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「沖縄だれにも書かれたくなかった戦後史」;佐野眞一

2008年11月06日 | 「Weekly 読書感想」
沖縄 だれにも書かれたくなかった戦後史
佐野 眞一
集英社インターナショナル

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“沖縄コンフィデンシャル”として長く月刊「Playboys」誌に連載されたスキャンダル・ルポ。600P超す本書およそ10日間で読了。私にはこれまで余り書かれなかった在沖奄美人ストーリ部分がことに印象深い。まあ、何と言うか沢山の交友知人が登場する同時代史。中でも53年の日本復帰と同時に辞職・追放された泉副主席・立法議院議長、池畑初代琉銀総裁、宝村初代金融公庫総裁、屋田電々公社各総裁等多くの奄美出身者の公職TOP追放談。多くの大島出身者が知るところだが私達は余り話さなかった。
 当時”これ差別じゃないか!”等と言おうものなら”じゃ、帰ればいいじゃないか!”と言われたもの。その中でも創価学会だけは平等に扱ってくれた。そのためにいまでも浦添、城間(ぐすくま)を中心に奄美出身の公明党・学会員が多いこと、本書にも抜かりなく書かれている。
 当時の大島人パージは米国民政府の指令と言われているが、後ろには追放されたポジションを踏襲できる地元沖縄人の陳情があったともいう。何故奄美出身者がかくも多く枢要ポジションを占めていたか?それは、終戦直後のペーパーテストの上位は多く大島人が占めたという事情が背景にあったようです。それは大島出身者のIQが高かったというより、鹿児島の影響を受けた立身出世価値観、尚学マインドが沖縄より高かった故と思う。それ他、私が小学の頃古仁屋で縄張りを仕切り、よく顔を見た顔役・マジ・アニョ(清真島兄)の復帰前の沖縄アウトロー界蹂躙と暗躍談。復帰による彼の大島パージで旭琉会等の地元ヤクザの台頭。

 それより川平県人会長4代物語等数多いインタビュー相手の中に同期の高里鈴代、金城康子、宮城義明等の登場にはびっくり。レキオスファーマー社長で元舜ママの奥キヌ子さん、「絹」の池田ママさん、「松乃下」のアイヴォさんや宮里さん等多くの知人登場に寝る間も無くページを追った。
 しかし、沖縄だけでなく大阪だって北海道だって、こうしたスキャンダル、アンダーグランド挿話を繋ぎ合わせた筆致で描けるのではないか。ここに描写されている“異郷”沖縄ストーリー!どう理解するか、暫く経たないと総括出来ない。



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2 コメント

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小生も読みました (大城)
2008-11-09 21:51:35
暴力団から奄美、芸能まで各方面に幅広く取り上げていて、ウチナージャンキーでないことを、意識して書いてあるのは、こういうものもあってこそ、比較検討が出来るというものです。沖縄紹介としては、異色でしょう。満州との問題意識も、ジャーナリストとして評価できるものがあります。これに刺激されて、別の切り口の戦後史が、もっともっとあってよいと思います。紋切り型の沖縄戦後史は、ソ連史同様ゴミ箱行きでしょう。多くのルポルター、ジャーナリストの本音の本物を期待するものです。
私もショックです (松永 久夫)
2008-11-11 11:07:04
私もこの本で奄美の人たちへの差別を知り、しかもひどいやり方にショックを受けています。同じように私のの出身地の宮古の話もありますが、宮古でもさらに離島の人たちへの差別があると聞いています。大きくはアメリカのイスラム社会に対するものとあまり変わらないような気がします。

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