戦国史の怪しい人たち(鈴木眞哉著)

2022-08-11 00:00:51 | 書評
平凡社新書の中の一冊。「怪しい」ということばは魔法の言葉だが、よく考えると歴史というのは怪しい話が多い。そもそも古書を分析して歴史を固定化するのが学者だが、同じ事実でもとらえ方の違いで書いた人の主観が違うし、一つしか記録がない史実が正なのか誤なのか判断はつかない。



日本史最大のなぞと言われる邪馬台国と女王卑弥呼について、場所の特定もできていない。

本書では「怪しい」というのをいくつかに分類している

1. 先祖(名家と自称)や出自が嘘っぽい
2. 歴史に名を残す事象以前がはっきりしない
3. 存在そのものがはっきりしない
4. 行ったとされる史実があやしい

といったところだ。

対象は信長、秀吉、家康をはじめ天下人を頼朝に時代から検証する。

いくつか書き止めるなら、まず明智光秀。著者によれば、そもそも信長を暗殺しようと思っている人物はたくさんいた。恨みを持つ者と天下を狙うものがいて、光秀は天下を狙っていた。たまたま、絶好のチャンスがあったので実行したまでだそうだ。

それから三好長慶と松永弾正。どちらも悪役だが歴史に登場する前がよくわからない。怪しい人間なのかどうか不明だ。

ところが、Amazon の書評をみると、明智光秀についての記述はまったく支持されずバッシングがひどい。歴史通というのは自分が信じていたものが絶対と思い込み、別意見は排除したがるものだ。