5泊6日の城めぐりplan(4)

2005-12-23 22:35:53 | The 城
14f20e93.gif4日目
12城のうち、登城の困難さという意味では最大のハイライトが訪れる。備中松山城。これぞ山城である。

岡山駅から特急やくも1号に乗る。7時24分。倉敷までは山陽本線だが、伯備線に入る。高梁(たかはし)川に沿って、中国山地を果てしなく上っていく。そして約30分で備中高梁駅に到着。7時57分。駅の周りはいくつかの観光スポットもあり、コンビ二もある。そして、備中松山城への道筋の地図もある。しかし、何気なく歩き出してはダメなのだ。きわめて遠い。そして、曲がりくねったローカルな道は、心細すぎる。それに上り坂である。こここそはタクシーに乗るべきだ。それでも城に着くわけではなく、城に登る登山道の入口に着くだけだ。それでも3,000円位かかる。逆に言うと、タクシー3,000円の上り坂の距離を歩くのは厳しい。さらに、きょうもまた忙しいのだから。

そして、タクシーから降りる時に、タクシー会社の電話番号を確認するのを忘れないように。何しろ、人間の姿は、当面、見ない。緑の電話はあるので、ここまで下山した段階で電話をすると10分くらいでタクシーはやってくるはずだ。あらかじめ、迎車時間を決めておくのは、無駄が多いかもしれない。何しろ、登山道の途中で足を滑らすと、一気に転落して帰らぬ人になってしまう。呼んだタクシーをいつまでも待たせなければならなくなる。

登山道には、よく雪が積もる。落ち葉の上に雪が降ると、さらに危険だ。息もきつい。寒い。途中で休むといっても座る場所はない。どんどん坂が急になる。下界を見ると、ちょっと怖くなる。ここは、本当に心臓にこたえる。どうも、静かな山の中で、物音が立つと、驚いて山鳥たちが飛び出す。なんだか、わからないが小動物が動くガサガサという音は、かなり怖い。

そして、あと1分したら、もうあきらめて帰ろうと思った頃に石垣が目に入る。そこから先も長いのだが、やっと山の頂上にある備中松山城に到達する。小さな天守閣だ。そして、静かだ。難攻不落の城だ。まさに、現存12城の象徴とも言える。ここまで来る人間は多くないだろう。

そして、この城まで辿りつくには、ある種の覚悟がいるのだが、この城にはまた別の覚悟がある。天守閣内に特別な部屋がある。それは1階の奥に位置するのだが、「装束の間」と呼ばれる。6畳程度の板床の部屋だが、この部屋の役割は、城が攻められ、陥落する場合に、城主と家族がこの部屋にあつまり、切腹するためのものだ。少し雰囲気が違う。

しかし、もちろん難攻不落なこの城は、装束の間で切腹が行われた史実はない。ところが、この城の代々の城主の一人には、「浅野家家臣、大石内蔵助」が名を連ねる。別の場所で切腹したわけだ。

そして、下を見たら怖いと思いながら、先ほど上った道を降りるしかない。そしてまたタクシーに3000円を払う。再び備中高梁駅からの特急に乗るのは10時55分。やくも7号。高梁川に沿って、さらに山を登っていく。中国山地の頂上に近づくにつれ、川幅は短くなる。そして、いつしか山脈の頂上に到達し、今度は日本海側に別の川に沿って米子方面に下っていく。

14f20e93.gif特急は米子を過ぎ、松江に到着する。既に13時42分。急ぐしかない。100円バスかタクシーかになる。そして、松江城は観光地化されている。平地をたくさん歩くことができれば、苦労はいらない。立派で美しいし、城内庭園を歩く人々は多いし、何も文句はつけられない。正統派の城下町だ。12城の中では、松江は、最も観光を念頭に整備されている一つである。

松江は落ち着いた町であり、町全体に知性と品位がある。城は美しいし、あちこちで、落ち葉を拾ったり、町をピカピカに磨いている。城を中心に歴史的景観を復旧したり、(本当は寒くて1年で逃げ出した)小泉八雲を観光のコアにしている。姉妹都市をニューオーリーンズという未開都市にしたのはイメージダウンだっただろう。私のようなバイキン人間はちょっと息苦しいので、次に進む。

そして、再び駅に戻り、逆コースを選択する。松江発15:35、長い長い下り坂を岡山に向かう。17時56分岡山に到着するのだが、さらにここで四国方面行きに乗り換える。岡山発18時22分。しおかぜ23号。丸亀着19時6分。

14f20e93.gif4日目距離、425km、乗車時間、5時間23分。