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樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

グリーンウォッシュ

2010年07月22日 | 森林保護
環境活動が企業の大きな評価ポイントになり、“地球にやさしい会社”でないと物やサービスが売れない時代になりました。それ自体は歓迎すべきですが、中には表面だけ“地球にやさしい会社”を装う企業もあります。そういう偽装行為を「グリーンウォッシュ」と呼ぶそうです。緑の活動で汚れた部分を洗い流すという意味らしいです。
環境系のポータルサイトを見ると、毎日のように企業の植樹活動が報告されていますが、そのほとんどがグリーンウォッシュではないかと私は疑っています。「環境活動=植樹」という発想が安易ですし、植樹した苗木の8割は枯れるかシカに食べられて残らず、実施した方の自己満足だけが残るという空しい活動です。
セキスイハウスが顧客の家の庭に5種類の樹木を植える「5本の樹」運動を展開しています。私はこれもグリーンウォッシュだろうと思っていました。でも、失礼な誤解でした。
セキスイハウスはJR大阪駅から徒歩10分の超一等地に8,000㎡の緑地を確保し、「新里山」と名づけて多様な樹木や植物を植え、田んぼで稲を作り、畑で野菜を育てています。それを実際に見て、「この会社は本気だな」と思いました。


隣のビルから見た「新里山」。左下の人物から大きさを想像してください

東京の六本木ヒルズの屋上にも似たような緑地があるようですが、屋上緑化はデッドスペースの有効利用。平地の場合はビルを建てるなど他の経済的な収益を捨てて緑地化するわけですから、企業としての覚悟が違うでしょう。


田んぼでは稲が、畑ではトウモロコシやトマトが育っていました

しかも、植えてあるのは公園によくある樹ではなく、イヌシデ、ハイノキ、シロダモ、ツリバナなど、言わばマニアックな樹。サクラもソメイヨシノではなく、ヤマザクラやウワミズザクラを植えています。樹の選び方で本気度が伝わってきました。


都会では見ることのないイヌシデ

顧客の庭に植える「5本の樹」も在来種に絞り、日本を5つのエリアに分けてそこに自生する樹種のリストを作成しています。鳥や昆虫など日本本来の生物多様性を生かすために、一般的に人気の高いアメリカハナミズキなど外来種を排除しているのです。「5本の樹」のキャッチフレーズは、「3本は鳥のために、2本は蝶のために」。自然の好きな人には効果的な殺し文句ですね。


トンボやカエル、メダカが生息する水辺

しかも、樹にはQRコードをプリントした名札が掛けられ、携帯を通じて樹木の情報やその樹に集まる鳥の声を聴くことができます。こういうディテールまで徹底できたのは、アドバイザーに恵まれたからでしょう。
このプロジェクトを担当した社員の中学校の先輩が写真家の今森光彦氏。世界的な生物写真家であり、滋賀県の私有地を里山として守っているナチュラリストでもあります。
もう一人のアドバイザーは、日本野鳥の会の元職員でNHKラジオの「夏休み子ども電話科学相談」に出演していた藤本和典氏。樹木と鳥の関係の専門家です。たまたま親戚がセキスイハウスの社員だったことからつながりができたようです。


巣箱もかけてありました

企業がやることですから最終的には環境よりも商売が優先するでしょうが、いいかげんなグリーンウォッシュが多い中、セキスイハウスの「新里山」と「5本の樹」は好感度が高いです。私の家はミサワホームですが、このことをもっと早く知っていたらセキスイハウスにしたのにな~(笑)。


同じ敷地の隣に聳えるのはセキスイ所有の梅田スカイタワー

JR大阪駅周辺では大規模な再開発が進行中で、サッカースタジアムを造るとか、地下に北陸新幹線の駅を設けるなどの構想があるようですが、もしそうなったとしてもこの「新里山」は継続して欲しいものです。
「5本の樹」のウェブサイトはこちら
「新里山」のウェブサイトはこちら
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樹の注射

