北極分割に待った!を

2007-10-01 06:45:29 | 市民A
地球温暖化により、海面下に沈もうとしている島嶼国家がある。日本ではなくキルバス共和国。人口10万人の大移住計画を考えているそうだ。しかし、どこに移住してもそれで国民が幸せになれるわけではないだろう。今、世界中で地球環境が変化しているのは、CO2の海水の吸収濃度が飽和状態に達したため、急速に大気中のCO2が増加し始めたことによるのだろうか。

ところが、一方で、案外、温暖化を歓迎している国もある。特にロシアだ。以前、プーチン大統領は、「温暖化でシベリアが暖かくなって、どこがいけないんだ」という意味のことをロシア語で言ったそうだ。その時は、世界中から不見識に対する非難を浴びたのだが、またも別件で爪を伸ばしていることがわかってきたそうだ。そして、野望を持っているのはロシアだけとも限らないようだ。

少し前になるが、気になるニュースが8月21日に「Economist」に簡単に掲載されていた。



Aug 21st 2007 From Economist.com

THE temperature is rising in the Arctic. As global warming causes the polar ice-caps to melt, natural resources and lucrative shipping routes are becoming more accessible. Russia's jaunty placing of a flag on the seabed near the North Pole was only one of several exploratory expeditions this summer. Norway, Denmark (through its sovereignty over Greenland), Russia, Canada and America could all claim a slice of the region. According to the UN Convention on the Law of the Sea, each country is entitled to a 200 nautical mile (370km) economic zone from its coast, plus any area which it can prove is connected to its own continental shelf. AFP


要するに、今まで、北極については、氷山の集合体のようなものだから、どの国もまじめに所有権を争っていなかったのだが、温暖化により氷が融け、例えば海運などに利用できるようになり、さらに原油はじめ地下資源や水産資源などの開発が、可能になりそうだからである。逆に白熊は現在の1/3まで激減するだろうと言われている。キルバスの国民のように、ホッキョクグマの南極大陸への移住が必要なのかもしれない。



そして、北極問題の直接の当事者である関連5ヶ国とはロシア、カナダ、ノルウェー、デンマーク、そしてアメリカである。どうも5ヶ国だけで、分割する方法を決めそうな状況である。それも、沿岸12海里の国境、200海里の経済水域だけではなく、大陸棚論を持ち出して、各国の大陸棚の上に北極があるということにしてしまいたいようだ。

ところが、商業利用といっても、もともと北極海は海が浅く、ロシアの北極沿岸地は、夏の間に小型船で物資の輸送を行い、倉庫に生活必需品を貯め込み、厳しい冬はそれで凌ぐということになっている。


現在、日本からロンドンやニューヨークに行こうとすると、パナマ運河やスエズ運河を通ることになっているのだが、一見、この北極圏コースの方がずいぶん早そうなことがわかる。

しかし、・・・

もちろん、温暖化で小さくなったとはいえ、相手は氷山。うかうかと東京-ニューヨーク間の北極海の船旅など楽しんでいると、タイタニック号になってしまうかもしれないわけなのだ。