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☆オースティン「マンスフィールド・パーク」感想

2006年03月30日 23時01分52秒 | 文学
「そりゃないぜ、セニョリータ」でお馴染みの「セニョリータ」はスペイン語ですが、すべての挨拶を兼ね備えるという無敵の挨拶「チャオ」はイタリア語です。「チャオ」を日本語に訳すとすれば「おはこんばんちは」でしょうね。うほほい。

マンスフィールド・パークジェイン・オースティンの「マンスフィールド・パーク」を読み終わる。
終わってみればすべてが落ち着くところに落ち着いたという感じだけど、2日前に僕が「なんとなく結末が見えてきた」と書いた結末は見事に外された。そこが気持ちいい。
全体の感じとしては谷崎潤一郎の「細雪」を思い出させる。結婚がテーマだからかな。駆け落ちとかもあったし。
ファニーが実家に帰って、自分の父親や母親の性質や、家族の暮らしぶりに対する、恥ずかしいと思う感情と、そんな感情を持ってはいけないという気持ちがとても上手かった。
他の人に対しても、ひとを馬鹿にして自分のほうが優れているんだって思ってしまう気持ちと、そんなことを思ってはいけないという気持ちの流れの描かれ方がほんとうにすごかった。オースティンは正直に書くなあ。

読みながら考えたことを書きます。
会社っていうのは汚くて臭いドブ水の入ったコップです。就職したての新入社員はそんなもの臭くて飲めません。うえってなります。
でもそれを飲めって突き出される。
ちょっとずつ舌をつけたり、水に漬けた指を舐めている間に慣れてきます。
いつの間にかドブ水がごくごく飲めるようになる。
そして気付く。
ドブ水が汚いんじゃなくて、自分のほうがきれいすぎたのかもしれない。

そんなことを考えながら読んでたけど、結末は裏切られた。
いい本です。
チャオ!
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