2010年03月25日 | 森林保護
先日、いつも通り大吉山に散歩に行くと、乗り入れ禁止の遊歩道に車が4台も停まっていて、6~7人の男たちが何やらあやしい動き。よく見ると、斜面に生えているアカマツの幹にドリルで穴を開け、そこに茶色のボトルを差し込んでいます。
「松枯れ病対策だろうな~」と思いながら、いつも通り展望台まで登って体操した後、カメラで撮影して帰ってきました。



茶色のボトルに書いてある「グリーンガード」をネット検索すると、やはり松枯れ防止の薬剤と判明しました。作っているのは、世界最大の薬品メーカー、ファイザー。
そのサイトには松枯れ病に関する一般向けの解説ページもあって、いろいろ勉強になりました、私も一応そのメカニズムは知っていましたが、より詳しく理解できました。
以前から「松枯れ病と水不足による枯れをどう見分けるのだろう?」と疑問でしたが、それも解消しました。葉の枯れ方が違うらしいです。
枝先の葉(新葉)は緑なのに、その下の旧葉が枯れて垂れているのは松枯れ病、全部が赤く枯れて垂れてないのは乾燥によるものだそうです。ほかに、幹を少し傷つけて出てくる樹脂(松やに)でも判断できるとか。


(1本のアカマツに2~3個のボトルが差し込まれています)

樹の幹にボトルが差し込まれている姿は痛々しいですが、人間で言えば予防注射みたいなものですね。
大吉山には近くに住む高齢者も登って来られて、「昔はアカマツだらけやった」と話しておられます。以前この山の植生変化をご紹介しましたが、長年住んでいるとそれを実感するんでしょうね。
グリーンガードのwebサイトはこちら
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大文字山で虫退治

2010年03月15日 | 森林保護
私が通っている栃の森ではたくさんのミズナラがナラ枯れ病に侵されて枯れ死しています。周囲5.8mの巨木も倒れました。


(ナラ枯れ病で倒れたミズナラの巨木)

そのナラ枯れ病が南下し、京都市周辺の樹木にも被害が出始めました。それを食い止めるためのボランティア活動があるというので、土曜日に参加してきました。場所は、送り火で有名な大文字山。
ナラ枯れ病の原因はカシノナガキクイムシ。この虫を駆除する有効な方法が確立されていなかったのですが、京都の昆虫学者が新しい方法を考案しました。それは、虫が樹に開けた穴を爪楊枝でふさぐという、何ともシンプルなもの。
この虫はオスが樹に穴を開けてからメスを誘引し、交尾して次世代を産むので、メスが入る前に穴をふさげば繁殖を抑えられると同時に、オスも出られなくなるという作戦です。


(道具はトンカチのみ。白いのはプラスチック製の爪楊枝)

最初は木の爪楊枝を使っていたそうですが、虫が齧ってしまうので現在はプラスチック製。大工さんみたいに爪楊枝を口にくわえながら、幹に開いた0.5mmくらいの穴を見つけて1本ずつトントン打ち込んでいきます。



作業は単純ですが、樹によっては50本以上の爪楊枝を打ち込みます。約2時間の作業で私が打ち終えたのは6本。参加者は約15人でしたから、単純計算で90本ほどの樹が処理できたことになります。


(穴の周囲には細かい木屑がついています)

京都市周辺の山にミズナラはありませんが、同じ仲間のコナラやアベマキ、アラカシやシイにもカシナガが入り込んでいます。昆虫学者によると、この方法でコナラの枯死率が50%から15%に抑えられるとか。
もともと九州など南部に自生するブナ科の常緑樹(カシ類やシイ類)にとりついていたカシナガが温暖化で北上し、同じブナ科の落葉樹(ミズナラやコナラ)に入り込んでナラ枯れ病が発生したようです。カシやシイは木の構造上カシナガの被害を受けませんが、構造が異なるミズナラやコナラは枯れ死するわけです。


