6月はビワの実の熟れる季節である。この時期、ビワの実を店先で見つけると淡路島が無性に懐かしくなる。
というのは、学校を卒業して最初に就職したのが淡路島でビワの産地であった。その年の6月早速、ビワの実をいただいた。。
それまで、ビワはあまり好きな果物ではなかった。というのも、ビワ・柿・イチジクは、買って食べるという発想はなく、特にビワは近所の庭にあるものを、もらうか、時には失敬して食べるものという思いがあった。もっとも、失敬することもあまりしなかった。ビワは、概して小粒ですっぱく、美味くなかった。
淡路島で食べたビワは形も大きく、店頭に並ぶものと同じであったが、味はそれとも違って美味かった。
ソウケ(ざる)いっぱい、いただいたのを覚えている。そのビワは、少し熟しすぎ、そして何かにあたったのであろう、表面は少し茶色に変色していたが、味は絶品であった。
以来、淡路にいた4年間、ビワの季節は、いつもこの状態のビワをもっぱら選んで食べた。
ビワの産地は淡路島の岩屋から野島にかけての瀬戸内側である。ここは、山が海にせり出し、海岸に沿って、かろうじて一本の道を確保しているような場所である。従って、水田がない。
ビワの収穫は田植えと時期が重なる。仕事が重なると、手間のかかるビワづくりは無理となる。
幸い、ビワは傷つきやすいが、ビワの産地である淡路の北部は神戸・明石の大消費地に近いという地の利を持っている。
*トレビア(役に立たない無駄知識)を、紹介しておきたい。
ビワの皮は、へその方から剥へば綺麗にむける。枝の付け根の方から、剥くと途中で皮は破ぶれてしまう。(ご存知であったら無視して欲しい)