銅線ドロがいなくなる日

2007-10-26 00:00:48 | 市民A
昨日のエントリの中で、金属ドロほど経済環境に敏感なものはない、などと書いたが、実はあと10~20年で、銅の価値が激落することが予想されている。


まず、銅の用途だが、主に二つ。一つは鉄砲の弾に使われる薬莢の素材。真鍮製だが、銅と亜鉛の合金である。しかし、最近の大型戦争は、上空から大量の爆弾を落とした後、戦車部隊が火炎放射器をふかしながら走り回るので、なかなか銅の需要が伸びない。自爆テロも同様で、需要増にはまったく繫がらない。


では、何が銅の需要を伸ばしているかといえば、電気関係。あまり高等な用途でないのが、電線。そして、もう一つが銅箔といった超薄板で、主に電子機器に使われる。もともと電子機器は半導体と良導体の組み合わせで作られるのだが、珪素から作られる半導体シリコンチップと銅が使われる良導体の需要がある。

そして、この電線と良導体と半導体のすべてを一気に解決できる夢の素材が開発中なのである。



”カーボン・ナノ・チューブ”。

しかも、繊維として強靭というおまけがつく。原料元素は格安の炭素というか「スス」。ほぼ無尽蔵にある文字通り邪魔者である。炭素が酸素と化合して二酸化炭素を大気中に撒き散らすことにより温暖化もひき起こしている。

強靭さの話からだが、直径1センチのナノチューブでロープを作れば、1200トンが吊り上げられる。テニスラケットとかゴルフクラブには既に使用されている(妙なもので、テニスやゴルフは道具の素材より腕の方が重要とは思うけど)。クルマのバンパーにも配合されているそうだ。そして、この先利用されそうなのが、燃料電池自動車(あるいは家庭用発電機)の水素貯蔵方法。この強靭な繊維を織り込んで繊維性のタンクを作ろうという利用法の他、ナノ・チューブの内側に水素を取り込むという正統派の方法が考えられる。


で、銅と競合する電気の分野の話に戻せば、例えば、一般的な銅線では1平方センチあたり100万アンペアほどの電流を流すと焼き切れてしまうが、ナノチューブは10億アンペアを流すことができる。1000倍。つまり、ずっと細く軽い素材を用意すればいい。軽いから高圧線の鉄塔だって、あんな巨大な物は要らないだろう。送電ロスも少ない。

半導体の世界でも、配線の太さを現在の1/50にでき、使用電力も少ないため、1000倍の高速計算ができるらしい。

つまり、カーボン・ナノ・チューブが素材として一般的になってくると、電線はくもの糸のよう軽少になり、もちろん各種モーターも小型化し、送電ロスも減り、したがって電力消費量も減り、また、自動車は水素発電で動くようになり、さらに、最小限発生する二酸化炭素は酸素と炭素に分離され、炭素はカーボン・ナノ・チューブの素材になるわけである。

”その結果、銅は電気製品としては不要となり、銅線ドロボウも消滅するはずなのだが、案外、銅の価格が暴落すると、真鍮の生産コストも下がるだろうから、再び、機関銃の玉を量産して、戦争が始まるのかもしれない。そして、泥棒という職種がなくなるはずもなく、新たな被害品目が発生するだけかもしれない。




ところで。このカーボン・ナノ・チューブだが、今まで扱いにくいと思われた性質が、「水に溶けない」ということだった。もちろん火を付ければ燃えるので、始末は簡単だが、加工しにくかったわけだ。その「水に溶けないカーボン・ナノ・チューブ」を溶かす溶液が九州大学の研究で見つかったそうだ。その魔法の溶液とは・・

サントリーの緑茶「伊右衛門 濃いめ」だそうだ。

実験室でうっかりこぼしたら、チューブが溶けたというのかどうかは知らない。コンビニで買えば500ミリで147円(消費税が17%になると164円と、ずいぶん高く感じる)。なぜ、イエモンかというと、その中に含まれるカテキン類。もちろんイエモンでなくてもカテキン類の多い茶ならいいらしい。

そして、このカテキンの話だが、しばらく前に台湾に行った時に、「お茶博士(お茶の水博士ではない)」から講義を聴いた時に、登場していた。ウーロン茶は頑張れば10回絞り出せるし、最後に残った茶殻にはカテキンがたっぷり残っていて、これをカキアゲにして食べれば、「ある」病気にならない・・というようなことを言っていた。アフラックの商売敵ということだ。