(まだ入り込んでいない樹はビニールシートで防御)

参加した目的はもうひとつありました。京都御苑のアラカシにカシナガが入ったという情報をキャッチしたのですが、庭のアラカシに穴が開いて根元に木屑がたまっていたので、「ひょっとしてうちの庭にもカシナガが侵入したのか?」と不安でした。下の画像を昆虫学者に見てもらって判断して欲しかったのです。


(庭のアラカシの根元にカシナガのような木屑が…)

結果は「これはゴマダラカミキリですね」。そう言えば、派手な羽色のカミキリムシがいました。カシナガみたいに爆発的に増えないようなので、しばらく放っておくことにしました。
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流木の用途

2010年02月25日 | 森林保護
海岸やダムにはたくさんの流木が漂着します。特に台風や集中豪雨の後にはその量が増えます。これらの流木は今まではせいぜい装飾やアートに使われる程度でほとんど利用されることなく、ゴミとして焼却処分されてきました。


(あるイベント会場の流木アート)

ところが最近、各地にダムを抱える電力会社が流木をバイオマスエネルギーや肥料としてリサイクルし始めています。
中でも関西電力は、黒部ダムに流れ着く流木のリサイクル事業を行うために別会社を設立。大量の流木を、大きなチップ、おが粉、落葉チップの3つに加工し、大きなチップは発電燃料に、おが粉は飛騨牛の敷き藁に、落葉チップは堆肥に再利用しています。


(うちの近くにある関西電力・天ヶ瀬ダム)

(ダムに漂着する流木)

他の電力会社でも環境活動として流木のリサイクルをやっていますが、別会社を立ち上げ、新規事業として取り組んでいるのは関西電力だけのようです。
ダムにとっては邪魔物でしかなかった流木がエネルギーや肥料として役立てば、電力会社にとってもありがたいし、木も喜ぶでしょう。
かんでんエルファーム(流木再生事業)のサイトはこちら
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炭焼き

2009年12月28日 | 森林保護
今年最後の森林ボランティアに参加してきました。今回の楽しみは、炭の掘り出し。
8月に間伐した木を10月に炭焼き釜で焼き、そのまま寝かせて2ヶ月後にようやく取り出すのです。炭焼き釜と言っても、ドラム缶を地中に埋めた簡易式。10月の炭焼きには参加できませんでしたが、他のメンバーは徹夜で火の守をしていました。


(地中に埋めたドラム缶の炭焼き釜。これは竹炭)

土を掘り返すと、4つの釜から真っ黒に焼きあがった竹炭と木炭が出現。ベテランメンバーがテスターで通電させて品質をチェックします。電気がよく通るほどいい炭なのだそうです。同じ釜なのによく通電するものとしにくいものがあります。材料にバラつきがあるということでしょうか。


(テスターで品質チェック)

木炭の材料はウバメガシではなく間伐した雑木なので、焼き上がった炭はとても軽く、打ち合わせても備長炭のような金属的な音はしません。
本物の炭焼き釜は700℃~800℃になるそうですが、ドラム缶式ではせいぜい400℃くらいなので備長炭は無理とのこと。それでもバーベキューなどには使えるので、会員に配られました。初めての炭作り体験はなかなかおもしろかったです。


(1釜でこれだけの炭が焼けました。これは木炭)

この日のもう一つの作業は、門松作り。森の中の作業所前に1対と、福祉施設にプレゼントする小さい門松を2対作りました。葉牡丹や生花はシカに食べられるので、作業所のものは竹と松以外は造花。それでも、立派な門松ができました。


(プレゼント用のミニ門松)

(高さ1.7mくらいの門松)

さて、新春を迎える準備ができましたので、当ブログもお正月休みとさせていただきます。今年も1年間ご愛読いただきありがとうございました。来年は7日から再開しますので引き続きお付き合いください。では、皆様よいお年を…。
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鹿退治

