オキナワと少年 伊佐 千尋 講談社 このアイテムの詳細を見る |
沖縄での陪審員経験を綴ったデビュー作「逆転」で第9回大宅壮一賞を受賞の高校(二中)大先輩の言わば自叙伝。1929年東京生まれの著者が16歳の青春時1945年の終戦後、父母の故郷である沖縄へ帰省、終戦後の思い出語っている。
私が最も興味を覚えたのは占領下の米軍統治の沖縄での伝説のCID勤務体験。CIDとはCriminal Investigation Command (アメリカ陸軍犯罪捜査司令部)の略称。
小学6年時の昭和52年沖縄に渡った私達の世代から見ると当時のCIDは日本復帰運動を反米活動と看做し、その活動を高額給料の見返り同胞詮索する言わばスパイ活動組織。一体どのような沖縄人が同胞を売るために米軍に雇われ活動しているのかという思いでしたが、著者のCID体験は裁判を公平に実施するための立ち会い通訳する言わば綺麗事。本当にそれだけだったろうか?
米軍占領下、瀬長亀次郎委員長の率いる沖縄人民党が在沖占領米軍とその手先の同胞CID活動メンバーにどれほど酷い目にあったことか!
当時の本土在住の県出身者が一様に押さえ難い望郷の念に駆られていたのは逆に、著者は本土への引揚を一貫して求めていたことや従軍医として最後を遂げた父が実は母と再婚した実父では無かったこと、さらに当時の沖縄在住男性から見て夢のような米軍族白人女性との初体験等を淡々と語っている部分は強く印象に残っています。それやあれや、占領下沖縄の裏面史の一部とも言える著書です。
本書とは著者と懇意の関東城岳同窓会の山路会長の好意と縁で出会うことが出来、感謝です。
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