達美恵子さまからのコメント

2007-04-03 00:00:39 | しょうぎ
亡くなられた達正光六段について記した弊2007年3月31日「亡くなったダブルチャンピオン」につき、奥様の美恵子さまからコメントをいただきました(弊blogはlivedoorとgooのダブルブログになっていて、livedoorの方へコメントをいただきました)。まず、紹介の方から。



主人の事を記事にしてくださって有り難うございます。主人の死について憶測があったとは知りませんでした。主人は26日に眠るように逝ってしまいました。死因は虚血性心不全でした。葬儀が終わり、ただただ呆然としております。主人の降級点は生前から知っておりましたが、主人は将棋の事は一切家庭に持ち込まない人なので、その話題にはふれませんでした。主人も22期目にしての初めてとる降級点でしたからショックはあったと思います。棋士という職業は本当に孤独でストレスが溜まりやすく大変な職業です。本当に将棋が好きな人でなくてはやっていけませんし、強い精神力がないとやっていけません。主人が幼いときにダブルチャンピンだったことを覚えていてくださって本当にありがたく思います。
主人の将棋の事をご存じであれば教えてくださいね。私は主人の将棋に関しては本当に知らないのです。宜しくお願いします。


コメントへの返信は、コメント欄には書き切れませんので、ここに別立ていたします。(文体がいつもと異なると思われるかもしれませんが、コメント用文体です)


41歳のご主人を突然亡くされた奥様の気持ちを想像することなどできようもないのですが、故人のご冥福と奥様の心に平安が訪れることを、祈念いたすだけであります。


小学生、中学生名人のことですが、私も、現在、多くの小学生に将棋を教えておりますが、低学年の時から、多くの時間を将棋につぎこみ、そして高学年になって、急に強くなっていくようです。才能と努力が必要です。さらに、大会は大部分がトーナメント方式ですが、相手の得意戦法とかよくわからないので、優勝するためには幅広い対応力も求められます。プロとして活躍された22年間だけではなく、小学生の頃からの努力の時間を加えれば35年近く駒を握ってこられたのでしょうから、その心労の蓄積は、さぞ重かったことだろうと思います。

毎年、プロ棋士になれる人間がほんの数名ということは、小学生(中学生)名人戦でベスト4くらいになる実力があっても、さらにたゆまぬ努力が必要ということです。しかし、四段になれずに奨励会を退会してもなお、細いプロへの道を再度目指す人がいるというのは、やはり、そこに職業としての「棋士」というものに”輝き”があり、その裏側に”棋士の内面の苦しさ”があるということなのでしょうか。

私の知人にも達先生と同じような年代の棋士の方がおられるのですが、やはり、1回降級点を取ると”フリークラス転出”を真剣に考えるようです。プロになりたての時の夢は、「名人」であり、そのための途中段階として「A級八段」ということになるのですが、少なくてもA級でなくても「八段」にはなりたい。というのがどうしても到達したい一つの目標ということだそうです。フリークラスになると定年が長くなるのと、「八段」になるまでのハードルが低くなるので、一応は計算とかするそうです。しかし、実際には、決断がつかないことが多いとは聞きます。

3月末にこの先生とお会いしたところ、「達さんのこと、(将棋)連盟に聞かなければならないのだけど・・」と非常に言葉少なく語られていました。


残念ながら、個人的に達先生とは縁がなかったのですが、対局の記録については、プロ棋士が使っているソフトで、すべての棋譜を検索することが可能なはずですので、一門の親しい方にお話されれば、すべてを集めることは可能と思います。


私自身は某県の中学生大会の決勝で、大敗着の一手を指してから、次の一手を本気で指し始めるまで8年ものブランクがあったため、現在は、何事もない無難な馬齢を重ねている最中であり、やや失礼な傍観者的な記述があったならば、お許し下さい。