2009年12月21日 | 森林保護
鳥と樹を観察するために通っている「栃の森」では近年シカが増え、その食害によって下層植生(=薮)が消滅しつつあります。約15年間野鳥の調査を続けていますが、薮で繁殖する鳥は10年ほど前から激減しました。ウグイスにいたっては、以前は記録するのが面倒なほど出現したのに現在はゼロ。


(地面近くの植生は壊滅状態)

ここを研究林にしている京都大学は、シカの食害が生態系に及ぼす影響を検証するため大規模な調査を行っています。先日、その中間報告会が開催されたので友人と2人で聴講してきました。
さすが京大、シカの食害と植物の関係のみならず水質や水生昆虫、アリへの影響など研究発表は7件。シカが草や幼木を食べる→土壌が弱る→雨で土が流出する→水質が変わる→水生昆虫が変わるという複合的な自然改変が進んでいるようです。


(異様に増えているオオバアサガラ)

私の興味は樹木との関係。以前も書きましたが、いろんな幼木が食べられる反面、オオバアサガラやテツカエデなど特定の樹木はやたらに増えています。「鹿が好む樹と嫌う樹があるからだろう」という推測を確かめるために質問すると、「スギや常緑樹は食べない。オオバアサガラの葉には有毒物質サポニンが含まれている」とのこと。しかし、それ以上の傾向は不明のようです。
そう言えば、以前ご紹介した森の牧場でも牛はスギやヒノキ、ツバキは食べないと言っていました。


(シカが食べないテツカエデの葉)

しかし、同じ針葉樹でもハイイヌガヤは食べ尽くされてほぼ壊滅状態。舌にチクチク刺さるはずなのに、ハイイヌガヤは食べてスギは食べないのはなぜか。テツカエデを食べないのはなぜか。疑問は残ったままです。
この鹿の肉を商品として流通させ、経済効果によって鹿を減らそうという試みが行われています。その一つが、地元の猟師と京都大学が協力して商品化した「鹿カレー」。さらに、京大のレストランでは「鹿肉フェア」を開催し、カツレツとキーマカレーをメニューにしています。


(鹿肉を使ったレトルトカレー、1個700円)

鹿の報告会に参加する前に鹿を食べておこうと、友人と2人で入店。カツレツは売り切れなのでキーマカレーをいただき、帰りにはレトルトカレーを8個買い占めて鹿退治してきました。
アメリカでヘラジカを食べたことはありますが、ニホンジカは初めて。レトルトカレーは肉片を鼻先で嗅ぐと牛肉とは違う匂いがしますが、口に入れるとカレーの香辛料でクセが消え、普通の肉としておいしく食べられました。キーマカレーは、ちょっと期待はずれ。


(鹿肉と豆のキーマカレー、714円)

なお、シカが増えて食害が広がるのも自然の推移で、人為的に駆除するべきではないという意見もあります。
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環境フェスティバル

2009年12月14日 | 森林保護
京都府は毎年今頃、環境保護団体や環境ビジネス関連の企業を一堂に集めて「環境フェスティバル」を開催します。野鳥の会も毎回出展し、5年ほど前までは私もブースでお手伝いしていました。その後ご無沙汰していましたが、今回久しぶりに足を運びました。目的は鳥ではなく木。


(野鳥の会は恒例のブローチづくりや巣箱づくり)

最初に目を引いたのは廃材を再利用した家具。産廃処理の会社が元・家具職人の社員の特技を活かして、解体家屋から出る廃材をリサイクルするために始めた事業とのこと。
古民家に使われている木材は良質のものが多く、その職人さんによると「木材に寿命はありません。築100年以上の家屋に使われていた廃材でも削れば中はきれいなもの。それに木材は古くなるほど硬くなります」。年数が経つほど強度が増すのは確かなようで、法隆寺の心柱は建築後1300年の現在が最も強度が高いと言われています。


(産廃企業のブースに展示された再生家具)

