センスプロデュース研究所!

ヒトの五感と脳の関係、ヒトの五感の重要性の提唱、研究を行っている者です。

演奏家の身体的影響!!

2016-11-29 00:00:30 | 音楽
ピアノ演奏による身体の影響!ピアノ演奏は非常に反復性が高い運動です。1分間に何百から何千もの鍵盤を打鍵しなければいけない曲も少なくありません。その過程で、筋肉や腱には負荷が蓄積し、炎症を引き起こしたり、時には、脳に好ましくない変化を引き起こすことすらあります。ピアノ演奏が引き起こしうる身体の故障問題について、お話します。※ピアニストの故障の実態についてピアノの練習によって身体を傷めた経験のある人がどれくらいいるかを調べるために、2003年に203名のピアノ専攻の音高・音大生、ピアニスト、ピアノ教師の方を対象に、アンケート調査を実施しました。その結果、実に77%に及ぶ回答者が、過去5年のうちに練習時に身体のいずれかの部位に痛みや痺れを経験したことがあると回答しました。部位別に見ると、手・指、前腕、肩の発症が最も多く、年代別に見ると、音大生の故障発症が最も多いことが分かりました。また、加齢に伴い、首・胴体に痛みや痺れの問題が増えること、さらには、これら痛みや痺れを経験したことのある回答者の44%が、専門医の治療を要する深刻な故障を発症していることが分かりました。

ピアノ演奏による身体の故障問題で最も有名なものは、「腱鞘炎」「手根幹症候群」「フォーカル・ジストニア」でしょう。腱鞘炎は一般に、筋肉と骨を繋ぐ「腱」の周りを覆っている鞘(腱鞘)が炎症を起こしたり損傷した状態で、激しい痛みを伴います。例えば、ピアニストによく起こる腱鞘炎の中に、ド・ケルバン病というものがありまして、これは親指の付け根の手首側に激しい痛みを伴います。他にも、肘の内側や外側が痛くなる「上顆炎」も、ピアニストにはよく報告されています。二つ目の手根幹症候群は、手首の中を通る正中神経という神経が圧迫されたり損傷し、指に痛みや痺れが生じる問題です。これは、ピアニストに限らず、パソコンをよく使う方にも起こる職業病として知られており、痛みのあまり夜寝られなくなるといった、時に日常生活に深刻な影響を及ぼすため、場合によっては手術を勧められることもあります。
三つ目のフォーカル・ジストニアは、腱鞘炎や手根管症候群とは異なり、一般に痛みやしびれは伴いません。しかし、ピアノを弾こうとすると、意図せず手指に力が入って固まってしまったり、意図しない指の動きが起こってしまったりと、思い通りに手指を動かせなくなる病気です。多くの場合、「ピアノを弾こう」と思うと、途端に症状が表れ、日常生活では症状が表れません。しかし、音楽家の100人に1人が発症すると言われており、今なお完治につながる治療法は確立されていません。この難病の背景にある脳神経メカニズムを解明することが、研究の大きなテーマの一つでもありますので、もう少し詳しくご説明します。

腱鞘炎や手根幹症候群は、末梢の身体部位の問題ですが、フォーカル・ジストニアは脳で起こる問題だということが知られています。つまり、手指の動きを思い通りにコントロール出来なくなるのは、手指を動かす働きを担っている脳の部位に、通常では起こり得ない変化が起こっているからなのです。具体的には、フォーカル・ジストニアにかかると、脳には、「筋肉に送る指令を抑制できない」「身体から送られてくる感覚の情報を正しく処理できない」「意図していないのに、動かす必要の無い筋肉に指令を送ってしまう」といった変化が起こります。特に、運動の開始や抑制に関与する大脳基底核や、皮膚や筋肉からの感覚を処理する体性感覚野、あるいは体性感覚野と運動野(筋肉に指令を送る脳部位)を結ぶネットワークに、好ましくない変化が起こることが知られています。
治療には、ボツリヌス神経毒素の投与や鍼灸、指を副木で固定し、脳で起こっている好ましくない変化を元に戻すトレーニング(Constraint-induced therapy)、アレクサンダー・テクニックなどが用いられています。しかし、前述のように、完治するための治療法は未だ確立されておらず、主にアメリカやドイツ、イギリスの研究者達が中心となって研究が行われています。特に21世紀に入ってからのフォーカル・ジストニア研究の進歩は目覚ましく、急速な勢いで発症のメカニズムの解明や治療法の開発につながる知見が報告されています。ピアノ演奏による身体の影響ホームページより抜粋引用。
私もプロのピアニストの支援者になっていることからも、プロのピアニストたちの多くが手首や指の炎症「腱鞘炎」に悩まされています。他にも、ペダルを踏むので足首の痛みなどを感じる人たちも多いのです。私の知り合いのように、演奏会の前には、音合わせや練習を二日で10時間近くもすると言います。このような長い時間の演奏では、指関節や手首、腱などを痛めるために肩や首までも凝って痛みを感じるようになります。これらは野球などのスポーツと匹敵するほどの筋肉疲労するものです。つまり、アスリート並みに演奏家の人たちが長時間の演奏練習で疲労だけでなく、筋肉や腱などを痛め、炎症しているのです。ですから、練習前のストレッチと終了後のアイシングなどが必要になります。

また、長時間の練習では、例えば5時間ぐらいの練習では、決して連続的に行わない、理想は1時間30分練習に休息、20分程度の時に、指や手首のストレッチだけではなく、手が冷たいのなら、温めて血行を良くする。また、首や肩をストレッチするために体操をすること、これら1時間30分で繰り返します。よく、プロのピアニストの人たちは「集中してしまい」3時間連続休息なしで演奏してしまったりします。これらは指、手首だけではなく、目の疲労(眼鏡疲労)や腰にも負担を与えます。また、音楽家に多いのは「突発性難聴」などの難聴に疾患しやすくなります。多くの場合は、ロックバンドなど大音量の演奏などを長期間している人たちに多い耳の病気ですが、最近では演奏家の人たちにもピアノなどは大音量に成らなくても、長期間、長年の練習や疲れから疾患すると考えられています。
こうして、演奏家の人たちはピアノに限らず、ヴァイオリンでも、サックス演奏者の人たちでも、指を激しく動かす楽器や耳の直ぐ側で音を発する楽器では突発性難聴や指関節、手首の炎症などの「腱鞘炎」は、一種の職業病と思われますが、これら練習の美徳だと思っている演奏家の人たちも少なくありません。ところが、実際に演奏時にこれらの状態で演奏することは極めて思わしくないのです。心身の状態は「演奏、楽器の音色」に音楽表現として現れます。私も何度も楽器の音色を聞いているので「音周波数の乱れ」として伝わります。また、指の痛みを我慢して演奏しても同様なことになります。人は「三苦」の中に「痛み」があります。ですから、夢中になり、集中して演奏練習したいのは分かりますが、90分演奏したら20分の休息、目や耳を休ませることは「脳の休息」が必要だということです。脳疲労は精神面にも悪影響を与えます。指、手首にも悪影響を与えるので、私から演奏家の皆さんにこうして、演奏や練習でも「人の五感と脳の関係」が重要なのだと指摘し、提唱しているものです。
五感プロデュース研究所、荒木行彦
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