樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

文学忌

2008年06月20日 | 木と作家
昨日は「桜桃忌」、『走れメロス』や『人間失格』で知られる作家、太宰治の命日でした。死の直前に発表された作品『桜桃』と、ちょうどこの時期に実るサクランボ(=桜桃)にちなんでこの名があります。
昭和23年6月19日は入水自殺した太宰の遺体が発見された日であり、奇しくも39歳の誕生日でもありました。当初の「桜桃忌」は太宰と親交のあった人たちが遺族を招いて、サクランボをつまみながら酒を酌み交わしたそうです。
その名の通り今はサクランボのシーズンで、野山のサクラにも実が成っています。ただし、ソメイヨシノはクローンで増えた樹なのでほとんど結実しません。

       
           (カスミザクラのサクランボ。この後、実食!)

私の散歩コース・大吉山にはソメイヨシノに混じってカスミザクラが数本あり、果樹用品種ほど立派ではないですが、赤い実をいっぱいつけています。いつもはメジロやヒヨドリがせっせと食べているので、私もそのおこぼれをいただいてみました。
写真の実は酸っぱいものの、サクランボの味がしたので飲み込みました。「もう少し熟したものを」と思って少し黒くなった実を食べましたが、こちらは渋味と苦味が強くて吐き出しました。

       
          (近くのバス停の前のキョウチクトウ。すでに満開)

さて、太宰治の親友で「桜桃忌」を主導し、女優・檀ふみの父親として知られる作家、檀一雄にも「夾竹桃忌」という文学忌があります。キョウチクトウもちょうど今ごろ開花し、夏の間ずーっと赤や白の花で目を楽しませてくれます。
檀の命日は1月2日ですが、生前に宮崎で見たキョウチクトウの写真に感動し、花の季節にわざわざ見に出かけたために、ご当地で「夾竹桃忌」が開催されるようになったとのこと。太宰の「桜桃忌」と違って、季節がまったくリンクしていません。また、キョウチクトウは葉にも花にも枝にも毒を含んでいます。
映画評論家の小森和子や女優の入江杏子が愛人だったそうで、代表作『火宅の人』のようにかなり乱れた私生活を送り、「最後の無頼派」と呼ばれた作家にふさわしい文学忌かも知れません。
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6 コメント

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カレー (bulbul)
2008-06-21 06:12:15
 タイトルは忘れてしまったけど壇一雄の著書に食べ物について書いたものがあってカレーに「チャツネ」を入れるととても旨くなるというのを読んでやってみた記憶があります。内田百間の「御馳走帳」とか食べ物について書かれたものを読み漁ってた頃のことです。
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檀一雄は (fagus06)
2008-06-21 08:26:35
「檀流クッキング」という料理本を出していますね。料理が得意だったようです。
昔、どこかのカレールーのCMで「マースチャツネ」というのをやっていましたが、それは檀一雄から由来しているんでしょうか。ところで「チャツネ」って何ですか?
グルメの文学者は多いですね。私も一時、開高健の味の表現にはまっていたことがあります。
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チャッネ (bulbul)
2008-06-21 16:10:33
 あぁそれそれ「壇流...」、最近ではちょっとした食料品店にはおいているようです。果物を煮たものだと思います、詳しくは知りません。家の冷蔵庫にはマンゴウチャッネの大瓶が入っています。カレーを煮る時にスプーン一杯いれると味に奥行きがでます。
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なるほど (fagus06)
2008-06-22 09:27:22
果物とカレーの組み合わせですか。
そういえば、ハウスバーモントカレーはリンゴとハチミツですもんね(笑)。
マースチャツネはオリエンタルカレーでしたかね。
私はあまり辛いカレーは苦手です。
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自分は何が… (GBKT)
2008-06-24 21:26:02
意外かもしれないですが私は太宰治が好きです。
だから桜桃忌は知ってましたが、日にちは知りませんでした…
カスミザクラはこちらにもあり、近年、植樹されることが増えているそうです。
私は死んだら、植物なら、何忌がいいかな…
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意外じゃないですよ (fagus06)
2008-06-25 09:27:01
太宰は私も昔に読みましたが、あまり印象に残っていません。
作家の命日を文学忌というそうで、調べてみたら、花とか植物関係は意外と少なくて、作家の名前をそのまま使った●●忌というのが多かったです。
私なら、ブナ忌、トチノキ忌、カツラ忌…そんなところですかね。
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