もう一つ注目したのは、あるNPOによる「はじめての椅子」展。わが子の1歳の誕生日にプレゼントしたい椅子を京都産の木材を使って作ろうというコンテストで、思い思いの可愛い椅子が並んでいました。お遊びコーナーにはたくさんの木片が用意され、子どもたちが自由に積み木で遊んでいます。


(「はじめての椅子」展の出品作)

(積み木コーナー)

また、ある木材組合のブースでは、木材の含水率を計る機械を触らせてもらいました。同じ板でも表と裏で含水率が違うんですね~、知らなかった。


(ワンタッチで木材の含水率が計れるメーター)

木とは関係ないですが、最も驚いた展示は電気自動車。下の写真は大正6年に島津源蔵(島津製作所の2代目社長・日本電池の初代社長)がアメリカから輸入した自動車で、自社製の鉛蓄電池を積んで社用車として30年間愛用していたそうです。



しかも、長らく本社ロビーに展示されていたものを復活させることになり、今年の5月に走行可能な電気自動車として修復したとのこと。現在、ハイブリッドカーの次のエコカーとして電気自動車が期待されていますが、京都では90年前にすでに走っていたんですね~、知らなかった。
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森の値段

2009年10月19日 | 森林保護
みなさんの多くが、知らないうちに森林税を徴収されています。この税は森を守ったり、森林の水源涵養機能を保全するために、各自治体が地方税に上乗せして徴収するもの。
高知県が平成15年に制定して以来、ほとんどの県が採用しています。まだ導入していないのは、私が調べた限り宮城県、千葉県、岐阜県、三重県、京都府、大阪府の6府県。東京都も森林税はありませんが、「緑の東京基金」を創設しています。
千葉県や大阪府のように森林が少ない府県は徴収する根拠が薄いですが、宮城県や岐阜県、三重県などの林業県が導入していないのはなぜでしょう。京都府は現在検討中とか。
(写真は私のメインフィールド栃の森です)



金額は一人当たり500円(法人は均等割の5%)という県が多く、中には鳥取県の300円(法人3%)とか、岩手県や山形県のように1000円(法人10%)という例もあります。愛知県は今年度から導入し(500円・5%)、22億円の税収を見込んでいるそうです。
今後、全都道府県が導入した場合、国民が森林に支払う税金は総額いくらになるか? 愛知県の22億円をベースに計算したら389億円という数字になりました。



森林の価値についてはもっと巨額な試算もあります。昭和56年に林野庁が金額換算した結果は以下の通り。
①水資源涵養機能・・・・・・・・・・・3兆6,800億円
②土砂流出防止機能・・・・・・・・・5兆4,500億円
③土砂崩壊防止機能・・・・・・・・・・・・・1,200億円
④保健休養機能・・・・・・・・・・・・・3兆8,400億円
⑤野生鳥獣保護機能・・・・・・・・・・・・・9,000億円
⑥酸素供給・大気浄化機能・・・11兆4,400億円
●合計・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25兆4,300億円



どうやって計算したのか知りませんが、これを企業物価指数で現在の金額に換算すると、やや少なくなって22兆3,800億円。今年度の国の一般会計が88兆5,500億円ですから、その4分の1に相当します。
しかも、昭和56年時点では最近注目のCO2固定機能の価値がカウントされていないでしょうから、金額はもっと大きくなるはず。つまり、22兆円以上の価値がある森林に、私たちはたった389億円しか払っていないわけです。
みなさん、森林税は気持ちよく払いましょう! 余裕のある人は2倍でも3倍でも払いましょう! 京都府が導入したら、私も気持ちよく払いますから…。
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No More Trees

2009年10月08日 | 森林保護
今日は「木の日」。十と八を組み合わせると「木」になるからです。各地で記念植樹が行われると思いますが、こういう活動はどうなんでしょう?
私も3月に森林ボランティアのメンバーとして植樹しました。その樹がどうなったか気になって、先日見てきました。


