志賀直哉『日曜日/蜻蛉 生きものと子どもの小品集』(中公文庫)を読んだ。
いつか志賀直哉を読み返そうと思いながらなかなか実行できないでいるが、新しく文庫が出たので読んでみた。
『日曜日』と『蜻蛉』という二つの短編集をあわせたもの、らしい。
有名な「清兵衛とひょうたん」「小僧の神様」「城の崎にて」も収録されているが、ほかは題名も聞いたことのないものだった。私小説的に自分の子どもたちを描いたものも多くあったんだなと思った。動物を家でたくさん飼ってもいる。
初読のものでは「家守」「濠端の住まい」「百舌」が特に印象に残った。こういうもの(日常生活を描きながら少し諦観を感じられるようなもの)が他にもあるなら読んでみたい。
「兎」という作品の中で末の娘が、
「それでもいい。……飼って了えばお父様屹度お殺せになれない。だから、それでもいい」
と云う場面がある。
「お殺せ」。これがあの、太宰治が『如是我聞』で語った小説なのか、と思った。
しかしここは幼い娘が言っているので、言葉遣いがおかしくても奇異な感じはしない。
いつか志賀直哉を読み返そうと思いながらなかなか実行できないでいるが、新しく文庫が出たので読んでみた。
『日曜日』と『蜻蛉』という二つの短編集をあわせたもの、らしい。
有名な「清兵衛とひょうたん」「小僧の神様」「城の崎にて」も収録されているが、ほかは題名も聞いたことのないものだった。私小説的に自分の子どもたちを描いたものも多くあったんだなと思った。動物を家でたくさん飼ってもいる。
初読のものでは「家守」「濠端の住まい」「百舌」が特に印象に残った。こういうもの(日常生活を描きながら少し諦観を感じられるようなもの)が他にもあるなら読んでみたい。
「兎」という作品の中で末の娘が、
「それでもいい。……飼って了えばお父様屹度お殺せになれない。だから、それでもいい」
と云う場面がある。
「お殺せ」。これがあの、太宰治が『如是我聞』で語った小説なのか、と思った。
しかしここは幼い娘が言っているので、言葉遣いがおかしくても奇異な感じはしない。