樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

大津絵

2009年04月17日 | 木と作家
先日、仕事で大津の街を取材しました。その一つ「大津絵の店」では木に描いた作品がたくさんあったので、仕事の撮影はプロのカメラマンに任せて、私はブログの取材に精を出していました。
大津絵は江戸時代に仏画から派生した絵画で、大津は東海道の53番目の宿場町だったことから旅人も多く、土産物として人気を博したようです。芸術品というよりも、身近なものに描いた大衆画ですね。

               
         (舟の廃材に描いた大津絵。鬼は大津絵の代表的な題材)

私が理解していた大津絵は掛け軸や色紙など紙が中心で、木に描かれたものは知りませんでした。店主の絵師によると「琵琶湖には舟がたくさんあったので、その廃材に描いたのが始まり」とのこと。舟の材=スギと思っていましたが、このあたりではマツだそうです。

       
           (水車の廃材なので組み木用の穴があります)

現在は木製の舟はなくなったので、舟以外の木製品の廃材を使っているようです。例えば、水車や臼の古材のほか、釣瓶の桶に描いたものもありました。
店の隅にいろんな板が置いてあるので「これは何ですか?」と尋ねると、「古い家を解体した人がその廃材に描いて欲しいと特注で持ち込んだもの」だとか。

       
                (臼の廃材。ケヤキかな?)
       
              (釣瓶の汲み桶に描かれた大津絵)

木材のほか瓢箪や竹、扇子、団扇などにも描かれていました。これほど画材を選ばない自由な日本の伝統絵画は他にないのではないでしょうか。
コメント (6)
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