前号で、「・・・五ヶ井郷の村々は水が豊かでほとんど池がありませんでした。
しかし、新野辺村だけは、少し事情が異なり五ヶ井用水の終点で、水が確実に届く保障がないので、五ヵ井用水の水を貯めておく池が必要でした。
寛延三年(1750)の明細帳に、新野辺村には大小あわせて41ものため池があったと記されています」と紹介しました。
おそらく、そのため池の一つが「ひし形池」だったのでしょう。
「ひし形池」に、こんな話がありました。
(民話)ひし形池の豆だぬき
その池のまわりには、うるし、つばき、竹などが生いしげって、池の南がわには一本の大木がありました。
その大木の根もとに豆だぬきが住みついていました。
ま夜中のころでした。
ひし形の池の近くを通ると、大木の根もとから赤ん坊が泣いているような声が聞こえました。
悲しそうな声でした。
ある時、池の持ち主が、その大木を下から一間(いっけん・約180メートル)ぐらいのところを切りはじめました。
すると、切り口から水がタラタラと流れ出してとまりません。
そこで、高いところをから、やっと大木をきりたおしました。
ところが、一日がたってから、大木を切りたおした人は豆だぬきが、恨(うらみ)をもち復讐したのか急に体が痛くなって、暴れまわったと言うことです。
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