樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

バードウォッチャーの高齢化

2020年05月21日 | 野鳥
パナソニックが補聴器の販売促進のために「聴き鳥テスト」という動画を作成し、You Tubeにアップしています。まず、みなさん自身でテストしてみてください。



最後のヤブサメは日本で最も高い周波数で鳴く鳥で、私は15年以上前から聞こえません。仲間内では、「ヤブサメの声が聞こえなくなったら年寄り扱いしてもいい」という冗談ルールがあります。
また、近年の鳥類調査ではヤブサメが減少していますが、それは個体数が減ったからではなく、高齢化した調査員の聴力低下のためという、笑えない笑い話もあります。
同様のことは海外にもあって、カナダの「オンタリオ繁殖鳥類地図」の調査では、50歳以上のボランティア調査員が43種類中13種類の鳴き声を検知できなかったそうです。しかも、その13種の声は高音域とは限らず、数種類はむしろ低音域に属していました。
そして、数千の調査データと調査員の年齢情報を使ってデータの正確性を分析したところ、50歳以上の調査員が受け持つ地域では25%以上の野鳥が検知されていないという結果でした。
また、北米で最も大規模に行われる繁殖鳥類調査について同様の分析をすると、調査員の加齢の影響は聴力の衰えだけではないことが判明したそうです。
この調査は、ある特定の窓から見える鳥の数を3分間記録するという方法で行われるのですが、多くの鳥が一斉に移動する場合、情報量が多すぎて高齢者には負担になっているというのです。研究者は「年をとると、聴力だけでなく視力も衰え、反応が鈍くなるからだろう」と語っています。
私は難聴気味で、ヤブサメの高い声だけでなく他の鳥の声も聴きづらいので、鳥類調査では植生調査だけ担当しています。
うちの支部は平均年齢63歳という超高齢社会。そのうち「調査は50歳以下に限定」というルールを作らないといけないですが、そうなると調査員が確保できません。パナソニックの補聴器を支給してもらおうかな~。
コメント (4)
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