ミュオグラフィ‐21世紀の透視図法

2016-04-17 00:00:02 | 美術館・博物館・工芸品
東京大学の博物館の一部にあたるインターメディアテク。東京駅前のKITTEビルの2階と3階にある。

現在、日本とイタリアの協賛でミュオグラフィ関係の展示を行っている。

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このミュオグラフィ技術だが、21世紀の透視図法と呼ばれている。透視と言えばX線が相場で、人間の体の悪いところを探したり、金属のひび割れを探したりしている。またソナーとか電磁波などを使って色々なものの内部を探るというのは特に医学の世界ではおなじみだ。

といって、実際には直接目で見るのに勝るわけでもなく、胃の健診だって、バリウム方式と胃カメラ方式がある。

一方、X線は便利ではあるが、大きすぎるものには使えない。たとえば火山の内部のどこにマグマが溜まっているかとかだ。あるいはピラミッドのような巨大構造物のどこに秘密の通路や小部屋が隠されているかとか。X線でも音波探知機系でも歯が立たない。

そこに登場したのが「ミュオグラフィ」。ルーツは昨年のノーベル賞の梶田教授の研究の様に、素粒子(ミューオン)の利用。もちろん裏側にはスーパーコンピューターのような高速な計算能力が必要だろう。素粒子の速度変化とか方向の乱れとかの情報をつかんで内部の構造を明らかにしようということらしい。

イタリアと日本という妙な組み合わせのカギは『火山』ということで、火山の中のマグマの位置を知るのには有効ということらしい。

その前はピラミッドの内部の解析を調べたらしいが、こちらはうまくいかなかったようだ。呪いが掛けられているからだろう。そして火山国日本には、もう一つこのミュオグラフィを利用したい目的がある。崩壊した原子炉内部の構造調査だ。

ということで、X線がその必要に応じて急速に普及したのと同様、ミュオグラフィも急速に進化していく予感がある。極端にいえば地球の内部構造だってわかるだろうし、鉱山や油田の埋蔵量なんかも正確にわかるのだろう。

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本展示のロゴの一番上の部分は、火山の解析結果らしい。不可間近の火山だ。富士山に似ているが、イタリアにある山らしい。

なんとなく、頭の中に怒りがこみあげてきた図のようにも見える。

ところで、KITTEビルだが、東京のビル家賃の基準値になっているそうだ。入場料は無料なので、この上なく損益は赤字だろう。心配になる。