五輪と中学校将棋部

2022-08-31 00:00:33 | 市民A
五輪と中学校将棋部との関係なんかないだろうと思うだろうが、最近、公立の中学校や小学校の将棋部で講師をしていて感じていることがある。

実際には公立学校の内部には深い闇がありそうな感じがあるのだが、そういうことは探らないことにしているので、客観的な事象の話をしてみる。

まず、こどもたちの将棋のことだが、藤井効果で大盛況かというと微妙な問題がある。藤井聡太四段が登場して29連勝したのは2017年のことで5年前のこと。現在の中学1年生にとっては小学2年生のころ。おそらく親がめざめてこどもに将棋を教えたのは3年生頃ではないだろうか。実感としては3年で始めるのは遅すぎるわけだ。強い子は男児では年長から小1、女児でも小1か小2が限界という感じだ。

つまり、今の中学生は「ブームに乗れなかった」世代で、小学生では大盛況という断絶を感じている。

そして五輪の話だが、東京五輪の後、中学校の部活で運動系の部活に生徒が大挙押し寄せてしまったわけだ。結果、文科系の部が壊滅してしまい、文科系で生き残ったのが「吹奏楽」と「百人一首」と「美術」、マンガの影響なのは明白だ。それとかろうじて「将棋部」。実際には吹奏楽も百人一首も美術も将棋も「体力が勝負」になるが、そこまで考える生徒は少ない。

科学部とか天体観測とか読書とか歴史研究とか英会話とかないのか確認したら、五輪のせいで運動部に生徒が流れ、頭脳を使う部は全部部員不足で潰れたそうだ。将棋部もつぶれそうだが、そうなると前述の小学校の大量の将棋キッズの行き先がなくなるわけだ。

ところが、運動系の部活と言っても特に変わったものはなく、野球、サッカー、テニスといった普通のスポーツなのだが、部員が増えてもグラウンドが広くなったり用具が増えたりするわけではなく、練習もたいしてできず、練習の順番が来るのを漫然と待っている子が多い。もちろん多くの学校の先生にとって、部活は懲役刑のようなものなので、部がつぶれようが弱体化しようが感傷的になる人はほぼいない。

といっても、運動系の部活に入っても試合どころか練習にも出られない子の救済策というか、半年に一回の転部可能期間がもうすぐやってくるので、紹介動画など作り始めている。
小学生の親には「将棋のチャンピオンになって、年収1億円を稼ぎ続けよう」という趣旨でいいのだが、中学生はリアルなので、もう少し合理的な理由が必要で、「部活で頭が良くなる唯一の部」という挑戦的なフレーズを考えている。