銚子市長選挙

2009-05-14 00:00:53 | 市民A
リコールされた市長が再立候補して、当選するかもしれない、ということで注目されている銚子市長選挙は5月17日の投票日が迫っている。

リコールされた原因は、市長が銚子市民病院を廃止しようとしたことだが、その数年前まで振り返ってみたほうがいいかもしれない。

まず、2002年。この時の市長選挙では現職の大川市長に対し、自治省OBの野平氏が挑戦。「大銚子構想」を打ち上げた野平氏が大勝する。銚子市は千葉県の東端にある県内では重要な市である。今回の森田知事の登場にかぶるような「大風呂敷」である。

結果は、新人の野平氏の大勝。27,500票対12,800票。

当選した新市長は、千葉科学大学を開校するが、数十億円の赤字経営の補填が必要になる。さらに、周辺の市町村との合併による「大銚子構想」も頓挫する。そして、毎年数億円といわれる市民病院の経営の赤字も問題化してきたわけだ。銚子電鉄の経営悪化に対しても何ら手が打てなくなる。その結果、市役所内も市議会も混乱し、2006年の市長選挙となる。

そこで登場したのが、今回リコールされた岡野氏。選挙は、現職の野平氏と新人の岡野氏と第三の候補である石上氏の混戦になり、僅差で新人の岡野氏が当選する。3人とも過半数には届かず、岡野13,200票、野平12,800票、石神、9,000票。

この時に、岡野氏は、市民病院について、「存続」を表明していたことが、今回のリコールに繋がってくる。

問題は市長のせいばかりではなく、「病院の赤字」と「医師不足」という複合要因により、2008年9月に市長は、病院閉鎖を決定する。その時、市議会の意見は閉鎖と継続に分かれていたのだが、1票差で、病院閉鎖が決定。しかし、議会での投票直前に、記名投票から無記名投票に変更になり、さらに投票前日に継続派の議員宅に手土産を持っていったことが後日判明。市長のリコール運動が始まる。

地元企業の社長である茂木氏がリコール運動の中心人物だったが、中央政界からも鳩兄が来銚して支援演説を行っている。

奇しくも千葉県知事選と同日行われたリコール選挙では、岡野市長のリコール賛成が21,000票。リコール反対が11,600票ということで、圧倒的多数で市長失職が決まる。

しかし、前回の市長選挙でも、岡野氏は13,200票で、反岡野2氏の票の合計は、21,900票なので、実のところ、何も変わっていない、ということなのかもしれない。

そして、再選挙なのだが、実に6人が立候補。

岡野氏と、反対派リーダーだった茂木氏以外にも、前回の第三の候補だった、石上氏、さらに前々市長で自治省OBの野平氏、当の市民病院の医師だった松井氏、まったくの新人、外国語塾経営の高瀬氏である。女性候補はゼロ。

奇妙なことに市民病院についての公約は岡野氏を含め、全員が「病院再開」である。方法は大きく、公設公営論と公設民営論。第三者的に言えば、どちらでも「赤字経営」と「医師不足」という二大課題を解決していないだろうと思えるのである。

肩を持つ気もないが、第三の候補である石上氏は、総合病院再開ではなく、とりあえず「内科と整形外科だけ」復活して、緊急病院としての機能を考えればいい、ということらしいが、現実的な感じがする。問題解決ではなく、問題の縮小化である。

しかし、市政は病院問題だけではないわけだし、外部者の私には結果はさっぱりわからないが、おそらく12,000票を少し上回ったレベルが当選ラインではないか。

リコールされた市長が立候補者乱立の隙間を縫って、はるかに過半数に届かない票で再当選などあってもいいのだろうか。

結果、やはり病院は再開できず、公約違反でまたもリコールのやり直しという可能性も感じるのである。

地方の首長選挙の場合、フランス大統領選挙のように、過半数に届くまで、選挙を何度でも繰り返したほうがいいのではないだろうか。


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