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フィッツジェラルド『グレート・ギャツビー』

2022年01月24日 01時04分30秒 | 文学
スコット・フィッツジェラルド『グレート・ギャツビー』(中央公論新社)を読んだ。
家にあった村上春樹訳で読んだ。
きちんと読んで初めてあらすじが理解できた。とってもおもしろかった。村上春樹が言うほどに名作とはやはり思えないのだけれど、アーザル・ナフィーシーの『テヘランでロリータを読む』でも名作の扱いをされているのでやはり名作なのだろう。
『テヘランでロリータを読む』で読んで「素晴らしい」と思い、今回これを再読しようと思ったきっかけの『グレート・ギャツビー』からの引用はこのようになっていた。

「あなたはいつも涼しそうね」デイジーはくりかえした。
 あなたを愛してる、彼女はそう言ったのだが、トム・ブキャナンもそれに気づいた。彼は愕然とした。


ここのところが村上春樹訳では、

「あなたはいつも涼しげね」と彼女は繰り返した。
 彼女はついさっきギャツビーに向かって、あなたを愛していると告げていたし、トム・ブキャナンもそれを見て取った。彼はあっけにとられていた。


となっていた。
前者では、デイジーのギャツビーに対する「涼しそう」の言葉がそのまま「愛してる」と言っている、ということなのだが、後者では、その直前にトム・ブキャナンのいないときにデイジーがギャツビーに「愛している」と言ったことが、なぜかトム・ブキャナンにわかってしまったというような意味に取れる。
ここは村上春樹訳が間違っているように思える。
「オールド・スポート」問題もあるので、別の訳でもう一度読んでみるべきかもしれない。
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