地元沖縄で圧倒的に人気ある歌手アーチスト・Cocco初の書き下し小説。標題「ポロメリア」は花の名前で歌手である著者の曲名でもあるという。
“ドスンッツ”という校舎4階から身投げの音で始まり“バイバイ”で終わる全編、擬音オンパレード、さながらヒップホップ、ラップ調のこの世代ならではの独特の語り筆致自分史と言えます。
幼時に育ったという那覇市・桜坂界隈の詳細な描写には懐かしさを感づる共に、全編に両親、姉、愛犬への思慕と情愛が底辺に流れる。
中でも沖縄独特の行事・旧盆の清明祭(シーミー)に亀甲墓前に親族が一同に集う中での沖縄演劇界巨匠である一族の重鎮祖父、真喜志康忠への尊敬と賛歌描写は印象的。
というのは私はかつて、ひょんな縁から現在病に伏す真喜志康忠師匠がご壮健の頃、その愛娘と3人で食事をご一緒したことがあるからです。
今や伝説の沖縄芝居巨匠の血を引くこの若き特異な鬼才・Coccoの書を読みつつ思うことは建設・実業界の故国場幸太郎と共に演劇・歌謡の沖縄芸術界に多彩な子孫を輩出した真喜志康忠氏は近代モラル価値観を越えた沖縄人材脈源の双璧とも言えます。
(拙書「おきなわ就活塾」(新宿書房)出版パーティを
報じる08・4月号「オキナワグラフ」表紙を飾るCocco)
一度、私が泡瀬干潟の埋め立て事業の無駄を書いた共著を差し上げて、Coccoにも知らせるように言ったら、彼女はCoccoの話には触れないようにしているようでしたが…。