市ヶ尾彫刻プロムナード『ユニコーンのいるバードテーブル』

2020-09-27 00:00:10 | 市ヶ尾彫刻プロムナード
市ヶ尾彫刻プロムナード第11回は、『ユニコーンのいるバードテーブル』。市ヶ尾第三公園内にある。

中野滋、宮内淳吉、平井一嘉の三氏による共作。中野氏と宮内氏は当プロムナードの他の作品も手掛けられている。


本作は、構造上は何かの鉢を持った女性の頭の上に大きな盆が乗っていて、そこに鳥が集まって水を飲むのか穀物や害虫を食べに来るのか、いわゆるバードテーブルになっている。

あたまの上に鳥が集まるのはなんとなく気持ちが悪いかもしれない。カラスやアオサギやハヤブサなんかがきたら怖すぎる。


そして、謎の生物であるユニコーン。バードテーブルのすぐ上に隠れている。鳥をねらっているのだろうか。逆にカラスの餌になりそうでもある。このプロムナードには、ユニコーンが他にもいる。『魚風景』という作品には、ここのユニコーンと同じ種類の生物がいるし、『きら星からにばる』のユニコーンは馬サイズだ。


そして、タイル張りの小屋の頂上には、猫の仲間の一頭が見下ろしている。鳥やユニコーンを狙っているのかもしれない。

そして、この女性が持っている鉢のような容器には、ローマ字が刻まれている。撮影した時には気付かなかったが、本稿を書いている時に気がついて、画像拡大してみた。


ローマ字では「KOI NO SUGATA YA HA」。

さらに漢字も見える。「恋 姿 花」。大いに気になる。

その場で気付いたら、鉢の裏も撮影していたのだが、検索していると、最初に出てくるのは、美空ひばりのシングル曲(「花の恋姿」)。ダウンロードすると262円かかる。それから「大友花恋の○○姿」というのがある。○○のところに「水着」とか「男装」とか入れるわけだ。

ということで、あきらめかけていたところ、うっすらと手掛かりがあった。「人は人を恋の姿や花に鳥」というタイトルのブログがあることがわかる。そのままだ。

そして、その俳句のようなものを調べると、やっとの思いで、ある句に行き着いた。
「人は人を恋の姿やはなに鳥 其角」。はな=花だろう。

其角(きかく)は榎本其角。芭蕉の弟子で蕉門四哲の中でも最も冴えた句人だ。生前に、自分の代表作1004作を選んで、五元集と名付けていた。その中の一句である。

意味は今一つしっくりとは判らない。恋をしている人の対人関係は、花に集まる鳥のようだというのだろうか。花に集まる鳥はハチドリしかいないし、花に群がる虫に鳥は群がるわけだ。バードテーブルに集まる鳥を狙うユニコーンとかそのユニコーンを狙う猫、ということかな。そんな不気味なテーマの彫像を公園内に置くとも思えないし。

芭蕉の人気に比べ其角の人気は百分の一ほどだろうが、この際、読んでみると、俳諧の中から「軽み」を追求した芭蕉に対し、其角は「諧謔」の方を追及したとも考えられる。


一応、横浜市青葉区の公認した「彫刻プロムナード」はこれまでの11作で終了。あとは総集編だけである。

区内には、他にも町中に多くの彫刻があると、つけ加えておく。

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