ウナ丼の危機(1)

2008-07-24 00:00:15 | あじ
今年の土用の丑の日は、2回ある。7月24日と8月5日だ。なぜ二回もあるかというと、土用とは期間が18日であり、そこに当てはめる12支の方が少ないから、年によっては2回目の丑の日がある。さらに詳しくいうと、土用は夏だけにあるのではなく、春夏秋冬いずれの季節の後にも18日ずつ土用がある。だから、1年中、土用の丑の日があるのだが、うなぎを食べるのは夏である。



ところが、ことしほど「ウナギの危機」はない。いや。鰻にとっての危機は以前から続いていたのであって、それが今年の問題になったのだろう。「産地偽装」は「北朝鮮アサリ事件」では、一旦アサリを国内の海岸に埋めてから掘り返すという手の込んだ方法だったが、今回の偽装は、単に伝票の書き換えといったペーパー作業。まったくイージーで同情できない詐欺行為である。

この件で、神港魚類という大手が摘発されているが、親会社のマルハニチロは、しばらくは、反省どころか何のコメントも出していなかった。「子会社の不祥事は親会社にはまったく責任がない」とう新しい企業倫理観が日本に確立されたのか、と思っていたら、発覚後1ヶ月でやっと弁明。経営学的には興味のある事象である。

で、「産地偽装」や「禁止薬物」が、店頭にどのように影響しているか、実感するために、勤務先の近くの鰻店である「T」に行く。虎ノ門では結構有名な店である。以前から、昼のメニューは基本的に2種類だった。

 うな丼 1,000円

 うな丼ダブル 1,750円

つまり、ウナギの面積がダブルは2倍ということだ。一匹を横に二つに切って、全部乗せればダブル。半分ならば、普通のうな丼。そして、いつも店頭でうなぎを炭焼きしていて、周りに匂いを撒き散らしている。そして、店頭には大きく、『国産』と書かれていたはず。

ところが・・・

あまり混んでいない。いつも店の外に列ができているのに。

そして、二つ気づいたことがある。

1.「国産」の表示がなかった。

2.「うな丼 大 1,400円」という三つ目のメニューがあった。

国産と書かなくなったのは、以前から輸入品だったからだろうか。あるいは、本当の国産かどうか判断できないからだろうか。よくわからない話だ。店内では、同様の疑問を持った客たちが、ひそひそと「中国?」「当然だよ」とか噂している。店員にも聞こえるはずだが・・

そして、二種類だったメニューが、『うな丼』と『うな丼大』と『うな丼W』の三種類メニューになったわけで、とまどう人がたくさんいる。

しかし、迷わず、『うな丼』1000円を注文。何しろ、きょうは調査だ。


そして、現れた「うな丼」。何気なく箸を付けようとしたのだが、その時、気づいたわけだ。

「うなぎの面積が小さくなっていた」

そして、こっそりと周りの席を見渡すと、『うな丼大』はいままでの1000円のうなぎより大きいわけだ。

ここで、直ちに真相が閃いたわけだ。



要するに、1本の蒲焼を二つに分けるときに、従来は真ん中で二分して、それぞれ1000円のうな丼に乗せていたのに、真ん中ではなく中心をずらして大小二枚に分けている。つまり、1000円のうな丼は従来より面積が減り、逆に増えたうなぎは『うな丼 大』に回ったのだろう。

つまり、実質的な値上げである。20%アップだ。

ただし、値上げの結果はどうなるか?1000円の客と1400円の客数が同じならいいのだが、不均衡が生じるのではないだろうか。余計な心配かもしれないが。

そして、店を出る時にウナギ業界の専門雑誌がフリーで配られていて、そこには座談会が組まれていて、今回の事件の背景になる、ウナギの危機について多くのページが割かれていたのである。


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