高知県立文学館

2013-08-04 00:00:59 | 美術館・博物館・工芸品
高知シリーズもこれで最後。高知城を下りた後、横目に文学館を見て、「高知出身の作家とかいたかなあ」と通り過ぎようとしたのだが、折からの暑さに加え、太陽が雲の中より現れ、雨宿りならぬ炎天宿りをしようと、館内に吸い込まれる。といっても、省エネ中か、あまり涼しくなかった。

kobun


それで、中をぐるっと二周したのだが、ちょっと違和感があったのが、部屋の配分。歴史順になっているのだが、もちらん最初は紀貫之の土佐日記。ただ、この日記は、紀貫之が「土佐は田舎だから、早く京都に戻りたい」というようなことが中心的記述なので、評価されていない。

そして、一気に明治になり自由民権運動の流れになる中江兆民や幸徳秋水らが紹介される。

そして、戦後ということで、安岡章太郎。清岡卓行、倉橋由美子が登場。この中では安岡章太郎に大きな一部屋が与えられているのだが、倉橋由美子には部屋がない。さらに彼女のことにはほとんど触れられていない。案外、作家本人が断ったのかもしれない。第一、高知のことなど、ほとんど書いていないし。

そして、安岡章太郎のように部屋が与えられているのが、寺田寅彦。確かにエッセイの多くは時代を超越しているのだが、本業は文学者じゃないのだから、部屋まで与えるかな、と思う。

さらに宮尾登美子のコーナーもある。

というか、この文学館ができた当時は、まだ高知出身作家が少なかったのではないだろうか。そのため、「土佐ゆかりの作家」というコーナーまである。

ところが、実は、最近は土佐作家が大量に出現しているようだ。

山本一力、坂東眞砂子、志水辰夫、そして有川浩。一部の人は、すでに文学館に痕跡を置いている。「私の部屋は、ここ!」とか文学館の中の1室を予約しているかもしれない。

なぜ急に高知作家が増えたのかはよくわからないが、鰹節に含まれるアミノ酸が文学的思考には有効なのだろうか。