたのだろうか。

昔、アメ車のドアパネルを外したら内側からタバコの吸い殻が出て来たという話を思い出す。奢れる者は久しからず、キャノンも同じ道を辿るかも知れない。彼等は Japan As Number One からとっくに凋落している日本がこれから行く道の尖兵なのかも知れないとも思う。



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