(3月の植樹風景)

植樹した苗木のうち2~3割がシカにやられるか、枯れていました。このグループには林業のプロや自治体の林業振興局OBもいます。それでも歩留まりはこの程度。
15年ほど前、野鳥の会である植樹活動をサポートしたことがあり、1年後に見に行ったら約10本の苗木は全部枯れていました。


(半年後の植樹地)


(ネット越しにシカに食べられた苗木)

いつもチェックしている樹木のポータルサイトには、毎日のように「どこそこの企業が環境活動として樹を植えた」というニュースが掲載されています。先日はルイ・ヴィトンがMore Trees運動を展開する坂本龍一と提携して長野県で樹を育てるプロジェクトを始めたというニュースがありました。


(3月に私が植えたナンテン)

植樹した企業は「我々が植えた樹が大きく成長してCO2を吸収する」と思っているでしょうが、私の推測では植えた樹の半分以上が1年以内に枯れています。植えっぱなしで後のことを考えない安易な植樹には疑問を感じます。
特に、わざわざテレビCMで「私たちは植樹をしています」と訴える企業には不信感さえ抱きます。全国にCMを流せば年間何千万円もの出費になるはずで、そんなお金があったら山一つ買い取って、間伐管理をするべきでしょう。


(半年後のナンテン。倒れているものの成長中)

CMで吹聴しないまでも、「環境に優しい企業」を偽装する植樹活動が多いように思います。植えたはずの樹は半分以上が枯れてなくなり、残るのは企業の自己満足と環境へのアリバイ・・・。
識者の中には、「木を植えるな、木を伐れ」という人もいます。育った木を伐採して利用する循環システムを構築しないと、いくら植えても意味がないという主張です。
企業の環境活動としてやるなら、安易な植樹ではなく間伐や木材の利用促進にシフトして欲しいと思います。
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野外コンサートと木

2009年07月16日 | 森林保護
年に1度、宇治に1万人以上の若者が集まります。府立運動公園で「京都大作戦」という大規模なコンサートが開催されるからです。今年も先週の土日に行われ、約30組のバンドが2つのステージに分かれて演奏しました。

       
                  (入場受付は長蛇の列)
       
               (メインステージの競技場入口)

FM京都の主催で2007年に始まり、今年で3回目。毎年おもしろいサブタイトルがついており、2007年は「祇園祭とかぶってごめんな祭」。ところが、開催予定の7月15日に台風が襲来して中止となり、翌2008年は「去年は台風でごめんな祭」。そして今年は「暑いのに熱くてごめんな祭」。いつも謝っている、気の弱いイベントです(笑)。

             
           (会場では舞妓さんが案内してくれます)

そのイベントに、どういうわけか我が森林ボランティア「フォレスター宇治」も出店するとのこと。「場違いだな~」と思いつつ会場に行くと、15人ほどのメンバーが木工品を販売したり、緑の募金を集めています。
隣のテントでも、京都府立大学森林科学科の学生や緑の募金のマスコット「どんぐりくん」が募金活動の真っ最中。

       
              (緑の募金のマスコット、どんぐりくん)

テントには木工体験コーナーもありますが、興味を示す若者は誰もいません。やっぱりミスマッチ…。それでも、木工品を「コンサート終了後に受け取りに来ます」と予約する若い女性もいました。

       
         (若者向けのコンサート会場で木工体験コーナー?)
       
           (中には木工品に興味を示す若者もいました)

多分、京都府モデルフォレスト協会が「ちょっと無理があるけど、人が大勢集まるから緑の募金をやろう」と働きかけたのでしょう。まぁ、若い人に少しでも植林への関心を持ってもらえればいいですけど…。
私は午後から予定があったのでお手伝いはできませんでしたが、フォレスター宇治のみなさん、どんぐりくん、暑い中ご苦労様でした。
京都大作戦2009のオフィシャルサイトはこちら
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