最近はインターネットで何でも調べてしまうことができるが、時にそれがいいんだか悪いんだかわからなくなるときもある。
いま読んでいる吉本隆明の本のなかに「リトル・トリー」という小説について書いてあって、「ここ半年でいちばん」というようなことが書いてあり、そこでの紹介を読んでもなかなか感動的だなと思った。「リトル・トリー」は本屋で並んでいるのは見たことはあったけれど、興味を惹かれなかったので何とも思っていなかった。
そこでちょっと調べてみた。これが失敗のはじまり。
「リトル・トリー」はアメリカインディアン出身の著者が自分の少年時代のころを回想して書いた話というふうに吉本隆明の本にも書いていたし、実際そう売られているわけだけれど、どうもそうではないらしい。(詳しくはこちら)
小説を読んではないので、騙された、俺の感動を返せ! とかは思わないけれど、こういうことってたまにある。「一杯のかけそば」も似たようなことだったと思う。今回ウィキペディアを読んで「一杯のかけそば」が何で急に消えたのかがわかった。よく知らなかったんだよね。作者にかかわる事件が何かあったってことくらいは知っていたけれど。
加藤典洋が「テクストから遠く離れて」に書いていたことは本当だと思う。
本を読むと、読者は必ずその後ろに作者の像を結ぶ。それが現実の作者と合っているかどうかは関係ない。しかしどうしても本の後ろに作者をイメージしてしまう。
本を読むのはある意味、信頼関係でできているところがあると思う。お前の言うことは俺には判る、って思いながら読んでいるところはある。それが裏切られて自分のイメージしていたひとと現実の作者がまるっきり違ってたら、しかも本に書いてあることがまるっきり嘘だとわかったら、怒る人も出てくるもんなんだろうなあ。
例えば村上春樹が、パスタが大嫌いで料理も掃除もまるで駄目、スニーカーを流しで洗ったこともなければ、マラソンも水泳もしたことのない運動音痴、洋楽の知識はすべて人からの受け売り、とかだったら、あるいは太宰治がマッチョで声のでかい元気なおじさんだったとしたら、僕は結構失望するなあ。別にそうだからってこっちに怒る権利はないんだろうけど、騙された気がするのは確かだ。井伏鱒二の代表作が「山椒魚」も「ジョン万次郎漂流記」も全部盗作、「黒い雨」だって経緯が怪しい、みたいなことを猪瀬直樹の「ピカレスク」で読んだときは相当ショックだったもんなあ。あまり思い入れのない井伏鱒二でさえこうなんだから、好きな作家だったらショックだろうなあ。
「リトル・トリー」を読むかどうかは判らない。気が向いたら読むかもしれない。
いま読んでいる吉本隆明の本のなかに「リトル・トリー」という小説について書いてあって、「ここ半年でいちばん」というようなことが書いてあり、そこでの紹介を読んでもなかなか感動的だなと思った。「リトル・トリー」は本屋で並んでいるのは見たことはあったけれど、興味を惹かれなかったので何とも思っていなかった。
そこでちょっと調べてみた。これが失敗のはじまり。
「リトル・トリー」はアメリカインディアン出身の著者が自分の少年時代のころを回想して書いた話というふうに吉本隆明の本にも書いていたし、実際そう売られているわけだけれど、どうもそうではないらしい。(詳しくはこちら)
小説を読んではないので、騙された、俺の感動を返せ! とかは思わないけれど、こういうことってたまにある。「一杯のかけそば」も似たようなことだったと思う。今回ウィキペディアを読んで「一杯のかけそば」が何で急に消えたのかがわかった。よく知らなかったんだよね。作者にかかわる事件が何かあったってことくらいは知っていたけれど。
加藤典洋が「テクストから遠く離れて」に書いていたことは本当だと思う。
本を読むと、読者は必ずその後ろに作者の像を結ぶ。それが現実の作者と合っているかどうかは関係ない。しかしどうしても本の後ろに作者をイメージしてしまう。
本を読むのはある意味、信頼関係でできているところがあると思う。お前の言うことは俺には判る、って思いながら読んでいるところはある。それが裏切られて自分のイメージしていたひとと現実の作者がまるっきり違ってたら、しかも本に書いてあることがまるっきり嘘だとわかったら、怒る人も出てくるもんなんだろうなあ。
例えば村上春樹が、パスタが大嫌いで料理も掃除もまるで駄目、スニーカーを流しで洗ったこともなければ、マラソンも水泳もしたことのない運動音痴、洋楽の知識はすべて人からの受け売り、とかだったら、あるいは太宰治がマッチョで声のでかい元気なおじさんだったとしたら、僕は結構失望するなあ。別にそうだからってこっちに怒る権利はないんだろうけど、騙された気がするのは確かだ。井伏鱒二の代表作が「山椒魚」も「ジョン万次郎漂流記」も全部盗作、「黒い雨」だって経緯が怪しい、みたいなことを猪瀬直樹の「ピカレスク」で読んだときは相当ショックだったもんなあ。あまり思い入れのない井伏鱒二でさえこうなんだから、好きな作家だったらショックだろうなあ。
「リトル・トリー」を読むかどうかは判らない。気が向いたら読むかもしれない。