樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

さくらとむくげ

2009年04月08日 | 木と歴史
宇治市の隣の城陽市に「さくらとむくげの会」という団体があります。サクラは日本の、ムクゲは韓国の象徴。つまり、日韓交流を目的とした会です。
その韓国では戦後、桜の排斥運動が起きたそうです。植民地時代に各地に植えられたソメイヨシノが日本のシンボルと見なされて伐採されたのです。

       

ところが、ある植物学者が「ソメイヨシノは韓国の済州島が原産である」という説を発表して以降、その伐採運動が沈静化。さらに、日本海軍の軍港であった鎮海という町には桜がたくさん植えられていたため、大統領が「鎮海を世界一の桜花都市にしよう」と呼び掛けて植樹運動を行い、現在では韓国でも有名な桜の名所になっているそうです。
戦中世代には今でも桜を嫌う人がいるようですが、一般的には桜を楽しむ人が多く、韓国ドラマにも満開シーンが登場するとか。

       

ソメイヨシノが済州島原産という説はその後のDNA調査で否定されていますが、私はその植物学者がそれを承知の上で発表したのではないかと思います。樹木に罪はないのに、政治的な理由で次々に伐られることに心を痛めたのではないでしょうか。
現地では今でもソメイヨシノは韓国原産と思っている人が多いそうです。
一方、ムクゲは日本の神社やお寺の境内、公園、一般の庭まで広く植えられ、夏の貴重な花として目を楽しませてくれます。その中に「日の丸」という品種があるのですが、「韓国の戦中世代にとっては微妙な命名だな」と以前から気になっています。

       
                 (ムクゲの品種「日の丸」)

前回ご紹介した近所の桜は「進駐軍が来て騒ぐと困るから」という理由で伐られました、一方、韓国では「占領国のシンボルだから」という理由で伐られました。どちらも戦争が原因です。戦争では、人間だけでなくたくさんの樹木も殺されます。
コメント (6)
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