たまに歩く山裾の小道から何気なく見上げたら、小さな数本のツルが絡み合って高い木の梢から下の雑木の中へ垂れ下がっているのが見えた。すぐにターザンを思い出した。
雌のゴリラに助けられた人間の赤ん坊、ゴリラはその子をターザンと名づけて育てる。いつかたくましくなりジャングルで生きる術をゴリラによって身につけられる。やがてヒョウを倒せるほどにたくましくなったターザンは、立派な仲間としてみとめられた。
いつか、ジャングルに生きるすべてのものを守る存在となり、その平和を壊すものには、ジャングルの動物と一緒に戦うようになる。大樹の上からジャングルに向けて大声で動物を呼び寄せ、自分は垂れ下がった大きなツルを振り子のように使って移動する。
子どものころには裏山でターザンごっこをした。適当なツルヲ見つけてそれにぶら下がる。斜面を数歩も歩くと体が空中に浮かぶ。振り子と同じで戻ってきて地面に足が着いた時にツルから手を離す。怖さもあったが楽しかった。
遊技施設では同じような遊びがあるかもしれないが、今ころ雑草の茂った山の中でこんな遊びをしたら、大目玉を喰らうだろう、そんなことを思いながら、絡まったツルを眺めていた。
(写真:垂れ下がったツルがターザンを思い出させた)