植物図鑑(有川浩)

2013-08-22 00:00:09 | 書評
先日、高知に行った際、県立文学館にて、最近の高知出身作家で生きのいい(なんとなくカツオみたいな書き方だが)二人として、有川浩とか山本一力とか紹介されていて、さっそく一冊ずつ読んでみることにするが、何から読めばいいのかよくわからないので単に偶然に有川浩の「植物図鑑」について。

shokubutu


もっとも、もっと有名な作品はたくさんあるのだが、「誰にでも読みやすい」という評判は彼女にとってプラスなのかマイナスなのかよくわからないが、本著は誰にでも読みやすいというわけでもないような、ストーリー性が少し落ちるような気がする。

主人公の若いOLのマンションにある日突然現れ、そのまま住みついた放浪癖の男性が、野草の専門家で、郊外で色々と採取してきては、そのまま料理して食べてしまうわけだ。ノビルとカラシナのスパゲティとかだ。

そしてOLの方は、料理が苦手なもので、会社で食べる自分のランチまで作らせてしまうわけだ。そして、いつまで経っても野草のことを雑草と言ったりする。

そして、この小説は古典的に起承転結の約束の通りに進んでいく。いうまでもなく、起承転結型の展開では、承と転の前半あたりが退屈だ。交響曲の第二楽章とか第三楽章と同じだ。第三楽章は、野草オタク男の突然の失踪により、第四楽章の「転」を迎えることになるが、作者は、登場人物のすべてが同一レベルの満足を得られるように、比較的ハッピーエンドを用意する。

もっとも、安易なハッピーエンドが当事者男女にとって幸せな結果となるか不幸せな結果に終わるのかは、続編を読まないとわからないのだが、残念ながら、続編は存在しない。