プラチナはどこから来たの?

2007-10-23 00:00:46 | 投資
プラチナの価格が高騰している。この一ヶ月で、取引価格が15%も上昇している。ゴールド(金)も同じくらいの比率で上がっているが、プラチナの方が2倍くらい高い。値動きも荒い(金:グラム3000円位、プラチナ5500円位)。



原因は、おそらく原油価格の上昇によるオイルマネーの流入と思われる。同じオイルマネーといっても先進諸国の石油会社の利益は、「法人税」という形で、法定納付日に国家に吸い上げられ、無駄な公共投資に消えたりするのだが、国営石油会社が中心の産油国のオイルマネーは、原油出荷後1ヶ月後にどんどん現金で流入してくる。そして、中東の金持ちたちは、貴金属が大好きである。したがって、金・プラチナは原油価格と並行して上昇する傾向が強い。

それで、プラチナを色々と調べていたのだが、結構、神秘的かつ魅力的な金属元素だ。

まず、プラチナはなぜ地球上にあるか?という問題がある。どうも他の金属元素とは異なり、地球の表面近くにのみ存在するため、元々の地球には存在しない元素と考えられている。20億年~25億年前に地球に隕石シャワーが降り注いだ時代があるのだが、その頃の「あるXデー」にプラチナ隕石が落ちてきたと考えられているようだ。

現在の産出国は、南アフリカが7割。残りがロシアとカナダというように偏在している。大陸移動説でも南アとロシア・カナダが隣接していたとは思えないし、他の地域(含む日本)でもほんの僅かな量が産出されていることを考えると、巨大なプラチナの塊が南アフリカに落ちてくる途中で、少しバラバラになってロシアとカナダのあたりに小さな塊が落下し、さらに地上で砕け散ったプラチナの粉が世界中に飛び散った、というシナリオではないだろうか。

当時の地球上には酸素と窒素ではなくメタンガスが充満していたらしく、何か事ある度に世界中が火災に包まれ、CO2が満ち溢れたところで海底奥深く発生していた植物プランクトンが光合成を始め、大気が酸素に変わっていったらしい。間違いなくプラチナ隕石が落ちてきたときも地球大炎上になり、CO2を増加させ、人類発生までの曲がりくねったプロセスに貢献したのだろう。

しかし、プラチナ隕石が飛んできたということは、どこかにプラチナ星があって、それが何らかの原因で砕け散ったわけだ。プラチナだけの天体があったのだろうか。もうここから先は謎・謎・謎。(本当は千葉県茂原市にある「こりん星」から来た女性に聞いてみるとわかるかもしれない)


そして、話をずっと人間の歴史の方に引き寄せ、金とプラチナを比べてみると、圧倒的にプラチナは稀少である。金の場合、今までに人類が精製した金の量はオリンピック用の50メートルプール3杯分と言われるのだが、プラチナは、累計生産量が4000トンといわれている。密度で割ると200立方メートルになり、たった6メートルの立方体に収まってしまう。1年間の生産量も金の2700トンに対して、プラチナは88トン。さらに、このプラチナの用途だが、39%が自動車用(排ガス処理の触媒やプラグ用)。23%はその他の工業用(抗癌薬にもなっている)。また宝飾用は37%である。そして、僅か1%のみが投資用となる。だからこそ、プラチナ価格は乱高下するわけだ。

つまり、62%の工業用、37%の宝飾用、そして1%が投資用ということは、工業用、宝飾用で需給のバランスが崩れれば、大いに貴金属としてのプラチナ価格は変動することが考えられるわけだ。

そして、このプラチナの宝飾としての価値だが、スペイン人が北米大陸の先住民から略奪してきた時には、「銀の一種」と考えられていて、当時の欧州での銀の製法では溶かすことができず(融点が高い)、廃棄されたそうだ(一体、どこに捨てたのだろう?)。そのうちに、プラチナは宝飾に使われるようになったが、「白っぽい金」ではパッとしなかったわけだ。

その、「白っぽい金」が一躍ブームになったのは、皮肉にもタイタニック号の悲劇の後。米国の富豪たちが、犠牲者に弔意をあらわすために金ではなくプラチナの白を身に着けることになったことからだそうだ。その後、宝飾品としてのプラチナの地位が確立される。


ということを参考に、いつ、今まで大きな価値がないと思われた金属が大化けして巨大な富に変わるかもしれないと、いくつかの金属元素に当たってみたのだが、どうもイマイチだ。

大穴を狙うなら「タリウム」というのがある。元素番号順に言うと、イリジウム・白金・金・水銀・タリウム・鉛の順。乳白色で、常温で柔らかい。化合物の多くには毒性があり、殺鼠剤の原料になったり、伊豆長岡方面では「タリウム少女」もいる。純粋な金属元素は肌をすべすべにする効果があり、塗り薬にも使われるのだが、それは毛髪を失わせる効力があるためで、おそらく、ネックレスに加工すれば、頭髪が抜け落ちて、より光り輝くのは、ネックレスではなく頭頂部の方になるだろう。


そして、妙なことに金属としてのプラチナを買うのはいとも簡単で、例えば田中貴金属などに行けば、おカネを持っていればいくらでも自由に買うことができる。そして、無論、売ることもできる。ところが、本物のプラチナではなく、例えばVISAプラチナカードを手に入れようとすると、そういうわけにはいかないわけだ。入手するためには数多くの審査のハードルがあり、「プラチナカードを銀座のクラブで見せびらかせたい」というような邪心を持つ者には、決して手に入らない仕組みになっているはずなのだ。