樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

資生堂の逆襲

2006年06月21日 | 木と美容
資生堂がTSUBAKIというブランドの高級シャンプーを発売しました。
アジアの美しさをテーマに、韓国の有名女優を使ってシェアを拡大した花王のASIANCEに対抗して、日本の美しさをテーマに、日本の有名女優6人を使って巻き返しを図ったようです。

         

このシャンプーに使われているのが椿油。
「日本人だからこそ表現できる髪の美しさをひきだすために、はるか昔から、美髪成分として大切にされてきた椿オイルを、21世紀の成分へと進化させて配合」。パンフレットにはそう書いてあります。
私も広告文案家なので、仕事ではいつもこういう文章を書いているのですが、うまいこと書くでしょう? 古いイメージの椿油が、新しい美容成分に思えてくる。

      
      今年3月に撮影したわが家のツバキ。

パンフレットが言うように、椿油は遠い昔から日本人のヘアケアに使われてきました。『和漢三才図会』という江戸時代の百科事典は、「刀剣に塗れば錆(さび)を生ぜず、漆器を拭けば艶を出し、髪に塗れば艶美」と書いています。
この椿油の名産地である伊豆大島は、面積の約1割がツバキの純林になっているそうです。その椿林で働く女性を歌ったのが、都はるみの「アンコ椿は恋の花」です。

椿油は髪用だけでなく食用油としても最高で、香りがよくサッパリしているとか。また、木材も昔から使われていて、5,500年前の遺跡からツバキで作った櫛(くし)が出土しています。縄文時代から、ツバキは日本の女性の髪と切っても切れない関係にあったようです。

      
庭には毎年ツバキの実がたくさん落ちます。種(左)を絞れば椿油が採れるはず。

資生堂には『花椿』というPR誌がありますから、昔からツバキとは縁が深いのでしょう。50億円もの広告予算を使ってTSUBAKIを売り出した結果、それまで10%程度で第4位だった資生堂のシャンプーのシェアは30%以上に伸びて第1位になったそうです。椿のパワーはすごい! いや50億円のパワーかな?
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