著者は「松川事件」の弁護評論で有名だが、これまでその作品は一冊も読んでいなかった。本書は機会があったら以前から読みたいと思っていた。先頃、小島正治郎「眼中の人」の読了を期に読み始めた。
小島の「眼中の人」が主に菊池寛や芥川龍之介を書いたの対して、本書は二人以外に宇野浩二や志賀直哉、近松秋江、葛西善蔵ら10人以上の作家について書いている。文字通り「論じている」のではなく「淡々と描写」している。
それにしても著者の淡々とした性格は別にして、作家はその作品の中であからさまに他の作家を愚弄するなど作家同士はなんと言う嫉妬心が強い人種達かと思う。昔から男の嫉妬は時に女性以上と言われていたが、自らの文才を恃み、競い合う作家同士のそれは異常のに生生しいケースがある。
面白いのは小島は「眼中の人」の中で広津に触れているが、広津は本書で小島のことを全く触れていない。私にとって小島は慶応で日本文学を講じる教養人ながら強い創作欲を持ちつつ小説作品は目立たない。一方早稲田出で柳浪という作家を父に持つ和郎は重厚な評論家のイメージが強い。とにかく作家は他の作家を書きたがる。
ただ、作家論を読んで作品を読んだ気だけにはなるまいと思う。了
小島の「眼中の人」が主に菊池寛や芥川龍之介を書いたの対して、本書は二人以外に宇野浩二や志賀直哉、近松秋江、葛西善蔵ら10人以上の作家について書いている。文字通り「論じている」のではなく「淡々と描写」している。
それにしても著者の淡々とした性格は別にして、作家はその作品の中であからさまに他の作家を愚弄するなど作家同士はなんと言う嫉妬心が強い人種達かと思う。昔から男の嫉妬は時に女性以上と言われていたが、自らの文才を恃み、競い合う作家同士のそれは異常のに生生しいケースがある。
面白いのは小島は「眼中の人」の中で広津に触れているが、広津は本書で小島のことを全く触れていない。私にとって小島は慶応で日本文学を講じる教養人ながら強い創作欲を持ちつつ小説作品は目立たない。一方早稲田出で柳浪という作家を父に持つ和郎は重厚な評論家のイメージが強い。とにかく作家は他の作家を書きたがる。
ただ、作家論を読んで作品を読んだ気だけにはなるまいと思う。了
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