樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

野鳥番組の功績

2022年08月18日 | 野鳥
バードウォッチャーならNHKの『ダーウィンが来た!』や『さわやか自然百景』、NHK-BSの『ワイルドライフ』の鳥の放送をご覧になっているはずです。これらの野鳥番組は、鳥に関する私たちの知見を豊かにするだけでなく、鳥類学の進歩にも貢献しています。
例えば、「仏法僧」と鳴くのはブッポウソウ(下の動画)ではなくコノハズクであることが明らかになったのは、1935年のNHKのラジオ放送がきっかけ。名古屋放送局がブッポウソウの声の生放送を行ったところ、その声につられて、ある人が飼育していたコノハズクが鳴きだしたので、「仏法僧」はコノハズクの声であることが判明。日本鳥学会は「仏法僧=ブッポウソウ」が誤りであったことを認めました。



また、昨年9月に放送された『ワイルドライフ』は、小鳥の言語を研究している鈴木俊貴博士に4年間密着取材し、シジュウカラの親鳥が幼鳥(下の動画)にヘビを意味する言葉「ジャージャー」を教えるシーンや、それをゴジュウカラやヒガラ、メジロの幼鳥も学んでいるシーンを放送しました。
鈴木博士も「種内での言葉の学習もほとんど明らかになっていませんし、種を超えて言葉を学習することが分かったのは初めてです」と語っていました。このことは、カラ類の混群の中でシジュウカラが「ジャージャー」と警戒すればヒガラやメジロなどにもその意味(ヘビがいる)が伝わることを示しており、混群を形成する理由の解明にもつながる大発見だったようです。



もちろん、NHKが撮影しなくても博士自身が撮影することも可能ですが、研究者のカメラではなく放送用の高性能なカメラとマイクを複数台使って、しかも撮影のプロが撮ったからこそ貴重なシーンが記録できたはずです。
番組の中で「これは面白い! 初めてです」と興奮していた鈴木博士は、今後は鳥の言葉の教育過程を研究するそうです。
コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ツバメの群舞 | トップ | 素っ裸でバードウォッチング »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (kazuyoo60)
2022-08-18 11:00:35
コノハズクがブッポウソウと鳴く、それは聞き覚えがあります。声が届くのだったら、鳴き方の変化で危険を知らせる生きていくのに必要なことですものね。
鳥の言葉の教育過程を研究---、親が確実に伝えたいこと、その思いが子供に意味を持った声や、態度でですね。どの種類でも手段があると思えます。
返信する
kazuyoo60様 (fagus06)
2022-08-19 14:24:28
鳥の名前が間違っていたことが判明しましたが、日本鳥学会は鳥名変更をしませんでした。ややこしいですが、この一件以来、ブッポウソウを「姿のブッポウソウ」、コノハズクを「声のブッポウソウ」と呼ぶようになりました。
この鈴木博士は鳥にも言葉や文法があることを発見して、現在、世界的にも注目されています。
返信する

コメントを投稿

野鳥」カテゴリの最新記事