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樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

剣豪が描く鳥

2014年10月09日 | 野鳥
宮本武蔵は剣だけでなく絵筆のさばきも巧みだったようで、多くの絵画を残しています。その中には鳥を描いたものが5点あり、モチーフはハト、ガン、ウ、カワセミ、モズの5種。このうち「紅梅鳩図」「蘆雁図」「鵜図」の3点は国の重要文化財に指定されています。
下はモズを描いた「枯木鳴鵙図(こぼくめいげきず)」。枯木の先にモズが止まり、その下に虫が這っているという構図です。「鳴鵙」という題から察すると、モズが高鳴きする秋の風景でしょう。



この絵は、「モズが虫を捕える直前の生と死の狭間の緊張感を描いている」というように解説されます。しかし、バードウォッチャーの目で見ると、このモズが下の虫を捕えるとは思えません。
モズは木や草のてっぺんによく止まりますが、それは周囲の広い範囲を見渡して餌を見つけるため。数十メートル先に飛んで、虫や小動物を捕えるという行動パターンです。
セキレイ類なら虫を捕えるために、弧を描いて下に飛ぶでしょうが。モズの飛び方は直線的。この絵のモズの目には下の虫は入っていないでしょう。
「モズは武士道の到達点を象徴し、そこに向かって這い上がっていく虫は剣の修行者である」といううがった解釈もあるようですが、そちらの方が「小さな猛禽」と呼ばれるモズの生態にはかなっています。
宮本武蔵が鳥を描いた一方、ライバルの佐々木小次郎は「燕返し」を会得するために何羽かのツバメを切り殺しています。
判官びいきの私としては小次郎にシンパシーを感じますが、バードウォッチャーとしては許せませんね~(笑)。
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2 コメント

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Unknown (guitarbird)
2014-10-11 19:49:28
こんばんわ
A公園はモズは繁殖していると思われ、それは春に来て7月くらいまで見られるからですが、幼鳥が巣立つとどこかに行ってしまうのか、A公園でモズの高鳴きはほとんど聞いたことがありません。
今年は先月一度聞いて、珍しいな、と思いました。
開けた場所が狭いのでいなくなるのかな、と考えています。
モズのはやにえもA公園では見たことがありません。
モズは私にとって、身近なようでそうでもない、でもいろんなところでよく会う鳥ではあります。
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図鑑で確認すると (fagus06)
2014-10-12 07:25:16
北部日本のモズは秋になると暖地へ移動する、と書いてありますね。つまり、渡り鳥なんですね。知らなかった。
こちらでは、いつでも見られます。高鳴きも聞かれます。
ほとんどの場合、単独です。小鳥でありながら猛禽で、孤高の存在、というところが武蔵のシンパシーを集めたのかもしれませね。、
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