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☆内田樹「昭和のエートス」感想

2009年02月01日 15時46分53秒 | 文学
昭和のエートスいま新聞や雑誌(めったに読まないけれど)を読んでいて、この人の文章が載っていたら必ず読むという人は、加藤典洋と竹田青嗣と内田樹の三人くらいだろう。
内田樹はわりと注目しているので、「昭和のエートス」に収められた文章もかなり読んだことがあった。そのものを読んだのか、似たようなことを書いたものを読んだのかは判然としないのだが、八割くらいは読んだことのある話だった。
最初の「私的昭和人論」がとても面白かった。
手塚治虫の「鉄腕アトム」についての考察が面白かった。ある作品は同時代のある現象を表している、というような加藤典洋のやるようなことをやっていた。
そのような仮説は、言われるととてもワクワクするので、かなり好きだ。
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☆ニーチェ「この人を見よ」

2009年02月01日 01時56分12秒 | 文学
この人を見よ (新潮文庫)最近サボり気味だったのでちょいと腰を据えて本を読みます。

図書館で借りてきた内田樹の「昭和のエートス」を読んでいると、森銑三について「同時代に心底うんざりしている読者」に読まれると表現してあった。森銑三のことは全く知らないし、いまのところ読む予定もないのだけれど(うんざりしてないわけでもないが)、「同時代に心底うんざりしている」という表現がとても気に入った。
ニーチェの「この人を見よ」(新潮文庫)を読んだ。
ニーチェについて最近ちょっと知りたいと思っているので、まずはこの自伝を読んでみた。自国ドイツをものすごく嫌っているのがよくわかる。ニーチェがワーグナーのことを一度は大好きだったのに何で滅茶苦茶嫌いになってしまったのかも、これまでよくわからなかった(というか興味もなかった)のだが、少しわかった。ドイツ的になった、あるいは大衆迎合的になった、からだそうだ。
昔はよかったけれど、最近は俗っぽくなってやだなあ、という感じなのだろう。
そういうことはよくある。
初めて、ドイツで分かり合えるひとができたと思ったのに裏切られた気がしたんだろうなあ。しかしワーグナーとしてみれば「えっ?」って感じだったろうな。
ニーチェはドイツが嫌いで、キリスト教的な道徳が嫌い、というところが、儒教的な道徳の嫌いな福沢諭吉を思い出させる。おそらく、いまニーチェと福沢諭吉に興味を持っているのは僕が道徳に興味を持っているからだろう。
ニーチェはこの本で「ツァラトゥストラ」についてものすごく語りまくっている。
同時代の人間、特にドイツ人にはわからないだろうと言いながら「ツァラトゥストラ」について一生懸命説明しているところにとても人間味を感じた。
しかし「ツァラトゥストラ」は一度か二度読んだはずだがさっぱり意味のわからぬ本で、いまのところ再読しようとは思えない。
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